伊予市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 伊予市 | 自治体コード | 38210 |
都道府県名 | 愛媛県 | 都道府県コード | 00038 |
人口(2015年国勢調査) | 35,133人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 審議会委員の市民公募 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.iyo.lg.jp/machisou/kurashi/shimin/jichi/ |
条例本文
伊予市自治基本条例
平成21年9月25日条例第34号
伊予市自治基本条例
(前文)
私たちのまちは、平成17年4月1日に伊予市、中山町、双海町の1市2町が合併して、愛媛県の旧国名「伊予」という美しい郷土の名称を受け継いだ新しい「伊予市」として誕生しました。
愛媛県のほぼ中央に位置し、四国山地の緑豊かな山々とおだやかで美しい瀬戸内海に面した好条件の下、古くから開けたこの地域は、先人の英知と努力によって豊かな自然が守られ、政治、経済、文化の要所として発展してきました。
今、私たちには、恵まれた自然環境と歴史、文化を継承、発展させ、すべての市民が安心して快適に生活できるよう自治体のあり方を見直し、市民、市議会及び執行機関が協働して、時代に即した地域社会を形成することが求められています。
そして、少子高齢化が進展し生活環境が激変する中、市民一人ひとりが、これまで以上に自治の主体としての責務を自覚し、「自らの地域は自らの手で築き上げる」という意思と責任を明確にするとともに、市民自らが考え、共に助け合い、行動する住民自治のまちづくりを推進していかなければなりません。
ここに、伊予市の目指す住民自治の理念や基本的な仕組みを明らかにし、参画と協働のまちづくりを進めるためにこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、伊予市の自治の基本理念及び基本原則を定めることにより、自治の進展を図り、将来にわたって個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は、自治の基本的事項について伊予市が定める最高規範であり、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重しなければならない。
(定義)
第3条 この条例における用語の意義は、次に定めるとおりとする。
用語
左記用語の意義
市民
市内に居住する者、市内に勤務する者、市内に通学する者、市内で事業を営むもの、市内で活動するもの
執行機関
市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会
参画
市民が、行政施策の立案、実施及び評価までの過程に主体的に参加すること。
協働
市民、市議会及び執行機関が、共通の目的を実現するため、互いの自主性を尊重し、対等な立場で相互に補完し協力すること。
(自治の基本理念)
第4条 前文及び第1条の目的を達成するため、次の各号に掲げることを本市の自治の基本理念とする。
(1) 市民一人ひとりが手を取り合い、市民及び地域が自らの役割と責任のもと、地域の課題の解決に取り組み、地域の活性化に努めること。
(2) 多様な地域特性を生かした、持続可能なまちづくりに努めること。
(3) 市民、市議会及び執行機関が、相互に補完しながら協働して市政を進めること。
(4) 情報共有と市民の参画により、積極的に行財政改革に努めること。
第2章 市民の権利並びに市民、市議会及び執行機関の責務
(市民の権利)
第5条 市民は、個人として尊重され、快適な環境において安全で安心な生活を営む権利を有する。
2 市民は、執行機関が実施するまちづくりの政策形成過程へ参画する権利を有する。
3 市民は、執行機関及び市議会に対し情報を求める権利を有する。
4 市民は、市政に関し意見を表明し、又は提案する権利を有する。
5 市民は、執行機関が行う公共サービスを平等に受ける権利を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、自治の主体であることを認識し、その発言と行動に責任をもち、市政に積極的に参画することにより、自らまちづくりに取り組むよう努めなければならない。
2 市民は、市政に関する認識を深め、執行機関と協働することにより、地域社会の発展に寄与するよう努めなければならない。
(市議会の権能と責務)
第7条 市議会は、市の議決機関として、広範な意見の聴取に努めるとともに、市政運営を監視し、公平及び公正で透明性の高い市政が実現されるよう努めなければならない。
2 市議会は、会議を公開するとともに、議会の保有する情報を市民と共有し、開かれた議会運営に努める。
(市議会議員の責務)
第8条 市議会議員は、政策の提案及び自治立法に関する活動に努めるとともに、市民の信頼に応え、市民のために誠実に職務を行うよう努めなければならない。
(市長の責務)
第9条 市長は、市の代表として、この条例に定める自治の基本理念を実現するために必要な市政運営の方針を明らかにし、適正かつ効果的な市政運営を行わなければならない。
2 市長は、行政活動の目的と活動内容等の公開により、市民と情報を共有し、透明性の確保に努めなければならない。
3 市長は、毎年度、市政運営の状況を市民及び市議会に説明しなければならない。
4 市長は、適正な組織管理を遂行するとともに、職員の人材育成を図り、政策形成能力など職員の能力の向上に資するよう努めなければならない。
(市長を除く執行機関の責務)
第10条 市長を除く執行機関は、その職務に応じて、市長と同様の責務を負い、市長その他の執行機関と協力して市政の適正な執行に当たらなければならない。
(市職員の責務)
第11条 市職員は、職務遂行のために必要な知識及び能力の修得とその向上に努め、全体の奉仕者として、誠実に職務を行わなければならない。
第3章 市政運営の原則
(総合計画)
第12条 市は、総合的かつ計画的な市政の運営を図るための基本構想及びこれを実現するための基本計画(以下「総合計画」という。)を、自治の基本理念にのっとり策定するものとする。
2 執行機関は、総合計画の進行管理を的確に行うものとする。
3 執行機関は、行政分野ごとの計画については、総合計画に即して策定するものとする。
(財政運営)
第13条 執行機関は、総合計画に基づく政策目標を達成するため、財政計画に基づき、健全で持続可能な財政運営を行わなければならない。
2 執行機関は、市が保有する財産を明らかにし、適正に管理するとともに効果的に活用しなければならない。
(行政評価)
第14条 市は、自ら合理的、客観的かつ成果を重視した行政活動を推進するとともに、住民の視点に立った市政運営の展開及び情報を共有することによる市民参画型の行政の推進を図るため、行政評価を実施するものとする。
2 執行機関は、行政評価について、できる限り客観的な手法を用いて実施し、施策の成果及び達成度を明らかにし、評価に基づき施策等を見直し、次年度以降の施策形成や実施に反映させなければならない。
(個人情報の保護)
第15条 執行機関は、他の条例の定めるところにより、保有する個人情報の開示、訂正、利用停止等を請求する権利を明らかにすることにより、個人の権利利益を保護しなければならない。
2 執行機関は、取得した個人情報に関しては、厳重にこれを管理し、原則として本人以外に開示してはならない。
(説明責任)
第16条 執行機関は、政策の立案、実施及び評価に至る過程において、その経過、内容、効果等について市民にわかりやすく説明する責任を果たさなければならない。
(外郭団体等)
第17条 執行機関は、市の出資団体に対して、適切な情報公開及び個人情報の保護が行われるとともに、市の出資した目的が効果的かつ効率的に達成できるよう、必要な支援及び要請を行うことができる。
2 執行機関は、他の団体に出資又は業務の委託を行う場合は、必要な範囲で、当該団体の業務及び財務に関する情報の開示を求めることができる。
3 執行機関は、補助金の交付を行った団体等による公共的なサービスの提供に関する市民の苦情を受けた場合は、当該団体等の協力を得て、その苦情の内容を調査し、必要と認めるときは、当該団体等に対して意見、助言等を述べることができる。
(意見等への対応)
第18条 執行機関は、市民からの意見、提案について、その内容を十分に確認及び検討し、的確かつ誠実に対応しなければならない。
2 執行機関は、市民からの意見、提案について的確に対応するために、その手順を定め、適正に処理できる体制を整えなければならない。
(危機管理)
第19条 市は、市民、関係機関及び他の自治体等との協力、連携により、不測の事態に備える総合的かつ機動的な危機管理体制の確立に努めなければならない。
第4章 参画と協働の原則
(参画と協働)
第20条 市民、市議会及び執行機関は、目的と情報を共有し、相互の理解と信頼のもとに、参画と協働によるまちづくりに取り組むものとする。
(意見公募手続制度)
第21条 執行機関は、次の各号に掲げる事項のうち市民生活に重要な影響を及ぼすものについては、市民に当該事項に関する情報を提供し、意見を求めなければならない。
(1) 総合計画及び各行政分野の基本事項を定める計画の策定、変更又は廃止
(2) 市の基本事項を定める条例の制定、改正又は廃止
(3) 事務事業の実施状況
2 執行機関は、前項の規定により意見を求めるときは、広報紙やホームページ等適切な方法を選択し、市民から提示された意見に対して回答し、これを公表しなければならない。
3 前2項に規定する意見の公募に関する手続その他必要な事項については、別に定める。
(審議会等の運営)
第22条 執行機関は、審議会等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に規定する執行機関の附属機関又はこれに類するもので市が定めるものをいう。)を設置する場合は、その委員の全部又は一部を公募により選任するよう努めなければならない。
2 執行機関は、審議会等の会議及び会議録を、原則公開しなければならない。
3 前2項に規定する審議会等の委員の公募並びに会議及び会議録の公開に関する手続その他必要な事項については、別に定める。
(住民投票)
第23条 市長は、市政運営上の重要事項について、住民の意思を市政に反映するため、住民投票を実施することができる。
2 市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
3 住民投票の実施に関する手続その他必要な事項については、別に定める。
第5章 住民自治
(住民自治組織)
第24条 市は、市民が互いに助け合い地域の課題に自ら取り組むことを目的とした住民自治組織の形成を支援するものとする。この場合において、住民自治組織の福祉、環境、防災、教育などの公共的活動に対し、必要な財政的、人的支援を行うよう努めなければならない。
2 住民自治組織は、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、その地域の課題に民主的に対応できるよう、その地域の住民のだれもが参加でき、かつ、自発的に組織されなければならない。
3 住民自治組織は、その地域の課題に対応するための計画を策定し、公表しなければならない。
4 住民自治組織の形成及び運営等に関し必要な事項については、別に定める。
(協働推進拠点)
第25条 市は、市民、住民自治組織及び執行機関が連携し、協働を推進する拠点として、自治支援センターを設置する。
2 自治支援センターは、次の各号に掲げる機能を有する。
(1) 住民自治組織の形成を支援する機能
(2) 住民自治組織が策定する計画づくりを支援する機能
(3) 市民及び住民自治組織が行うまちづくりのための活動を補完する機能
(4) 自治に関する情報を提供する機能
3 自治支援センターの設置及び運営に関し必要な事項については、別に定める。
第6章 推進体制
(参画協働推進委員会)
第26条 市長は、この条例に定める市民の参画と協働に関する事項を調査協議するため、市長の附属機関として、伊予市参画協働推進委員会(以下「推進委員会」という。)を置く。
2 推進委員会は、次に掲げる事項を調査協議し、その結果を市長に報告し、又は意見を建議する。
(1) この条例の施行状況及び実態把握に関すること。
(2) この条例の見直しに関すること。
(3) その他市民の参画と協働の推進に関すること。
3 前2項に定めるもののほか、推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
第7章 その他
(国及び他の地方公共団体との関係)
第27条 市は、国及び県と対等の関係にあることを踏まえ、適切な役割分担を行い、自立した地方自治を確立するよう努める。
2 市は、他の地方公共団体との共通課題又は広域課題に対応するために、相互に連携し協力するよう努める。
(情勢への適応)
第28条 市長は、この条例の理念を踏まえ、条例の施行日から5年を超えない期間ごとに、各条項が、本市にふさわしく、社会情勢に適応したものかどうか検討するものとする。
2 市長は、前項の規定により、市の施策について、将来にわたって個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するために必要な措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、平成22年1月1日から施行する。