備前市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 備前市 | 自治体コード | 33211 |
都道府県名 | 岡山県 | 都道府県コード | 00033 |
人口(2015年国勢調査) | 32,320人 |
条例データ
制定年 | 2010年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント ワークショップ 審議会委員の市民公募 政策提案制度 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.bizen.okayama.jp/soshiki/11/772.html |
条例本文
備前市まちづくり基本条例
平成22年3月17日
条例第11号
目次
前文
第1章 条例全体における約束事(第1条―第15条)
第2章 行政参画及び市民活動の推進(第16条―第26条)
第3章 協働(第27条・第28条)
第4章 実効性の確保(第29条―第31条)
第5章 雑則(第32条)
附則
備前市は、恵まれた美しい海や山の自然、千年の歴史と伝統を誇る備前焼や国宝である閑谷学校などの貴重な文化遺産を、先人たちが守り、育みながら発展してきました。
私たちは、先人たちが培ってきた歴史や文化、自然などの貴重な財産を次世代に引き継ぎ、みんなが安全で安心し、活気にあふれ、幸せに暮らし続けられるまちづくりを更に進めていく必要があります。
そのためには、私たちは、相互に理解し合い、力を合わせ、一人ひとりが誇りと責任を持ち、協力してまちづくりに取り組んでいかなくてはなりません。
そこで、私たちは、幸せに暮らし、住んで良かったと言えるまちにするために、この条例を制定します。
第1章 条例全体における約束事
(目的)
第1条 この条例は、まちづくりの基本理念と仕組みを明らかにし、市民、市及び市議会が切磋琢磨し、一体となって暮らしやすいまちづくりを実現することを目的とするものです。
(用語の意味)
第2条 この条例で使用する用語の意味は、次のとおりです。
(1) 「市民」とは、市内に在住し、在勤し、又は在学する個人及び市内で活動する法人その他の団体をいいます。
(2) 「市」とは、市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会の各執行機関をいいます。
(3) 「市議会」とは、市民の選挙によって選ばれた市民の代表である議員によって構成されるものをいいます。
(4) 「参画」とは、市の政策の立案、実施及び評価に至る過程に、責任を持って主体的に関与することをいいます。
(5) 「協働」とは、市民、市及び市議会が、それぞれの役割のもとで、まちづくりのために対等な立場で共に考え、協力し、又は行動することをいいます。
(6) 「市民活動」とは、市民が自主的に行う暮らしやすいまちの実現に寄与することを目的とした活動をいい、営利を目的とするもの、宗教的又は政治的な活動を主な目的とするもの及び特定の公職の候補者や政党を支持するものは除きます。
(位置付け)
第3条 この条例は、まちづくりについて、市民、市及び市議会が共に尊重していく最高規範です。
2 市及び市議会は、他の条例や制度をつくったり、改めたり、廃止するときには、この条例を尊重しなければなりません。
(基本理念)
第4条 市民、市及び市議会は、市民の幸せを目指して、まちづくりを進めます。
(基本原則)
第5条 まちづくりは、市民の意思に基づき、次に掲げる基本原則によって推進されなければなりません。
(1) 市民は、住民自治のまちづくりを行うために、自ら考え行動し、責任を持ち、平等に参画することが保障されなければなりません。
(2) 市民は、日常的かつ気軽に市民活動ができます。
(3) 市及び市議会は、市政に関する情報を積極的に公開し、市民と情報を共有します。
(4) 市民、市及び市議会は、夢と希望の持てるまちづくりに向けて協働します。
(5) 市及び市議会は、まちづくりを進めるに当たっては、次世代への負担とまちの将来を考え、健全な財政運営を行います。
(6) 市民、市及び市議会は、市民一人ひとりの人権が保障され、何人も差別されることなく、その個性及び能力が十分発揮されるまちづくりを行います。
(市民の権利)
第6条 市民は、まちづくりに参画する権利を持ちます。
2 市民は、まちづくりに関する情報を知る権利を持ちます。
3 市民は、市の方針や事業の計画を立てるところから実施、評価までの各段階において参画する権利を持ちます。
4 青少年及び子どもは、それぞれの年齢に応じてまちづくりに参画する権利を持ちます。
5 市民は、まちづくりによってもたらされる行政サービスを等しく受ける権利を持ちます。
(市民の役割及び責務)
第7条 市民は、広い視野に立って自らの発言と行動に責任を持ち、積極的にまちづくりに参画するよう努めなければなりません。
2 市民は、互いの活動を尊重し、認め合い、助け合いながらまちづくりを進めるよう努めなければなりません。
3 市民は、前条の権利の行使に当たっては、これを濫用することなく、また、その負担を分任する義務を負っています。
(コミュニティ活動)
第8条 市民は、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を実現するため、自主的な意思によってまちづくりに取り組み、お互いに助け合い、地域の課題を共有し、解決に向けて自ら行動するものとします。
2 市は、前項に規定する地域における市民の自主的なコミュニティ活動の役割を尊重しながら適切な施策を講じなければなりません。
(市民公益活動)
第9条 市は、市民により自発的かつ自主的に行われる非営利の活動で、様々な分野で社会的な課題を解決し、より良い社会づくりに寄与することを目的とする市民公益活動を尊重するとともに、その活動を促進するための適切な施策を講じなければなりません。
(市議会の役割及び責務)
第10条 市議会は、暮らしやすいまちづくりを進めるために、次に掲げることに努めなければなりません。
(1) 市議会は、市民の意思決定を行う最高機関であり、市民の思いや気持ちが反映されるように努めなければなりません。
(2) 市議会は、市政が適切に運営されているか、調査及び監視をするとともに、政策提言や立法活動の充実に努めなければなりません。
(3) 市議会は、自らの持つ情報を積極的に公開し、決定の経過や内容を適切に分かりやすく市民に説明するよう努めなければなりません。
(4) 市議会は、原則として会議を公開し、開かれた議会の運営に努めなければなりません。
(議員の役割及び責務)
第11条 議員は、前条の規定を実践するため、次に掲げることに努めなければなりません。
(1) 議員は、広い視野に立つとともに自らの判断に責任を持って市議会としての意思決定に臨まなければなりません。
(2) 議員は、市民から選ばれた公職者として、公正で誠実に仕事を行い、常にまちづくりのために調査研究し、課題解決に向けた取組に努めなければなりません。
(3) 議員は、広く市民との対話や議会報告会の開催など広報活動を行い、まちづくりの推進に努めなければなりません。
(市の役割及び責務)
第12条 市は、市民の幸せを目指したまちづくりを進めるため、次に掲げることに努めなければなりません。
(1) 市は、自らの持つ情報を積極的に公開し、市民と共有することに努めなければなりません。
(2) 市は、暮らしやすいまちづくりを専門的に担うものとして、行財政改革に不断に取り組むことに努めなければなりません。
(3) 市は、この条例に関する市職員の十分な理解と意識の高揚を図ることに努めなければなりません。
(4) 市は、市の方針や事業の計画を立てるところから実施、評価までの過程において、市民からの提案、意見、要望等を反映させることに努めなければなりません。
(5) 市は、まちづくりに関する市民からの質問、意見、要望等に対し、速やかに、かつ、誠実に答えることに努めなければなりません。
(6) 市は、協働によるまちづくりを推進するに当たり、互いに協力できるよう必要な支援を行うことに努めなければなりません。
(市長の役割及び責務)
第13条 市長は、この条例の趣旨に基づき市民の幸せを目指し、公正で誠実に市政を行わなければなりません。
2 市長は、効率的に組織を運営し、市職員の能力向上に努めなければなりません。
(市職員の役割及び責務)
第14条 市職員は、この条例を自覚し、常に公正で誠実、そして能率的に職務を行わなければなりません。
2 市職員は、まちづくりの専門スタッフとして、市民と協働し、まちづくりの推進役として十分に能力を発揮し、市民がお互いに連携できるよう努めなければなりません。
(情報手段の有効利用)
第15条 市及び市議会は、市民主体による市民活動を推進するために、市民活動や行政参画に関する情報や案内などについて、次の広報媒体などを通じて、分かりやすく積極的に情報提供を行うよう努めなければなりません。
(1) 広報紙
(2) 市ホームページ
(3) 市役所担当窓口での供覧又は配布
(4) 市役所や地区公民館への掲示
(5) 地域コミュニティ回覧板
(6) 地域ケーブルテレビ
(7) その他適切な方法
第2章 行政参画及び市民活動の推進
(市民に重大な影響を及ぼす行政活動への参画)
第16条 市は、次に掲げる事項について、あらかじめ参画の機会を設けます。
(1) 市の総合計画などの策定又は変更
(2) 市政に関する基本方針を定め、又は市民に義務を課し、若しくは市民の権利を制限することを内容とする条例の制定又は改廃
(3) 広く市民に適用され、市民生活に重大な影響を及ぼす制度の導入又は改廃
(4) 新たに設置する公共の大規模施設に係る基本計画の策定やその施設の運営方針
2 市は、前項に掲げる事項のうち、次の各号のいずれかに該当するものについては、参画の機会を設けないことができます。
(1) 法令の規定により、実施基準が定められ、それに基づいて行うもの
(2) 軽微なもの
(3) 緊急を要するもの
(4) 市の内部の事務処理に関するもの
3 市は、前項の規定により参画の機会を設けないこととした事項について、請求があった場合、その理由を付して、これを公表しなければなりません。
4 市は、第1項に掲げる以外の事項についても、参画の機会を設け、広く行政参画を推進することができます。
(行政評価への参画)
第17条 市は、効率的かつ効果的に市政を運営するため、行政評価を行わなければなりません。
2 市は、行政評価について、内部評価と外部評価の両方を行うよう努めることとし、その結果を分かりやすく市民に公表し、まちづくりに活かさなければなりません。
(審議会等の公募委員参画)
第18条 市は、第16条第1項及び前条第2項に関し審議会等を設置し、委員を選任するときは、その一部又は全部に公募の委員を加えるよう努めなければなりません。
2 市は、審議会等の会議を原則公開とします。
(日常的な行政参画の推進)
第19条 市は、日頃から市民との積極的な対話を心掛けるなど、第16条第1項及び第17条第2項の参画の機会に限らず、日常的に行政参画を積極的に推進します。
(参画の機会の提供方法)
第20条 市民への参画の機会の提供方法は、次に掲げる方法で行います。
(1) 審議会等の会議の公開とそれらの委員の公募
(2) パブリックコメント制度
(3) 市民ワークショップ
(4) 政策提案制度
(5) その他適切な方法
2 市は、第16条及び第17条の行政活動を行うときには、前項各号に掲げる参画の提供の方法のうち、適切と認められる1つ以上の方法により参画の機会を設けます。
3 第1項各号に掲げる方法の具体的な取扱いは、必要に応じて定めます。
(市民の請求に基づく参画の機会の提供)
第21条 市は、第16条第4項の規定による参画の機会を設けなかった事項について、市民から請求があった場合、その実施を検討します。
2 市は、前条第1項各号に掲げる参画の機会の提供の方法について、実施することとした方法とは別の方法により実施するよう市民から請求があった場合、その実施を検討します。
3 市は、前2項の規定に基づき、実施を検討した場合、その結果について理由を付して、これを公表します。
(参画の結果の取扱い)
第22条 市は、参画の機会を設けたことによって提出された意見について、総合的かつ多面的に検討し、その反映に努めます。
2 市は、市民から提出された意見の検討を終えたときは、提出された意見の検討結果を公表します。ただし、備前市情報公開条例(平成17年備前市条例第13号)に定める不開示情報は公表しません。
(公表の方法)
第23条 市は、参画の機会を設けた事項の内容を公表する際は、第15条の規定に準じて行います。
(連携と交流)
第24条 市及び市議会は広域的な課題解決のため、近隣自治体や関係機関との相互協力と連携を進め、地域全体の発展に努めなければなりません。
2 市民、市及び市議会は、まちづくりに関する情報を発信するとともに、積極的に近隣自治体等との交流を進め、外部からの知恵や力をまちづくりに活かすように努めなければなりません。
(住民投票)
第25条 市は、住民の暮らしにかかわる重要な事項について、直接住民の意思を確認するため、住民投票の制度を設けることができます。
2 住民投票について必要な事項は、それぞれの事案に応じて、別に条例で定めます。
(市民活動への支援)
第26条 市は、公益であると認められる市民活動団体を支援することに努めなければなりません。
2 市は、支援として次に掲げるものを行うことができます。
(1) 市民活動団体の活動を支援するために、活動場所の提供を行うこと。
(2) 市と市民活動団体の目的が一致した事業について、円滑に活動できるよう、事業協力、共催、後援、委託、補助、助成等の支援を行うこと。
(3) 市民活動団体自身による人材育成に対して、必要な支援を提供すること。
第3章 協働
(協働の基本原則)
第27条 市民、市及び市議会は、次の基本原則をお互いに認識し合うこととします。
(1) 対等であること。
(2) お互いに役割や責任を明確にすること。
(3) 目的や情報を共有し、信頼関係を構築すること。
(4) 十分に対話し、合意を持つこと。
(協働の機会の確保)
第28条 市は、新規又は既存の事業などを企画し、又は実施する場合、常に協働の可能性を検討することに努めなければなりません。
2 市は、市民、市民活動団体などから協働事業を公募する制度を設け、次条に規定する備前市パートナーシップ推進会議の意見を聴いた上で、実施の可否を決定します。
3 市は、前項の公募によるもののほか、協働事業の提案を随時受け付けます。
4 市は、前2項に掲げる協働事業の実施の可否について、理由を付して、これを公表します。
第4章 実効性の確保
(備前市パートナーシップ推進会議の設置)
第29条 この条例の実効性を確保し、かつ、この条例自体を状況の変化に的確に対応させていくため、備前市パートナーシップ推進会議(以下「推進会議」といいます。)を設置します。
2 推進会議の役割は、次に掲げる事項とします。
(1) この条例による参画、支援及び協働を推進するために必要な事項を検討すること。
(2) 参画、支援及び協働についての実施状況を様々な視点から評価すること。
(3) 協働事業の提案などに関する意見を提出すること。
(4) この条例を定期的に見直し、改正又は廃止に関する提言を行うこと。
3 前2項に定めるもののほか、推進会議の運営について必要な事項は、別に定めます。
(条例の運用状況の公表)
第30条 市は、この条例に掲げる参画、支援及び協働についての運用状況を原則として毎年度取りまとめ、これを公表します。
(条例の見直し)
第31条 市長は、社会情勢や参画、支援及び協働の状況に応じて、必要と判断したときには、市民の参画を得て検討し、この条例について見直しを行うことができます。
第5章 雑則
(委任)
第32条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関して必要な事項は、別に定めます。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日から施行します。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、既に着手され、又は着手のための準備が進められている政策等の行政活動であって、時間的な制約その他正当な理由により行政参画を求めることが困難な場合については、第2章の規定は、適用しません。