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グリーンアクセスプロジェクトについて

目標

・グリーンアクセスプロジェクトは,環境権を保障し,持続可能な社会をつくるため,あらゆる人々の多様な環境保全活動が,相乗効果を発揮できるような参加と協働の仕組みの構築を目指しています。

・このプロジェクトの正式名称は,「持続可能な社会づくりのための協働イノベーション -日本におけるオーフス3原則の実現策」といい,最先端・次世代研究開発支援プログラム研究(内閣府総合科学技術会議)の助成(2010年度~2013年度)を受けて進められています。

日本の強みと弱み(これまでの成果と課題)

・歴史的に見ると,日本では,4大公害裁判をはじめとする環境裁判が,環境政策や環境法の進展に大きな役割を果たしてきました。また,リサイクル活動,里山・里海の保全活動,省エネ活動等の草の根活動が盛んで,市民や事業者の自主的取組みが一定の功を奏した数少ない国の1つでもあります。そして,1990年代前半以降,さまざまな法律により協議会制度や提案制度が導入され,日本における参加と協働は,一見めざましい発展を遂げているように見えます。

・しかし,最近では,市民からは「一生懸命議論に参加しても,結局自分たちの意見は反映されない」,行政からは「膨大な手間と時間をかけて協働の手続を踏んでも,さほど新しいアイディアが得られるわけでもない」などの不満が続出し,協働取組みが実質的に持続可能な社会づくりにつながっているのか,その有効性に対する疑問も出され,協働疲れともいうべき状況が生じています。また,八ツ場ダム,辺野古,各地の原発問題等,合意の糸口が見えない課題も山積しており,従来の社会構造の限界に直面しています。市民の力を活かし,市民活動を促進するためには,個人の努力だけではなく,新たな発想に立った制度改革(協働イノベーション)が不可欠であると考えられます。

「オーフス条約」とグリーンアクセス

・市民の参加と協働の重要性は,日本だけではなく,国際社会の共通認識となっています。しかし,日本と大きく異なるのは,参加と協働の仕組みを構築するに当たり,次の3つの権利を一体的に保障することが重要であると考えられていることです。

(1)知る権利(情報アクセス権)
(2)政策決定への参加権
(3)環境被害の救済と違法な行為の是正を求める権利(司法アクセス権)

・本プロジェクトでは,これら3つをまとめてグリーンアクセスと呼んでいます。グリーンアクセスの考え方は1993年のリオ宣言第10原則に盛り込まれ,さらに,1998年には,これを保障するために,オーフス条約が採択されました。条約の正式名称は「環境問題における情報へのアクセス,意思決定への市民参加及び司法へのアクセスに関する条約」といいますが,デンマークのオーフスで採択されたために,オーフス条約と呼ばれています。

プロジェクトの内容

・これまで日本では,協働を法制化することに対する懐疑論が根強くあり,とくに司法アクセスを協働の一手法として捉える発想に乏しい状況でしたが,オーフス条約の有効性は各国で確認されています。もっとも,オーフス条約を批准している国々においても,その具体化の手法は極めて多様で,より良い協働モデルが模索されている状況にあります。

・そこで,グリーンアクセスプロジェクトでは,日本の先駆的事例の歴史的意義や特性を踏まえつつ,グローバル・スタンダードをも充たすような日本型の協働モデルの提言を目指しています。その際,参加と協働の仕組みは分野・地域によって多様であるため,本プロジェクトでは,水管理および道路の分野に焦点を当てる予定です。

・具体的な主な研究活動は,次の通りです。

・オーフス条約の加盟国に焦点を当てたグリーンアクセスの実態調査
・日本の参加・協働条例の現状に関するアンケート調査
・交通基本計画,協働取組計画等のモデル例の検討
・交通分野と水管理の法制度に関する提言

・研究成果については,このホームページ,論文等を通じて,随時公開していきます。

シンボルマーク「啄木鳥」について

・本プロジェクトでは,さまざまな方々とこつこつと活動を続け,グリーンアクセスの扉を開いていきたいという願いを込めて,「自然」「目覚め」「継続」の象徴として,啄木鳥をシンボルマークに採用しています。
研究の詳細についてはこちら → 研究概要
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