条例

足立区自治基本条例

自治体データ

自治体名 足立区 自治体コード 13121
都道府県名 東京都 都道府県コード 00013
人口(2015年国勢調査) 695,043人

条例データ

条例本文

○足立区自治基本条例
平成16年12月17日条例第48号
足立区自治基本条例を公布する。
足立区自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 自治の基本理念(第5条)
第3章 区政運営の基本原則(第6条)
第4章 情報の共有(第7条・第8条)
第5章 参画と協働(第9条―第11条)
第6章 区政運営(第12条―第18条)
第7章 地域の個性の尊重及び区民の自主的な活動の尊重(第19条・第20条)
第8章 国及び他の自治体との連携及び協力(第21条)
第9章 区議会(第22条・第23条)
第10章 条例の位置付け等(第24条―第26条)
付則
足立区は、四方を河川に囲まれ、水辺や緑の豊かな自然に恵まれた、古くから宿場町や農村として栄えた歴史と伝統のあるまちです。ここには、人々の多様な暮らしと文化が融合し、人情味ある庶民の生活文化が育ち、息づいています。足立区のこれまでの発展は、ここに暮らした多くの人々の努力の成果です。
私たちは、こうした足立らしい個性と時代の変化を踏まえ、区民であることに誇りの持てる夢のある魅力あふれるまちに発展させていきたいと思います。そして、私たちは、美しく快適な環境に恵まれ、活力に満ち、薫り高い文化が育まれ、いきいきと安心して暮らせるまちを創造するために、力を合わせていきたいと思います。
このため、私たちは、住民自治と団体自治の原理を尊重し、「地域のことは地域住民が決定し、決定したことには責任を負う。」ことを基本として、区民参画と協働による真の自治を確立していかなければなりません。このことによって、私たちは、人権の尊重された自治の主体として地域の創造にかかわっていくことができ、自らの判断と責任において、ともに考え行動し、私たち区民一人ひとりの幸福が実現されるものと考えます。
このような認識により、足立区において「地方自治の本旨」を実現し、足立らしい地域社会を創造するため、ここに、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、足立区(以下「区」という。)の自治の基本理念並びにこれを実現するための区政運営の基本原則及び基本的な事項を定めることにより、地方自治の本旨を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 区民 区内に在住、在勤又は在学する者及び区内に事務所又は事業所を有する法人その他のものをいう。
(2) 参画 区民が政策の立案、実施、評価及び見直しの各段階に参加し、政策の決定にかかわることをいう。
(3) 協働 区民及び区が、それぞれに果たすべき責務と役割を自覚しながら、対等の立場で相互に補完し、協力して取り組むことをいう。
(区民の権利及び責務)
第3条 区民は、自治の主体として、区政運営に参画する権利並びに区が保有する情報の公開及び提供を受ける権利を有する。
2 区民は、区政に参画するにあたっては、自治の主体であることを自覚し、自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
3 区民は、法律の定めるところにより納税の義務を果たすものとし、また、選挙権を有する区民は、その行使の機会を生かすように努めるものとする。
(区長の責務)
第4条 区長は、区民の信託に応え、この条例の目的を実現するため、誠実かつ公正に区政を執行するように努めなければならない。
第2章 自治の基本理念
(自治の基本理念)
第5条 区民及び区は、一人ひとりの人権が尊重され、いきいきと安心して心豊かに暮らせる活力ある足立を、協働して築くことを目指すものとする。
第3章 区政運営の基本原則
(区政運営の基本原則)
第6条 区は、基本理念を実現するために、次に掲げる基本原則に基づいて区政を運営しなければならない。
(1) 区は、区民の自主性を尊重するとともに、公共的課題を解決するため、責務と役割を区民と分担しながら、協働して区政を運営するものとする。
(2) 区は、区政に関する情報を区民と共有するものとする。
(3) 区は、区民が区政運営に積極的に参画し、協働できるように努めるものとする。
(4) 区は、前3号の原則を踏まえ、総合的、計画的かつ効率的な区政運営に努めるものとする。
第4章 情報の共有
(情報の公開及び提供)
第7条 区は、区政運営の公正の確保と透明性の向上を図り、参画と協働による開かれた区政を実現するため、別に条例で定めるところにより、区が保有する情報を積極的に公開し、提供しなければならない。
(個人情報の保護)
第8条 区は、区民の権利及び利益が侵害されることがないように、別に条例で定めるところにより、個人情報を保護しなければならない。
第5章 参画と協働
(区民参画の仕組の整備)
第9条 区は、協働による区政運営を進めるため、区民の参画を保障する仕組を整備しなければならない。
(区民意見表明制度(パブリックコメント))
第10条 区は、重要な政策及び計画の策定にあたり、事前にその案を公表し、区民が意見を述べる機会を設け、当該意見に対する区の考え方を公表する区民意見表明制度(パブリックコメント)の手続を実施しなければならない。
(住民投票)
第11条 区長は、区の存立にかかわること並びに区民の生命、身体及び財産に著しい影響があることその他の区政の重要事項について、区民の意思を直接確認する必要があると認められるときは、住民投票を実施することができる。
2 前項の場合において、住民投票の実施について必要な事項は、別に条例で定める。
第6章 区政運営
(基本構想等)
第12条 区は、政策の基本的方向を示す基本構想を定めるとともに、その実現を図るため基本計画その他の計画を策定し、総合的かつ計画的な区政運営を図らなければならない。
(効果的な区民サービスの提供)
第13条 区は、区民要望を的確に把握し、効果的な区民サービスの提供に努めなければならない。
(財政運営)
第14条 区は、最少の経費で最大の効果を挙げるような財政運営を行うように努めなければならない。
2 区は、歳入歳出予算の執行状況等の財政状況を、別に条例で定めるところにより、区民にわかりやすく公表しなければならない。
(行政評価)
第15条 区は、効果的かつ効率的な区政運営を推進するため、行政評価を実施し、その結果を公表しなければならない。
(行政手続)
第16条 区は、行政手続に関し共通する事項について、別に条例で定めるところにより、区民の権利及び利益の保護に努めなければならない。
(説明責任)
第17条 区は、区政運営における公正を確保し、透明性を向上させるため、政策及び計画の立案、実施、評価及び見直しの各段階において、区政について区民にわかりやすく説明しなければならない。
(区民からの意見及び要望)
第18条 区は、区政に対する区民の信頼を確保するため、区民からの意見及び要望を迅速かつ誠実に処理しなければならない。
第7章 地域の個性の尊重及び区民の自主的な活動の尊重
(地域の個性の尊重)
第19条 区は、区内のそれぞれの地域の個性を尊重し、自主性が生かされるような区政運営に努めるものとする。
2 区は、あらゆる国籍の人にとって住みやすく、異なる文化及び習慣と共生できるような、国際社会に開かれた地域社会の発展を図るとともに、国際交流の促進に努めるものとする。
(区民の自主的な活動の尊重)
第20条 区民は、地域における多様なつながりを基礎とした自主的な団体、組織及び集団の役割を認識し、これを尊重するように努めるものとする。
第8章 国及び他の自治体との連携及び協力
(国及び他の自治体との連携及び協力)
第21条 区は、広域的又は共通する課題を解決するため、国、都及び他の自治体との連携及び協力を積極的に進めるものとする。
第9章 区議会
(区議会の役割)
第22条 区議会は、区民の信託に応え、区民の福祉を増進させるため、法律の定めるところによりその権限を行使し、区民の代表としての役割を果たすものとする。
2 区議会は、区政運営が適切、公正かつ効率的に行われるように執行機関を監視し、けん制する機能を果たすものとする。
(区議会の情報の公開及び提供)
第23条 区議会は、議会に対する区民の信頼が深められるように、別に条例で定めるところにより、区議会に関する情報を積極的に公開し、及び提供し、開かれた議会運営に努めるものとする。
第10章 条例の位置付け等
(条例の位置付け)
第24条 この条例は、区政運営の基本的な事項について定めるものであり、区が定める最高規範であるため、区は、他の条例、規則その他規程の制定改廃にあたっては、この条例の目的に沿って、整合性を図らなければならない。
(条例の規定の見直し等)
第25条 区は、基本理念及び基本原則その他重要な事項に変更があった場合には、この条例の規定及び関連する諸制度の見直しその他の必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
(施行状況の検討)
2 この条例の施行後5年を目途として、この条例の施行の状況について検討し、その結果に基づいて必要な規定の見直しを行うものとする。