新潟県柏崎市市民参加のまちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 柏崎市 | 自治体コード | 15205 |
都道府県名 | 新潟県 | 都道府県コード | 00015 |
人口(2015年国勢調査) | 81,526人 |
条例データ
制定年 | 2003年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 審議会委員の市民公募 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | 原子力発電所立地自治体で自治基本条例(およびほかの参加条例)を制定したのは、本市と茨城県東海村のみである。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.kashiwazaki.lg.jp/shiseijoho/reiki_jorei/10332.html |
条例本文
新潟県柏崎市市民参加のまちづくり基本条例
平成15年3月20日条例第6号
新潟県柏崎市市民参加のまちづくり基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 まちづくりの基本原則(第4条―第6条)
第3章 参加と協働(第7条・第8条)
第4章 情報の共有(第9条・第10条)
第5章 まちづくりの基本的役割(第11条―第13条)
第6章 議会及び執行機関の責務(第14条―第19条)
第7章 市民投票(第20条)
第8章 条例の改正(第21条)
附則
私たちが暮らす柏崎市は、三階節で謳(うた)われた米山と、黒姫山、八石山の刈羽三山に囲まれ、一方日本海に面した海岸線は、変化に富む福浦八景や砂丘地が続く、海と山の自然に恵まれた美しく豊かな地域です。この自然の恵みと、歴史に育(はぐく)まれた伝統文化は、市民の生活に潤いと心の安らぎを与え、先人の英知と努力はその時代にふさわしい産業を興し、地域の生活基盤を築いてきました。エネルギー産業都市、人を育てる学園都市、私たちは今、その発展したにぎわいのまちに住んでいます。
新たな分権型社会を迎えるに当たって、私たち柏崎市民は、この地の自然と歴史を踏まえつつ、さらなる自治の精神を発揮して、個性豊かで活力に満ちた地域社会をつくりあげていくことが求められています。
そのためには、自らの責任において主体的に自己決定を行い、自治の主役として積極的に行政に参加することで、市民と市が相互に補完しつつ、協働してよりよいまちづくりを推進していくことが必要です。
ここに、私たちは、柏崎市のまちづくりを方向づける基本原則を掲げ、市民と市それぞれの役割と責任を明らかにするため、柏崎市の最高規範として、この条例を定めます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、まちづくりの基本理念を明らかにするとともに、市民参加のまちづくりを推進するための基本原則を定め、自治の実現を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) まちづくり 住み良いまち・豊かな地域社会をつくるための道路、公園、建物などの空間の創造と、その空間において展開される文化、環境、自然などに配慮した市民のための暮らしの創造をいう。
(2) 市民 市内に在住、在勤又は在学する個人及び市内に事務所を有する法人その他の団体をいう。
(3) 市 地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する普通地方公共団体としての柏崎市をいう。
(4) 協働 市民と市、又は市民と市民とがそれぞれに果たすべき責任と役割を自覚し、相互に補完・協力することをいう。
(5) 参加 まちづくりに関して、市民が意見を述べ、又は計画立案及び実施に主体的にかかわることをいう。
(6) コミュニティ 自主性と責任を自覚した市民で構成される地域社会の多様な集団及び組織をいう。
(条例の位置付け)
第3条 市民は、市民参加のまちづくりを推進するに当たり、この条例の目的及びまちづくりの基本原則を尊重するよう努めるものとする。
2 市は、条例、規則その他の規程又は市の基本方向を示す各種計画の策定に当たり、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。
第2章 まちづくりの基本原則
(まちづくりの基本理念)
第4条 まちづくりは、市民の幸福の実現を目指して進めるものとする。
2 まちづくりは、市民と市が協働して推進し、市民がその成果を享受していくものでなければならない。
(まちづくりの主体)
第5条 市民は、まちづくりの主体であり、自主的にまちづくりに参加し、その推進に努めるものとする。
(まちづくりの目標)
第6条 市民と市は、まちづくりの基本理念に基づき、それぞれに協働し、次に掲げるまちづくりの推進に努めるものとする。
(1) すべての市民の人権が尊重され、地域社会が連携できるまちづくり
(2) すべての市民が学ぶ喜びを持ち、生涯にわたって学習できるまちづくり
(3) すべての市民が共に支えあい、健やかに暮らせるまちづくり
(4) 次世代を担うすべての子どもたちが夢と希望を抱き、健やかに成長できるまちづくり
(5) 歴史と伝統を継承し、感動を分かち合える文化を創造できるまちづくり
(6) 仕事を興し、地域産業に活力を与え、働く喜びを持てるまちづくり
(7) 自然と環境との共生を図り、安全・安心・快適な生活を営めるまちづくり
2 市民と市は、まちづくりのために行動する市民を育(はぐく)み、多くの市民が共感できるまちづくりの推進に努めるものとする。
第3章 参加と協働
(参加する権利)
第7条 市民は、だれでも自由に、お互いに平等な立場で、まちづくりに参加する権利を有する。
2 市民は、まちづくりの活動への参加又は不参加を理由として、差別的な扱いを受けない。
(協働の仕組み)
第8条 市民と市は、お互いの役割と責任の下に、良きパートナーとして連携してまちづくりに取り組むものとする。
第4章 情報の共有
(情報共有の原則)
第9条 市民と市は、まちづくりの基本原則を実現するために必要な情報を共有するものとする。
2 市民は、まちづくりに参加するために必要な市の保有する情報について、その提供を受け、又は自ら取得する権利を有する。
(情報の提供)
第10条 市は、別に条例で定めるところにより、市民に対し市の保有する情報を積極的に公開するとともに、分かりやすく提供するよう努めなければならない。
2 市は、まちづくりに関する情報を正確かつ適正に収集し、速やかにこれを提供できるよう整理し、保存しなければならない。
第5章 まちづくりの基本的役割
(市民の役割)
第11条 市民は、自らの責務と地域社会の期待を自覚し、まちづくりに積極的に参加するよう努めるものとする。
2 市民の一員である事業者は、まちづくりにおける社会参加活動に理解を深め、その活動の発展と促進に協力するよう努めるものとする。
(コミュニティの役割)
第12条 コミュニティは、地域社会の担い手として主体的にまちづくりに参加するよう努めるものとする。
(市の役割)
第13条 市は、まちづくりに関する活動及びその意思決定の過程において、市民が広く参加できる機会の確保に努めなければならない。
第6章 議会及び執行機関の責務
(議会の責務)
第14条 議会は、市の意思決定機関として、市民の意思が市政の運営に適切に反映されるよう活動しなければならない。
2 議会は、市政が市民の意思を反映し、適切に運営されているか調査及び監視するとともに、その結果を市民に明らかにしなければならない。
3 議会は、議員が議会活動を活発に行えるように、その組織を機能的なものにしておかなければならない。
4 議会は、その活動を行うに当たり、市民に開かれたものにしなければならない。
(市長の責務)
第15条 市長は、市の代表者として市の事務を管理し、公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
2 市長は、まちづくりの基本理念に基づき、市民とともに自主・自立のまちづくりの推進に努め、市民の負託に応(こた)えなければならない。
3 市長は、市の職員を適切に指揮監督するとともに、その能力向上を図り、効率的な事務の執行を行わなければならない。
(執行機関の責務)
第16条 執行機関は、その権限と責任において、公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
2 執行機関の組織は、市民に分かりやすく簡素で機能的なものとしておかなければならない。
3 職員は、常に研鑽(さん)に努めるとともに、市民の一員である立場からも自ら積極的に市民と連携し、まちづくりに取り組まなければならない。
(説明責任)
第17条 市は、まちづくりに関する活動の内容及びその意思決定の過程について、市民に分かりやすく説明しなければならない。
(委員の市民公募)
第18条 市は、審議会等の附属機関及びこれに類するもの(以下これらを「附属機関等」という。)の委員を選任する場合は、その全部又は一部を公募により選任しなければならない。ただし、法令等の規定により公募に適さない場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
2 附属機関等の構成員については、男女の比率、他の附属機関等との重複等を考慮し、幅広い人材を登用するよう努めなければならない。
(総合計画等の策定)
第19条 市は、基本構想及びこれを具体化するための基本計画(以下これらを「総合計画」という。)を、まちづくりの基本原則にのっとり策定しなければならない。
2 市は、総合計画の策定過程に広範な市民が参加できるよう努めなければならない。
3 市は、総合計画以外の計画の策定に当たっては、総合計画との整合及び計画相互間の調整を図らなければならない。
4 市は、総合計画その他の計画により進められたまちづくりに関して、市民の満足度の把握に努め、市民参加による行政評価を行い、必要な見直しを行わなければならない。
5 市は、総合計画と行政評価とが連動した予算編成及び執行に努め、健全な財政運営を図らなければならない。
第7章 市民投票
(市民投票)
第20条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、広く市民の意思を把握するための、市民投票を実施することができる。
(1) 選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が議決されたとき。
(2) 議会の議員から議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て市民投票に関する条例の発議があり、当該条例が議決されたとき。
(3) 市長が自ら市民投票に関する条例を発議し、当該条例が議決されたとき。
2 市民投票の実施に関し必要な事項は、その都度前項の条例で定める。
3 市民、議会及び市長は、市民投票の結果を尊重しなければならない。
第8章 条例の改正
(条例の改正)
第21条 市は、この条例について、社会、経済等の情勢の変化等により、改正する必要が生じた場合は、遅滞なく改正しなければならない。
附 則
この条例は、平成15年10月1日から施行する。