伊賀市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 伊賀市 | 自治体コード | 24216 |
都道府県名 | 三重県 | 都道府県コード | 00024 |
人口(2015年国勢調査) | 88,766人 |
条例データ
制定年 | 2004年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 審議会委員の市民公募 住民投票地域協議会等 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.iga.lg.jp/category/10-2-5-0-0.html |
条例本文
伊賀市自治基本条例
平成16年12月24日条例第293号
伊賀市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 情報の共有(第6条―第11条)
第3章 市民の参加
第1節 市民参加の権利と責務(第12条―第14条)
第2節 市民参加の制度保障(第15条―第18条)
第3節 市民投票(第19条・第20条)
第4章 住民自治のしくみ
第1節 住民自治(第21条―第23条)
第2節 住民自治協議会(第24条―第28条)
第3節 地域振興委員会(第29条―第32条)
第4節 住民自治地区連合会(第33条―第35条)
第5節 住民自治活動を補完する機構(第36条・第37条)
第5章 議会の役割と責務(第38条―第41条)
第6章 行政の役割と責務
第1節 行政の責務(第42条―第45条)
第2節 行政運営の方針(第46条―第50条)
第3節 財務(第51条―第55条)
第4節 評価(第56条・第57条)
第7章 条例の見直し(第58条)
附則
伊賀地域は、四方を山々に囲まれた盆地で、古来から伊賀の国として一つのまとまった圏域を形成してきました。隣接した地域に都が長年置かれていたこともあり、様々な影響を受けながらも、伊賀の人々により独自の文化や産業が築かれてきました。また、近年では、日本の中央部に位置する地理的な関係や交通機関の発達などから東西日本を結節融合する畿央地域としての特徴も有しています。
これまでの伊賀の自治について見たとき、中世には“惣(そう)”という村落の自治運営組織が存在し、その連合体として“伊賀の国”が形成されていました。
また、近年では、地方分権の流れや市町村合併を契機として、自分たちの地域は自ら治めていこうという“補完性の原則”の考え方や“住民自治”の実現が重要視され、伊賀市にとって欠かせないものとなっています。
こうした背景のもと、伊賀市の自治における市民の権利や責務を明らかにし、伊賀市の将来像である“ひとが輝く 地域が輝く”自立したまちの実現を確実なものとするため、自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、伊賀市における自治の基本的な事項を定め、市民及び市のそれぞれの権利や責務を明確にし、住民自治のしくみを制度として定めることにより、伊賀市独自の自治の推進及び確立を目指すことを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において、用語の定義は次のとおりとする。
(1) 市民 市内に在住、在勤又は在学する個人及び市内で活動する法人その他の団体をいう。
(2) 市 市議会及び市の執行機関を含めた地方公共団体をいう。
(3) 市議会 立法を主たる目的とする審議・議決機能を持つ市の意思決定機関をいう。
(4) 市の執行機関 市の行政事務を管理執行する機関をいう。
(5) 協働 市民及び市又は市民同士や各種団体がそれぞれに果たすべき責任と役割を認識し、相互に補完、協力することをいう。
(6) 自治 自分たちの地域は自分たちで責任を持ち自ら治めることをいう。
(基本理念)
第3条 市民及び市は、次に掲げる基本理念により、まちづくりを推進するものとする。
(1) 補完性の原則に基づき、市民自身あるいは地域が自らの責任のもと、まちづくりの決定や実行を行うとともに、市は、これらの活動を支援し、また、市自らも改革を進めるなど、市民が主体となり地域の個性が生きた自治を形成する。
(2) 自然との共生を図り、各地域が有する様々な資源を有効に活用するなど次世代に引き継いでいくことができる持続発展可能な循環型の共生地域を形成する。
(3) 市民が情報を共有し、自由に行き来できる環境づくりに努めるとともに、他圏域と交流・連携を進めるなど、創造性あふれる地域を形成する。
(自治の基本原則)
第4条 市民及び市は、次に掲げる基本原則により自治を行うものとする。
(1) 市民は、まちづくりに関する情報を共有する権利を有する。
(2) 市民は、まちづくりに参加する権利を有する。
(3) まちづくりは、情報公開と市民参加により策定された計画に基づくものとする。
(4) まちづくりは、まず市民自らが行い、さらに地域や市が補完して行う。
(5) まちづくりは、市民や市など各主体が協働して行うよう努める。
(6) まちづくりの実施後は、その結果について評価を行う。
(この条例の位置付け・体系化)
第5条 この条例は、市政の基本事項について市が定める最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を踏まえ、整合性を図らなければならない。
2 市は、この条例の定める内容に則して、分野別の基本条例の制定に努めるとともに、他の条例、規則等の体系化を図るものとする。
第2章 情報の共有
(情報共有の原則)
第6条 市は、市民自らが考え行動するという自治の理念を実現するため、市政全般に関わる情報を速やかに市民と共有することに努めなければならない。
(情報への権利)
第7条 市民は、法令により制限される場合を除いて、市に対しその有している情報の提供を要求し、取得する権利を有する。
(意思決定過程の情報共有)
第8条 市は、市民に対し、市政に関する意思決定過程の情報を明らかにするよう努めなければならない。
2 市は、審議会その他の附属機関の会議を、原則として公開しなければならない。
(情報共有のための制度)
第9条 市は、その有する情報を原則として公開しなければならない。
2 市は、市が出資若しくは補助、事務の委託又は職員を派遣している団体のうち、一定の基準を満たすものに関し、その情報公開を推進するため、必要な措置を講ずるよう指導に努めなければならない。
3 前2項に関することは、別に定める。
(情報の収集及び管理)
第10条 市は、市政運営に必要な情報の収集に努めなければならない。
2 市は、その有する情報を適正に管理しなければならない。
(個人情報の保護)
第11条 市は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう個人情報の収集、利用、提供及び管理等について、必要な措置を講じなければならない。
2 前項に関することは、別に定める。
第3章 市民の参加
第1節 市民参加の権利と責務
(まちづくりに参加する権利)
第12条 私たち市民は、まちづくりの主体者であり、まちづくりを行う権利を有する。
2 この権利は、市民にとって基本的な権利であり、市民は、国籍、民族、性別、年齢、社会的又は経済的環境等にかかわらず、平等な立場で、まちづくりに参加することができる。
(まちづくりの参加における市民の責務)
第13条 私たち市民は、広い視野に立って自らの発言と行動に責任を持ち、積極的にまちづくりに参加するよう努めなければならない。
2 私たち市民は、多様な主体のまちづくり活動が自治を育てるということを認識し、互の活動を尊重し、認め合いながらまちづくりを進めるよう努めなければならない。
(まちづくりの参加における市の責務)
第14条 市は、まちづくりを行う市民の自主的、自立的な活動を尊重するとともに、国籍、民族、性別、年齢、社会的又は経済的環境等にかかわらず、多様な主体がまちづくりに果たす役割を重視し、人づくりの推進や権利の保障、拡大に努めなければならない。
2 市は、企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、市民参加の拡充に努めなければならない。
第2節 市民参加の制度保障
(計画策定における市民参加の原則)
第15条 市は、市民参加のもと、基本構想及びこれを具体化するための計画(以下「総合計画」という。)を策定しなければならない。
2 市は、総合計画について、評価に基づいた進行管理に努め、市民参加のもと、柔軟に見直さなければならない。
(計画策定における市民参加の手続)
第16条 市の執行機関は、総合計画をはじめとする重要な計画の策定に際しては、その手続を公表し、意見を求めるよう努めるものとする。
2 市の執行機関は、前項の計画を決定しようとするときは、あらかじめ計画案を公表し、意見を求めるものとする。
3 市の執行機関は、前2項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表するものとする。
(審議会等への市民参加)
第17条 市の執行機関は、審議会その他の附属機関の委員には、公募の委員を加えるよう務めなければならない。
2 審議会その他の附属機関の委員の任命に当たっては、その機関の設置の目的に応じて、地域、性別、年齢、国籍などに配慮しなければならない。
(条例制定における市民参加の手続)
第18条 市は、まちづくりに関する条例を制定し、又は改廃しようとするときは、次のいずれかに該当する場合を除き、市民の参加を図らなければならない。
(1) 関係法令等の制定改廃に基づくもので、条例の制定改廃に政策的な判断を必要としない場合
(2) 用語の変更等簡易な改正で、実質的な変更を伴わない場合
(3) 前2号に準じた制定改廃の場合
2 市は、前項の条例の制定・改廃案を議会に提案しようとするときは、あらかじめ制定・改廃案を公表し、意見を求めるものとする。
3 市は前2項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表する。
4 提案者は、市民の参加の手法、参加の有無及び状況に関する事項を付して、議案を提出しなければならない。
第3節 市民投票
(市民投票の原則)
第19条 市長は、市政に関わる重要事項について、直接市民の意思を確認するため、議会の議決を経て、市民投票の制度を設けることができる。
2 市民投票に参加できる者の資格その他の市民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に定める。ただし、投票資格者を定めるに当たっては、定住外国人や未成年者の参加に十分配慮する。
3 市長は、市民投票を行うに当たっては、市民投票結果の取扱いをあらかじめ明らかにしなければならない。
(市民投票の実施)
第20条 市長は、有権者がその総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が議決されたときはこれを実施しなければならない。
2 市民投票は、投票者の総数が当該市民投票の投票資格者数の2分の1に満たないときは成立しない。この場合において、開票作業その他の作業は行わないものとする。
第4章 住民自治のしくみ
第1節 住民自治
(住民自治の定義)
第21条 住民自治とは、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、市民が地域を取り巻く様々な課題に取り組み、市民が主役となったまちづくりを行う活動をいう。
2 住民自治活動の主体は、自治会をはじめ、ボランティア・市民活動団体、地域の良好な生活環境づくりに貢献する事業者などのほか、まちづくり活動に積極的に参加する個人も含まれるものとする。
(住民自治に関する市民の役割)
第22条 私たち市民は、住民自治活動の重要性を認識し、自ら住民自治活動に参加するよう努めなければならない。
2 私たち市民は、住民自治活動を行う団体等を支援するよう努めなければならない。
(住民自治に関する市の役割)
第23条 市は、市民が自主的かつ主体的に行う住民自治活動を尊重しなければならない。
2 市は、非営利、非宗教及び非政治の住民自治活動に対しては、必要に応じてこれを支援する。
第2節 住民自治協議会
(住民自治協議会の定義・要件)
第24条 住民自治協議会とは、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、そこに住むあらゆる人が自由に参加でき、地縁団体や目的別団体などとともに、身近に地域の課題を話し合い、解決できるよう、地域住民により自発的に設置された組織で、各号に掲げる要件を満たすものをさす。ただし、一つの地域は、複数の住民自治協議会に属することができない。
(1) 区域を定めていること。
(2) 会員には、その区域に住む又は活動する個人、団体、事業者等であれば、誰でもなれること。
(3) 組織設置の目的が、その区域に住む又は活動する個人、団体、事業者等の相互の連絡・親睦、地域環境の整備など良好な地域社会の形成に関するものであること。
(4) 目的・名称・区域・事務所の所在地・構成員の資格・代表者・会議などを明記した規約を定めていること。
(5) 組織全体の運営に当たる役員や代表者は、地域、性別、年齢、国籍などに配慮し、民主的に選出されたものであること。
(住民自治協議会の設置)
第25条 前条に規定する住民自治協議会が設立された場合、その代表者は、市長に設置の届出をする。
2 市長は、住民自治協議会の設置の届出があった場合、当該協議会を市長の諮問機関及び市の重要事項に関する当該地区の同意・決定機関とする。
(住民自治協議会の権能)
第26条 住民自治協議会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、住民自治協議会の答申を尊重しなければならない。
(1) 新市建設計画の変更に関する事項
(2) 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
(3) その他市長が必要と認める事項
2 住民自治協議会は、当該地区において行われる住民に身近な市の事務の執行等について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、住民自治協議会の提案を尊重する。
3 市長は、当該地区において行われる住民生活と関りの深い市の事務で、当該地区に重大な影響が及ぶと考えられるものについて、あらかじめ住民自治協議会の同意を得るものとする。住民自治協議会の同意を必要とする市の事務については、市長が別に定める。
4 市長は、当該地区において行うことが有効と考えられる市の事務について、住民自治協議会が当該事務の受託を行う意思を決定した場合は、その決定を尊重する。
5 住民自治協議会は、提案、同意、決定に必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は住民自治協議会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
(住民自治協議会への支援)
第27条 市は、住民自治協議会が設置された場合には、次の各号に掲げる支援を行う。
(1) 住民自治の活動拠点の提供
(2) 住民自治活動に対する財政支援
(3) その他住民自治の推進に関すること。
2 前項に定める支援の単位は、別に定める機関により審議決定する。
(地域まちづくり計画)
第28条 住民自治協議会は、自らが取り組む活動方針や内容等を定めた地域まちづくり計画の策定に努めるものとする。
2 前項に規定の計画を策定した場合、その代表者は、市長に届出をするものとする。
3 市は、総合計画をはじめとする重要な計画を策定する際には、広域的な観点から調整が必要な場合を除き、第1項の地域まちづくり計画を尊重するものとする。
4 市は、第1項の地域まちづくり計画の策定を必要に応じ支援するものとする。
第3節 地域振興委員会
(地域振興委員会の設置)
第29条 市長は、住民自治協議会が設立されていない地域について、当該地区の住民生活に密接に関係し、当該地区の事情を十分に踏まえる必要のある市の事務について審議する機関として、地域振興委員会を置く。
2 前項に定める地域振興委員会の設置の単位は、別に定める機関により審議決定する。
(地域振興委員会の所掌事務)
第30条 地域振興委員会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、地域振興委員会の答申を尊重しなければならない。
(1) 新市建設計画の変更に関する事項
(2) 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
(3) その他市長が必要と認める事項
2 地域振興委員会は、市長の諮問に関連する事項のほか、当該地区において行われる住民に身近な市の事務について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、地域振興委員会の提案を尊重する。
3 地域振興委員会は、市長に対し、前2項に定める調査審議のために必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は地域振興委員会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
(地域振興委員会の委員の任命方法)
第31条 地域振興委員会の委員は、当該地区の住民のうち、当該地区において活動する諸団体からの推薦を受けた者及び募集に応じた者の中から市長が任命する。
(規則への委任)
第32条 地域振興委員会の委員の定数、任期、報酬、委員長、会議、会議の公開及び庶務については、別に定める。
第4節 住民自治地区連合会
(住民自治地区連合会の設置)
第33条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第155条第1項で定める支所の管轄する区域ごとに複数の住民自治協議会又は地域振興委員会が設置される場合、市長は、支所単位に住民自治協議会又は地域振興委員会の代表者などで構成する住民自治地区連合会を設置する。
(住民自治地区連合会の所掌事務)
第34条 住民自治地区連合会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、住民自治地区連合会の答申を尊重しなければならない。
(1) 新市建設計画の変更に関する事項
(2) 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
(3) その他市長が必要と認める事項
2 住民自治地区連合会は、市長の諮問に関連する事項のほか、当該地区において行われる住民に身近な市の事務について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、住民自治地区連合会の提案を尊重する。
3 住民自治地区連合会は、市長に対し、前2項に定める調査審議のために必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は住民自治地区連合会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
(規則への委任)
第35条 住民自治地区連合会の委員の任命、定数、任期、報酬、連合会長、会議、会議の公開及び庶務については、別に定める。
第5節 住民自治活動を補完する機構
(住民自治活動を支援する機関の設置)
第36条 市は、市民が主体となった住民自治活動などを支援するため、この役割を果たす機関を設置する。
(住民自治活動を補完する行政機関の設置)
第37条 市は、住民自治活動をできるだけ市民に身近なところで支援するため、法第155条第1項で定める支所を設置し、市民が自主的かつ主体的に自治を行えるよう、地域の実情に応じた柔軟な対応に努めなければならない。
2 市長は、前項で定めた目的を達成するため、市長の権限に属する事務のうち市民に身近な事務を積極的に支所長へ委任するよう努めなければならない。
第5章 議会の役割と責務
(議会の役割と権限)
第38条 市議会は、法令で定めることにより、有権者により選出された議員によって構成される市の意思決定機関である。
2 市議会は、市の重要な政策について議決する権限及び市政運営を監視し、牽制する機能を有する。
3 市議会は、法令で定めるところにより、条例の制定改廃、予算、決算の認定等を議決するとともに、執行機関に対する検査及び監査請求等の権限を有する。
(議会の責務)
第39条 市議会は、市政の審議・議決機関であることの責任を常に認識し、長期的展望をもって意思決定に臨むとともに、市政の点検と改善とその実施を求め、活動しなければならない。
2 市議会は、行政活動が常に民主的で、効率的に行われているかを調査・監視するとともに、市の政策水準の向上を図り、市独自の施策を展開させるため、立法機能の強化に努めなければならない。
3 市議会の会議は討論を基本とし、議決に当たっては意思決定の過程及びその妥当性を市民に明らかにしなければならない。
4 市議会の組織及び議員の定数は、法令の範囲内でこの条例に基づく議会の役割を十分考慮して定めなければならない。
(議会の情報共有と市民参加)
第40条 市議会は、議会が有する情報を公開するとともに、全ての会議を原則として公開とし、立法過程から市民と情報を共有するよう努めなければならない。
2 前項に関することは、別に定める。
3 市議会は、議会活動に関する情報を市民に分かりやすく説明する責任を有し、情報提供の充実に努めなければならない。
4 市議会は、会期外においても市政への市民の意思の反映を図るため、市の施策の検討、調査等の活動をし、市民との対話の機会を設けなければならない。
5 市議会は、議会の会議に出席を求めた者を協議に加えることができる。
6 市議会は、市民からの請願等に関して、その趣旨や意見を表明する機会を設けなければならない。
(議員の責務)
第41条 市議会議員は、市民の負託に応え、公平・公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市議会議員は、市民の代表者としての品位と責務を忘れず、常に市民全体の福利を念頭におき行動しなければならない。
3 市議会議員は、議会の責務を遂行するため、常に自己の見識を高めるための研鑽を怠らず、審議能力及び政策提案能力の向上に努めなければならない。
第6章 行政の役割と責務
第1節 行政の責務
(行政の役割と権限)
第42条 市の執行機関は、法令で定めるところにより、条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令等に基づく事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し、執行する機関である。
2 市長は、市の執行機関を統括し、これを代表する。
3 市長は、議案の提出、予算調整、地方税の賦課徴収、財産の取得及び公文書類の保管等、市の事務を執行する権限を有する。
(市長の責務)
第43条 市長は、市民の負託に応え、市政の代表者としてこの条例の理念を実現するため、公平・公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
(執行機関の責務)
第44条 市の執行機関は、市の事務の企画立案、実施及び評価において、内容、効果を市民に明らかにし、分かりやすく説明しなければならない。
2 市の執行機関は、その権限と責任において、公平・公正、誠実、迅速かつ効率的に職務を執行しなければならない。
(職員の責務)
第45条 市の職員は、その職責が市民の負託に基づくことを自覚し、この条例に定める原則及びこれに基づいて創設される制度を遵守して、職務を遂行しなければならない。
第2節 行政運営の方針
(執行体制の整備)
第46条 市は、社会情勢の変化に対応し、市民に分かりやすく機能的かつ効率的な執行体制を整備するとともに、組織の横断的な調整を図らなければならない。
(法務体制)
第47条 市は、自主的で質の高い政策を実行するため、法務に関する体制を充実し、条例、規則等の整備を積極的に行なわなければならない。
(職員政策)
第48条 市長は、多様化する市民の行政需要に対応できる知識や能力を持った職員の人材育成を図らなければならない。
2 市は、職員が自己の能力を向上させることができるよう政策研究及び研修システムを充実させ、自己研鑽のための多様な機会の保障に努めなければならない。
3 市の職員は、地域の政策課題に適切に対応していくため、政策能力の向上に努めなければならない。
(公益通報)
第49条 市の職員は、行政執行の公正を妨げ、市政に対する市民の信頼を損なう行為で、市民全体の利益など公益に反する恐れのある事実がある場合は、その事実を別に定める機関に通報することができる。
2 前項に関することは、別に定める。
(苦情等への対応)
第50条 市は、市民から苦情、要望、提言、意見等があったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に答えるよう努めなければならない。
2 市は、市民から法令に規定する直接請求、争訟制度の手続等の方法について説明を求められたときは、説明をしなければならない。
3 市は、市民の苦情、要望、提言、意見等に対応するため、適正な機関の設置に努めなければならない。
第3節 財務
(財政運営の基本方針)
第51条 市長は、予算の編成及び執行に当たっては、総合計画を踏まえて行い、最小の経費で最大の効果をあげられるよう努めなければならない。
2 市長は、中長期的な展望に立った自主的かつ健全な財政運営を行わなければならない。
(財政基盤の強化)
第52条 市は、自主課税制度導入など、市民負担のあり方や市有財産の活用等を検討し、国及び県に対して税源の移譲を求めるなど、市の自立した財政基盤の強化に努めなければならない。
(予算編成、予算執行)
第53条 市長は、予算の編成に当たっては、予算に関する説明書の内容の充実を図るとともに、市民が予算を具体的に把握できるよう分かりやすい情報の提供に努めなければならない。
2 市長は、市の事務の予定及び進行状況が明らかになるよう予算の執行計画を策定しなければならない。
(財産管理)
第54条 市長は、市の財産の保有状況を明らかにし、財産の適正な管理及び効率的な運用を図るため、財産の管理計画を定めなければならない。
2 市長は、市の財産の保有状況についての情報を求められた場合は、速やかに公開しなければならない。
(財政状況の公表)
第55条 市長は、予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する状況について、所見を付して分かりやすく公表しなければならない。
第4節 評価
(行政評価)
第56条 市は、総合計画等の重要な計画、予算、決算、事務内容等について評価を実施する。
2 市は、前項の評価の結果を分かりやすく市民に公表し、政策及び事務執行に反映するものとする。
3 前2項の評価は、常に最善の方法で行うよう改善に努めなければならない。
(外部監査)
第57条 市は、公平・公正で効率的な行政運営を確保するため、専門性及び独立性を有する外部監査人による財務事情及び特定の事業等に関する監査を実施する。
第7章 条例の見直し
(この条例の検討及び見直し)
第58条 市は、この条例の施行後4年以内に施行状況を勘案し、検討の上、その結果に基づいて必要な措置を講じるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(伊賀市市民参加条例の廃止)
2 伊賀市市民参加条例(平成16年伊賀市条例第21号)は、廃止する。