近江八幡市協働のまちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 近江八幡市 | 自治体コード | 25204 |
都道府県名 | 滋賀県 | 都道府県コード | 00025 |
人口(2015年国勢調査) | 81,122人 |
条例データ
制定年 | 2011年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www1.g-reiki.net/city.omihachiman/reiki_honbun/r389RG00001071.html |
条例本文
近江八幡市協働のまちづくり基本条例
平成23年12月19日
条例第37号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 基本原則
第1節 基本原則(第4条)
第2節 市民の権利及び責務(第5条・第6条)
第3節 市長等の責務(第7条・第8条)
第4節 市議会等の役割及び責務(第9条・第10条)
第5節 市の執行体制(第11条―第13条)
第3章 市民自治基本計画(第14条)
第4章 近江八幡市協働のまちづくり推進委員会(第15条)
第5章 情報の共有(第16条―第19条)
第6章 協働及び参画
第1節 協働及び参画(第20条―第27条)
第2節 コミュニティ活動(第28条―第30条)
第7章 条例の見直し等(第31条・第32条)
付則
前文
近江八幡市は、大中の湖南遺跡、観音寺城跡、安土城跡、八幡堀や近江商人の町並みなど、日本を代表する多くの歴史遺産に恵まれています。
また、琵琶湖で一番大きな内湖である西の湖は、ラムサール条約の登録湿地であり、ヨシの群生地である水郷地帯は、「春色・安土八幡の水郷」として琵琶湖八景の一つに数えられ、水と緑に恵まれた風光明媚なところです。
他方、中世において我が国最初の自治組織の規約といわれる「奥嶋百姓等庄隠規文」、近世において諸役免除を巡って当時の幕府に凛として対峙したことで知られる「御朱印騒動」などは、私たちのまちにおける市民主体のまちづくりの源流であり、その流れは今も脈々と息づいています。
こうしたまちに生まれ育ち、あるいは暮らし、働き、学ぶ私たちは、長い時間の経過のなかで培われてきた、歴史遺産や自然資源を次代に伝えていくとともに、新たな歴史と文化を育んでいかなければなりません。
また、市民と市は、今後ますます多様化する地域の課題やニーズに対応することができる地域力と共助の精神に基づく地域の絆を強化し、知恵と力を合せて協働のまちづくりを推進していかなければなりません。
そのためには、まず、自分たちがまちづくりの主役であることを、市民一人ひとりが自覚することが必要です。そして、市民と市が果たすべき役割と責任を明らかにし、相互に協力して、まちづくりを担っていくことが必要です。
近江八幡市では、それぞれの地域で、その特色を生かしたコミュニティ活動や市民公益活動が盛んになってきています。こうした活動をさらに一層高めることにより、いきいきとした元気なまちにしていく必要があります。
私たちは、一人ひとりの命の尊さや人間の尊厳を認識し、市民と市が力を合わせてまちづくりを進めることにより、すべての市民が近江八幡市で暮らし、働き及び学ぶことに魅力と誇りを実感できる個性豊かな地域社会の実現をめざします。こうした協働のまちづくりを進めるため、ここに、近江八幡市協働のまちづくり基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、近江八幡市におけるまちづくりの基本理念を定め、市民、市議会及び市長等執行機関それぞれの果たすべき役割並びに市政運営に関する基本的な事項を定めるとともに、市民自らがまちづくりに主体的に参画し、協働のまちづくりを推進することにより、近江八幡市で暮らし、働き、学ぶことに魅力と誇りを感じられる個性豊かな地域社会の実現を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものとします。
(1) 市民 市内に住む人又は市内で働く人、学ぶ人、事業を営むもの若しくは活動する団体等をいいます。
(2) 参画 市の政策の立案、実施及び評価に至る過程において、市民が主体的に参加し、行動することをいいます。
(3) 協働 市民及び市又は市民同士が前条の目的を共有し、それぞれの責任及び役割分担に基づき、互いの特性を尊重しながら補完し、協力し又は行動することをいいます。
(4) まちづくり すべての市民が近江八幡市で暮らし、働き及び学ぶことに魅力又は誇りを実感できる個性豊かな地域社会を創造するための、ものづくり、仕組みづくりのほか、自然及び歴史文化を守り育てる取組の全般をいいます。
(条例の位置づけ)
第3条 この条例は、本市のまちづくり及び市政運営における基本原則を定めるものであり、市は、他の条例等の制定改廃、解釈及び運用に当たっては、この条例を尊重し、その整合を図らなければなりません。
第2章 基本原則
第1節 基本原則
(基本原則)
第4条 第1条の目的を達成するため、次に掲げる事項をこの条例の基本原則とします。
(1) 市民及び市は、国籍、性別、年齢等にかかわらず、一人ひとりの人権を尊重すること。
(2) 市民及び市は、協働してまちづくりを行うこと。
(3) 市民及び市は、市政に関する情報を共有し合うこと。
(4) 市民は、市政への参画の機会を公平に保障されること。
(5) 市民の公益的活動は、自主性を基本とし、尊重されること。
第2節 市民の権利及び責務
(地域における市民の権利及び責務)
第5条 市民は、まちづくり活動を推進するために、主体的に組織等を作り、自立した活動を営むことができます。
2 市民は、前項の活動を行うに当たっては、多様な価値観を認め合い、自らの発言及び行動に責任を持つとともに、互いの意見及び行動を尊重しなければなりません。
(市政における市民の権利及び責務)
第6条 市民は、市政に関する情報を知る権利及び市政に参画する権利を有します。
2 前項に規定する市民の権利は、公共の福祉に反しない限り最大限に尊重されます。
3 市民は、法令等の定めるところにより納税等の義務を負うとともに、適正な行政サービスを受ける権利を有します。
4 市民は、自らが地方公共団体を構成する一員であることを自覚し、常に市政の運営に関心を払うことによって、公正かつ適正な行政運営の確保に積極的な役割を果たすよう努めるものとします。
第3節 市長等の責務
(市長等の責務)
第7条 市長は、毎年度、市政の基本方針を市民にわかりやすく説明するとともに、法令等を順守し、公正かつ誠実に市政運営に当たらなければなりません。
2 市長は、市民の意向を適正に判断し、市政の課題に対処した協働のまちづくりを推進しなければなりません。
3 市長等任命権者は、協働のまちづくりの推進を担う職員の育成を図るとともに、その能力を適正に評価し配置するよう努めなければなりません。
(職員の責務)
第8条 職員は、法令等を順守し、市民の視線に立って、公正、誠実及び効率的にその職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、自らも地域の一員であることを自覚して、協働によるまちづくりの実践に努めなければなりません。
3 職員は、職務遂行についての必要な知識及び技術等の習得、能力開発並びに自己啓発に努めるとともに、職務の遂行に当たっては、創意又は工夫に励み、市民に信頼されるよう努めなければなりません。
第4節 市議会等の役割及び責務
(市議会の役割及び責務)
第9条 市議会は、別に条例で定めるところにより、市民に開かれた議会及び市民参加の住民自治を推し進める議会として活動するものとします。
(議員の責務)
第10条 議員は、この条例の理念に基づき、市議会が前条に規定する事項を実現するよう、法令等を順守し、公正かつ誠実に市民の負託に応えなければなりません。
第5節 市の執行体制
(組織)
第11条 市は、社会情勢に柔軟に対応し、政策を着実に実現するため、簡素で効率的かつ市民にわかりやすい組織の編成に努めるとともに、常にその見直しに努めなければなりません。
2 市は、機能的かつ効果的に組織を運営しなければなりません。
(法務)
第12条 市は、市民の満足度を高めるための政策の実現並びに市民の要望及び行政課題に対応するため、法令の調査研究を重ね、自ら責任をもって自主的かつ適正な法解釈に努めるとともに、条例制定権の活用等積極的な法務行政を推進しなければなりません。
(財政)
第13条 市は、予算の編成及び執行に当たっては、本市における総合的かつ計画的な市政運営を図るための構想及び計画を踏まえながら、最小の経費で最大の効果を上げるよう努めなければなりません。
2 市は、健全な財政運営に努めるとともに、市の財政又は財務等に関する資料を作成して公表することにより、市の経営状況を的確に、かつ、わかりやすく市民に説明しなければなりません。
第3章 市民自治基本計画
(市民自治基本計画)
第14条 市は、この条例に基づき、協働のまちづくりを実現するために市民自治基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければなりません。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとします。
(1) 協働のまちづくりの推進に関する方針
(2) 協働のまちづくりの推進についての取組目標
(3) 協働のまちづくりの推進に関し、市が総合的かつ計画的に講ずべき施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、協働のまちづくりを推進するために必要な事項
3 市は、基本計画の内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければなりません。
4 市は、基本計画が社会の変化に対応できるよう常に検討を加え、必要に応じて見直しを図らなければなりません。
第4章 近江八幡市協働のまちづくり推進委員会
(近江八幡市協働のまちづくり推進委員会)
第15条 この条例に基づき、市民及び市が協働によるまちづくりを推進していくため、近江八幡市協働のまちづくり推進委員会(以下「委員会」という。)を設置します。
2 委員会は、次の事項について調査審議します。
(1) この条例の検証及び見直しに関すること。
(2) 基本計画の策定、検証及び見直しに関すること。
(3) 協働のまちづくりを推進するための施策の評価に関すること。
(4) その他協働のまちづくりを推進するために市長が必要と認めること。
3 委員会は、前項に定める事項に関して市長に意見を述べることができます。
4 その他委員会の運営について必要な事項は、別に規則で定めます。
第5章 情報の共有
(情報公開等)
第16条 市は、市民の知る権利を保障し、公正で開かれた市政を推進するため、別に条例で定めるところにより、市政に関する情報を積極的に公開するとともに、わかりやすく情報提供しなければなりません。
(個人情報の保護)
第17条 市は、市民の基本的人権を守るため、別に条例で定めるところにより、個人情報の適正な取扱いを図るとともに、自己に係る個人情報の開示、訂正等を請求する権利を保障するなど、必要な措置を講じなければなりません。
(説明責任)
第18条 市は、政策の立案から実施及び評価に至るまで、その経過、内容及び目標の達成状況等について、市民にわかりやすく説明する責任を果たすよう努めなければなりません。
(要望等への対応)
第19条 市は、市民からの市政に関する要望、意見及び苦情等に誠実かつ迅速に対応するとともに、その結果について、速やかに、回答しなければなりません。
2 市は、市民から苦情として寄せられた事案について、その原因を調査分析し、市民への理解を求めることも含めて、再発防止等の適正な対応に努めなければなりません。
第6章 協働及び参画
第1節 協働及び参画
(協働)
第20条 市民及び市は、相互理解及び信頼関係をもとに、協働のまちづくりを進めるよう努めるものとします。
2 市民は、前項に規定する協働のまちづくりを、自発的かつ自主的に推進し、市はこれを支援するよう努めるものとします。この場合において、市は、市民の自主性を損なわないように配慮しなければなりません。
3 市は、公共的課題の解決や公共的サービスの提供等について、多様な主体がその担い手となれるよう、適切な施策を講じるものとします。
(参画)
第21条 市は、意見公募手続、市民提案制度の実施、公聴会の開催その他制度を設け、又は施策を講じることで、市民が市政に参画する機会を保障しなければなりません。
2 市は、市民が市政に参画できないことによって不利益を受けることのないよう配慮しなければなりません。
(意見公募手続)
第22条 市は、広く市民に関連する条例等の制定又は計画の策定に当たり、市民の意見を反映させるために事前に案を公表し、市民の意見を聴取するとともに、これに対する市の考え方を公表しなければなりません。
(市民提案制度)
第23条 市は、市民との協働によるまちづくり又は市政運営に市民の意見等を反映させることを目的として、市民が意見又は提言を市長に提出し、それに対し市の考え方を公表する制度を設けなければなりません。
(行政評価)
第24条 市は、効率的かつ効果的な市政運営を図るため、適切な目標設定に基づく行政評価の実施に努め、その結果を施策の見直し、組織の改善等に反映させなければなりません。
(計画の策定過程等)
第25条 市は、総合的かつ計画的な市政運営を図るための構想、計画、その他重要な個別計画の策定に当たっては、市民の多様な参画を保障するとともに、必要な情報の提供に努めなければなりません。
(審議会等の設置及び運営)
第26条 市は、市民及び学識者等の意見を市政に反映させるため、市民会議、審議会等(以下「審議会等」という。)を設置することができます。
2 市は、審議会等を設置するときは、その設置目的等に応じて委員の公募を行うとともに、委員の男女の比率、年齢構成及び選出区分が著しく不均衡にならないように留意しなければなりません。この場合において、同一の委員が著しく長期にわたって就任することのないよう努めなければなりません。
(会議公開の原則)
第27条 市は、法令等に特別の定めがあるものを除き、原則として審議会等の会議を公開しなければなりません。
第2節 コミュニティ活動
(地域コミュニティ)
第28条 市民は、地域のなかで安心して心豊かに生活することができるよう自治会等の基礎的な地域コミュニティの活動を通じて互いに助け合うとともに、地域課題の解決に向けて協力して行動するものとします。
2 市は、前項に規定する地域コミュニティの役割を尊重するとともに、適切な支援策を講じるよう努めなければなりません。
(市民公益活動)
第29条 市は、自発的かつ自主的に行われる非営利の活動で、不特定かつ多数の利益の増進に寄与することを目的とする市民公益活動を尊重するとともに、別に条例で定めるところにより、その活動を促進するための適切な支援策を講じるよう努めなければなりません。
(学区まちづくり協議会)
第30条 市民は、各学区単位及び沖島地域において、地域の特性を活かした住みよい地域をつくるため、学区まちづくり協議会等の地域自治組織(以下「学区まちづくり協議会」という。)を設置するものとします。
2 学区まちづくり協議会は、その学区のすべての市民に開かれたものとし、市その他組織等と連携しながら、学区のまちづくりを進めるものとします。
3 市は、各種計画の策定又は政策形成に当たっては、学区まちづくり協議会の自主性に配慮するとともに、その意思を可能な限り反映させなければなりません。
4 市は、学区まちづくり協議会の活動に対して、必要な支援を行うものとします。
5 市は、学区まちづくり協議会との協議により、市が行っている事務事業の一部をその組織に委ねることができます。
6 学区まちづくり協議会は、別に条例に定めるところにより設置するコミュニティセンターに活動の拠点を置くものとします。
第7章 条例の見直し等
(条例の見直し)
第31条 市は、この条例の施行後、5年を超えない期間ごとに、各条項がこの条例の理念を踏まえ、本市にふさわしく、社会情勢に適合したものかどうかを検討するものとします。
2 市は、前項に規定する検討の結果を踏まえ、この条例の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講じるものとします。
(委任)
第32条 この条例の施行に関し、必要な事項は、市長が別に定めます。
付 則
この条例は、平成24年4月1日から施行します。