条例

小田原市自治基本条例

自治体データ

自治体名 小田原市 自治体コード 14206
都道府県名 神奈川県 都道府県コード 00014
人口(2015年国勢調査) 188,856人

条例データ

条例本文

小田原市自治基本条例
平成23年3月31日条例第1号

小田原市自治基本条例

わたくしたちのまち小田原においては、様々な地域活動や市民活動などの自発的な活動がまちを支える一翼を担ってきた。
地域が主役となる時代が幕を開けた今、人と人とが支え合う社会をつくり出すためには、これまで以上に市民の力を生かし、人や地域の絆(きずな)を再生し、これまでのまちづくりの取組を生かしながら、市民一人一人が小田原のまちをつくる担い手として自ら考え、行動することが求められている。
そして、市民、議会及び行政といった自治の担い手がお互いに尊重し、対話し、連携し、協力し合いながら、それぞれの役割を果たしていくことが必要である。
わたくしたちはここに、小田原における自治の基本的な考え方を明らかにし、市民がより一層生き生きと暮らし続けることができるまちとするため、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、本市における自治の基本的なあり方及び自治の担い手の役割を定めることにより、市民がより一層生き生きと暮らし続けることができるまちを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住し、通学し、又は通勤する個人及び市内において事業を行い、又は活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(2) 市の執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(3) 市 議会及び市の執行機関をいう。
(4) 市民力 本市をより良いまちにするという思いに基づき、市民が自ら考え、行動する力をいう。
(5) 協働 相互の立場を尊重し、役割及び責任を分任し、力を存分に出し合い、並びに協力し合うことをいう。
(6) 地域活動 一定の区域内の市民の地縁に基づいて行われるその区域内のまちづくりにつながる活動をいう。
(7) 市民活動 特定の分野に対する市民の関心又は問題意識に基づいて自発的に行われるまちづくりにつながる活動をいう。
(基本理念)
第3条 市民及び市は、市民力を生かし、それぞれが自治の担い手として協働することを基本とした自治(以下「市民自治」という。)の推進を目指すものとする。
(条例の位置付け)
第4条 この条例は、本市において自治を推進するための基本的指針を示すものであり、市民及び市は、この条例を最大限に尊重するものとする。
2 市は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例との整合を図らなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、まちづくりに参加する権利を生かすため、自らの行動に責任を持ち、それぞれの持つ力及び費やすことができる時間を使い、自発的にまちづくりに関与するよう努めるものとする。
(地域活動)
第6条 市民は、地域における良好な生活の維持及び向上のため、地域活動への参加を通じて市民自治を推進するよう努めるものとする。
2 自治会は、地域活動の担い手として、当該自治会の区域で活動する市民間の交流及び親睦を促進するよう努めるとともに、身近な生活に関する課題の解決に取り組むよう努めるものとする。
3 市民及び市の執行機関は、地域活動の円滑化及び活性化を図るため、地域活動を行う個人及び団体(以下「地域活動を行うもの」という。)に対して各地域の実情に応じた支援を行うよう努めるものとする。
(市民活動)
第7条 市民は、より魅力的で活力のあるまちをつくるため、市民活動への参加を通じて市民自治を推進するよう努めるものとする。
2 市民及び市の執行機関は、市民活動の円滑化及び活性化を図るため、市民活動を行う個人及び団体(以下「市民活動を行うもの」という。)に対してその活動の実情に応じた支援を行うよう努めるものとする。
(活動を行うもの相互の連携)
第8条 地域活動を行うもの、市民活動を行うもの及び市の執行機関は、地域活動を行うもの、市民活動を行うもの又はその両者の相互の連携及び交流を促進するための機会の提供、人材の育成その他必要な取組を行うよう努めるものとする。
(自治の担い手の育成等)
第9条 市民及び市は、地域、学校、職場等で自治の担い手を育成するための取組を行うよう努めるものとする。
2 市民及び市は、将来の自治の担い手である子どもに対して、まちづくりに参加し、又はこれを学ぶ機会を提供するよう努めるものとする。
(議会及び議員の責務等)
第10条 議会は、市民の代表として選ばれた議員によって構成される議事機関として、市の意思決定、市政の監視及び調査、政策の提言等の権能を行使するものとする。
2 議会及び議員は、議会の審議に関する情報、市政の課題等を分かりやすく市民に周知するよう努めるものとする。
3 議会及び議員は、市民の意見を議会の審議に生かすため、交流又は対話の機会を設けて市民の意見を聴くよう努めるものとする。
4 市民は、議会活動の充実のために協力するよう努めるものとする。
(市長の責務)
第11条 市長は、その権限を適切に行使し、長期的な視野に立って公正に市政を先導しなければならない。
2 市長は、市政を先導するに当たり、市政の課題及びその解決への道筋について、議会の理解を得るよう努め、かつ、交流又は対話の機会を設けて市民の意見を聴くよう努めなければならない。
(市の執行機関の責務)
第12条 市の執行機関は、市民自治を推進するため、市民の立場に立って政策を実施するとともに、市民の持つ意欲、知識等をまちづくりに生かすよう努めなければならない。
2 市の執行機関は、市民に対する説明責任を意識し、政策の立案、実施等に関する情報を市民に対して適切に提供するよう努めなければならない。
3 市の執行機関は、市民からの意見等に対して誠実に対応するよう努めなければならない。
(市職員の責務)
第13条 市の職員は、市民との協働を実践することにより、相互の信頼関係を構築するよう努めなければならない。
(まちづくりに必要な情報等の共有及び活用)
第14条 市民及び市は、まちづくりの取組を効果的かつ継続的に進めるため、まちづくりに必要な情報、知識、技能等を適宜、適切な方法により相互に提供し、共有し、及び活用するよう努めるものとする。
(個人情報の適正な取扱い)
第15条 地域活動を行うもの及び市民活動を行うものは、その活動のために個人に関する情報を取り扱うときは、適正に取り扱わなければならない。
2 市民及び市の執行機関は、地域活動を行うもの又は市民活動を行うものに対して、市民が自己を本人とする個人に関する情報を安心して提供することができる環境を醸成するよう努めるものとする。
(市政参加)
第16条 市の執行機関は、政策の立案、実施等に係る過程に市民が関与すること(以下「市政参加」という。)ができる機会を拡充するよう努めなければならない。
2 市の執行機関は、事案の内容及び性質に応じた市政参加の仕組みの開発並びにより多くの市民の市政参加が可能となる仕組みの工夫に努めるものとする。
(住民投票)
第17条 市は、市政の重要な課題に関する情報を住民(市内に住所を有する者(法人を除く。)をいう。以下この条において同じ。)に対して適切に提供し、住民の意見を把握した上で十分な検討をしてもなお直接住民の意思を確認する必要があると認めるときは、住民投票を行うことができる。
2 住民投票を行うときは、市の執行機関は、前項の課題について住民が判断するに足る十分な情報を公正に提供しなければならない。
3 住民投票に関し必要な事項は、その都度別に条例で定める。
(条例の趣旨に基づく取組の公表等)
第18条 市の執行機関は、自治の担い手の育成、市政参加その他この条例の趣旨に基づいて行われた市民自治の推進に資する取組の実施状況について公表し、議会に報告するものとする。
2 市の執行機関は、この条例の周知に努めるものとする。
(条例の見直し)
第19条 市は、本市の自治の発展又は成熟の状況、社会情勢等を勘案し、必要に応じてこの条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。
2 市の執行機関は、前項の規定により検討を加えるときは、市政参加の機会を設けなければならない。

附 則
この条例は、平成24年1月1日から施行する。