大津市「結いの湖都」協働のまちづくり推進条例
自治体データ
自治体名 | 大津市 | 自治体コード | 25201 |
都道府県名 | 滋賀県 | 都道府県コード | 00025 |
人口(2015年国勢調査) | 345,070人 |
条例データ
制定年 | 2011年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | |
参加権規定の有無 | 無 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.nabari.lg.jp/s012/010/070/060/030/201502053484.html |
条例本文
大津市「結ゆいの湖都」協働のまちづくり推進条例
平成23年3月22日
条例第1号
大津では、里山や琵琶湖の豊かな恵みを、古代から現代に至るまで享受し、守りながら、人々が行き交い、暮らしを受け伝え、まちを発展させてきました。
そうした営みを、地域社会の助け合いの仕組みである「結ゆい」などによって、人々は守ってきました。
また、こうした仕組みの中で、人々は、お年寄りや子どもを気遣い、全ての人が安心して生きることができる社会の実現に向けた努力を積み重ねてきました。
今日では、多くの公共サービスが行政によって担われています。しかし、人々の生活や価値観が多様化し、行政のサービスでは対応できないことが増え、多様なニーズに対応する人材や財源の確保が難しくなってきています。
その一方で、大津では、市民・市民団体及び事業者による市民公益活動が盛んになっています。この市民公益活動と行政の力を合わせて「みんなのため」の公共サービスを「みんなで支える」ことができれば、自治の力は高まり、まちは活いき活いきとします。これらの活動をより創造的かつ持続的に育むためには、大津が歴史的に育んできた「結ゆい」の仕組みを現代に甦らせ、市民・市民団体、事業者及び市の三者が、対等な関係のもとで共通の目的を持ち、共に社会基盤を整えることが求められています。
この条例は、市民・市民団体、事業者及び市の三者が、「協働」という新しい「結ゆい」を実現するための理念と仕組みを明らかにするものです。わたしたちは、この仕組みを活用し、市民・市民団体、事業者及び市という立場から、またそうした立場を超えて愛着と誇りを持つことができる大津を築いていくためにこの条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、本市における協働によるまちづくりの基本理念及びその実現を図るための協働に関する基本的事項を定め、協働によるまちづくりを推進することにより、人と人のつながりを強め、誰もが愛着と誇りを持って、住み続けたくなる大津を築いていくことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 協働 市民・市民団体、事業者及び市がその自主的な行動のもとに、互いの特性を尊重し認め合い、企画立案、実施、評価及び改善の全ての過程又はそれぞれの過程において、話し合いに基づいて役割を分担し、共通の目的である公共的な課題の解決のために力を合わせてまちづくりに取り組むことをいう。
(2) 参画 協働によるまちづくりを推進するために必要となる取組の企画立案、実施、評価及び改善の全ての過程又はそれぞれの過程において市民・市民団体、事業者及び市が主体的に参加し、意思形成に関わることをいう。
(3) 市民公益活動 市民・市民団体及び事業者が自主的かつ主体的に行う活動であって、不特定多数のものの利益の増進を図ることを目的とするものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 専ら直接的に利潤を追求することを目的とする経済活動
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする活動
ウ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする活動
エ 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下この号において同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
(4) 市民公益活動団体 本市の区域内において市民公益活動を継続的に行う市民団体又は事業者をいう。
(5) 市民 本市の区域内に居住し、通勤し、若しくは通学し、又は本市の協働に参画する者
(6) 市民団体 地域自治組織(自治会その他の本市の区域内に居住する者の地縁に基づいて組織された団体をいう。)、NPO法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人をいう。)、ボランティア団体その他の団体をいう。
(7) 事業者 本市で営利を目的とする事業を行う個人又は法人をいう。
(8) 社会資源 人材、情報、資金、場所、知恵、技等の協働の推進に必要な資源をいう。
(基本理念)
第3条 協働によるまちづくりは、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づいて推進するものとする。
(1) 市民・市民団体、事業者及び市は、共にまちづくりに取り組むパートナーとして常に対等であること。
(2) 市民・市民団体、事業者及び市は、それぞれがまちづくりの当事者意識を持つとともに、自主性を重んじること。
(3) 市民・市民団体、事業者及び市は、それぞれ互いの特性と役割を理解し、長所を活いかし合うとともに、互いに求められる役割を高められるよう自己変革に努めること。
(4) 市民・市民団体、事業者及び市は、互いにまちづくりに必要な情報を発信し、その共有に努め、透明性の高い開かれた関係を目指すこと。
(5) 市民・市民団体、事業者及び市は、互いにまちづくりの目的意識の共有に努めること。
(市民の役割)
第4条 市民は、まちづくりの主体として自らができることを考え、行動するとともに、協働によるまちづくりに積極的に参加し、及び参画するよう努めるものとする。
2 市民は、自らだけでなく、一人でも多くの市民が協働によるまちづくりに参加し、及び参画することができるよう連携に努めるものとする。
3 前2項の市民の役割は、強制されるものではなく、一人ひとりの市民の自発性に基づくものでなければならない。
(市民団体の役割)
第5条 市民団体は、市民、事業者及び市との協働を図り、協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
2 市民団体は、地域社会の一員としてその活動が広く市民に理解されるよう努めるとともに、市民の参加又は参画が得られるよう努めるものとする。
3 市民団体は、協働によるまちづくりの推進のため、財政基盤を整えるよう努めるものとする。
4 前3項の市民団体の役割は、強制されるものではなく、市民団体の自発性に基づくものでなければならない。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、地域社会の一員として、協働に関する理解を深めるとともに、自発的に協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
2 事業者は、地域経済の発展及び雇用の確保等に果たす役割を自覚し、市民・市民団体及び市と連携し、及び協力して、地域の活性化に努めるものとする。
3 事業者は、市民公益活動がまちづくりに果たす役割の重要性を十分理解し、積極的に社会資源の提供に努めるものとする。
4 前3項の事業者の役割は、強制されるものではなく、事業者の自発性に基づくものでなければならない。
(市の役割)
第7条 市は、協働によるまちづくりを率先して推進するものとする。
2 市は、協働によるまちづくりの推進のため、本市職員の意識、行政運営及び行政組織に関する改革に努めるものとする。
3 市は、協働によるまちづくりの推進を図るため、公共的な課題に取り組む市民公益活動が活発に行われるようにするための環境整備に努めるものとする。
4 市は、基本理念に基づき、協働によるまちづくりを推進するために必要となる施策(以下「協働施策」という。)を実施するよう努めるものとする。
(啓発及び研修)
第8条 市民・市民団体、事業者及び市は、自ら協働に関する理解を深めるとともに、相互に協力して、協働に関する啓発及び研修を行うものとする。
2 市は、協働に関する啓発、研修等を通じて、本市職員の理解の増進を図るとともに、本市職員による協働によるまちづくりの実践に役立てるよう努めるものとする。
(情報共有)
第9条 市民・市民団体、事業者及び市は、協働によるまちづくりに関する必要な情報を相互に発信し、及び収集し、並びに共有するよう努めるものとする。
2 市は、協働によるまちづくりに関する情報環境を整備し、情報の活用に努めるものとする。
3 市は、市の施策の企画立案、実施、評価及び改善の全ての過程において、情報の提供に努めるものとする。
(協働によるまちづくりの推進のための資金)
第10条 市民・市民団体、事業者及び市は、協働によるまちづくりの推進に必要な資金の円滑な調達及び配分に努めるものとする。
2 市は、協働によるまちづくりを推進するため、予算の範囲内で、適切な財政的措置を講ずるよう努めるものとする。
(活動場所)
第11条 市民・市民団体、事業者及び市は、市民公益活動を推進するため、活動場所を相互に提供し、活用し合うよう努めるものとする。
2 市は、市民公益活動を推進するため、市民公益活動団体への公共施設の提供に努めるものとする。
(協働事業の推進)
第12条 市民・市民団体、事業者及び市は、それぞれの社会資源を活いかした協働による事業(以下「協働事業」という。)の推進に努めるものとする。
2 市は、市の業務のうち市民・市民団体及び事業者が有する専門性、地域性等の特性を活いかすことができる分野については、当該業務を委託し、又は当該業務への提案等の機会を確保するよう努めるものとする。
3 市は、市民・市民団体及び事業者が多様な形態で市政に参画することができるための仕組みを整備するよう努めるものとする。
(大津市協働推進計画)
第13条 市長は、協働施策を総合的かつ計画的に推進するため、大津市協働推進計画(以下「推進計画」という。)を定めるものとする。
2 市長は、推進計画の策定、変更及び廃止に当たっては、次条に定める委員会の意見を聴くものとする。
3 市長は、推進計画を策定し、変更し、又は廃止したときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 市長は、毎年度、推進計画に基づいて講じた協働施策の実施状況を公表するものとする。
5 市長は、協働施策の実施状況を踏まえ、5年を超えない期間ごとに、推進計画を見直すものとする。
(大津市協働を進める三者委員会の設置)
第14条 この条例による協働によるまちづくりの推進を実効性あるものにし、時代の流れに対応させるため、市長の附属機関として、大津市協働を進める三者委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会には、必要に応じて専門部会を設置することができる。
3 委員会は、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 推進計画の策定、変更及び廃止に関すること。
(2) 協働施策の評価に関すること。
(3) 協働施策の提案に関すること。
(4) 協働事業の推進に関すること。
(5) その他協働によるまちづくりの推進のため市長が必要と認めること。
4 委員会は、前項各号に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。
5 委員会は、委員15人以内をもって組織する。
6 委員会の委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
(1) 本市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する18歳以上の者で、市長が行う委員の公募に応募したもの
(2) 市民公益活動団体の構成員
(3) 事業者の役員又は職員
(4) 学識経験を有する者
(5) 本市職員
(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者
7 前項第1号の規定にかかわらず、公募を実施しても応募者がなかったとき又は適任者がなかったときは、公募によらず、本市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する18歳以上の者のうちから委員を委嘱することができる。
8 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
9 委員は、再任されることができる。
10 委員会の会議(以下「会議」という。)は、原則として公開する。ただし、会議の決定により非公開とすることができる。
11 前各項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、規則で定める。
(条例の検討)
第15条 市長は、この条例の施行後5年を目途として、この条例の運用の実績等を勘案し、この条例の規定について検討し、必要があると認めるときは、条例の改正その他必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第16条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。