四万十町まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 四万十町 | 自治体コード | 39412 |
都道府県名 | 高知県 | 都道府県コード | 00039 |
人口(2015年国勢調査) | 15,607人 |
条例データ
制定年 | 2010年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.town.shimanto.lg.jp/reiki/H422901010025/H422901010025.html |
条例本文
四万十町まちづくり基本条例
平成22年12月20日条例第25号
四万十町まちづくり基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 まちづくりの基本理念(第4条)
第3章 まちづくりの仕組み(第5条―第8条)
第4章 町民の権利及び責務(第9条―第11条)
第5章 町民のための議会(第12条―第15条)
第6章 町民のための執行機関(第16条―第25条)
第7章 地域内分権(第26条・第27条)
第8章 見直し等(第28条)
附則
前文
私たちの四万十町は、旧高岡郡窪川町・旧幡多郡大正町・十和村の2町1村が、郡域を越えて平成18年3月に合併し誕生しました。
本町は、広大な行政区域を有し、「日本最後の清流」といわれる四万十川の中流域を中心に、太平洋を臨む海岸部から四国山脈に至る変化に富んだ地形、そして伊予、一条、津野山文化など多彩な文化・歴史を併せ持つ自然豊かな町です。
私たちは、この自然が生み出す恵みを得て生きていることを忘れてはなりません。物質的な豊かさを求めすぎた今までの価値観や生活を見直し、私たちの今と未来のために、広大な森林や農地、太平洋と四万十川、この自然と共生して暮らし、先人から受け継いできた文化や歴史、自然環境を次世代に守り伝える責任があります。
私たち一人ひとりが、この思いを大切にし、支え合いながら暮らしていきます。
この条例は、自治の担い手である、町民、議会、行政がそれぞれの役割と責任を果たし、ここでしかできない“まちづくり”に取り組んでいくための基本理念と仕組みを示すものです。
私たちは、「人と自然が元気な町」を目指して、町民主体の協働によるまちづくりを行うことを決意し、最も尊重すべき規範として、ここに四万十町まちづくり基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、四万十町の自治の基本理念と仕組みを明らかにすることにより、町民によるまちづくりの一層の推進を図り、町民が主体となった協働による自治を実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) まちづくり 四万十町の目指す将来像を実現するための取り組みをいいます。
(2) 町民 町内に住み、又は町内で働き、学び、若しくは活動する個人(未成年、外国人を含む。)及び町内において事業又は活動する団体をいいます。
(3) 町長等 町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(4) 参画 町長等の政策等の立案、実施及び評価に至る各段階に参加し、意思形成にかかわることをいいます。
(5) 協働 町民、議会及び町長等がそれぞれの果たすべき役割と責任を自覚し、相互に助け合い協力することをいいます。
(6) コミュニティ組織 町民が互いに助け合い、地域をよりよくすることを目的として形成された組織又は集団のことをいいます。ただし、宗教的及び政治的活動を除きます。
(条例の位置付け)
第3条 この条例は、四万十町の自治及び町政に関する基本的な原則を定めた最高規範であり、町民、議会及び町長等は、この条例を遵守しなければなりません。
2 議会及び町長等は、他の条例、規則等の制定、改正及び廃止にあたっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合を図らなければなりません。
第2章 まちづくりの基本理念
(基本理念)
第4条 この条例の目的を達成するため、次に掲げることを基本理念とします。
(1) 町民は、自治の主役であり、主権は町民にあります。
(2) 議会及び町長等は、町民の信託に誠実に応えなければなりません。
(3) 議会及び町長等は、町民の知る権利を保障し、積極的に情報提供を行うとともに、十分な説明責任を果たさなければなりません。
(4) 議会及び町長等は、町民が町政に参画できるよう努めなければなりません。
(5) 町民、議会及び町長等は、対等な立場で協働によるまちづくりを推進していきます。
(6) 町民相互の支え合い、助け合いに努めていきます。
(7) 自然との共生を基本に緑と水と土を守り、次世代へ継承していきます。
第3章 まちづくりの仕組み
(情報公開)
第5条 議会及び町長等は、町民の知る権利を保障し、町政における公正の確保と透明性の向上を推進するために、保有する情報を公開し、提供しなければなりません。
2 前項の手続に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
3 議会及び町長等は、町政に関する情報を正確かつ適正に収集し、これを提供できるよう統一された基準により整理し、保存しなければなりません。
(情報共有)
第6条 町民、議会及び町長等が保有するまちづくりに関する情報は、共有の財産であり、情報を相互に提供し合い、共有しなければなりません。
2 議会及び町長等は、町民との対話に努めなければなりません。
3 町長等は、情報が共有できるよう、情報基盤を整備し、必要な情報を容易に取得し活用できるように努めなければなりません。
(町民参画)
第7条 議会及び町長等は、まちづくりへの町民参画の機会を保障しなければなりません。
2 議会及び町長等は、町民参画に関する制度を整備し、町民が参画しやすい環境を整えなければなりません。
3 議会及び町長等は、町民が参画したまちづくりに関する会議等での議論を尊重し、まちづくりを進めなければなりません。
(協働)
第8条 町民、議会及び町長等は、対等な立場であることを基本に、お互いが連携し、協働に努めなければなりません。
2 町長等は、町民自らが、主体的にまちづくりに参画できるよう支援し、協働の推進に努めなければなりません。
第4章 町民の権利及び責務
(町民の権利)
第9条 町民は、自治の主体として、次に掲げる権利を有しています。
(1) まちづくりを主体的に行う権利
(2) まちづくりに参画する権利
(3) 前2号の権利を行使するために必要な情報を知る権利
(4) 法令等の定めるところにより行政サービスを受ける権利
(町民の責務)
第10条 町民は、権利には責任や義務が伴うことを自覚し、権利を行使するにあたっては、次に掲げることに努めなければなりません。
(1) まちづくりにおいて、町民相互の自発的意思を尊重し合い、連携すること。
(2) まちづくりに参画するうえで、自己の発言及び行動に責任を持つこと。
(3) 町民相互の対話を大切にし、まちづくりに必要な情報を共有すること。
(4) 行政サービスに係る負担を分任すること。
(コミュニティ組織)
第11条 町民は、「自分たちの地域は自らの手で守り治める」という思いをもち、コミュニティ組織がまちづくりを担う重要な組織であることを認識し、積極的にその活動に関わるように努めるものとします。
2 コミュニティ組織は、その活動に自主的、主体的に取り組み、まちづくりの担い手となるよう努めるものとします。
第5章 町民のための議会
(議会の役割)
第12条 議会は、町民の意思を的確に反映させるため、町長との適切な緊張関係及び健全な協力関係をもって、議会の役割を果たすものとします。
2 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に定める議会の権限を最大限に行使し、住民福祉の向上に努めるものとします。
(町民に開かれた議会)
第13条 議会は、町民に開かれた運営を行うよう努めるものとします。
2 議会は、多様な方法で町民の問題意識を把握するよう努め、政策の立案に反映させるものとします。
(議会の政策立案機能の充実)
第14条 議会は、政策立案機能の充実を図り、立法活動、調査活動等を積極的に行います。
(議会基本条例)
第15条 議会は、この条例に定める原則に基づき別に議会基本条例を制定し、議会に関する制度と運営の仕組みを総合的、かつ体系的に整備しなければなりません。
第6章 町民のための執行機関
(町長の責務)
第16条 町長は、住民福祉の向上を基本とし、公正かつ誠実に任務を遂行しなければなりません。
2 町長は、町民の信託に応え、町政運営の最高責任者として、統率力及び指導力を発揮し、この条例の理念を実現するために、全力を挙げてまちづくりを推進しなければなりません。
(職員の責務)
第17条 職員は、自らの職務が町民の信託に基づく全体の奉仕者であることを自覚し、町民との信頼関係を築くよう努めるとともに、この条例の理念を実現するため、全力を挙げて職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、職務の遂行に必要な能力の開発と自己啓発に努めなければなりません。
(総合振興計画)
第18条 町長は、まちづくりの指針となる総合振興計画を策定し、総合的・計画的な町政運営を行わなければなりません。
2 総合振興計画は、目指すべき将来像を定める基本構想、これを実現するための施策を定める基本計画、施策を推進するための実施計画により構成するものとします。
3 総合振興計画は、町長等の政策を定める最上位の計画であり、町長等が行う政策等は、緊急を要するもののほかは、これに基づかなければなりません。
4 総合振興計画は、計画期間を定めて策定します。ただし、町長の任期ごとに見直しを行うことができるものとします。
(町政運営)
第19条 町長等は、計画から予算、執行及び決算を経て評価に至る町政運営の仕組みを構築しなければなりません。
2 町長等は、地域の課題等を町民と共有するとともに、協働による施策の立案及び実施に努めなければなりません。
(財政運営)
第20条 町長は、財政の健全化及び自立的な財政基盤の確立に努め、世代間の住民負担の適正化を図らなければなりません。
2 町長は、予算及び決算結果について、町民に分かりやすく説明するとともに、町の財政状況及び財務諸表を公表し、町の財政方針を明らかにしなければなりません。
3 町長等は、保有する財産を適正に管理し、その効率的な活用を図らなければなりません。
(説明責任)
第21条 町長等は、政策の立案、実施及び評価について、その経過、内容、効果等を町民に分かりやすく説明しなければなりません。
(意見の反映)
第22条 町長等は、基本的な計画又は重要な政策等を決定する場合は、事前に案を公表し、町民の意見を聴くとともに、提出された町民の意見に対する考え方を公表しなければなりません。
2 前項の手続に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(行政評価)
第23条 町長等は、総合振興計画に基づく政策等の成果及び達成度を明らかにし、効率的かつ効果的な町政運営を行うため、行政評価を実施し、町民の意見を聴くとともに、提出された町民の意見に対する考え方を公表しなければなりません。
2 前項の手続に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(住民投票)
第24条 町長は、町政の特に重要な事項について、事案ごとにその都度条例で定めるところにより、住民投票を実施することができます。
2 前項の規定による条例は、それぞれの事案に応じ、投票に付すべき事項、投票の手続、投票資格要件その他住民投票の実施に必要な事項を定めます。
3 町長は、第1項の規定による住民投票を実施した場合は、その結果を尊重しなければなりません。
(自治活動の支援)
第25条 町長等は、地域の課題を解決するために活動するコミュニティ組織に対して、その活動を保障するとともに、必要に応じて支援を行います。
第7章 地域内分権
(地域内分権)
第26条 町長は、町民自らが地域の課題を考え、解決に向けた地域の意見を決定し、これを町政に反映するための仕組みを整え、地域内分権を推進していきます。
(地域自治区)
第27条 町長は、地域内分権の仕組みとして、町民にとって身近な地域をその区域とする地域自治区の設置を目指します。
2 町長は、法に定められた地域協議会の構成員を選任するときは、地域自治区の区域内の町民の多様な意見が適切に反映されるよう選任方法に配慮しなければなりません。
3 地域自治区の設置に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
第8章 見直し等
(見直し)
第28条 町長は、この条例について社会情勢の変化により改正の必要が生じた場合は、速やかに検討を行い、町民の意見を反映しながら見直しを行わなければなりません。
2 町長は、この条例の改正を提案しようとする場合は、この条例の趣旨を踏まえ、あらかじめ広く町民の意見を聴くために必要な措置を講じなければなりません。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行します。