熊本市市民参画と協働の推進条例
自治体データ
自治体名 | 熊本市 | 自治体コード | 43100 |
都道府県名 | 熊本県 | 都道府県コード | 00043 |
人口(2015年国勢調査) | 738,865人 |
条例データ
制定年 | 2011年 |
条例類型 | 総合的な市民参加条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 審議会委員の市民公募 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | 本条例の派生として、熊本市市民公益活動支援基金条例(http://greenaccess.law.osaka-u.ac.jp/archives/5689)がある。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=2391&class_set_id=2&class_id=1861 |
条例本文
熊本市市民参画と協働の推進条例〔市民協働課〕
平成23年3月17日
条例第12号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市民参画(第4条―第11条)
第3章 協働(第12条―第15条)
第4章 コミュニティ活動(第16条―第21条)
第5章 市民参画と協働の検証(第22条)
第6章 雑則(第23条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、熊本市自治基本条例(平成21年条例第37号)第31条の規定に基づき、本市における情報共有を前提とした参画と協働を拡充推進するための基本的な事項を定め、もって住民自治の一層の推進を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 参画 施策の立案から実施及び評価までの過程に主体的に参加することをいう。
(2) 協働 同じ目的のために、それぞれが対等な立場に立ち、役割と責任を担い、協力することをいう。
(3) 市民 次のいずれかに該当するものをいう。
ア 本市の区域内に住所を有する者
イ 本市の区域内に通勤し、又は通学する者
ウ 本市の区域内で事業を営み、又は活動する個人及び法人その他の団体
(4) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者及び消防長をいう。
(5) パブリックコメント 市の計画、条例、規則、制度等(以下「計画等」という。)の素案、選択肢、論点等(以下「素案等」という。)を施策の立案過程において広く公表し、市民が多様な意見、情報、専門的知識等(以下「意見等」という。)を提案し、又は提供する機会を設け、市民から提出された意見等を考慮して計画等の検討を行うとともに、検討結果についても広く公表する一連の手続をいう。
(6) 審議会等 市政運営上一定の役割を担う組織化された機関であって次に掲げるものをいう。
ア 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第14条の規定に基づき、法律又は条例の規定により設置された附属機関
イ 市政運営上の意見の聴取、交換、懇談等を行うため市長等が設置した懇談会等
(7) ワークショップ 特定のテーマや課題に対応するため、具体的課題の抽出及び解決等について、集団による共同作業や話合いを通じて意見等の集約を図る手法をいう。
(8) コミュニティ活動 地域又は共通の関心によってつながった多様な組織及び集団が身近な課題を解決するために行う活動をいう。
(9) 地域コミュニティ活動 身近な地域の課題を解決していくとともに、社会を多様に支え合う自主的で自立的な地域のコミュニティ活動をいう。
(10) 市民公益活動 前号に規定する活動のほか、公共の利益や社会貢献を目的として自主的に活動する市民活動をいう。
(情報共有)
第3条 市民及び市長等は、市民の参画(以下「市民参画」という。)と協働を拡充推進するため、情報共有に努めるものとする。
2 市長等は、市政に関する正確でわかりやすい情報を迅速に提供し、これを市民が容易に得られるよう努めるものとする。
第2章 市民参画
(市民参画の拡充推進)
第4条 市長等は、積極的に市民参画の機会を設け、市民の意見等を施策へ反映するよう努めるものとする。
2 市民及び市長等は、信頼関係の下自らの役割と責任を認識し、積極的に市民参画に取り組むよう努めるものとする。
(市民参画の対象)
第5条 市長等は、次に掲げる事項を行おうとする場合は、市民参画の機会を設けなければならない。
(1) 市の総合計画その他市の基本的な施策を定める方針又は計画の策定又は変更
(2) 市民の権利義務、生活、事業活動等に重大な影響を及ぼすような条例、規則等又は行政指導指針等の制定又は改廃
(3) 前2号に掲げるもののほか、一定の範囲で市民の生活、事業活動等に重大な影響を及ぼすような施策に関する事項の策定又は変更
2 市長等は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、市民参画の機会を設けないことができる。
(1) 軽易な変更等であるとき。
(2) 法令の規定により施策の実施の基準が定められており、当該基準に基づき行うとき。
(3) 市税の賦課徴収その他金銭の徴収等に関するとき。
(4) 組織、人事その他市長等の内部の事務処理に関するとき。
(5) 施設、設備等の設置及び管理運営に関する条例、規則等又は行政指導指針等の制定又は改廃を行うとき。
(6) 緊急その他やむを得ない理由があるとき。
3 市長等は、前項第6号の規定により市民参画の機会を設けなかった場合において、市民からその理由を求められたときは、当該市民に対し、これを説明しなければならない。
4 市長等は、予算に関する事項その他の第1項各号に該当しない事項においても、市民参画の機会を設けるよう努めるものとする。
(市民参画のための手法)
第6条 市民参画のための手法は、次に掲げるとおりとする。
(1) パブリックコメント
(2) 審議会等
(3) アンケート
(4) 説明会
(5) ワークショップ
(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が別に定める手法
2 市長等は、より効果的で新たな市民参画のための手法について必要な調査研究を行うよう努めるものとする。
(市民参画の実施)
第7条 市長等は、前条第1項各号に掲げる市民参画のための手法のうちから、事案の内容等に応じ効果的なものを選定し、これを適切な時期に実施するものとする。
2 市長等は、市民参画を実施しようとするときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 市民の多様な意見等を求めるため、特に必要があると認められるときは、複数の手法を併用すること。
(2) 特定の地域を対象とする施策については、対象となる地域に関わりのある市民が参画できるようにすること。
(公表)
第8条 市長等は、市民参画を実施するに当たっては、次の各号のいずれかに掲げる方法により、あらかじめその目的、実施時期その他必要と認める事項を公表し、実施後は、その結果について公表するものとする。
(1) 市の窓口での閲覧
(2) 市のホームページへの掲載
(3) 市の広報紙への掲載
(4) 市庁舎その他市の区域内の適当な場所における掲示
(5) 前各号に掲げるもののほか、効果的に周知できる方法
(パブリックコメントの対象)
第9条 市長等は、第5条第1項各号に掲げる事項のうち広く市民から意見等を求める必要がある事項について市民参画を実施しようとするときは、パブリックコメントを含めて実施しなければならない。
(パブリックコメントの実施)
第10条 市長等は、パブリックコメントを実施しようとするときは、対象とする計画等の素案等を公表しなければならない。
2 市長等は、素案等を公表するときは、次に掲げる事項を記載した概要を付するよう努めなければならない。
(1) 策定の趣旨、目的及び背景
(2) 素案等の要点
(3) 前2号に掲げるもののほか、市民が素案等を理解するため市長等が必要と認める資料
3 市長等は、パブリックコメントの実施により提出された意見等を考慮して、対象となる計画等に関する決定を行うものとする。
4 市長等は、前項の決定を行ったときは、提出された意見等及びこれに対する市長等の考え方並びに修正した内容(素案等を修正した場合に限る。)を公表しなければならない。ただし、提出された意見等が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
(1) 賛否の結論のみを示した意見
(2) 対象とする計画等に合致しない意見等
(3) パブリックコメントの実施の際に指定した手続を経ないで提出された意見等
(4) 熊本市情報公開条例(平成10年条例第33号)第7条各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)に該当する意見等
5 市長等は、パブリックコメントを実施したにもかかわらず意見等の提出がなかった場合は、その旨を公表しなければならない。
(審議会等)
第11条 市長等は、審議会等その他これに準ずるものの構成員については、審議会等その他これに準ずるものの設置目的を踏まえ、市民の幅広い層から必要な人材を選定するとともに、公募等により選定された者を積極的に加えるよう努めなければならない。ただし、法令の規定により構成員の構成が定められていることその他の事由がある場合は、この限りでない。
2 市長等は、審議会等その他これに準ずるものの会議(以下「会議」という。)を開催する場合は、開催日時、場所等を公表しなければならない。ただし、緊急に開催するときその他やむを得ない理由があるときは、公表しないことができる。
3 会議は、公開しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
(1) 不開示情報を含む事項について審議等を行うとき。
(2) 前号に掲げるもののほか、公にすることが適当でないと認められる事項について審議等を行うとき。
4 市長等は、会議が開催されたときは、速やかに会議録を公表するものとする。ただし、前項各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
第3章 協働
(協働の取組の拡充推進)
第12条 市民及び市長等は、それぞれの特性や立場を理解した上で、対等な立場で相互に補完し、協働の取組を拡充推進するよう努めるものとする。
2 協働の取組を行うに当たって、市民及び市長等は、事業ごとの目的及び目標を共有し、事業の協力や協定の締結等の多様な形態のうち、効果的なものにより行うものとする。
(協働における市民の役割)
第13条 協働の取組を行うに当たって、市民は、社会との調和に努め、活動の充実に取り組むとともに、必要に応じ市長等及び他の市民と連携し、協力するよう努めるものとする。
2 市民は、自主性及び自立性をもって協働の取組を推進するとともに、その取組が広く市民に理解されるよう努めるものとする。
(協働における市長等の役割)
第14条 市長等は、市民の自主性及び自立性を尊重しながら、必要に応じ協働が円滑に進むための環境づくりに努めるものとする。
(協働のための提案)
第15条 市長等は、市民及び市長等が協働の取組を相互に提案するために必要な制度を整備するよう努めるものとする。
第4章 コミュニティ活動
(自主自立のコミュニティ活動のための環境づくり)
第16条 市民及び市長等は、市民が地域コミュニティ活動及び市民公益活動(以下「地域コミュニティ活動等」という。)を継続して行うための環境づくりに努めなければならない。
(人材の育成支援)
第17条 市長等は、地域コミュニティ活動等に関して市民が広く学べる機会を設けることその他地域コミュニティ活動等を担う人材の育成に必要な環境づくりに努めるものとする。
(活動の場の整備等)
第18条 市長等は、地域コミュニティ活動等を支援するための拠点を整備するとともに、身近な公共施設等を活用し、地域コミュニティ活動等の場の提供に努めるものとする。
2 市長等は、地域コミュニティ活動等の場として民間の施設等を活用できるよう広報及び啓発に努めるものとする。
(活動資金等の支援)
第19条 市長等は、地域コミュニティ活動等の自立性を妨げない範囲内でその活動に要する資金の助成その他財政的支援に努めるものとする。
(施策の総合的な実施)
第20条 市長等は、地域コミュニティ活動等の推進に関する施策を総合的に実施するよう努めるものとする。
(合意形成)
第21条 市民及び市長等は、それぞれの区の区域及び小学校区等の身近な地域並びに環境保全、福祉の増進等の特定の分野における課題の解決に向けて円滑な合意の形成ができるよう取り組むものとする。
2 市は、それぞれの区の区域における課題の解決に向けた合意の形成ができるよう、必要に応じ、協議の場を設けるものとする。
3 前項に規定するもののほか、市長等は、第1項に規定する合意の形成の過程において必要な支援に努めるものとする。
(平23条例69・全改)
第5章 市民参画と協働の検証
第22条 市長等は、市民参画と協働の取組に関し進行状況の管理を行うとともに、当該取組の結果を毎年度第8条の規定に準じて公表するものとする。
2 市長等は、市民参画と協働の取組を検証し、その結果を第8条の規定に準じて公表するものとする。
第6章 雑則
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。
(見直し)
2 市長は、この条例の施行後1年を目途として、この条例の規定について見直しを行い、適切な措置を講ずるものとする。
附 則(平成23年12月19日条例第69号)
この条例は、平成24年4月1日から施行する。