大口町まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 大口町 | 自治体コード | 23361 |
都道府県名 | 愛知県 | 都道府県コード | 00023 |
人口(2015年国勢調査) | 24,305人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 説明会 公聴会 政策提案制度 住民投票地域協議会等 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.town.oguchi.lg.jp/2294.htm |
条例本文
大口町まちづくり基本条例
平成21年6月22日
条例第13号
目次
前文
第1章 共通の原則(第1条・第2条)
第2章 基本理念(第3条~第5条)
第3章 役割と責務(第6条~第8条)
第4章 地域自治組織(第9条~第11条)
第5章 参加と協働の約束に基づく制度(第12条~第17条)
第6章 住民投票制度(第18条~第27条)
第7章 その他の事項(第28条・第29条)
附則
春、若草に立ち昇る陽炎、咲き誇る五条桜、きらめく水の光
夏、緑豊かな田園風景、躍動する無数の命、漲みなぎる活力
秋、黄金色の稲穂の波、自然の恵みの実り、豊穣の喜び、祭りの音
冬、寒さの中で絶えることない産業の響き、人々の活動
凍てつく天を指す、春に備えて萌芽ほうがを秘めた木々の梢
私たちは、恵まれた自然を活かし、英知と努力によって、歴史と活力のあるまち「おおぐち」を築いてきました。しかし、戦後60年が経過し、少子高齢化や環境問題など暮らしを取りまく社会経済環境は急激に変化しています。そして、地方分権の進展で私たち一人ひとりが地域の課題から眼をそらさず、自らの責任で考え、決め、行動する住民自治の時代が来ています。
幸いにも、私たちのまち「おおぐち」は、「住民の参画と参加のまちづくり」を目標に掲げ、多くの取組を重ねて、住民、NPO及び企業が協働し、それぞれが活躍する自主と活気に溢れるまちとなっています。
私たちは、まちづくりの主体として、この成果をさらに発展させるとともに、自らの役割と責任を自覚し、一人ひとりの「自立の精神」を大切にしながら、互いに思いやりのある優しい気持ちで見守り支え合う「共助の精神」をみんなで共有します。
私たちは、明るい希望に満ちた明日を拓くため、住民が地方自治の主権者であることを明らかにし、まちづくりの基本規範として、「大口町まちづくり基本条例」を制定します。
第1章 共通の原則
(条例の目的)
第1条 この条例は、参加と協働のまちづくりの基本理念、まちづくりの中心となる住民、まちづくりの担い手と地域自治組織の役割や議会と町の執行機関の責務を定め、参加と協働のまちづくりを推進することにより、大口町の発展と住民福祉の向上を日指すことを目的とします。
(用語の意味)
第2条 この条例で使用する用語の意味は、次のとおりとします。
(1) 「住民」とは、次の三つの者をいいます。
ア 大口町内に居住する個人
イ 大口町内で営利を目的としない活動を継続的に行う住民団体
ウ 大口町内で公益、非営利又は営利を目的に活動している事業所
(2) 「まちづくりの担い手」とは、次の三つの者をいいます。
ア 住民や地域自治組織
イ 大口町外から大口町に通勤又は通学している個人
ウ 大口町のまちづくりに関わる大口町外に居住する個人
(3) 「地域自治組織」とは、第9条に定めるものをいいます。
(4) 「町の執行機関」とは、町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会をいいます。また、これらを補助する職員を執行機関に含めます。
(5) 「参加」とは、町の執行機関が行う政策の形成や実施とその評価に、住民又はまちづくりの担い手が意見、提案等を行うことにより意思表示することをいいます。
(6) 「協働」とは、次の二つのことをいいます。
ア まちづくりの担い手が、営利を目的とせず公共の課題を解決するため、相互に連携や協力をすること。
イ まちづくりの担い手と町の執行機関が、共通の課題を解決するため、相互に尊重しあい、それぞれの知恵と工夫を活かしながら、平等な立場で連携や協力を行うこと(この後、「町の執行機関との協働」といいます。)。
(7) 「まちづくり」とは、大口町を活性化するため、地域社会が抱えている課題を解決する取組や地域社会の価値を創造するための取組をいいます。
第2章 基本理念
(まちづくりの基本的な考え)
第3条 地方自治における主権は住民にあり、地方自治は住民の意思と責任で営まれなければなりません。
2 地方自治における住民主権は、住民が地域社会の在り方に深い関心を持ち、積極的にその意思を表明し、参加と協働の一翼を担うことで実現されます。
3 住民に最も身近な組織である地域自治組織が、その地域の課題解決に自ら取り組むことにより地域自治が実現され、さらに住民主権の地方自治を確かなものとします。
4 住民主権の地方自治を実現するためには、議会と町の執行機関の、その実現を目指す強い意思が必要となります。
5 住民、地域自治組織その他の様々なまちづくりの担い手、そして議会や町の執行機関は、それぞれが持つ役割と責務を理解し、一体となって参加と協働のまちづくりを進めます。
(参加と協働の基本的な約束)
第4条 参加と協働については、次のことを基本的な約束とします。
(1) 参加と協働は、まちづくりの担い手の意思と判断によるものであり、強制されることはありません。
(2) まちづくりの担い手の自主的な活動や参加と協働は制限をされず、また干渉を受けません。
(3) 子ども(満20歳未満の個人をいいます。)も、参加と協働のまちづくりに加わり活動する権利が認められます。
(4) 議会と町の執行機関は、まちづくりの担い手が参加と協働を進めることができるよう努めなければなりません。
(5) 町の執行機関は、まちづくりの担い手の自主的な活動が促進されるよう必要な連絡、調整等に努め、互いに平等な関係を実現しなければなりません。
(6) まちづくりの担い手は、町の執行機関が保有する情報について、正確な内容により積極的に公開を受ける権利が認められています。
(7) まちづくりの担い手は、町の執行機関と協働で行う事業に関して説明をする機会、参加の機会や事業の成果に関して報告する機会が認められます。
(参加と協働の効果)
第5条 参加と協働は、次のようなまちづくりを実現します。
(1) まちづくりの担い手が持つ知恵や工夫がまちづくりに活かされます。
(2) まちづくりの担い手が得意とする分野と町の執行機関が得意とする分野を活かしあうことにより、無駄なく効果的な課題解決が図られます。
(3) 多様なまちづくりの担い手により、様々な状況に応じてきめ細かな活動や援助を提供することができます。
(4) 地域自治組織が地域自治を担うことにより、その地域に根差した課題を効果的に解決することができます。
(5) 町の執行機関が、まちづくりの担い手に対し説明責任を果たすことで、互いの信頼関係を築くことができます。
第3章 役割と責務
(まちづくりの担い手等の役割)
第6条 まちづくりの担い手は、参加と協働のまちづくりの取組において、責任ある発言と行動に努めます。
2 まちづくりの担い手は、町の執行機関との協働で事業を実施しようとするときは、事業を実施する理由、目的等を公表し、事業の実施に当たってはその継続と改善に努めます。
3 住民は、地域自治組織における自らの役割を踏まえ、積極的に地域自治組織で活動するよう努めます。
(議会の責務)
第7条 議会は、この条例の目的と基本理念を尊重し、住民を代表する意思決定機関としての自覚を持って説明責任を果たし、住民に開かれた議会運営に努めなければなりません。
(町の執行機関の責務)
第8条 町の執行機関は、この条例の目的と基本理念を理解し、責任を持って行政を推進しなければなりません。
2 町の執行機関は、参加と協働のまちづくりを進めるために必要な環境整備と基盤整備に努めなければなりません。
3 町の執行機関は、参加と協働のまちづくりの意味を理解し、意識改革や技能の向上を図らなければなりません。
4 町の執行機関は、政策を実施する責任やその結果に対する責任を負うとともに、それらを住民又はまちづくりの担い手に説明する責任を負います。
5 町の執行機関は、住民又はまちづくりの担い手の意見を政策に反映するとともに、政策の実施に参加できるよう努めなければなりません。
第4章 地域自治組織
(地域自治組織の設定)
第9条 地域自治組織は、地域のつながりを基礎にした地域住民にとって最も身近な公共的組織であり、「共助の精神」を共有できる組織です。
2 地域自治組織の区域は、既にある行政区のほか、地域住民が主体になって地域の特色に応じた価値の創造や地域固有の課題解決が進められるよう、地域的なまとまりの中で新たに設定することができます。
(地域自治組織の役割)
第10条 地域自治組織は、住民一人ひとりの自立と共助の精神のもとに、自ら解決できる地域の課題については、自らが考え決定し主体的に取り組むものとします。
2 地域自治組織は、自らが解決できない地域の課題については、町の執行機関やその他のまちづくりの担い手と連携し、その解決を図るものとします。
(地域自治組織と町の執行機関の関係)
第11条 町の執行機関は、地域自治組織が地域自治を担うために必要となる組織や制度の整備について、地域自治組織と話し合い取り組みます。
2 町の執行機関は、地域自治組織の自立性と自主性を尊重し、地域自治を実現するために必要な権限と財源を地域自治組織に委ねるものとします。
第5章 参加と協働の約束に基づく制度
(まちづくり提案会議)
第12条 住民の連署により大口町全体を対象とする政策の提案があったときには、「公平」「発展」「安全」「共生」「協働」の実現を基準として、政策の提案者と町の執行機関がその提案の必要性、実現の可能性等について共同で検討します(この後、この手続きを「まちづくり提案会議」といいます。)。ただし、次の事項はまちづくり提案会議の対象となる事項から除きます。
(1) 町の執行機関の権限でない事項
(2) 議会や町の執行機関の人事に関する事項
(3) 既にまちづくり提案会議で検討の対象とした事項や規則の定めるところにより、まちづくり提案会議において検討することが適さないと判断され、その旨を公表した事項で、再度検討を行うことを要しないと認められる事項
(4) 第1号から第3号に定めるもののほか、まちづくり提案会議の対象とすることが適当でないと認められる事項
2 まちづくり提案会議で検討をする政策案の受付やまちづくり提案会議の庶務は、地域協働部地域振興課で行うものとします。
(政策検討会議)
第13条 町の執行機関は、住民の生活や活動とまちづくりの担い手の活動に大きく影響を及ぼすことが考えられる政策の実施に当たっては、事前にその政策の目的、目標、方法その他必要な情報を、住民又はまちづくりの担い手に説明し、意見や提案を受けるものとします(この後、この手続きを「政策検討会議」といいます。)。
2 町の執行機関は、次のことを公表するものとします。ただし、大口町情報公開条例(平成11年大口町条例第28号。この後「情報公開条例」といいます。)第7条各号の情報に当たるものについては、公表しないものとします。
(1) 意見や提案を受けようとする計画、条例、制度等の案やこれらに関連する資料
(2) 政策検討会議に参加できる者の資格
(3) 政策検討会議を開催する日時と場所
3 政策検討会議の庶務は、総務部政策推進課で行うものとします。
(意見公募手続)
第14条 重要な計画や条例を策定し、又は変更するときは、事前に町の執行機関は次のことを公表して、住民又はまちづくりの担い手の意見や提案を受けるものとします(この後、この手続きを「意見公募手続」といいます。)。
(1) 意見や提案を受けようとする計画、条例、制度等の案やこれらに関連する資料
(2) 意見や提案を行うことができるものの範囲
(3) 意見や提案の提出先と提出の方法
(4) 意見や提案の提出期間
(制度の選択)
第15条 町の執行機関は、政策検討会議又は意見公募手続のどちらかの方法を選択できるものとします。
(出前対話)
第16条 まちづくりの担い手から町の政策について、説明の要望があるときは、町の執行機関はその説明を行い、又はまちづくりの担い手との意見交換を行うものとします(この後、この手続きを「出前対話」といいます。)。
2 出前対話を要望するまちづくりの担い手は、別に定める様式により地域協働部地域振興課に出前対話の申込をするものとします。
(地域懇談会)
第17条 町長は、毎年4月から翌年の3月までの間に一回以上小学校区ごとに、議会、地域自治組織その他の様々なまちづくりの担い手とともに、大口町のまちづくりについて意見交換を行うものとします(この後、この手続きを「地域懇談会」といいます。)。
2 地域懇談会の事務は、地域協働部地域振興課で行うものとします。
第6章 住民投票制度
(住民投票にかけることができる重要事項)
第18条 住民投票にかけることができる町政運営上の重要事項(この後、「重要事項」といいます。)は、現在又は将来の住民主権の地方自治又は住民の福祉に重大な影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのあるものとします。ただし、次の事項は住民投票にかけることができる事項から除きます。
(1) 町の執行機関の権限でない事項
(2) 法令の規定に基づき住民投票を行うことができる事項
(3) 特定の住民又は地域に関係する事項
(4) 議会や町の執行機関の組織、人事又は財務に関する事項
(5) 第1号から第4号に定めるもののほか、住民投票にかけることが適当でないと認められる事項
(住民投票の投票権がある者)
第19条 住民投票の投票権がある者(この後、「投票資格者」といいます。)は、公職選挙法(昭和25年法律第100号。この後、「公職選挙法」といいます。)第22条の選挙人名簿に登録されている者とします。ただし、選挙人名簿に登録されている者であっても、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第24条の規定により転出の届出をしたものは、投票資格者からは除きます。
(住民からの請求による住民投票)
第20条 投票資格者は、前条の投票資格者の総数の10分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、町長に対し、重要事項について住民投票を実施することを請求することができます。
2 町長は、前項の規定による請求があったときは、住民投票を実施しなければなりません。
(住民投票の形式)
第21条 前条第1項に規定する請求による住民投票に係る事項は、二者択一で賛否を問う形式のものとして請求されたものでなければなりません。
(住民投票の実施)
第22条 町長は、第20条の規定により住民投票を実施するときは、直ちにその旨を大口町公告式条例(昭和25年大口村条例第3号)第4条に基づき告示しなければなりません。
2 町長は、前項の規定による告示の日から数えて90日以内に投票日を定め、住民投票を実施するものとします。
(住民投票の成立要件等)
第23条 住民投票は、一つの住民投票を行った事項について投票した者の総数が当該住民投票の投票資格者数の2分の1に満たないときは、成立しないものとします。この場合においては、開票作業その他の作業は行わないものとします。
2 住民投票の結果は、有効投票総数の過半数をもって決するものとします。
(投票結果等の告示及び通知)
第24条 町長は、前条の規定により住民投票が成立しなかったとき、又は住民投票が成立し投票結果が確定したときは、直ちにこれを告示するとともに、第20条第1項の代表者及び議会の議長にこれを通知しなければなりません。
(請求の制限期間)
第25条 この条例による住民投票が実施された場合(第23条第1項の規定により住民投票が成立しなかった場合を含みます。)には、その投票結果の告示の日から3年間は、同一の事項又はその事項と同じ趣旨の事項について、第20条第1項の規定による請求を行うことができません。
(投票結果の尊重)
第26条 住民、議会と町の執行機関は、住民投票の投票結果を尊重しなければなりません。
(投票及び開票)
第27条 前条までに定めるもののほか、住民投票の投票や開票に関し必要な事項は、公職選挙法、公職選挙法施行令(昭和25年政令第89号)や公職選挙法施行規則(昭和25年総理府令第13号)と大口町公職選挙管理規程(昭和42年選管規程第1号)の例によるものとします。
第7章 その他の事項
(条例の見直し)
第28条 議会と町の執行機関は、地方自治における住民主権を実現するため、この条例が常に社会や大口町の状況に合った内容になるよう努めなければなりません。
2 前項の目的を達成するため、この条例の内容については、平成22年4月1日から数えて4年ごとに見直しを行うものとします。
3 前項の規定は、この条例の4年未満における見直しを妨げるものではありません。
(規則に任せる事項)
第29条 第12条から第14条までと第16条と第17条に定める参加と協働の約束に基づく制度と第6章に定める住民投票制度については、この条例に定めるもののほか規則で定めるものとします。
附 則
1 この条例は、公布の日から施行します。ただし、第5章、第6章と第29条の規定は、平成22年4月1日から施行します。
2 町の執行機関は、次の事項について地域自治組織と話し合うための組織の設置を検討するものとします。
(1) 第9条第2項の地域自治組織の区域の新たな設定に関する事項
(2) 第11条第1項の地域自治組織の組織や制度の整備に関する事項
(3) 第11条第2項の権限と財源を地域自治組織に委ねることに関する事項