奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例
自治体データ
自治体名 | 奈良市 | 自治体コード | 29201 |
都道府県名 | 奈良県 | 都道府県コード | 00029 |
人口(2015年国勢調査) | 354,630人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント公聴会 審議会委員の市民公募 その他 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.nara.lg.jp/site/ordinance/2346.html |
条例本文
○奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例
平成21年6月25日条例第34号
奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 まちづくりの基本理念等(第3条・第4条)
第3章 市民等の役割及び市の責務(第5条-第9条)
第4章 市民公益活動の推進(第10条-第12条)
第5章 市政への参画及び市との協働(第13条-第17条)
第6章 市民参画及び協働によるまちづくり推進計画(第18条)
第7章 市民参画及び協働によるまちづくり基金の設置(第19条)
第8章 市民参画及び協働によるまちづくり審議会の設置(第20条)
第9章 条例の検討(第21条)
附則
わたしたちのまち奈良は、平城京の昔から綿々と受け継がれてきた歴史と風土を大切にし、豊かな文化と美しい自然や環境を守りながら、今日の暮らしの礎を築き、発展してきました。
しかし、近年、地域をめぐる環境が大きく変わり、市民のニーズが多様化し、様々な新しい課題が生まれてきています。これらの課題を解決するためには、行政だけではなく市民一人ひとりが持っている力を発揮することが必要です。
これからの奈良のまちづくりは、市民、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市が力を出し合い、それぞれが市政に参画し、協働しながら行うことが大切です。
これまでにわたしたちが守ってきた世界に誇る奈良の文化を未来に引き継ぎ、生かしていくために、そして、奈良のまちを世界に開かれた、多様性に富み、持続的発展が可能な住みよいまちにするために、この条例を制定します。
さあ、みんなで一緒にまちづくりを進めましょう。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市におけるまちづくりについての基本理念並びにその実現を図るための市民参画及び協働に関する基本的事項を定め、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会が行う公益活動を推進するとともに、市民の市政への主体的な参画並びにそれぞれの主体による互いの立場及び役割の明確な確認と尊重に基づいた協働により、個性豊かで魅力ある、多様性に富み、持続的発展が可能な住みよいまちを実現し、これを将来に引き継ぐことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民参画 市の施策の企画立案の過程から実施及び評価に至る各段階において、市民が主体的に参加し、意思形成にかかわることをいう。
(2) 協働 市民、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市が対等な立場で、互いの特性を尊重し認め合い、企画立案の過程から実施及び評価に至るまで、協議しながら共通の目的である公共的な課題の解決のため共に取り組むことをいう。
(3) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(4) 事業者 市内において事業を行う法人その他の団体及び個人をいう。
(5) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、専修学校及び各種学校をいう。
(6) 市民公益活動 市民が、市民生活の向上を目指し、社会的な課題の解決に向けて、自発的な意思に基づいて継続的に行う不特定多数の者の利益の増進を図ることを目的とする活動をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 営利を目的とする活動
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする活動
ウ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする活動
エ 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下この号において同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
(7) 市民公益活動団体 地域自治組織(自治会その他の市内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて組織された団体をいう。)、NPO法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人をいう。)、ボランティア団体その他の団体で、市民公益活動を継続的に行うものをいう。
(8) 地域自治協議会 共同体意識の形成が可能な一定の地域(おおむね市立小学校の通学区域をいう。)において、当該地域の市民、市民公益活動団体、事業者、学校その他のものが一体となって民主的に運営し、地域づくりを行う組織で、市長の認定を受けて設置するものをいう。
第2章 まちづくりの基本理念等
(まちづくりの基本理念)
第3条 本市におけるまちづくりは、次の基本理念に基づき推進するものとする。
(1) 人権が尊重され、心豊かに暮らせる安全安心で快適なまちづくりを行うこと。
(2) 次世代を担う子どもたちが健やかに成長し、たくましく生きる力を育成する教育のまちづくりを行うこと。
(3) 全ての人が生きがいを持ち、健康で健やかに暮らせる福祉のまちづくりを行うこと。
(4) 豊かな自然環境を生かした、緑あふれる美しいまちづくりを行うこと。
(5) 奈良の文化を未来に引き継ぎ、個性豊かなまちづくりを行うこと。
(まちづくりの基本原則)
第4条 前条の基本理念に基づくまちづくりを推進するに当たっては、次に掲げる基本原則にのっとって、市民参画及び協働によらなければならない。
(1) 市は、市政に対する市民参画の権利を保障するとともに、まちづくりの公共性及び公平性を確保すること。
(2) 市民、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市は、互いに対等な関係を保ち、相互の自主性を尊重しつつ、協働によるまちづくりの推進に努めること。
(3) 市民、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市は、それぞれの特性及び果たすべき役割を自覚して、互いに役割を分担し、かつ、連携し、協働してまちづくりを行うよう努めること。
第3章 市民等の役割及び市の責務
(市民の役割)
第5条 市民は、まちづくりの主体として自らの果たすべき役割を自覚し、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市との協働を進め、市民参画及び協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
(市民公益活動団体の役割)
第6条 市民公益活動団体は、自己の責任の下に自らの活動を推進するとともに、市民、事業者、学校、地域自治協議会及び市との協働を図り、市民参画及び協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、協働に関する理解を深めるとともに、市民、市民公益活動団体、学校、地域自治協議会及び市と連携し、協働し、自発的に市民参画及び協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
(学校の役割)
第8条 学校は、教育若しくは研究の成果等を社会に還元し、又は施設を地域に開放し、まちづくりに参画する等地域と深く交流し、連携し、協働するとともに、市民公益活動の活性化に努めなければならない。
(地域自治協議会の役割)
第8条の2 地域自治協議会は、地域の課題解決を図るとともに、住みよいまちづくりの推進に努めるものとする。
2 地域自治協議会は、民主的で透明性の確保された運営を行い、市民に開かれた取組を行わなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、地域自治協議会の設置、認定及び運営に関する事項は、規則で定める。
(市の責務)
第9条 市は、奈良市情報公開条例(平成19年奈良市条例第45号。以下「情報公開条例」という。)の規定に基づき市が保有する情報の提供及び公開を推進し、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会とその情報を共有するよう努めるとともに、市民公益活動の促進及び活性化のために必要な施策を市民とともに策定し、実施しなければならない。
2 市は、市民、市民公益活動団体、事業者及び地域自治協議会が行う市民公益活動を促し、必要な支援を行うとともに、それぞれの主体との協働に努めなければならない。
3 市は、市職員に対する市民参画及び協働によるまちづくりに関する啓発や研修等を行い、職員一人一人の意識の向上を図らなければならない。
4 市は、関係機関とも連携し、市民参画及び協働によるまちづくりの推進に努めなければならない。
第4章 市民公益活動の推進
(情報の収集及び共有)
第10条 市は、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会が自ら地域における課題について考え、解決に向けて取り組むうえで必要となる市民公益活動に関する情報の収集に努めなければならない。
2 市民、市民公益活動団体、事業者、学校、地域自治協議会及び市は、互いに市民参画及び協働によるまちづくりに関して必要な情報の共有に努めるものとする。
(学習機会の提供等)
第11条 市は、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会が市民公益活動に関する理解を深めることができるよう、学習機会の提供その他必要な措置を講じるものとする。
(拠点施設の機能の充実)
第12条 市は、市民公益活動を活性化させるため、その活動の拠点となる施設の機能の充実を図るものとする。
第5章 市政への参画及び市との協働
(市政への参画の機会等)
第13条 市は、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会が、市の意思形成過程、政策決定過程、政策実行過程、政策評価過程の全てにおいて参画できる機会を充実させ、市との協働を促進するために、次に掲げる措置を講じるものとする。
(1) 市の意思形成段階から行政情報を提供し、市民、市民公益活動団体、事業者及び地域自治協議会からの意見を受け止めるとともに、市民、市民公益活動団体、事業者及び地域自治協議会が市政に多様な形で参画できるための仕組みを整備すること。
(2) 市民、市民公益活動団体、事業者及び地域自治協議会からの、市との協働についての提案及び相談のための窓口としての機能を整備すること。
(市民参加の方法及び実施)
第14条 市は、市政に関する重要な施策の意思決定、実施及び評価を行うときは、公聴会、意見交換会その他市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会の意見を反映するため、最も適切かつ効果的であると認められるものを行うよう努めなければならない。
2 市は、市政に関する基本的な計画の策定又は改廃及び重要な制度の創設又は改廃その他の行為で別に定めるものを行うときは、パブリックコメント手続(市の基本的な政策等を策定する過程において、その内容その他必要な事項を広く公表し、これらについて市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会から直接に意見及び提言を求め、それに対する本市の考え方を明らかにするとともに、意思決定に反映させる機会を確保するための一連の手続をいう。以下同じ。)を行うものとする。ただし、迅速若しくは緊急を要するもの、実施機関の裁量の余地が少ないと認められるもの又は軽微なもの等を行うときは、この限りでない。
3 市は、パブリックコメント手続により提出された市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び地域自治協議会の意見を十分考慮して意思決定を行うとともに、その意見に対する考え方を取りまとめて公表するものとする。
4 パブリックコメント手続の実施に関し必要な事項は、別に定める。
(会議の公開)
第15条 市は、情報公開条例第29条の規定に基づくもののほか、会議等の公開の推進に努めるものとする。
(審議会等の委員の選任)
第16条 市は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき設置する審議会その他の附属機関及びこれに類する機関(以下「審議会等」という。)の委員の構成に市民を積極的に加えるよう努めなければならない。
2 前項の規定により市民を審議会等の委員にしようとするときは、当該委員については公募により選任するよう努めるものとする。
(市が行う業務における協働機会の拡大)
第17条 市は、市民公益活動団体及び地域自治協議会が有する特性を生かすことにより、市民公益活動の活性化及び活用を図ることができると認められる事業について、当該団体に対して参入及び協働の機会を拡大するよう努めるものとする。
第6章 市民参画及び協働によるまちづくり推進計画
(市民参画及び協働によるまちづくり推進計画)
第18条 市長は、市民参画及び協働によるまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり推進計画(以下「推進計画」という。)を定めなければならない。
2 市長は、推進計画を定め、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
3 市長は、毎年度、推進計画に基づき講じる施策の実施計画及び実施状況を公表しなければならない。
4 市長は、市民参画及び協働の推進状況を踏まえ、5年を超えない期間ごとに、推進計画を見直さなければならない。見直しに当たっては、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり審議会の意見を聴くものとする。
第7章 市民参画及び協働によるまちづくり基金の設置
(市民参画及び協働によるまちづくり基金の設置)
第19条 本市における市民公益活動の推進に資するため、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり基金を設置する。
第8章 市民参画及び協働によるまちづくり審議会の設置
(市民参画及び協働によるまちづくり審議会の設置)
第20条 第18条第4項及び次条に定めるもののほか、市民参画及び協働によるまちづくりの推進に関する重要事項について、市長の諮問に応じて調査審議するため、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市民参画及び協働によるまちづくりの推進に関する重要事項について、必要に応じて市長に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員10人以内で組織する。
4 委員は、市民参画及び協働に関し優れた識見を有する者のうちから市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第9章 条例の検討
(条例の検討)
第21条 市は、この条例の施行後5年を超えない期間ごとに、この条例の規定について検討し、必要があると認めるときは、審議会の意見に基づいて条例の改正その他必要な措置を講じるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成21年7月1日から施行する。
(奈良市報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 奈良市報酬及び費用弁償に関する条例(昭和27年奈良市条例第30号)の一部を次のように改正する。
別表第1に次のように加える。
市民参画及び協働によるまちづくり審議会の委員
日 額 10,000円
附 則(令和元年12月26日条例第33号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現にこの条例による改正後の奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例第2条第8号の認定に相当する認定を受けて設置されている組織は、同号の認定を受けて設置されている地域自治協議会とみなす。