条例

和泉市自治基本条例

自治体データ

自治体名 和泉市 自治体コード 27219
都道府県名 大阪府 都道府県コード 00027
人口(2015年国勢調査) 184,495人

条例データ

条例本文

○和泉市自治基本条例

平成23年3月25日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 自治の基本原則(第4条―第7条)

第3章 市民・事業者(第8条―第10条)

第4章 議会・議員(第11条・第12条)

第5章 市長・職員(第13条・第14条)

第6章 コミュニティ(第15条・第16条)

第7章 行政運営(第17条―第26条)

第8章 参加・参画・協働(第27条―第32条)

第9章 条例の実効性の確保(第33条・第34条)

附則

「和泉」。その歴史は古く、名称の由来となったのは泉井上神社にある「和泉清水」と伝えられています。奈良時代には「和泉国」が誕生し、この地に国府があったことから市名として採用されました。この歴史ある名称を引き継いでいる私たちの和泉市は、先人たちが、和泉山脈や槇尾川、松尾川に代表される豊かな自然環境を守り育みながら、産業、伝統、文化を培い、発展させ、今日まで継承してきたまちです。

私たちは、先人たちが築き、守り育て、発展させてきた郷土和泉市を受け継ぎ、協働(和)により豊かな自然と命(泉)を育むまちとして、将来にわたり持続的に発展可能な地域社会の実現に取り組み、次世代へ引き継いでいかなければなりません。

そのためには私たち市民一人一人は、お互いの人権を尊重しながら、まちづくりを人任せ、行政任せにすることなく、「まごころ」や「思いやり」の心をもって自分たちにできることを誠実に実行し、自律していくとともに、「市民相互の協働」と「市民と行政との協働」によるまちづくりを実践していきます。

誰もが生き生きと安心して暮らせる、住んで良かったと誇りに思える和泉市を創るという夢を実現し、真に市民が主役のまちづくりを進めるため、ここに主権が市民に存することを宣言し、市民の思いを込めて和泉市の自治の礎としての和泉市自治基本条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民が自治の担い手であることを確認し、自治に関する基本事項を明らかにするとともに、市民及び市民相互の協働並びに市民と行政との協働により、持続的に発展可能な地域社会を実現することを目的とします。

(条例の位置付け)

第2条 この条例は、和泉市の自治の礎を定めるものであり、他の条例、規則等の制定及び改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図らなければなりません。

(用語の定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。

(1) 市民 市内に住み、働き、又は学ぶ者及び市内に事務所又は事業所を有する個人又は法人その他の団体をいいます。

(2) 事業者 事務所又は事業所の所在地にかかわらず、市内で事業活動を行う者又は団体をいいます。

(3) コミュニティ 互いに助け合い、心豊かな生活を送るため、地域や共通の関心によってつながった連帯性を持つ、自主性と責任を持った市民で構成される地域社会の多様な集団及び組織であって、公共性のある活動を行うものをいいます。

(4) 行政 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び病院事業管理者をいいます。

(5) まちづくり 公共の福祉を増進するあらゆる取組をいいます。

(6) 参画 行政の政策等の立案、実施及び評価に至る過程に、市民が責任を持って主体的に参加することをいいます。

(7) 協働 市民と市民又は市民と行政が、目的を共有しながら互いを尊重し合うことで、それぞれの果たすべき役割と責任を自覚し、自主的な行動に基づいて相互に補完し、協力し合うことをいいます。

第2章 自治の基本原則

(情報共有の原則)

第4条 市民と市民又は市民と行政は、まちづくりを進めるに当たっては、まちづくりの情報を互いに提供し、共有するものとします。この場合において、市民及び行政は、個人情報の取扱いについては、個人の権利利益を侵害することのないようにしなければなりません。

(参加・参画の原則)

第5条 私たち市民は、自治の担い手として、主体的にまちづくりに参加・参画するものとします。

(合意形成に向けた話合いと説明責任の原則)

第6条 市民と市民又は市民と行政は、まちづくりを進めるに当たっては、互いの意思疎通を図り合意形成に向けて十分話合いに努めるとともに、その結果についての説明責任を負うものとします。

(協働によるまちづくりの推進の原則)

第7条 市民と市民又は市民と行政は、目的を共有し、それぞれの役割及び責任のもと、自主性を尊重し、対等な立場で連携・協力してまちづくりを進めるものとします。

第3章 市民・事業者

(市民の権利)

第8条 私たち市民は、自治の担い手として、まちづくりに関して、次に掲げる権利を有します。

(1) まちづくりの情報を知る権利

(2) まちづくりに参加・参画する権利

(市民の責務)

第9条 私たち市民は、この条例の規定に基づく権利を行使するに当たっては、一人一人が互いの人権を尊重し、自らの発言と行動に責任を持たなければなりません。

(事業者の責務)

第10条 事業者は、和泉市のまちづくりにかかわる一員として、まちづくりについて理解し、協力するよう努めなければなりません。

第4章 議会・議員

(議会の役割及び責務)

第11条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)の定めるところにより、条例の制定及び改廃、予算の決定、決算の認定等を議決する権限及び市政運営を監視し、牽けん制する等の役割を果たします。

2 議会は、市民の負託にこたえ、市民の意思が市政に適切に反映されるよう活動するとともに、議会活動に関する情報を市民に分かりやすく説明することに努めなければなりません。

3 議会は、開かれた議会運営及び議会の活性化に自ら努めなければなりません。

4 議会は、前3項の役割及び責務を果たすため、議会の持つ権能を最大限に活用するよう努めなければなりません。

(議員の責務)

第12条 議員は、市民の代表として自己研鑽さんに努めるとともに、常に市民の目線に立ち、公正かつ誠実に公共の福祉の実現に努めなければなりません。

2 議員は、議員活動の情報等について、市民に説明するよう努めなければなりません。

3 議員は、調査研究活動及び市民との対話を通じ、政策提言及び政策立案に努めなければなりません。

第5章 市長・職員

(市長の責務)

第13条 市長は、市民の負託にこたえ、この条例の趣旨を尊重し、高い倫理観を持って、公正かつ誠実に行政運営を行わなければなりません。

(職員の責務)

第14条 職員は、全体の奉仕者であることを自覚し、倫理の高揚に努め、この条例その他の法令等を遵守し、公正かつ誠実に職務を遂行しなければなりません。

2 職員は、職務の遂行に必要な知識、技能等の向上を図るとともに、創意工夫をもって職務に精励しなければなりません。

第6章 コミュニティ

(コミュニティ)

第15条 私たち市民は、防犯、防災、福祉などの地域社会における課題を解決し、豊かな地域社会を実現するために、コミュニティが果たす役割を認識し、コミュニティを守り育てるよう、一人一人ができることを行うものとします。

2 私たち市民は、災害時等に助け合うことができるよう、日ごろから情報を共有し、連携体制を築くよう努めるものとします。

3 私たち市民は、互いに連携・協働し、将来を担う子どもが地域の中で健やかに成長する環境を確保するよう努めるものとします。

4 私たち市民は、コミュニティ活動を行うに当たっては、その活動の社会的責任を自覚するとともに、民主的に組織を運営し、地域の活性化に努めるものとします。

5 私たち市民は、コミュニティ活動を行うに当たっては、地域の課題を解決するために、他のコミュニティと情報交換し、連携・協働を積極的に行うよう努めるものとします。

6 行政は、コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、その活動を支援することができます。

(市民相互の意見交換の場)

第16条 私たち市民は、地域における情報交換及びまちづくりについての意見交換を行う場として、対話の場を設置することができます。この場合において、行政は、市民からの申出があるときは、その運営に必要な技術的支援を行うことができます。

第7章 行政運営

(行政運営の基本原則)

第17条 行政運営は、この条例その他の法令等を遵守し、公正を確保し、透明性を高め、市民との信頼関係を築くことを原則とします。

2 行政は、行政情報を市民の市政参加の基礎情報と捉え、適切な時期に分かりやすく提供することにより、市民との情報の共有に努めなければなりません。

3 行政は、市民に対し積極的に参加・参画の機会を設けるとともに、市民意見を踏まえた行政運営を行わなければなりません。

4 行政は、最も効率的で効果的な行政運営を行うため、その手法を常に検討し、選択するよう努めるものとします。

(総合計画)

第18条 行政は、この条例の趣旨に沿って、まちづくりの目標とその達成方針を定めた総合計画を策定し、その進行管理を的確に行わなければなりません。

(行政評価)

第19条 行政は、行政評価を行うに当たり、評価結果を公表するとともに、市民の意見を取り入れた評価制度を運用しなければなりません。

(財政運営)

第20条 行政は、総合計画に基づいた財政計画を定めるとともに、限られた財源を有効に配分した予算編成及び効率的かつ効果的な予算執行を行わなければなりません。

2 行政は、財政運営の透明性を確保する観点から、市民に分かりやすく財政状況を公表しなければなりません。

(行政手続)

第21条 行政は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、行政手続を明確にするとともに、速やかに処分等を行うものとします。

2 行政は、市の基本的な計画、市民生活に多大な影響を及ぼす条例等を市議会に提出し、又は決定しようとするときは、当該計画、条例等の案を公表し、広く市民の意見を聴く手続を取らなければなりません。

(意見、要望、苦情等への対応)

第22条 行政は、市民からの意見、要望、苦情等に迅速かつ誠実に対応するよう努めるものとします。

(人材育成)

第23条 市長は、職員一人一人の能力向上により、組織力の向上を図るため、積極的に人材育成施策を行わなければなりません。

(危機管理)

第24条 行政は、危機の未然防止に努めるとともに、危機の発生時において迅速かつ的確な対応ができるよう、危機管理体制の強化に取り組まなければなりません。

(子どもの育成)

第25条 行政は、保護者、地域住民及び関係団体と連携・協働し、将来を担う子どもが健やかに成長できる環境の確保に努めるものとします。

(他の機関との連携)

第26条 行政は、他の地方公共団体及び関係機関との共通課題又は広域的課題に対し、自主性を保持しつつ互いに連携し、協力し合いながら解決に当たるよう努めるものとします。

第8章 参加・参画・協働

(市民と行政との意見交換の場)

第27条 市民及び行政は、協働によるまちづくりを進めるために、市民と行政との意見交換を目的とする場を設置することができます。

2 行政は、前項に規定する場での意見を政策に反映するよう努めなければなりません。

(政策立案過程への参画)

第28条 私たち市民は、政策の立案過程に参画することができます。

2 行政は、市民が政策の立案過程に参画することができるように、適切な措置を講ずるよう努めなければなりません。

(審議会等)

第29条 審議会等の委員の選任に当たっては、多様な意見を取り入れるため、公募の委員を加えるよう努めなければなりません。

2 審議会等は、その審議が充実したものになるよう、会議の趣旨に応じて運営方法を検討しなければなりません。

3 審議会等の会議及び会議録は、市政の公正の確保と透明性の向上のため、原則公開とします。

4 審議会等に関して必要な事項は、市長等が別に定めます。

(協働の促進)

第30条 行政は、公共サービスにおける市民及びコミュニティの役割を認識し、積極的に協働によるまちづくりを推進しなければなりません。

(協働による事業の実施方法)

第31条 市民、コミュニティ及び行政は、協働による事業の実施に当たり、互いを公共サービスを分担する対等なパートナーとして捉え、相互の役割と責任を理解し、事業の企画段階から協働するよう努めるものとします。

2 市民、コミュニティ及び行政は、協働による事業の実施に当たり、互いに情報を共有し、情報の公開に努めるものとします。

3 市民、コミュニティ及び行政は、公共サービスの更なる向上のために、事業実施後にその事業効果等の客観的評価を行うものとします。

(住民投票)

第32条 本市に住所を有する年齢満18歳以上の者(ただし、外国人については、定住する者に限る。第3項において同じ。)は、市政にかかわる重要事項について、その総数の6分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができます。

2 市長は、前項の規定による請求があったときは、住民投票を実施しなければなりません。

3 住民投票の投票権を有する者は、本市に住所を有する年齢満18歳以上の者とします。

4 議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。

5 住民投票についてその他必要な事項は、この条例の趣旨に基づいて別に条例で定めます。

第9章 条例の実効性の確保

(自治推進審議会)

第33条 この条例をいかし育て、より実効性を高めるため、市長の附属機関として和泉市自治推進審議会(以下「審議会」という。)を設置します。

2 審議会は、委員15人以内をもって組織します。

3 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議するものとします。

(1) この条例の運用に関すること。

(2) この条例の見直しに関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、この条例の趣旨の推進に関すること。

4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

(条例の見直し)

第34条 市長は、この条例をいかし育てるために、必要に応じて見直すものとします。

附 則

この条例は、平成23年9月1日から施行します。ただし、第32条の規定は、規則で定める日から施行します。