士別市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 士別市 | 自治体コード | 01220 |
都道府県名 | 北海道 | 都道府県コード | 00001 |
人口(2015年国勢調査) | 17,858人 |
条例データ
制定年 | 2012年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.shibetsu.lg.jp/gyoseisaito/shiseijoho/jorei_reiki/1/index.html |
条例本文
士別市まちづくり基本条例
平成24年1月27日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本理念と基本原則(第3条・第4条)
第3章 市民(第5条―第7条)
第4章 議会(第8条―第11条)
第5章 行政(第12条―第18条)
第6章 行政運営と市民参加(第19条―第26条)
第7章 まちづくりの推進(第27条―第37条)
第8章 条例の位置づけと見直し等(第38条・第39条)
附則
私たちのまち士別市は、北海道北部の中央に位置し、天塩川源流域の豊富な水と緑の大地をはじめとする美しい自然環境に恵まれた農林業を基幹産業とする田園都市です。士別市は、最北で最後の屯田兵や多くの先人の英知とたゆまぬ努力によって開拓が進められ、冬の厳しい寒さや雪を克服するとともに地域特性として生かすなど、自然との共生のもとに、生活基盤の整備や都市機能の充実を進め、圏域の中心都市として確かな発展を遂げてきました。
私たちには、先人が大切に守ってきた自然環境や積み重ねてきた歴史や育んできた文化を次代へと継承していく責任があるとともに、市民憲章に示す「人と大地が躍動するすこやかなまち」をめざして、都市宣言なども踏まえ、子どもたちが健やかに育ち、だれもがいきいきと暮らすことのできる明るく住みよい地域づくりを進めていく使命があります。さらに、創造的で発展的な自主自律の地域社会をつくるため、市民が主役の市政を進め、地域の主体性と責任のもとに、多様化・複雑化する様々な課題を解決していくことが必要です。
そのためにも、私たちは、市民自治と情報共有を基本原則に、地域力をもって、士別市のまちづくりを進めます。
私たちは、ここに、市民・議会・行政それぞれの役割や責務をあらためて認識するとともに、市民主権による自治を確立することを決意し、まちづくりの指針となり、士別市の最高規範となる「士別市まちづくり基本条例」を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、士別市のまちづくりに関する基本理念と基本原則を定め、市民の権利や役割、議会と行政の役割や責務を明らかにするとともに、本市の自治の推進に関する基本的な事項や制度を定め、市民が主役のまちづくりを実現することを目的とします。
(用語の定義)
第2条 この条例における用語を次のとおり定義します。
(1) 市民 住民(士別市内に住所を有する人をいいます。以下、同じ。)をはじめ、市内で働く人、市内で学ぶ人、市内で様々な社会的活動を行う人、これらの団体や企業などの法人をいいます。
(2) 行政 市長を代表とする執行機関、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) まちづくり 市政を含め、よりよい地域社会をつくるために行われるすべての公共的な活動をいいます。
(4) 市政 まちづくりのうち、市民の信託のもとに、議会と行政が担う領域をいいます。
第2章 基本理念と基本原則
(基本理念)
第3条 私たちは、国内各地域の人々はもとより、世界中の人々との友好の絆を強めながら、人類共通の願いである非核平和の実現や地球環境保全に向けたまちづくりを進めます。
2 私たちは、市民憲章の精神を尊重し、未来を見つめ、明るく住みよいまちづくりを進めます。
3 市民・議会・行政は、それぞれの役割を果たすとともに、相互の理解と連携により、地域力を発揮し、まちづくりを進めます。
(基本原則)
第4条 士別市のまちづくりは、次の基本原則に基づいて進めます。
(1) 市民自治の原則 市民は、まちづくりの主役として、自らの意志と自発的活動のもとにまちづくりを進めます。また、その一部を議会と行政に信託します。
(2) 情報共有の原則 議会・行政の積極的な市政情報の提供などのもとに、市民・議会・行政は、まちづくりに関する情報を共有します。
第3章 市民
(市民の権利)
第5条 市民は、まちづくりの主役として、地域活動や市政に参加する権利を有します。
2 市民は、市政に関する情報について知る権利を有します。
3 市民は、行政が提供するサービスを受ける権利を有します。
(満20歳未満の青少年や子どもの権利)
第6条 満20歳未満の青少年や子どもは、それぞれの年齢にふさわしい方法でまちづくりに参加する権利を有します。
2 前項のほか、子どもが健やかに育つことなど、子どもの権利については、別に条例で定めます。
(市民の役割)
第7条 市民は、まちづくりの主役として、自らの発言や行動に責任をもち、互いの尊重と協力のもとに、まちづくりの推進に努めます。
第4章 議会
(議会の役割)
第8条 議会は、市民の意思を的確に市政に反映させるための政策提言と行政の監視を行うとともに、条例の制定・改正・廃止、予算の決定、決算の認定、その他の市政運営に関する事項を審議・議決し、士別市の意思を決定する役割を有します。
(議会の責務)
第9条 議会は、市民の信託に応え、公正かつ誠実に議会活動を行う責務を有します。
2 議会は、政策課題を的確に把握するとともに、情報を市民と共有し、会議の公開を原則として活動します。
3 議会は、市民参加の機会を確保するとともに、意思決定の経過と内容を市民に積極的に説明します。
(議員の責務)
第10条 議員は、選挙により選ばれた住民の代表として、自らの役割を認識し、市民意思の的確な把握や自己の研鑽に努め、公益のために行動する責務を有します。
2 議員は、高い倫理観のもと、誠実にその職務を行い、自らの発言と行動に責任を持ちます。
(議会に関する基本的事項)
第11条 議会に関する基本的事項については、士別市議会基本条例に定めます。
第5章 行政
(行政の役割)
第12条 行政は、市民福祉の向上と市政発展のため、条例や予算をはじめとする議会の議決や法令等に基づく事務・事業を執行する役割を有します。
(行政の責務)
第13条 行政は、自らの判断と責任において、公正かつ誠実に事務を管理し、執行する責務を有します。
2 行政は、広く市民の意思を反映した行政運営を行うため、情報共有や市民参加を進め、市民との連携・協力を図りながら、事務・事業を執行します。
3 行政は、事務・事業を効果的かつ効率的に執行します。
4 行政は、公正で開かれた市政を進めるため、意思決定の内容や経過等について、市民に対して誠実に説明する責任を負います。
(市長の役割)
第14条 市長は、行政を統括し、政策を定め、制度を整備して運用することにより、士別市を代表して市政を運営する役割を有します。
(市長の責務)
第15条 市長は、市民の信託に応え、公正かつ誠実に行財政を運営する責務を有します。
2 市長は、行政の職員(以下、「行政職員」といいます。)を適切に指揮監督するとともに、人材の育成を図り、効果的で効率的な組織体制を整備します。
3 市長は、限られた財源のもと、最少の費用で最大の効果を上げるように努め、健全な行財政運営を進めます。
4 市長は、広く市民からの意見・提言・要望等を聴取する機会を確保します。
(行政委員会の長の役割と責務)
第16条 教育委員会をはじめとする行政委員会の長は、それぞれの機関の代表として、市長の役割と責務に準じ、それぞれの機関において、その役割と責務を果たします。
(行政職員の役割)
第17条 行政職員は、任命権者の命を受け、行政が担う業務の円滑な推進のため、その職務を遂行する役割を有します。
2 行政職員は、その職務に応じて、政策の立案や事務・事業の実施にあたります。
(行政職員の責務)
第18条 行政職員は、市民の視点に立って公正・誠実かつ効率的に職務を遂行し、市民との信頼関係を構築する責務を有します。
2 行政職員は、市民の意向や政策課題に的確に対応するため、自らの政策形成能力の向上に努めます。
3 行政職員は、職員相互の連携を密にするとともに、自らも地域社会の一員であることを踏まえ、市民とも積極的に連携を図りながら職務を遂行します。
第6章 行政運営と市民参加
(総合計画)
第19条 行政は、この条例の基本理念等に基づき、士別市のめざす将来の姿を明らかにし、総合的かつ計画的な行政運営を行うため、本市の最上位の計画として、総合計画を策定します。
2 行政が行う政策は、原則、総合計画に基づいて実施するとともに、各施策の基本となる計画については、総合計画との整合を図ります。
(行財政の運営)
第20条 行政は、公正で透明性の高い開かれた行政運営を進めます。
2 行政は、中長期的な財政見通しのもとに、財政に関する方針や計画を策定し、これに基づく予算の編成と執行を行い、出資団体の経営状況等を含めた総合的視点のもとに、健全な財政運営を進めます。
3 行政は、予算・決算をはじめ行財政状況等について分かりやすい資料を作成し、公表します。
(行財政改革と行政評価)
第21条 行政は、健全な行財政運営を行うため、行財政改革大綱を策定し、行財政改革を推進します。
2 行政は、行財政改革大綱に基づき実施計画を策定し、その進行を管理するとともに、進捗状況を公表します。
3 行政は、主な施策や事業について客観的な行政評価を実施し、その結果を公表するとともに、市政に反映します。
(行政組織)
第22条 行政は、その組織について、市民にわかりやすく、地域社会や市民ニーズの変化に応じ、効率的で機動的なものとして編成します。
(自治体法務)
第23条 行政は、市民ニーズや行政課題に的確に対応するため、法令等を適切に解釈し、条例・規則などの自治立法を進めます。
(行政手続)
第24条 行政は、市民の権利や利益を保護し、公正で透明な行政運営を進めるため、行政処分や行政指導、届出に関する手続について、共通する必要な事項を別に条例で定めます。
(市政への市民参加)
第25条 議会・行政は、市民が積極的に市政に参加できるよう、その機会づくりを進め、市民は、まちづくりの主役として市政への参加に努めます。
2 行政は、市民参加を行う事案の内容や性質などに応じ、多様な手法によって市政への市民参加の機会を設けます。
3 前2項のほか、市政への市民参加に関して、その対象や方法など必要な事項については、別に条例で定めます。
(住民投票)
第26条 市長は、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 満18歳以上の住民は、市政に関する重要な事項について、その総数の4分の1以上の者の連署をもって、市長に対して住民投票の実施を請求することができます。
3 議会は、市政に関する重要な事項について、議員の定数の12分の1以上の者の賛成を得て議員提案され、かつ、出席議員の過半数の賛成により議決したときは、市長に対して住民投票の実施を請求することができます。
4 市長は、前2項の規定による請求があったときは、住民投票を実施します。
5 住民投票の実施に関する手続その他必要な事項は、住民投票を行う内容に応じ、その都度、別に条例で定めます。
6 市民・議会・行政は、住民投票の結果を尊重します。
第7章 まちづくりの推進
(高齢者や障がい者等のまちづくりへの参加)
第27条 市民・議会・行政は、高齢者や障がいのある人などもまちづくりに参加できるよう、その環境づくりを進めます。
(自治会活動)
第28条 自治会は、まちづくりの一翼を担う重要な組織として、地域社会において自らできることを考え、行動し、地域の課題の解決に向けて取り組むよう努めます。
2 自治会は、多くの市民がその活動に自主的に参加しやすい環境づくりに努めます。
3 自治会は、相互の連携を図るとともに、行政や各種団体等とも協働し、その活動の充実に努めます。
(市民と自治会)
第29条 市民は、まちづくりに大きな役割を果たしている自治会の必要性や重要性を理解し、自治会を守り育てるよう努めます。
(行政と自治会や市民活動団体等)
第30条 行政は、自治会や市民活動団体等の自主性と自立性を尊重し、相互の連携を図るとともに、これら団体が進めるまちづくりの取り組みを促進するため、必要な協力と支援を行います。
(情報公開)
第31条 議会・行政は、積極的に情報の公開を進めるとともに、市民から市政に関する情報の開示を求められたときは、別に条例で定めるところにより、情報を公開します。
(個人情報保護)
第32条 議会・行政は、個人の権利と利益が侵害されないよう、保有する個人情報について、別に条例で定めるところにより、適正に管理・運用します。
(法令の遵守)
第33条 市長・行政職員・議員は、市政の適正な運営のため、自ら法令遵守に取り組むとともに、広く法令が遵守されるよう努めます。
(不当要求行為等の防止)
第34条 市長・行政職員・議員は、あらゆる不当要求行為等には毅然とした態度で対応し、適正な市政運営に努めます。
(災害等緊急時の対応)
第35条 行政は、市民の生命や身体、財産、くらしの安全を確保するとともに、必要な計画を策定し、災害等の緊急時にも的確な対応ができるよう危機管理体制を確立します。
2 行政は、災害等の緊急時には、関係機関との連携はもとより、市民や関係団体等とも連携し、速やかに状況を把握するとともに、対策を行います。
3 市民は、災害等の緊急時において、自分自身を守る努力をするとともに、互いに助け合うことができるよう訓練に参加するなど、防災に対する意識を高め、行政との連携のもとに、自主的な防災体制等の整備に努めます。
(市外の人々との連携・協力)
第36条 市民・議会・行政は、まちづくりの様々な取り組みによって築かれた関係を大切にし、住みよく豊かな士別市をつくるため、あらゆる分野において、市外の人々との連携・協力に努めます。
(他の地方自治体等との連携・協力)
第37条 士別市は、広域的な課題や共通する課題の解決を図るため、他の地方自治体等と連携・協力します。
2 士別市は、国や北海道と対等の関係にあることを踏まえ、お互いの役割分担を明確にしながら、様々な課題の解決を図るため、相互に連携・協力します。
第8章 条例の位置づけと見直し等
(最高規範性)
第38条 この条例は士別市の最高規範であり、議会・行政は、この条例に基づいて市政を運営するとともに、他の条例などの制定・改正・廃止・解釈・運用を行います。
(条例の見直し等)
第39条 市長は、この条例の各条項が社会経済情勢等の変化に対応し、士別市の現状にふさわしいものとなっているかについて適宜検討するものとし、4年を超えない期間ごとに総合的な検討を行います。
2 市長は、前項に規定する検討を行うにあたっては、士別市振興審議会に必要な意見を求めます。
3 市長は、前2項に規定する検討の結果を踏まえ、この条例や関連する事項について見直しが必要であると判断したときは、速やかに対応します。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行します。
(経過措置)
2 市長は、この条例の施行に伴い、この条例の規定と整合を図るべき事項がある場合は、速やかに対応します。