嘉麻市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 嘉麻市 | 自治体コード | 40227 |
都道府県名 | 福岡県 | 都道府県コード | 00040 |
人口(2015年国勢調査) | 35,473人 |
条例データ
制定年 | 2010年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント公聴会 審議会委員の市民公募 アンケート調査 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www1.g-reiki.net/city.kama/reiki_honbun/r396RG00000001.html |
条例本文
嘉麻市自治基本条例
平成22年6月29日条例第8号
嘉麻市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 基本原則
第1節 基本理念(第4条)
第2節 基本原則(第5条―第8条)
第3章 市民の権利及び責務(第9条―第11条)
第4章 議会の役割及び責務(第12条―第14条)
第5章 市長等の役割及び責務(第15条―第18条)
第6章 情報の共有等(第19条―第22条)
第7章 参画及び協働(第23条―第28条)
第8章 コミュニティ(第29条―第31条)
第9章 住民投票(第32条・第33条)
第10章 国その他の機関との連携(第34条―第36条)
第11章 条例の見直し等(第37条―第39条)
附則
嘉麻市は、福岡県のほぼ中央に位置し、遠賀川の源流を抱く山々の美しい自然に恵まれ、古くから豊かな穀倉地帯を形成し、農業を基幹産業とする地域として今日に至っています。また、明治中期以降は、筑豊炭田の一角として、日本の産業エネルギーを支えてきた歴史を有しています。
地方分権が進展する今日、私たちは、多様で個性豊かな地域社会をつくるため、市民一人ひとりが自ら考え、自ら決め、そして自ら責任をもって市政に参画し、互いに協力して、先人から受け継いだ豊かな自然環境や歴史、文化を尊び、次の世代を担う子どもたちへ引き継いでいかなければなりません。
私たちは、市民が自治の主体であることを基本とし、情報を共有し、互いの立場を尊重し、知恵と力を出し合い、一体となって協働のまちづくりを進めていくことが必要です。
こうした認識のもと、市民が主体となった自治の実現を図るための基本となる理念や原則を明らかにするとともに、市民の市政への参画と協働などを定め、すべての人権が尊重され、豊かで活力ある嘉麻市を築いていくために、嘉麻市の自治の最高規範として、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、嘉麻市の自治の基本理念及び基本原則を明らかにするとともに、市民の権利及び責務並びに議会、市長等の役割及び責務を定め、市民が主体の自治の実現を図ることを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、嘉麻市の自治の基本を定める最高規範であり、市民、議会及び市長等は、これを最大限尊重しなければならない。
2 議会及び市長等は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図らなければならない。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住む者、市内で働く者又は学ぶ者及び市内において事業又は活動を行う団体等をいう。
(2) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び水道事業管理者をいう。
(3) 参画 市民が市の政策の立案、実施、評価に至る過程に主体的に参加することをいう。
(4) 協働 市民、議会及び市長等が、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いの特性を尊重し、対等な立場で連携、協力し合うことをいう。
第2章 基本原則
第1節 基本理念
(基本理念)
第4条 自治の主体は、市民であることを基本とする。
2 市政は、主権を有する市民の信託によるものであり、議会及び市長は、その信託に応えるものとする。
第2節 基本原則
(市民自治の原則)
第5条 市民、議会及び市長等は、市民一人ひとりが自治の担い手として、自覚と責任をもって互いの人権を尊重し、男女がともに社会の対等な構成員として、その個性や能力を発揮できるよう、市民主体の自治を推進するものとする。
(情報共有の原則)
第6条 市民、議会及び市長等は、互いに保有する市政に関する情報を共有するものとする。
(協働の原則)
第7条 市民、議会及び市長等は、協働して市民主体の自治を推進するものとする。
(公正、公平の原則)
第8条 議会及び市長等は、市民の信託に基づき、公正かつ公平な市政を行うものとする。
第3章 市民の権利及び責務
(市民の権利)
第9条 市民は、互いに対等な立場で市政に参画する権利を有する。
2 市民は、市の保有する情報を知る権利を有する。
3 市民は、良好な環境の中で安全で安心して暮らす権利を有する。
(市民の責務)
第10条 市民は、自治の主体であることを認識し、市政への参画に当たっては、自らの発言と行動に責任を持つものとする。
2 市民は、まちづくりにおいて互いの意思を尊重し、連携するものとする。
3 市民は、行政サービスに係る負担を分任するものとする。
(事業者等の責務)
第11条 市内において事業を行う者は、自らも地域社会の一員であることを自覚し、健全な事業活動において、自然環境などに配慮するとともに、地域の公益的活動に寄与するよう努めるものとする。
第4章 議会の役割及び責務
(議会の役割及び責務)
第12条 議会は、市民の代表機関であることを常に認識し、法令に定める権限を行使するとともに、独自の政策立案や政策提言を積極的に行わなければならない。
(開かれた議会運営)
第13条 議会は、議会及び議員の活動に関する情報公開を徹底するとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、委員会等公式な会議を原則公開するとともに、市民が議会の活動に参加できるような措置を講じなければならない。
3 議会は、市民の意見を最大限尊重し、政策の形成に反映させるとともに、市民主体の自治を推進しなければならない。
(議員の責務)
第14条 議員は、市民全体の福祉の向上の視点に立ち、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 議員は、その地位が市民の信託によるものであることを認識し、常に自己研鑽に努め、政治倫理を確立することにより、市民の信頼を得るよう努めなければならない。
第5章 市長等の役割及び責務
(市長の責務)
第15条 市長は、市民の信託に応え、公正かつ誠実に市政運営を行うとともに、市民主体の自治を推進しなければならない。
2 市長は、健全な財政運営に努めるとともに、毎年度、行財政運営の基本方針を定め、市民及び議会に説明し、かつ、その達成状況を公表しなければならない。
3 市長は、施策、事務事業の再編及び活性化のため、行政評価に関する制度を整備し、実施するものとする。この場合において、市長は、第三者による外部評価を取り入れるものとする。
4 市長は、行政評価の結果を市民にわかりやすく公表するとともに、行政評価の結果及びこれに対する市民の意見を踏まえ、施策に反映させなければならない。
5 市長は、市民が安全で安心して暮らせるよう、市民の権利を擁護し、その生命及び財産を守らなければならない。
6 市長は、職員を指揮監督し、その能力を評価したうえで適正に配置するとともに、人材の育成を図らなければならない。
7 市長は、就任に当たっては、この条例の理念の実現のために職務を執行することを宣誓しなければならない。
(市の役割及び責務)
第16条 市は、市民にわかりやすく行政サービスを提供しなければならない。
2 市は、効率的に事務事業を実施し、最少の経費で最大の効果を挙げるように努めなければならない。
3 市は、簡素で市民にわかりやすい組織編成を行い、必要に応じてその見直しに努めなければならない。
4 市は、広く人材を求め、公正かつ有能な職員の任用に努めるとともに、適材適所の人事配置、効果的な人材育成並びに適切な人事評価及び処遇を行うことにより、職員及び組織の能力が最大限に発揮されるよう努めなければならない。
(職員の責務)
第17条 職員は、政策能力の向上のため、常に自己研鑽に努めるとともに、市民の視点に立って公正、誠実かつ迅速に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、職務の遂行に当たっては、法令、条例等を遵守しなければならない。
(審議会等の運営)
第18条 市長等は、市の執行機関に設置する審議会等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく附属機関をいう。以下同じ。)の委員を選任するときは、設置目的等に応じて委員の公募を行うとともに、委員の男女の比率、年齢構成及び選出区分が著しく不均衡にならないように留意し、同一の委員が著しく長期にわたって就任し、又は同時期に多数の審議会等の委員に就任することのないように努めなければならない。
2 市長等は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければならない。
3 前項に規定する審議会等の会議及び会議録の公開に関し必要な事項は、別に定める。
第6章 情報の共有等
(情報公開及び情報提供)
第19条 議会及び市長等は、公正で開かれた市政の実現のため、別に条例で定めるところにより、市が保有する情報を積極的に公開しなければならない。
2 議会及び市長等は、市政に関する情報について、速やかに、かつ、わかりやすく、市民に提供しなければならない。
(説明責任及び応答責任)
第20条 議会及び市長等は、政策の立案、実施、評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果、手続、費用等について、市民にわかりやすく説明しなければならない。
2 議会及び市長等は、市民から市政に関する意見、要望及び苦情等の申立てがあったときは、速やかに事実関係を調査し、これに応答しなければならない。
(個人情報の保護)
第21条 議会及び市長等は、個人の権利利益の保護のため、別に条例で定めるところにより、市が保有する個人情報を適正に取り扱わなければならない。
(救済機関等)
第22条 市長は、公平かつ誠実な市政運営を確保するため、市政に関する市民の意見、要望、苦情及び市民の不利益等の救済に対応するための適正な機関の設置等必要な措置を講じるよう努めなければならない。
第7章 参画及び協働
(市民参画の推進)
第23条 市長等は、多様な制度を設け、施策を講じることにより、市民参画を推進しなければならない。
2 市長等は、市民が参画しないことによって不利益を受けることがないよう、配慮しなければならない。
(男女共同参画の推進)
第24条 市民、議会及び市長等は、男女が互いにその人権を尊重し、社会の対等な構成員として、その個性と能力を発揮することができるよう、男女共同参画を推進しなければならない。
(子どもの参画の推進)
第25条 子どもは、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参画する権利を有する。
2 市民、議会及び市長等は、子どものまちづくりへの参画を推進しなければならない。
(参画の対象)
第26条 市長等は、政策の形成及びその実施過程への市民の参画を保障するため、次に掲げるもののうち市民生活に重要な影響を及ぼすものについては、市民に意見を求めなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
(1) 計画の策定、変更又は廃止
(2) 条例の制定、改正又は廃止
(3) 施策の実施、変更又は廃止
(参画の方法)
第27条 市長等は、市民に意見を求めるときは、パブリックコメント、アンケート調査、公聴会の開催等適当な方法により実施するものとする。
2 前項の規定により、市民に意見を求める場合における必要な事項は、別に定める。
(協働の推進)
第28条 市民、議会及び市長等は、それぞれの役割と責任に基づき、自主性を尊重し、対等な立場で連携し、協力してまちづくりを推進しなければならない。
第8章 コミュニティ
(コミュニティ活動の尊重)
第29条 市長等は、市民が地域の課題に主体的に取り組むことを目的として形成された団体の活動(以下「コミュニティ活動」という。)の自主性及び自立性を尊重しながら、政策の形成及び施策を行わなければならない。
(コミュニティ活動の支援)
第30条 市長等は、コミュニティ活動に対し、必要に応じて支援を行うとともに、多様な活動が連携していくための施策を推進しなければならない。
(学校と地域との連携協力)
第31条 教育委員会は、地域と連携協力し、保護者、地域住民等の学校運営への参加を積極的に進めることにより、地域の力を活かし、創意工夫と特色ある学校づくりを行うものとする。
2 教育委員会は、地域及び市長と連携協力し、学校を核としたコミュニティづくりを進めるものとする。
第9章 住民投票
(住民投票の実施)
第32条 市長は、市政に関わる重要事項について、広く市民の意思を把握するため、住民投票を実施することができる。
2 住民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとする。
3 市民、議会及び市長等は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
(住民投票の発議及び請求)
第33条 嘉麻市の議会の議員及び市長の選挙権を有する者は、市政に関わる重要事項について、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、市長に住民投票の請求をすることができる。
2 市長は、前項の請求があったときは、意見を附けてこれを議会に付議しなければならない。
3 議員は、議員定数の12分の1以上の賛成を得て、住民投票の実施について発議することができる。
4 市長は、前2項の場合において、議会が出席議員の過半数の賛成により議決したときは、住民投票を実施しなければならない。
5 市長は、第1項の請求に係る署名者数が3分の1を超えたときは、第2項の規定によることなく、住民投票を実施しなければならない。
第10章 国その他の機関との連携
(国及び県との連携協力)
第34条 市は、国及び県と対等、協力の関係にあることを踏まえ、自らの公共課題の解決を図るとともに、市の自主的、自立的運営のために必要があるときは、国及び県に対して政策及び制度の改善等に関する意見、提案等を行うものとする。
(他の地方公共団体及び関係機関との関係)
第35条 市は、他の地方公共団体及び関係機関との共通課題又は広域的課題に対しては、自主性を尊重し、互いに連携し、協力して解決に当たるものとする。
(市外の人々との交流)
第36条 市民、議会及び市長等は、市外の人々とも積極的に情報交換をしながら交流を深め、その人々の知恵と意見をまちづくりに活用するよう努めるものとする。
第11章 条例の見直し等
(条例の検討及び見直し)
第37条 市長は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、各条項がこの条例の理念及び社会情勢に適合したものかどうかを検討するものとする。
2 市長は、前項に規定する検討の結果を踏まえ、この条例の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講じるものとする。
(自治推進委員会の設置)
第38条 市長は、この条例の趣旨に沿った自治の推進を図るため、嘉麻市自治推進委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとする。
2 委員会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) この条例の運用及び見直しに関する事項
(2) その他自治の推進に関する重要事項
3 前項に定めるもののほか、委員会は、この条例の適正な運用及び見直しに関し、市長に意見を述べることができる。
(委員会の組織等)
第39条 委員会は、委員12人以内をもって組織する。
2 委員会の委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 地方自治に識見を有する者 3人以内
(2) 公共的団体等が推薦する者 3人以内
(3) 市民からの公募による者 6人以内
3 委員会の委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
4 前3項に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。(平成22年12月規則第21号で、同22年12月28日から施行)