条例

にかほ市自治基本条例

自治体データ

自治体名 にかほ市 自治体コード 05214
都道府県名 秋田県 都道府県コード 00005
人口(2015年国勢調査) 23,435人

条例データ

条例本文

にかほ市自治基本条例

平成21年6月25日

条例第16号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 市民、事業者、市議会及び市の役割(第4条―第11条)

第3章 市政運営(第12条―第17条)

第4章 情報の共有(第18条―第22条)

第5章 参画及び協働(第23条―第30条)

第6章 国及び他の地方公共団体等との連携(第31条―第33条)

第7章 最高規範性等(第34条・第35条)

附則

日本海に面し、秀峰鳥海山に抱かれたにかほ市は、恵まれた自然環境の下、先人たちの夢と希望に満ちあふれた発想とたゆまぬ努力により、歴史と文化を育んできた田園と工業が調和したまちです。

わたしたち市民は、この豊かな郷土において、これまで以上に自然環境との調和を図りながら一人ひとりが将来にわたり希望をもって学び、働き、幸せに暮らすことのできるまちとして、未来に向け発展し続けるにかほ市を目指さなければなりません。

市は、これまで地方自治法に基づき行政運営を行ってきましたが、国及び県による地方分権や権限移譲の推進により、これからは、これまで以上に自主及び自立を図り、独自の発想による自治体運営を行っていく必要があります。また、市は、少子高齢化社会や高度情報化、国際化の進展における市民生活の多様化や市民の環境への意識の高揚など、様々な市民ニーズに即応していかなければなりません。

このような状況により、今後のにかほ市のまちづくりは、市民一人ひとりが市政の主役として、市議会や行政とともに透明性と持続性のある協働のまちづくりを推進していく必要があります。

こうした認識の下、すべての市民が共有するにかほ市の自治の最高規範として、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、にかほ市における自治の基本理念と市民及び事業者の権利及び責務を明確にし、市民、市議会及び市の果たすべき役割や市政運営における参画と協働によるまちづくりの基本原則を定め、すべての市民が将来にわたり夢と希望をもって安心して幸せに暮らすことのできる地域社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に住む人並びに市内で働く人及び学ぶ人をいう。

(2) 市の執行機関等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、企業管理者及び消防長をいう。

(3) 事業者 市内で事業を営むもの又は市内で活動する団体をいう。

(4) コミュニティ 市民生活の中で、自主性及び自己責任において活動する市民で構成される共通の組織及び集団をいう。

(5) 参画 市民が政策の立案から実施及び評価に至る各段階において、主体的に参加することをいう。

(6) 協働 市民、事業者、市議会及び市がそれぞれ役割及び責任を担い、相互に協力して行動することをいう。

(基本理念)

第3条 まちづくりは、ふるさとを愛する市民の心の和を高く掲げ、まちづくりの理想の実現のため、「夢あるまち 豊かなまち 元気なまち」を基本理念とし、次に掲げるまちづくりを推進するものとする。

(1) 安心して暮らせる福祉のまちづくり

(2) 自然豊かで住みよいまちづくり

(3) 人と文化を育むまちづくり

(4) 活力ある産業のまちづくり

(5) 人と情報が交流するまちづくり

(6) 協働と自立のまちづくり

第2章 市民、事業者、市議会及び市の役割

(市民の権利及び責務)

第4条 市民は、市の情報を知る権利及びまちづくりに参画をする権利を有する。

2 市民は、まちづくりの主役であることを強く認識し、その発言及び行動に責任を持ち、主体的にまちづくりに参画をすることにより、市及び市民相互による協働のまちづくりに努めるものとする。

(事業者の権利及び責務)

第5条 事業者は、市の情報を知る権利を有し、その事業活動が住環境及び自然環境に及ぼす影響を十分配慮するとともに、地域社会との調和を図り、活力あるまちづくりに寄与するよう努めるものとする。

2 事業者は、地域社会の一員として、協働のまちづくりに関する理解を深め、公益活動の重要性を強く認識し、その社会的責任に基づき積極的に地域社会への貢献に努めるものとする。

(議会の役割及び責務)

第6条 議会は、市民の代表として選ばれた議員によって構成される市の最高意思決定機関として、常に市政が民主的かつ効率的に行われるよう、市の政策水準の向上及び行政運営の円滑化について調査及び監視に努めなければならない。

2 議会は、議会活動に関する情報を市民に分かりやすく説明する責任を有するとともに、情報公開請求に対しては誠実にこたえるよう努めなければならない。

(議員の責務)

第7条 議員は、市民全体の奉仕者として市民の信託にこたえ、与えられた権利及び責務を深く自覚し、地方自治の本旨に基づき誠実に職務を遂行しなければならない。

2 議員は、政策立案能力の向上に努めるとともに、市民と十分な意見交換をし、市民の意思が市政に反映されるような視点で活動をしなければならない。

(市長の役割及び責務)

第8条 市長は、まちづくりの基本理念を実現するため、全力で市民の負託にこたえなければならない。

2 市長は、市を統括するとともに、公正で民主的かつ効率的な市政運営を行い、必要に応じて市民及び議会に対し市政運営状況を公表しなければならない。

3 市長は、市民がまちづくりの活動に参画をすることができるよう、市民の知る権利及び参画をする権利を保障しなければならない。

4 市長は、多様化する市民の行政需要に応じた行政運営の推進を行うため、常に職員の資質向上に努めなければならない。

(執行機関等の責務)

第9条 市の執行機関等は、その権限及び責任において、公正かつ誠実に職務の執行に当たらなければならない。

(職員の責務)

第10条 職員は、常に市民本位の立場に立ち、市民生活の向上及び福祉の充実に努めなければならない。

2 職員は、市民全体の奉仕者であることを常に自覚し、何人にも謙虚な態度で接しなければならない。

3 職員は、常に改革の意識をもって職務に当たるとともに、公正かつ効率的に職務を遂行しなければならない。

4 職員は、常に職務の遂行に必要な知識の習得、能力の向上に努めなければならない。

(市の組織)

第11条 市は、市を構成する組織について、市民に分かりやすいものとし、効率的かつ機能的で常に社会情勢に応じて見直しに努めなければならない。

第3章 市政運営

(行政運営を行うための基本的考え方)

第12条 市は、行政運営を行うに当たり、市民本位の方向性でまちづくりを進めなければならない。

2 行政運営は、生活者重視を根本とし、市民が安心と幸せを実感できるものでなければならない。

(総合計画に基づく行政運営)

第13条 市は、第3条に規定する基本理念に沿って、総合的かつ長期的な行政運営を行うため、基本構想及びこれを実現するための基本計画(以下「総合計画」という。)を策定するものとする。

2 市は、総合計画の策定に当たっては、市民の意見が反映できるように、広く市民の参画を得るよう努めなければならない。

3 市の執行機関等は、総合計画について市民への周知を図り、その進行管理を適切に行い、必要に応じて情報を提供するものとする。

(総合的な行政サービスの推進)

第14条 市は、市民の最大のサービス機関として、市民のニーズに的確かつ速やかにこたえるため、縦割り行政の弊害を排し組織横断的な調整を図り、常に市民の目線で考えながら総合的な行政サービスの推進に努めるものとする。

(行政手続)

第15条 市は、行政運営における公正の確保及び透明性の向上を図り、もって市民の権利及び利益を保護するように努めなければならない。

(行政評価)

第16条 市は、効率的かつ効果的な行政運営を推進するため、市民参画の下に行政評価を実施し、その結果を速やかに公表するものとする。

(健全な財政運営)

第17条 市は、総合計画及び行政評価を踏まえた行政の仕組みを確立するとともに、財源を効率的かつ効果的に活用し、健全な財政運営に努めなければならない。

2 市の財政運営は、市民の生活に直結することであり、最も適切かつ効果的な方法により周知しなければならない。

3 市長は、財政運営の透明性を確保するため、市が資本金、基本金その他これらに準じるものの2分の1以上を出資している法人及び株式会社並びにその他の団体の財政状況について、市民に分かりやすく公表しなければならない。

第4章 情報の共有

(情報の共有)

第18条 市は、市民がまちづくりに参画をするために必要な市の保有する情報について、市民に積極的に提供し、情報の共有に努めるものとする。

(個人情報の保護)

第19条 市は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、個人情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を講じなければならない。

(審議会等の公開)

第20条 市は、市民に審議会等の会議を原則として公開するよう努めるものとする。

(説明責任)

第21条 市は、施策の立案、決定、実施及び評価に至るまでのそれぞれの過程において、その経過、内容等について市民に分かりやすく説明する責務を有するものとする。

(意見、要望等への対応)

第22条 市は、市民から意見、要望、苦情等が出されたときは、迅速かつ誠実に処理しなければならない。

第5章 参画及び協働

(参画及び協働の原則)

第23条 市は、市民の意思が市政に反映されるよう、市民の市政への参画の機会拡充に積極的に努めなければならない。

2 市民と市及び市民同士は、相互理解の下にまちづくりを協働で推進しなければならない。

(市民の参画)

第24条 市は、次に掲げる施策を実施しようとするときは、あらかじめ市民の参画を求めなければならない。

(1) 市の総合計画その他の市の基本的政策を定める計画等の策定及び変更

(2) 市政に関する基本方針を定める条例の制定、改正若しくは廃止又は市民に義務を課し、若しくは市民の権利を制限することを内容とする条例の制定、改正若しくは廃止

(3) 市民の生活又は事業活動に重大な影響を及ぼす制度の導入、改正又は廃止

(意見聴取制度)

第25条 市は、市民への説明責任を果たすため、前条各号に掲げる事項について、広く市民の意見を求めるため公聴会、説明会又はパブリックコメントを実施しなければならない。

(自治組織)

第26条 市民は、コミュニティによる活動を実現するため、それぞれの地域において自治組織を形成することができる。

2 自治組織は、地域住民に開かれた組織として、各団体と連携しながらまちづくりに努める。

3 市は、自治組織と協働し、基本理念に基づいた公平なまちづくりを推進するものとする。

(コミュニティ活動の支援)

第27条 市は、まちづくりにおけるコミュニティ活動の重要性を十分に認識し、コミュニティの自主及び自立を尊重しつつ、必要に応じてその活動を支援することができる。

(住民投票)

第28条 市長は、市政の重要事項に関し広く市民の意思を問う必要があると認める場合は、住民投票の制度を設けることができる。

2 前項の場合において、住民投票の実施に関する手続その他の事項は、その都度条例で定めるものとする。

3 市長は、住民投票の結果を尊重するものとする。

(住民投票の請求及び発議)

第29条 市民のうち本市において選挙権を有する者は、法令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、住民投票を規定した条例の制定を市長に請求することができる。

2 市議会議員は、法令の定めるところにより、議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで住民投票を発議することができる。

3 市長は、必要に応じ、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで住民投票を発議することができる。

(審議会等の委員公募)

第30条 市は、開かれた市政と市民のまちづくりへの参画に資するため、市の審議会等の委員を委嘱しようとする場合、その全部又は一部を公募により選考するよう努めなければならない。

2 前項における審議会等の委員の構成については、男女の比率、他の審議会等との重複等を十分に考慮の上、幅広い人材の登用に努めなければならない。

第6章 国及び他の地方公共団体等との連携

(国及び県との関係)

第31条 市は、国及び県とは対等の関係にあることを踏まえ、共通する課題の解決を図るため、適切な役割分担を行い、自立した地方自治を確立するよう努めるものとする。

(他の地方公共団体等との関係)

第32条 市は、他の地方公共団体及び関係機関との共通課題又は広域的課題の解決を図るため、自主性を保持しつつ連携及び協力に努めるものとする。

2 市は、前項に規定する課題を解決するため、他の地方公共団体及び関係機関と共同で組織を設けることができる。

(国際交流)

第33条 市は、市民参加の国際交流の促進を図り、市民の地域を愛する心及び国際的視野を育みつつまちづくりに努めるものとする。

第7章 最高規範性等

(最高規範性)

第34条 この条例は、市政の基本的事項について、市で定める最高規範であり、他の条例、規則等の制定、改正及び廃止に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重し、整合性を図らなければならない。

(条例の検討及び見直し)

第35条 市長は、この条例の施行後4年を超えない期間ごとに、この条例がまちづくりを推進するためにふさわしいものであるかどうか検討し、適切な措置を講じるものとする。

附 則

この条例は、公布の日から施行する。