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条例

ひたちなか市自立と協働のまちづくり基本条例

自治体データ

自治体名 ひたちなか市 自治体コード 08221
都道府県名 茨城県 都道府県コード 00008
人口(2015年国勢調査) 156,581人

条例データ

条例本文

○ひたちなか市自立と協働のまちづくり基本条例
平成22年3月31日
条例第2号

南限と北限の動植物が生息する茨城県。その中央からやや北東に位置するのが,私たちのまち,ひたちなか市です。実り豊かな那珂台地が広がり,海の幸に恵まれ,中生代白亜紀層の海岸から朝日が望めます。清流那珂川や広大な国営公園もある,水と緑に囲まれたまちです。
古代には彩色壁画を有する虎塚古墳が造られ,江戸時代には東廻り航路の寄港地として栄えました。近年には北関東の中核的な都市として多様な産業が集まり,多くの人々が交流しています。国際港湾や高速道路の整備も進み,世界にひらかれたまちとして発展しています。
私たちは,このような地の利と人の和に恵まれた環境を守り育て,将来を担う子どもたちが夢と希望をいだき,末永く健やかに暮らすことのできるまちをつくりたいと考えています。
今,地方分権の時代の中で,国と地方の果たすべき役割が大きく変化しています。私たちは,これまで以上に市政に関わり,自らの責任のもとに,自立したまちづくりを進めていかなければなりません。
地域が抱える課題については,議会と行政だけでなく,自治会活動や市民活動,事業者の社会貢献などにより,多くの市民がさまざまな形で解決に取り組んでいます。これからは,市民,議会,行政が適切に役割を分担し,お互いの特性を発揮する自立と協働のまちづくりを進めていく必要があります。
その仕組みとして,日本国憲法に基づき,望ましい地方自治の実現をめざして,市民,議会,行政が共有するルールをつくりました。
私たちは,ひたちなか市のまちづくりの最高規範として,この条例を制定します。

目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民が主役のまちづくり
第1節 基本原則(第5条)
第2節 市民の権利と責務(第6条・第7条)
第3節 協働の推進(第8条―第11条)
第3章 市民の信託に基づく市政運営
第1節 基本原則(第12条)
第2節 議会(第13条・第14条)
第3節 行政(第15条―第17条)
第4節 市政運営の仕組み(第18条―第22条)
第4章 まちづくり市民会議(第23条・第24条)
第5章 その他(第25条・第26条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,市民がまちづくりの主役であることを明らかにし,市民と市が自立と協働のもとにまちづくりを進めるための基本的な事項を定めることにより,ひたちなか市の自治力の向上を図り,誰もが安全に,安心して幸せに暮らせる住みよいまちを実現することを目的とします。
(用語の意義)
第2条 この条例で使用する用語の意義は,次のとおりです。
(1) 自立 自らのことを自らの責任で行うことをいいます。
(2) 協働 お互いに連携し,協力して行動することをいいます。
(3) まちづくり 誰もが安全に,安心して幸せに暮らせる住みよいまちを実現するために,公共の利益の増進を目的とする活動をいいます。
(4) 市民 市内に居住する者,市内で働く者・学ぶ者,市に対して納税義務を有する者又は自治会,コミュニティ組織,市民活動団体,公共的団体,事業者などの市内でまちづくりを行う個人や団体をいいます。
(5) 市政 市が行うまちづくりをいいます。
(6) 市 議会,市長,行政委員会等で運営する地方自治体であるひたちなか市をいいます。
(7) 行政委員会等 教育委員会,選挙管理委員会,公平委員会,監査委員,固定資産評価審査委員会,農業委員会をいいます。
(8) 市の職員 市長や行政委員会等の補助機関として市の職務に従事する地方公務員をいいます。
(まちづくりの最高規範)
第3条 この条例は,ひたちなか市のまちづくりの最高規範とします。
2 市民と市は,この条例を尊重してまちづくりを行います。
3 市が制定する条例,規則その他の規程は,この条例の趣旨に則して誠実に解釈され,必要に応じて制定改廃を行います。
4 議員,市長,市の職員となった者は,この条例を尊重することを宣誓します。
5 市は,この条例が市内のあらゆる地域,あらゆる世代の市民に理解され,親しまれるための学習機会の確保に努めます。
(まちづくりの基本理念)
第4条 まちづくりは,次の基本理念に基づいて進めます。
(1) 誰もが安全に,安心して幸せに暮らせる住みよいまちをつくります。
(2) 人と人とのつながりを大切にし,元気で思いやりと優しさに支えられたまちをつくります。
(3) さまぎまな産業と豊かな自然環境が調和し,にぎわいと潤いのあるまちをつくります。
(4) 歴史,伝統,文化を引き継ぎ,未来に向かって豊かな人間性を育むまちをつくります。
(5) 協働と交流で人の力を生かし,活力のある自立したまちをつくります。
第2章 市民が主役のまちづくり
第1節 基本原則
(市民が主役のまちづくりの基本原則)
第5条 市民と市は,次の事項を基本として自立と協働のまちづくりを進めます。
(1) 市民は,まちづくりの主役としての自覚と責任を持ちます。
(2) 市民は,市政運営を市に信託します。
(3) 市民と市は,お互いに意思の疎通を図り,少数意見も尊重しながら合意形成を行います。
(4) 市民と市は,適切な役割分担のもとにお互いの力を発揮します。
第2節 市民の権利と責務
(市民の権利)
第6条 市民は,まちづくりの主役として,次の権利があります。
(1) まちづくりに関する情報を知ること。
(2) 企画・実施・評価の過程においてまちづくりに参加すること。
(3) 市政に対する意見を表明し,提案すること。
(4) 公共サービスを受けること。
2 市民は,法律の定めるところにより,選挙権・被選挙権,解職請求権,議会の解散請求権,条例の制定改廃の請求権,事務の監査請求権などの市政に直接参加する権利があります。
(市民の責務)
第7条 市民は,まちづくりの主役として,次の責務があります。
(1) 自らのこととしてまちづくりに積極的に関わること。
(2) 一人ひとりが自ら考え,自らの発言に責任を持って行動すること。
(3) 公共サービスに伴う費用を負担すること。
2 市民は,市政を支えるため,法律又は条例の定めるところによる納税の義務があります。
第3節 協働の推進
(地域活動)
第8条 市民は,自らが住む地域において,自治会活動やコミュニティ活動などへ積極的に参加して地域の連帯感を育み,防災,防犯,交通安全,ごみ対策,地域福祉などの課題解決に取り組むことにより,地域住民を主体とした地域活動を行います。
2 市民は,地域社会がそこに住むすべての人々の支え合いと助け合いによって成り立つことを理解し,地域における負担を分かち合います。
(市民活動)
第9条 市民は,環境,地域安全,保健,福祉,科学技術,生涯学習,子どもの健全育成,文化・芸術,スポーツ,男女共同参画,国際交流などの分野における自発的な活動を通じて市民同士の交流を深め,まちづくりを行います。
(事業者の社会貢献)
第10条 事業を営む個人又は法人は,市民生活の向上と地域経済の発展を担う社会的責任を認識し,地域社会の一員として社会に貢献します。
(協働のための環境整備)
第11条 市は,協働のまちづくりを推進するため,次に掲げる環境の整備に努めます。
(1) 市民がお互いに交流し,活動するための拠点の整備と機会の提供を行います。
(2) 市民の自主性・自立性を尊重し,活動の公共性に見合った財政的支援を行います。
(3) 専門知識や経験・技術を持つ地域の人材の活用・育成を行います。
(4) 市民がお互いに必要な情報を発信し,共有するためのネットワークの整備を行います。
2 市は,協働のまちづくりの総合調整役として,市民同士の連携,交流,啓発を図ります。
3 市は,市民の特性が発揮できる分野において,企画・実施・評価の各段階で,市民と協働して事業を行います。
第3章 市民の信託に基づく市政運営
第1節 基本原則
(市政運営の基本原則)
第12条 市は,市民からの信託を受け,次の事項を基本として市政運営を行います。
(1) 議会と市長が代表機関として競い,協力して市政の合意形成を図ります。
(2) 総合的・長期的な計画に基づいて,効果的・効率的な市政を行います。
(3) 公開性・透明性を確保し,政策の実行と成果について情報を公表して市民への説明責任を果たします。
(4) 組織的・財政的な自立に努め,国,県との対等・協力の関係を築きます。
第2節 議会
(議会の役割)
第13条 議会は,市民に開かれた会議で議員同士の自由な討議を行い,条例の制定改廃や予算などの議決により,市の意思決定を行います。
2 議会は,市長や行政委員会等の市政運営を監視し,けん制するとともに,市民の意思を適切に市政運営に反映するための政策議論の充実を図り,政策の立案・改善提言・評価を行います。
3 議会は,議会活動を市民が正しく評価できる情報の公表に努めるとともに,市民の生活に重大な影響を与える議案について各議員の意見を明らかにするなどの説明責任を果たします。
4 議会は,請願・陳情の審査,参考人からの意見聴取,公聴会の開催などにより,市民の意見を適切に市政運営に反映させるように努めます。
5 議会は,市長が提案する重要な政策について,その政策を検証するため,政策形成に関わる情報を求め,議会審議における論点を明確にするように努めます。
(議員の役割)
第14条 議員は,選挙による信託を受けた市民の代表として,まじめに,ひたむきに市民の声に耳を傾け,まちづくりの課題に取り組みます。
2 議員は,議案についての質疑,討論,表決,議案・動議の提出などの権限を行使し,議会を運営します。
3 議員は,市民の意見・提案などに対して公平,公正,誠実に応答し,必要に応じて請願を議会に紹介します。
4 議員は,政策立案や審議に必要な知識の向上や技能の研さんに努めます。
5 議員は,市民に分かりやすく効率的な議会運営に努めます。
第3節 行政
(市長の役割)
第15条 市長は,選挙による信託を受けた市の代表として,市政運営にリーダーシップを発揮します。
2 市長は,まじめに,ひたむきに市民の声に耳を傾けるとともに,公平,公正,誠実に,透明性をもって職務を遂行します。
3 市長は,毎年度における市政運営の方針を定め,これを市民と議会に説明するとともに,その達成状況を公表します。
4 市長は,中期的な財政見通しのもとに予算を編成し,適正に執行するとともに,予算の執行状況と成果,財政に関する事項について,分かりやすく公表します。
5 市長は,市政運営の適切な執行を図るため,市の職員を指揮監督します。
(行政委員会等・附属機関の役割)
第16条 行政委員会等は,公平,公正,誠実に,透明性をもって職務を遂行し,市政運営に対する市民の信頼に応えます。
2 法律又は条例により設置される審議会,審査会,委員会などの附属機関は,専門性を発揮し,中立性に留意して審議するとともに,会議を原則として公開し,委員を公募するなど,市民の意思が的確に反映されるように運営します。
(市の職員の役割)
第17条 市の職員は,組織の長の命を受けて市政運営を担い,公平,公正,誠実に,透明性をもって職務を遂行して市民の信頼に応えます。
2 市の職員は,市民との対話を通じて意思の疎通を図り,地域の実情を把握するとともに,職務を遂行する上で必要な知識,技能の習得に努めます。
3 市の職員は,市民の一員として自ら考え,行動することにより,職務を離れてもまちづくりに参加するように努めます。
第4節 市政運営の仕組み
(総合計画)
第18条 市は,まちづくりの基本的な考え方や将来都市像を明らかにするとともに,産業,都市・生活環境,危機管理,福祉・健康,教育・生涯学習,市民交流その他のまちづくりの分野について基本的な目標と施策を体系化し,総合的・計画的に市政運営を行うため,総合計画を策定します。
2 市は,総合計画に基づき実施されている施策の成果や達成状況について評価を行い,その結果を公表して施策に適切に反映します。
(意見の広聴)
第19条 市は,市政運営に関する市民の意見,要望,提言などを広く聴き,その意見等を尊重して施策への反映に努めます。
2 市は,総合計画その他の基本的な計画の策定,市民の生活に重大な影響を与える条例の制定改廃などを行うときは,その趣旨,目的,内容を事前に公表して意見を募集し,提出された意見を尊重して施策への反映に努めます。
(情報の管理・共有)
第20条 市は,市政運営に関する情報を市民と共有するため,公文書の適正な管理を行うとともに,市民の求めに応じて,情報を開示します。
2 市は,個人の権利利益が侵害されることのないように,個人情報を保護し,適正に管理します。
(行政の適正な執行)
第21条 市は,市政運営を効果的・効率的に行うため,行財政改革の大綱を定め,行財政改革を総合的に推進します。
2 市は,行政の透明性を確保するため,行政指導,届出,行政処分などの手続を適正に行うとともに,意思決定の内容や過程を明らかにします。
(国,県,他の市町村との連携・協力)
第22条 市は,国,県と対等・協力の関係にあることを踏まえ,適切な役割分担のもとに事務や事業を行います。
2 市は,広域的な課題に関して,共同で処理することが効果的・効率的な事務や事業について,近隣市町村と連携・協力します。
第4章 まちづくり市民会議
(設置)
第23条 この条例の目的を推進し,まちづくりに関する課題や市の施策などについて,市民と市が自由に意見を交換するため,まちづくり市民会議(以下「市民会議」といいます。)を置きます。
(会議運営)
第24条 市民会議は,市民と市の協働により運営します。
2 市民会議は,体験学習やグループ討議などの手法により,市民が参加しやすく発言しやすい運営を行います。
3 市民と市は,市民会議で提案され,公共の利益の増進に効果があると合意した結果について,関係機関と協議の上,施策への反映に努めます。
4 この章に定めるもののほか,市民会議の運営について必要な事項は,市長が別に定めます。
第5章 その他
(この条例の検討と見直し)
第25条 市は,この条例の内容がまちづくりの最高規範としてふさわしいものであるかを常に検討し,市民会議の協議結果や社会情勢の変化などを踏まえ,見直しを図ります。
(委任)
第26条 この条例の施行について必要な事項は,他の条例又は議会,市長,行政委員会等が定める規則その他の規程で定めます。

付 則
この条例は,平成22年4月1日から施行します。