高松市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 高松市 | 自治体コード | 37201 |
都道府県名 | 香川県 | 都道府県コード | 00037 |
人口(2015年国勢調査) | 417,496人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 住民投票 その他 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/shinotorikumi/keikaku/jichi/kihon/index.html |
条例本文
高松市自治基本条例
平成21年12月21日
条例第51号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 市民,議会および執行機関の役割と責務
第1節 市民(第6条―第8条)
第2節 議会(第9条・第10条)
第3節 執行機関(第11条―第13条)
第3章 自治運営の基本的事項
第1節 情報共有(第14条―第16条)
第2節 参画(第17条―第21条)
第3節 協働(第22条―第24条)
第4節 行政運営(第25条―第35条)
第4章 条例の見直し等(第36条・第37条)
第5章 雑則(第38条)
附則
私たちのまち高松は,多島美を誇る波静かな瀬戸内海や讃岐山脈の山々の自然に恵まれ,県都として,また,四国の中心都市として発展を続けてきました。このまちに住む私たちには,先人たちがたゆまぬ努力によってつくりあげた歴史や地域に根ざした文化,そして自然と調和して生活する知恵が,大切な財産として受け継がれています。
私たちは,豊かな自然と都市機能が調和したこの高松を,「高松市民のねがい」に込められた明るく住みよいまちとして,また,すべての人に基本的人権が保障され,あらゆる分野において,その個性と持てる能力を十分に発揮できるまちとして,さらに,豊かな人間性と創造性をはぐくむ文化を発展させ,生きる喜びと潤いが感じられるまちとして,将来に引き継いでいかなければなりません。
このためには,私たち市民一人一人がまちづくりの担い手であることを自覚
して,市政および地域の課題の解決に積極的に取り組むとともに,市民,議会,行政が適切な役割分担の下,多様な協力関係を構築し,参画と協働のまちづくりを進めていくことが必要です。
私たちはここに,自治の基本理念を共有し,地域の個性や自立性を尊重した活力のあるまちをつくるとともに,心豊かな文化のかおりあふれる市民主体のまちづくりを推進するため,高松市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,高松市における自治の基本理念および基本原則を明らかにするとともに,市民,議会および執行機関の役割と責務ならびに参画と協働による自治運営の基本的事項を定めることにより,市民主体の自治の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住し,通勤し,または通学する個人および市内で事業を行い,または活動を行う個人または法人その他の団体をいう。
(2) 執行機関 市長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員,公平委員会,農業委員会,固定資産評価審査委員会および地方公営企業の管理者をいう。
(3) 市 議会および執行機関をいう。
(4) 地域のまちづくり 市民が住みよい地域社会をつくるために地域の課題の解決に取り組む活動をいう。
(5) 参画 市民が市政および地域のまちづくりに主体的に関与することをいう。
(6) 協働 市民と市が,または市民相互が,互いを理解し,対等な立場で,それぞれの責任と社会的役割を踏まえ,共通の目的達成のために共に取り組むことをいう。
(条例の位置付け)
第3条 この条例は,本市の自治の基本を定めるものであり,市民および市は,
この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。
2 市は,他の条例,規則等の制定改廃および解釈運用または計画等の策定および変更に当たっては,この条例との整合を図らなければならない。
(自治の基本理念)
第4条 自治の主権者は,市民とする。
2 市は,市民の信託に基づき,個人の尊厳および自由が尊重され,かつ,公正で開かれた市政を推進するものとする。
3 市民および市は,地域の個性および自立性を尊重した地域のまちづくりを推進するものとする。
(自治の基本原則)
第5条 市民および市は,次に掲げる基本原則にのっとり,自治運営を行うものとする。
(1) 情報共有の原則 市政に関する情報を共有すること。
(2) 参画の原則 市民の参画により市政運営および地域のまちづくりが行われること。
(3) 協働の原則 協働して市政および地域の課題の解決に当たること。
第2章 市民,議会および執行機関の役割と責務
第1節 市民
(市民の知る権利)
第6条 市民は,市政に関する情報について,知る権利を有する。
(市民の参画の権利)
第7条 市民は,人種,信条,性別,社会的身分等にかかわらず,市政および地域のまちづくりに参画する権利を有する。
2 市民は,参画に当たっては,その自主性が尊重されるとともに,参画することまたは参画しないことによって不利益な取扱いを受けない。
(市民の役割と責務)
第8条 市民は,自治の主体として,地域社会の活性化を図るとともに,市政および地域の課題の解決に主体的に取り組むものとする。
2 市民は,参画の機会を積極的に活用するよう努めるとともに,参画に当
たっては,公共的な視点に立って,自らの発言と行動に責任を持たなければ
ならない。
3 市民は,法令等の定めるところにより納税等の義務を果たすものとし,また,選挙権を有する市民は,その行使の機会を生かすように努めるものとする。
第2節 議会
(議会の役割と責務)
第9条 議会は,直接選挙により選ばれた代表者である議員によって構成される意思決定機関であり,市民の意思を市政に反映させるよう努めなければならない。
2 議会は,積極的に調査研究を行うなど政策形成機能の充実を図るとともに,市政運営に対する監視機能としての役割を果たすものとする。
3 議会は,議会活動に関する情報を市民に広く分かりやすく提供するなど,開かれた議会運営に努めなければならない。
(議員の役割と責務)
第10条 議員は,前条に規定する議会の役割と責務を十分認識し,公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 議員は,自己研さんに努めるとともに,地域の課題および市民の意見を把握し,総合的な視点に立って,市民の信託にこたえるものとする。
第3節 執行機関
(市長の役割と責務)
第11条 市長は,高松市の代表者として,市民の信託にこたえ,市政全体の総合的な調整その他の権限を適正に行使し,公正かつ誠実に市政運営を行わなければならない。
2 市長は,自治の基本理念にのっとり,自治の推進および市民福祉の向上に必要な施策を講じなければならない。
(執行機関の役割と責務)
第12条 執行機関は,その権限に属する事務を公正かつ誠実に執行するとともに,執行機関相互の連携を図りながら,一体として行政機能を発揮しなければならない。
2 執行機関は,参画と協働による市政および地域のまちづくりを推進するも
のとする。
(職員の責務)
第13条 職員は,市民全体のために働く者として,法令,条例,規則等を遵守するとともに,公正,誠実かつ効率的に職務を遂行しなければならない。
2 職員は,職務に必要な専門的知識の習得および能力向上に努めなければならない。
3 職員は,職務の遂行に当たっては,参画と協働による市政および地域のまちづくりの推進に努めるものとする。
第3章 自治運営の基本的事項
第1節 情報共有
(情報の共有)
第14条 市は,市政に関する情報を積極的に,分かりやすく,かつ,適時に市民に提供し,市民との情報の共有に努めなければならない。
2 執行機関は,参画と協働による市政運営に資するため,市民と情報を共有するための仕組みの整備を図らなければならない。
(情報公開)
第15条 市は,市民の知る権利を尊重し,市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるよう,別に条例で定めるところにより,市の保有する情報を原則として公開しなければならない。
(個人情報の保護)
第16条 市は,個人の権利利益を保護するため,別に条例で定めるところにより,市の保有する個人情報を適正に取り扱うとともに,個人情報の開示,訂正等を請求する市民の権利について,適切な措置を講じなければならない。
第2節 参画
(地域のまちづくりへの参画)
第17条 市民は,自らが地域の自治の担い手であるとの認識の下,互いに助け合い,主体的に地域のまちづくりに取り組むものとする。
(市政への参画)
第18条 市は,市民が市政に参画できる多様な機会を確保するとともに,政策等の立案,実施および評価の各過程において,参画の推進に努めなければ
ならない。
(パブリックコメント手続)
第19条 執行機関は,重要な政策等の策定に当たっては,事前にその案を公表して市民から意見を募る手続(次項において「パブリックコメント手続」という。)を行うものとする。
2 執行機関は,パブリックコメント手続により提出された意見を考慮して意思決定を行うとともに,その意見に対する考え方を公表するものとする。
(附属機関等の委員の公募)
第20条 執行機関は,附属機関等について,その委員の一部を公募により選任するものとする。
(住民投票)
第21条 市長は,市政に関し特に重要な事案について,直接,住民の意思を確認するため,住民投票を実施することができる。
2 住民投票に付すべき事項,投票の手続,投票資格要件その他住民投票の実施に必要な事項は,事案ごとに条例で定める。
3 市は,住民投票の結果を尊重するものとする。
第3節 協働
(協働の推進)
第22条 市は,協働を推進するための仕組みを整備するとともに,協働の推進に当たっては,市民の自主的な活動を支援するものとする。この場合において,市の支援は,市民の自主性および自立性を損なうものであってはならない。
(地域コミュニティ協議会)
第23条 市は,市民主体の自治を推進するため,次項に規定する地域コミュニティ協議会の活動を尊重し,その活動に対して適切な支援を行うものとする。
2 市民は,地域の個性および自立性を尊重した地域のまちづくりを行うため,地域コミュニティ協議会(共同体意識の形成が可能な一定の地域において,その地域に居住する個人および所在する法人その他の団体を構成員とし,民主的な運営により,地域の課題を解決するために活動する組織で,一の地域
につき一に限り市長が認定したものをいう。次項において同じ。)を設置することができる。
3 地域コミュニティ協議会は,自らの活動に責任を持って,自主的かつ自立的に地域のまちづくりに取り組むものとする。
(市民活動団体)
第24条 市は,自発的かつ主体的に行われる非営利の活動で,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする市民活動団体の活動を尊重するとともに,その活動に対して適切な支援を行うものとする。
第4節 行政運営
(総合計画)
第25条 市長は,総合的かつ計画的な行政運営を図るため,総合計画を策定するものとする。
2 市長は,総合計画の策定に当たっては,参画の機会を確保するものとする。
3 執行機関は,総合計画を効果的かつ着実に推進するため,透明性を確保しつつ適切に進行管理を行うとともに,定期的にその進捗状況を市民に公表するものとする。
(財政運営)
第26条 市長は,長期的な視点から財政収支を十分考慮した予算編成を行うとともに,効率的かつ効果的な政策等の展開を図ることにより,健全な財政運営に努めなければならない。
2 市長は,毎年度の予算および決算その他市の財政状況に関する情報を市民に,分かりやすく公表しなければならない。
3 執行機関は,出資法人(市が資本金,出資金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人をいう。)に対し,その運営が健全に維持されるよう,適切な指導等を行うものとする。
(説明責任等)
第27条 執行機関は,政策等の立案,実施および評価の各過程において,市民に分かりやすく説明しなければならない。
2 執行機関は,市民の市政に関する意見,要望,苦情等に対し,速やかに事実関係を調査し,誠実に対応するよう努めなければならない。
(行政手続)
第28条 執行機関は,市民の権利利益の保護に資するため,別に条例で定めるところにより,処分,行政指導その他の行政手続に関して共通する事項を明らかにし,市政運営における公正の確保と透明性の向上を図るものとする。
(行政評価)
第29条 執行機関は,施策,事業等の成果を市民に明らかにし,効率的かつ効果的な市政運営を行うため,行政評価を実施するものとする。この場合において,執行機関は,市民の視点に立った外部評価を取り入れるものとする。
2 執行機関は,行政評価の結果を市民に分かりやすく公表するとともに,施策,事業等に適切に反映するよう努めるものとする。
(外部監査)
第30条 市長は,適正で効果的な市政運営を確保するため,地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき,外部監査人と外部監査契約を締結し,外部監査を実施するものとする。
(公益通報)
第31条 執行機関は,市政の適法かつ公正な運営を確保するため,市政運営に係る違法な行為について職員から行われる通報を受ける体制を整備するとともに,通報を行った職員が,通報により不利益を受けないよう必要な措置を講じなければならない。
(政策法務)
第32条 市は,市政の課題に対応した自主的な政策等を実行するため,地方公共団体に関する法令の規定について,地方自治の本旨に基づき,これを解釈するとともに,条例,規則等の整備を積極的に行うものとする。
(行政組織の編成)
第33条 執行機関は,市民に分かりやすく,機動的かつ効率的な市政運営が可能となるよう組織の編成を行うとともに,組織の横断的な調整を図るものとする。
(危機管理体制の整備等)
第34条 市は,常に災害等の緊急の事態に備え,市民の身体,生命,財産の安全性が確保できるよう,危機管理体制を整備するとともに,その対応に当
たっては,市民,関係団体等との連携・協力を図るものとする。
(国および他の地方公共団体との連携・協力)
第35条 市は,国および他の地方公共団体と連携・協力して,共通する課題の解決に努めなければならない。
第4章 条例の見直し等
(条例の検証)
第36条 市は,この条例の趣旨に照らして,自治運営の状況を把握し,検証するため,別に条例で定めるところにより,高松市自治推進審議会を置く。
(条例の見直し)
第37条 市は,4年を超えない期間ごとに,この条例の規定について検討を加え,その結果に基づいて見直しを行う等の必要な措置を講ずるものとする。
第5章 雑則
(委任)
第38条 この条例の施行に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
この条例は,平成22年2月15日から施行する。