明石市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 明石市 | 自治体コード | 28203 |
都道府県名 | 兵庫県 | 都道府県コード | 00028 |
人口(2015年国勢調査) | 303,601人 |
条例データ
制定年 | 2010年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 政策提案制度 住民投票 オンブズマン/オンブズパーソン 審議会委員の市民公募/委員公募 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.akashi.lg.jp/community/s_kyoudou_shitsu/shise/jore/jichi/index.html |
条例本文
明石市自治基本条例
平成22年3月26日条例第3号
明石市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 自治の主体
第1節 市民(第5条―第7条)
第2節 市議会(第8条・第9条)
第3節 市長等及び職員(第10条・第11条)
第3章 市民参画と協働の仕組み
第1節 市政への市民参画(第12条―第15条)
第2節 協働のまちづくり(第16条―第20条)
第3節 情報の共有(第21条―第24条)
第4章 市政運営(第25条―第36条)
第5章 国及び他の地方公共団体との関係(第37条)
第6章 条例の検証及び見直し(第38条)
附則
遠く万葉の昔から歌人たちに愛され、源氏物語の舞台として登場するわたしたちのまち。明石城に登れば、明るい瀬戸内の海に淡路島が迫り、明石海峡大橋を望む、海の幸にも恵まれた“ゆほびか”な風土。近代化の幕開けとともに日本標準時のまちにも定められました。これらはすべて、わたしたちのほこりです。
この明石のまちを、いつまでも暮らし続けたい、もっとほこらしいまちにしたいと願って、わたしたちは明石市自治基本条例を定めることにしました。
もちろん、これまでも、暮らしていてよかったと思える、安全で安心に暮らせる豊かなまち、人をいたわり互いの尊厳や人権を大切にし、自然をいつくしむ優しさにあふれたまちを目指してきました。全国に先駆けて「コミュニティ都市」宣言をし、コミュニティづくりにも力を注いできた先人の努力をわたしたちは知っています。
しかし、こうしたまちづくりの取組をさらに深化させ、質を高めるためには、市長・市役所や市議会などだけでなく、場合によってはわたしたち市民がもっと積極的に役割を分担し、かかわっていくことも必要になってきています。
大切なのは、これからの「明石の自治」の主体となっていかなければならないのは、わたしたち市民だという意識です。明石に住む。明石で働く。明石で活動する。わたしたちがこうあってほしいと望むまちに、みんなで力を合わせて挑戦していく決意と行動が、新しいまちづくりのきっかけになっていきます。
明石市自治基本条例は、市民主体のより質の高いまちづくりを実現するために、市民による「参画と協働のまちづくり」と、よりよい公共サービスを受けることができる「市政運営の実現」という、明石のまちづくりを担う全員が共有しなければならない最も大切なことを定めた、「明石の自治」の指針となるものです。
この条例が、豊かで優しさにあふれた、これからもほこりに思えるまち明石を築く大きな一歩となることを望みます。
(注) 「ゆほびか」とは、ゆったり豊かなさまをあらわす日本の古語で、「源氏物語」にも登場しています。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、明石市における自治の基本原則を明らかにし、自治を担う主体の権利、責務等を明確にするとともに、市政に関する基本的な事項を定めることにより、市民自治によるまちづくりを推進し、もって「明石の自治」の実現を目指すことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住する者(以下「住民」という。)、市内で働き、若しくは学ぶ者又は事業者等をいう。
(2) 事業者等 市内において、事業活動又は市民活動を行う者又は団体をいう。
(3) 市長等 市長その他の執行機関(教育委員会、監査委員、選挙管理委員会、公平委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会)をいう。
(4) 市 市議会及び市長等によって構成される基礎自治体としての明石市をいう。
(5) 参画 市の政策等の計画段階から実施、評価、改善に至るそれぞれの段階において、市民が主体的に関わっていくことをいう。
(6) 協働 市民と市、市民同士が、それぞれの知恵や経験、専門性などの資源を生かし、尊重し合いながら、果たすべき役割と責任を自覚し、共に考え、共に力をあわせることをいう。
(条例の位置付け等)
第3条 この条例は、自治の基本を定めるものであり、市は、他の条例、規則等の制定改廃及び運用に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重し、この条例との整合性を図るものとする。
2 市は、この条例に定める内容にのっとり、政策分野ごとの基本条例の制定や見直しを行い、他の条例、規則等又は政策の体系化を図るものとする。
(自治の基本原則)
第4条 市民及び市は、次に掲げる事項を基本原則として、自治を推進するものとする。
(1) 市政への市民参画 自治の主体は市民であり、市民の市政への参画の機会が保障されること。
(2) 協働のまちづくり 市民と市、市民同士は、適切な役割分担の下で連携し、協働してまちづくりに取り組むこと。
(3) 情報の共有 市民と市、市民同士は、市政への市民参画や協働のまちづくりを進めるに当たって、互いに情報を共有し合うこと。
第2章 自治の主体
第1節 市民
(市民の権利)
第5条 市民は、自治の主体であり、市政に参画する権利及び市政に関する情報を知る権利を有する。
2 市民は、まちづくりのための主体的又は自主的な活動を自由に行う権利を有する。
3 市民は、市民同士や市と協働したまちづくりのため、まちづくりに関する情報を知る権利を有する。
4 市民は、市政に参画しないことによって不利益な取扱いを受けない。
(市民の役割)
第6条 市民は、市政に関心を持ち、積極的に参画するよう努めるものとする。
2 市民は、自らの発言と行動に責任を持つとともに、まちづくりにおいて互いの意見及び行動を尊重し合うものとする。
(事業者等の権利及び役割)
第7条 事業者等は、市政に関する情報を知る権利及びまちづくりに参加する権利を有する。
2 事業者等は、市民と共に地域社会を構成するものとして、社会的責任を自覚し、地域との調和を図り、まちづくりの推進に寄与するよう努めるものとする。
第2節 市議会
(市議会の役割、責務等)
第8条 市議会は、市民の目線に立って、市政の重要事項を決定するとともに、市政に対する監視及び調査を的確に行い、適正な執行を確保するものとする。
2 市議会は、市民ニーズ及び地域の実情を的確に把握し、政策の立案又は提言を行うものとする。
3 市議会は、活動報告会の実施等により、議会活動について積極的に市民に情報発信するとともに、市民の意思を市政に反映するために、市民参加を推進し、市民に開かれた議会運営に努めなければならない。
4 市議会は、合議制の意思決定機関であることを認識し、意思決定を行うに当たっては、十分な議論を尽くし、議員相互の自由討議によって合意形成を図るものとする。
(市議会議員の責務)
第9条 市議会議員は、市民の代表者として、市民全体の利益を優先して行動し、市民福祉の増進に寄与するとともに、自己研鑽に努め、議員としての行動規範又は道理をわきまえ、市議会の役割、責務等が果たされるよう努めなければならない。
2 市議会議員は、市民への情報提供又は活動報告を行うとともに、市民の意見及び地域の課題を把握する等、情報収集に努めなければならない。
3 市議会議員は、政策立案能力の向上に努め、政策提案、市政調査等の権限を積極的に活用するものとする。
第3節 市長等及び職員
(市長等の責務)
第10条 市長は、市政の代表者として、市民の信託にこたえ、公正かつ誠実に、市政運営を行わなければならない。
2 市長は、毎年度、市政の基本方針を明らかにするとともに、その達成状況を市民及び市議会に報告しなければならない。
3 市長等は、市民のニーズを的確に判断し、職務の執行に当たって説明責任を果たさなければならない。
4 市長等は、それぞれ相互に連携・協力し、一体として、市政運営に当たらなければならない。
(職員の責務)
第11条 職員は、全体の奉仕者であり、法令を遵守し、市民に対して丁寧で分かりやすい説明に努め、公正かつ誠実に、その職務を遂行しなければならない。
第3章 市民参画と協働の仕組み
第1節 市政への市民参画
(市政への市民参画における市長等の責務)
第12条 市長等は、市民の市政への参画の機会を保障する。
2 市長等は、市民の意見を的確に受け止めることができるよう市民参画に関して職員の意識を高めるものとする。
(市民参画の手法)
第13条 市長等は、市民が市政に参画することができるよう多様な参画手法を用いるものとする。
2 市長等は、別に定めるところにより、市民から具体的な政策等の提案があったときは、当該政策等について検討し、その結果及び理由を原則として公表するものとする。
(住民投票)
第14条 将来にわたって明石市に重大な影響を及ぼすと考えられる事項について、住民が市長に対して住民投票の実施を請求したときは、市長は、住民投票を実施しなければならない。
2 市長等及び市議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
3 住民投票の発議要件、請求手続、投票に付すべき事項、投票の資格要件、実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
(条例に基づく市民参画の推進)
第15条 市民参画の手法、手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
第2節 協働のまちづくり
(協働のまちづくりにおける市長等の責務)
第16条 市長等は、市民と共に協働の仕組みづくりに取り組むものとする。
2 市長等は、まちづくりのための基盤整備を図るとともに、市民との円滑な連携を図るため、市民活動への支援を行うものとする。
3 市長等は、協働に関して職員の意識を高めるものとする。
(地域コミュニティ)
第17条 市民は、地域の多岐にわたる課題に総合的に対応するための組織(以下「協働のまちづくり推進組織」という。)を設立し、地域コミュニティとして協働のまちづくりを推進する。
2 協働のまちづくり推進組織が担うまちづくりの基本的な単位は、小学校区とする。
(協働のまちづくり推進組織)
第18条 協働のまちづくり推進組織は、民主的で開かれた運営を行い、地域での組織づくり及び活動に当たっては、地縁による団体その他各種団体間の連携、協力に努めるものとする。
2 協働のまちづくり推進組織は、地域での課題解決に向け、地域で意見を集約し、合意形成を図った上で、まちづくりに関する協働の提案を市長等に対して行うことができる。
3 市長等は、協働のまちづくり推進組織からまちづくりに関する協働の提案が行われた場合には、協議の上、真摯に検討し、対応しなければならない。
(協働のまちづくりの拠点)
第19条 小学校区コミュニティ・センターを協働のまちづくりの拠点として位置付け、市民と市、市民同士が地域等の情報を共有する場又は地域自らが地域のまちづくりを考え実践する場、市民と市が協働するための場等まちづくりの場とする。
(条例に基づく協働のまちづくりの推進)
第20条 協働のまちづくりの推進方策その他必要な事項については、別に条例で定める。
第3節 情報の共有
(情報の共有における市長等の責務)
第21条 市長等は、市民が必要とする情報を的確に把握するとともに、市政情報を適切な時期に、適切な方法で、積極的に、分かりやすく市民に公開及び提供するなど、情報の共有を図らなければならない。
2 市長等は、別に条例で定めるところにより、積極的に各種の情報の提供又は公表を進め、情報公開を総合的に推進していくことに努めなければならない。
(個人情報の保護)
第22条 市長等は、情報の共有に当たっては、別に条例で定めるところにより、市政全体において、個人情報を保護しなければならない。
(市民から市長等への情報提供)
第23条 市民は、市長等に対して積極的に必要な情報の公開若しくは提供を求め、又は地域での情報を積極的に提供し、情報の共有に努めるものとする。
(市民同士の情報の共有)
第24条 市民は、互いに、個人情報の保護には十分配慮した上で、積極的に情報の交換を行い、情報の共有に努めるものとする。
2 市民活動を行う者又は団体は、その活動内容を地域において積極的に公開し、情報の共有に努めるものとする。
第4章 市政運営
(基本原則)
第25条 市長等は、次に掲げる事項を基本原則として、市政を運営するものとする。
(1) 参画と協働に基づくこと。
(2) 公正で透明であること。
(3) 効果的で効率的であること。
(4) 施策を計画的に実施し、実施結果について評価を行うこと。
(総合計画等)
第26条 市長は、市政を総合的かつ計画的に運営していくための基本となる計画(以下「総合計画」という。)を市民参画の下で定めなければならない。
2 市長は、市民と共にまちづくりを進めていくため、市民と共有できるまちづくりの目標を総合計画に定めるものとする。
3 市長は、総合計画に定めるまちづくりの目標を実現するため、具体的な施策・事業について個別の計画を定めるとともに、実行していくための計画を策定し、達成目標等をできる限り数値で示すものとする。
4 市長は、総合計画及び前項に規定する計画(以下「総合計画等」という。)に基づくまちづくりを推進していくため、適切な進行管理を行い、検証及び評価をし、必要に応じ見直しを行うものとする。
5 予算編成等の財政運営、評価、行政改革、組織編成等は、総合計画等と調整を図りながら行われなければならない。
(財政)
第27条 市長は、総合計画等に基づき、又は事業等の評価を踏まえ、計画的な財政運営を行い、予算を編成しなければならない。
2 市長は、財源の確保及び効果的で効率的な経費支出に配慮することにより、健全で持続可能な財政運営に努めなければならない。
3 市長は、市全体の財政情報を市民に分かりやすく公表しなければならない。
(政策法務)
第28条 市長等は、地域の実情にあった質の高い行政を行うために、職員の法務に関する能力を高めるなど、法務の体制を充実しなければならない。
2 市長等は、積極的に政策づくりを推進するため、自治立法権等を有効に活用していかなければならない。
(評価)
第29条 市長等は、実施する事業等について、市民参画の下、検証及び評価を行い、その結果を公表しなければならない。
2 市長等は、前項の評価の結果を、総合計画等、財政運営、予算編成、組織編成又は個別の事業等に反映させるよう努めなければならない。
3 評価に関し必要な事項については、別に条例で定める。
(行政改革)
第30条 市長等は、積極的に市民活力を活用しながら、持続可能な行財政体質を構築しなければならない。
2 市長等は、質の高い、効果的で効率的な市民サービスを行うため、行政改革の推進に取り組まなければならない。
(組織)
第31条 市長等は、市民に分かりやすく、簡素で機能的な組織を編成しなければならない。
2 市長等は、市民サービスができるだけ市民に身近なところで処理されるよう組織の整備、充実を図るとともに、社会情勢又は市民ニーズの変化に的確に対応し、常に組織の見直しを図らなければならない。
(行政手続)
第32条 市長等は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民の権利利益の保護に資するため、別に条例で定めるところにより、行政手続を適正に行わなければならない。
(要望、苦情等への対応)
第33条 市長等は、市民の市政に対する要望、苦情等に対して誠実かつ迅速に対応し、その内容を施策又は事業の改善に反映するよう努めるとともに、当該要望、苦情等に対する検討結果及びその理由を公表しなければならない。
(行政オンブズマン)
第34条 市長は、市政に関する市民の権利利益の侵害を救済する制度として、別に条例で定めるところにより、行政オンブズマンを設置する。
(法令遵守及び公益通報)
第35条 市長等又は職員は、法令を誠実に遵守しなければならない。
2 職員は、公正な職務の執行を妨げるような違法又は不当な事実があると思ったときは、通報するものとする。
3 前項に規定する公益通報等に関する処理その他必要な事項については、別に条例で定める。
(危機管理)
第36条 市長等は、市民の安全と安心を確保するため、適切なリスク管理(危険を予測し、その対策を講ずることをいう。)を行うほか、緊急事態に適切に対処できる体制の充実及び強化を図らなければならない。
2 市長等は、市民、関係機関並びに国及び他の地方公共団体と相互に連携、協力しながら、市民の安全と安心の推進に取り組まなければならない。
第5章 国及び他の地方公共団体との関係
(国及び他の地方公共団体との関係)
第37条 市長等は、共通の課題又は広域的課題を解決するため、国及び他の地方公共団体と相互に連携し、協力するよう努めるものとする。
第6章 条例の検証及び見直し
(条例の検証及び見直し)
第38条 市長等は、この条例の施行後、5年を超えない期間ごとに、この条例の内容が本市にふさわしく、社会情勢に適合しているかどうか検証し、その結果を踏まえ、この条例及びこの条例に基づく制度等の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講ずるものとする。
2 前項に規定する検証及び見直しは、市民参画の下で行われなければならない。
附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。