稚内市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 稚内市 | 自治体コード | 01214 |
都道府県名 | 北海道 | 都道府県コード | 00001 |
人口(2015年国勢調査) | 33,563人 |
条例データ
制定年 | 2007年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 審議会委員の市民公募 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | 本条例第11条・12条の住民投票は、住民投票に関する条例(http://greenaccess.law.osaka-u.ac.jp/archives/5603)で規定されている。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/shisei/seidojorei/jichikihonjorei/jorei.html |
条例本文
○稚内市自治基本条例
平成19年1月30日条例第1号
稚内市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 まちづくりの基本原則(第4条)
第3章 情報の共有(第5条―第7条)
第4章 参画と協働(第8条―第13条)
第5章 市民(第14条・第15条)
第6章 市長等(第16条・第17条)
第7章 市議会(第18条―第20条)
第8章 市政の運営(第21条―第29条)
第9章 子育て平和運動の推進(第30条)
第10章 国際交流の推進(第31条)
第11章 安全安心なまちづくり(第32条―第34条)
第12章 自然環境との共生(第35条)
第13章 補則(第36条)
附則
わたしたちは、東にオホーツク海、西に日本海の潮風を感じ、水平線に美しく浮かぶ利尻富士を眺(なが)めることのできる自然豊かな最北のまち稚内市に暮らしています。
わたしたちのまちは、厳しい風雪をエネルギーに変え、まちぐるみで子どもたちの成長を見守り、北にサハリンの島影を望んで国際交流を担(にな)い、生活を支える水産、酪農、観光の発展のためにも努力を続けています。
わたしたちは、アイヌ語で「ヤム・ワッカ・ナイ」(冷たい水の出る沢)と名づけられたこの地に勇気と情熱を注いできた多くの人々に感謝し、このまちの一員であることを誇りに思い、これからもこのまちを愛していきます。
だからこそ、わたしたちは今、市民一人一人がまちづくりの主役であることを自覚し自らこのまちの将来を考えて行動し、互いに信頼し合って、よく伝え合い、話し合い、力を合わせていくことを誓います。
そして、このまちを担(にな)う子どもからお年寄りまでのすべての市民が安心して集い、心豊かに暮らせるまちを目指し、この条例を制定します。
わたしたちは、この条例をまちづくりの原点とし、その心を大切に育みます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市のまちづくりに関する基本的な事項を定めることにより、市民、市議会、市が相互の役割と責務を理解し合い、共に手をたずさえて豊かな地域社会を築くことを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、本市のまちづくりに関する基本的な事項を定める最高規範であり、市議会と市は、他の条例、規則などの制定や改正、廃止又はまちづくりに関する計画の策定や変更を行うときは、この条例の趣旨を踏まえて、整合性を図ります。
(ことばの意味)
第3条 この条例で使う「まちづくり」とは、自らが主体となって、豊かな暮らしを営むために、地域社会を築いていく活動をいいます。
2 この条例で使う「市民」とは、次のいずれかに当てはまるものをいいます。
(1) 市内に住む人
(2) 市内の事務所や事業所で働いている人
(3) 市内の学校などに通う人
(4) 市内で事業を営むものや市内で活動する団体
3 この条例で使う「市」とは、市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会をいいます。
4 この条例で使う「参画」とは、市民がまちづくりに主体的に参加し、行動することをいいます。
5 この条例で使う「協働」とは、市民、市議会、市が、それぞれの役割と責務のもとで、まちづくりのために対等な立場で共に考え、協力し、又は行動することをいいます。
6 この条例で使う「コミュニティー」とは、住んでいる地域を単位とした町内会、テーマ別に活動しているボランティア団体などの心豊かな生活を目指して結ばれた多様な組織をいいます。
7 この条例で使う「審議会等」とは、市の事務事業の実施に必要な審議、調査などを行い、市に対して参考意見を提供するため、市民、学識経験者、関係団体の代表者などで構成された機関をいいます。
第2章 まちづくりの基本原則
(基本原則)
第4条 まちづくりの基本原則は、次のとおりとします。
(1) 市民、市議会、市が、まちづくりに関する情報を共有すること。
(2) 市民一人一人が自ら考え行動し、まちづくりに参画する機会が保障されること。
(3) 市民、市議会、市が、それぞれの役割と責務を認識し、協働してまちづくりを行うこと。
第3章 情報の共有
(情報の提供)
第5条 市は、まちづくりに関して、市民に情報を適切な時期にわかりやすく提供し、情報の共有に努めます。
(情報の公開)
第6条 市は、市民の知る権利を保障し、市の保有する情報について原則として公開します。
2 市は、市の保有する情報を市民の共有する財産として、大切に管理します。
(個人情報の保護)
第7条 市は、保有する個人情報に関して厳重な管理を行い、他の法令などに定めがある場合を除き原則として、本人以外には開示してはならないものとします。
2 市は、市の保有する個人情報について、開示、訂正、利用停止などを請求する権利を保障します。
第4章 参画と協働
(市民の参画)
第8条 市民は、まちづくりに関する重要な計画の策定、実施と評価の各段階に参画することができます。
(参画の推進)
第9条 市は、市民のまちづくりへの参画を推進します。
2 市は、まちづくりへの市民の参画を推進するため、積極的に参画できる機会の拡大に努めます。
3 市民の参画について、必要な事項は別の条例で定めます。
(協働の推進)
第10条 市民、市議会、市は、相互理解と信頼関係のもとに協働によるまちづくりを推進します。
2 市は、協働によるまちづくりを推進するため、それぞれの地域のまちづくりを主体的に担う地域自治組織の充実に努めます。
3 市は、協働によるまちづくりを推進するため、市民同士が互いに協力できる場の提供、機会づくり、情報提供などの必要な支援を行うように努めます。この場合においての市の支援は、市民の自主性を尊重します。
(住民投票)
第11条 市長は、市政に関する特別重要な事項について、市民の意思を確認するため、市議会の議決を経て、その議決による条例に基づいて、住民投票を行うことができます。
2 住民投票をすることができる人は、本市に引き続き3か月以上住んでいる市民と本市に引き続き3か月以上住んでいる特別な許可を受けた外国人(次の条において「住民」といいます。)とします。
3 市長と市議会は、住民投票の結果を尊重します。
4 第1項の条例で、住民投票できる人の年齢その他住民投票の実施に必要な事項を定めます。
(住民投票の請求・発議)
第12条 住民のうち満20歳以上の人は、市政に関する特別重要な事項について、その総数の50分の1以上の人数の署名を提出して、市長に対して住民投票の実施の請求をすることができます。
2 市長は、市政に関する特別重要な事項について、住民投票を規定した条例を議案として市議会に提出することができます。
3 市議会の議員は、市政に関する特別重要な事項について、議員の定数の12分の1以上の者の賛成を得て、住民投票を規定した条例を議案として市議会に提出することができます。
4 市長は、第1項の請求があった場合は、これに意見を付け、市議会に諮るものとし、この請求に対する取扱いについて必要な事項は別の条例で定めます。
(コミュニティー)
第13条 市民と市は、町内会、ボランティア団体、老人クラブ、文化団体、スポーツ団体などの多様なコミュニティー活動を担う団体を守り育てるように努めます。
2 市は、市民相互の親睦、高齢者の介護、子育て、防犯、防災、生涯学習などのまちづくりの担い手であるコミュニティーの重要性を認識し、その自主性と自立性を尊重しながら、必要な支援を行うように努めます。
第5章 市民
(市民の権利)
第14条 市民は、一人一人の自由な意思により、まちづくりに参画する権利があります。
2 市民は、個人として尊重され、安全で安心な生活を営む権利があります。
(市民の責務)
第15条 市民は、一人一人の実情に応じて、できる範囲でまちづくりに参画するように努めます。
2 市民は、参画する場合は、自らの発言と行動に責任を持ち、互いにまちづくりの活動を尊重し合い、対等の立場で協力するように努めます。
第6章 市長等
(市長の責務)
第16条 市長は、市政の最高責任者として、市民の信託に応え、この条例を守り、公正で誠実な市政の運営を行うとともに、その基本方針を明らかにします。
2 市長は、市政の運営について、その状況と結果や将来の構想について市民に説明するとともに、市民の意向を的確に把握し、市政の課題に対処したまちづくりを推進するように努めます。
3 市長は、本市の魅力や情報を積極的に国内外へ発信するように努めます。
4 市長は、市職員を適切に指導監督するとともに、効率的、効果的な市政運営のため、市職員の人材育成を図り、適切な能力の評価とその配置に努めます。
(市職員の責務)
第17条 市職員は、誠実で公正、公平な立場で法令などを守り、市民の視点に立って職務を効果的に行うように努めます。
2 市職員は、必要な知識、技術などの能力向上のため自己研さんに努めます。
3 市職員は、自らも市民としての自覚を持ち、積極的に地域活動に参加するように努めます。
4 市職員は、地域の課題解決に向けて、必要に応じて市民と市との意思疎通を図るための役割を担うように努めます。
第7章 市議会
(市議会の役割)
第18条 市議会は、市の意思を決定する機関として、市民の意思が、市政の運営に適切に反映されるよう活動するとともに、適正に市政運営が行なわれているかを監視し、けん制する役割を果たします。
(市議会の責務)
第19条 市議会は、会議の公開を原則とし、市議会の保有する情報を市民と共有し、政策決定の経過と内容を適切にわかりやすく市民に説明することにより、開かれた市議会の運営に努めます。
(市議会議員の責務)
第20条 市議会議員は、市民の信託に応えるため、自らの役割を認識し、公正で誠実にその職務を遂行します。
2 市議会議員は、法令に基づいて市政に関する調査、議案の提出などの議員の役割を積極的に果たすように努めます。
第8章 市政の運営
(運営の原則)
第21条 市は、市の条例、議会の議決、法令等に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理し、執行します。
2 市は、行政サービス向上のため、総合的、計画的、公正で透明性の高い市政運営を行います。
(総合計画)
第22条 市は、この条例の理念に基づいた基本構想とこれを実現するための計画(以下「総合計画」といいます。)を策定します。
2 市は、総合計画について、社会状況の変化に合わせ、必要に応じて見直しを行います。
(行政評価)
第23条 市は、総合計画に基づき行われる政策と事業について評価を行い、その結果を公表します。
2 市は、前項の評価と公表の方法について基準を示した指針を定めます。
3 市は、第1項の評価の結果を、その政策と事業に反映させるように努めます。
(財政運営)
第24条 市は、総合計画に基づく政策の目標を達成するため、期間を定めた財政計画を策定し、最小の経費で最大の効果が得られるような健全で継続可能な財政運営を行います。
2 市は、総合計画に基づく政策の目標を達成するため、適切な予算の編成を行い、効率的で効果的な予算の執行に努めます。
3 市は、予算の内容や財政状況を市民にわかりやすく公表します。
(説明責任)
第25条 市は、市政について、市民に説明する責任を負うとともに、市民が説明を求めた場合に、誠実に受け答えするように努めます。
(組織)
第26条 市は、市民にわかりやすく、社会の変化に柔軟に対応できる簡素で機能的な組織の編成に努めます。
(審議会等)
第27条 市は、審議会等の委員を選任する場合は、その一部に公募による委員を加えるように努めます。ただし、公募による委員の選出が適当でないと認められる場合については、これを加えないことができます。
2 審議会等の会議は、原則として公開します。
(市の関与団体等)
第28条 市は、市の関与する団体などに対して、その目的が適切に達成されるよう、必要な意見や助言を述べることができます。
(国、北海道や他自治体との連携)
第29条 市は、国、北海道と対等の関係にあることを踏まえて、それぞれの役割のもとで連携に努めます。
2 市は、道内や道外の自治体と交流を行い、まちづくりに必要な情報を交換し、連携して、まちづくりの推進に役立てます。
3 市は、広域的な課題や共通する課題の解決を図るため、近隣市町村と連携して、市民サービスの向上を図るとともに、地域全体の発展に努めます。
第9章 子育て平和運動の推進
(子育て平和運動の推進)
第30条 市、学校、地域、家庭とその関係する機関は、連携して子どもの安全の確保と教育の充実に努め、本市の次代を担う子どもたちの健やかな成長を支えるため、市民ぐるみの子育てを推進します。
2 市、学校、地域、家庭とその関係する機関は、平和を願う心を守り育てるため、連携して平和に関する学習と活動の機会の提供に努めます。
第10章 国際交流の推進
(国際交流の推進)
第31条 市は、世界平和と地域の発展に貢献するため、サハリン州をはじめとする海外の自治体や団体などとの経済、教育、文化などの多様な分野での交流の推進に努めます。
第11章 安全安心なまちづくり
(防犯と交通安全の推進)
第32条 市は、学校、地域、家庭とその関係する機関が連携し、市民が安全で、安心して暮らせるまちづくりのため、環境を整備するとともに、防犯活動と交通安全運動の推進に努めます。
(危機管理)
第33条 市は、災害などに際して、市民の生命と財産を守るため、市民、関係する機関などとの連携と相互支援のもと、迅速で的確な危機管理に努めます。
(医療と福祉の充実)
第34条 市は、市民の健康と安心な生活を守るために、医療と福祉の充実に努めます。
第12章 自然環境との共生
(自然環境を活かしたまちづくり)
第35条 市民と市は、大切な環境を将来に向かって保全し、次の世代に引き継ぐため、人と自然との共生を基本として、本市の豊かな自然環境を活かしたまちづくりを進めます。
2 市民と市は、環境にやさしいエネルギーの活用に努めます。
第13章 補則
(条例の見直し)
第36条 市は、5年を超えない期間ごとに、この条例が社会情勢などの変化に適合したものかどうかを検討し、市民の意見を踏まえて、この条例を見直します。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行します。
(稚内市自治基本条例審議会設置条例の廃止)
2 稚内市自治基本条例審議会設置条例(平成17年稚内市条例第30号)は、廃止します。