流山市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 流山市 | 自治体コード | 12220 |
都道府県名 | 千葉県 | 都道府県コード | 00012 |
人口(2015年国勢調査) | 199,849人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 審議会委員の市民公募 政策提案制度 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | 2012年に、関連して「流山市市民参加条例」が制定された。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/information/1007116/1007117/index.html |
条例本文
○流山市自治基本条例
平成21年3月30日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 基本理念等(第4条―第6条)
第3章 情報共有と個人情報の保護(第7条―第10条)
第4章 参加と協働(第11条―第17条)
第5章 国、千葉県及び他の自治体等との協力等(第18条―第21条)
第6章 行政運営の原則(第22条―第28条)
第7章 議会の役割(第29条―第31条)
第8章 公正と信頼の確保(第32条―第35条)
第9章 責務(第36条―第39条)
第10章 条例の実効性の確保(第40条・第41条)
附則
わたしたちのまち流山市は、江戸川、利根運河などの豊かな水辺、下総台地に広がる豊かな森に包まれたまちです。
わたしたちは、先人たちが永々と築いてきた水と緑と文化を大切にするとともに、市民同士のつながりを大事にする地域社会を築き、皆が「ここに住んでよかった」と思えるまちを目指しています。
地方分権をさらに推進するため、地方自治の本旨に基づき市民自治を進める地方公共団体である地方政府としての流山市は、市民の意思を十分に把握し、自らの責任で政策を策定し実行しなければなりません。そして、市民は、自分たちの課題は自分たちで解決するという市民自治の精神にのっとり、行政、議会とともに、まちづくりを進めることが求められています。
この大きな目標を実現するためには、市民は互いに助け合い、共に責任を担い合って、積極的にまちづくりに参加し、そして、市及び議会は、市民の信託にこたえ、市民と連携し、協力して、市民自治によるまちづくりを進めなければなりません。
そのためには、市民自治の基本的な理念を確立し、市民が主体的に参加する方法、情報の公開と共有、市民と市及び議会の役割と責務など自治体を運営していくための基本的な原則、仕組みが必要です。
流山市は、日本国憲法に掲げる地方自治の本旨に基づき、市民福祉の向上を目指し、市民自治のための普遍の原則を定め、ここに流山市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、流山市の自治の基本理念を明らかにするとともに、市民自治によるまちづくりの推進に関する原則及び制度、市民等の権利及び責務、市及び議会の役割及び責務等を定め、それらの着実な実行を通して、市民自治を推進し、もって市民福祉の向上を図ることを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、流山市が定める市民自治及び市政に関する最高規範であり、他の条例、規則等の制定又は改廃、解釈及び運用に当たっては、この条例に適合するように努めなければなりません。
2 市及び議会は、この条例に定める事項を実現するため、条例等の制定その他必要な措置を講じるよう努めなければなりません。
3 市及び議会は、法令を解釈し、運用する場合は、この条例に照らして、適正に判断するよう努めなければなりません。
4 市及び議会は、この条例に定める事項について、相互に関連付けて活用することにより市民自治を推進し、もって市民福祉の向上に努めなければなりません。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによります。
(1) 市民 本市の住民基本台帳に記録されている者をいいます。
(2) 市民等 市民並びに市内で働く者及び就学する者並びに市内の自治会、NPO及び事業者をいいます。
(3) 市 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、水道事業管理者及び消防長をいいます。
(4) 市政 行政の運営及び議会の活動をいいます。
(5) 参加 市又は議会による政策の立案、実施及び評価の過程において、市民等が意見を表明し、行動することをいいます。
(6) 協働 市民等、市及び議会が、それぞれの役割及び責務のもと、お互いの自主性及び自立性を尊重し、十分な協議と理解の上、目的を共有し、対等な立場で連携し、協力して活動することをいいます。
第2章 基本理念等
(基本理念)
第4条 この条例の目的を達成するため、次に掲げることを基本理念とします。
(1) 市民は、自治の主体であり、主権は市民にあります。
(2) 市民等、市及び議会は、基本的人権を最大限に尊重しなければなりません。
(3) 市及び議会は、市民の信託に誠実に応じなければなりません。
(4) 市及び議会は、市民等の知る権利を保障し、積極的に情報提供を行うとともに、十分な説明責任を果たさなければなりません。
(5) 市及び議会は、市民等が市政に参加できるよう、参加の制度を整備し、その機会を多様に保障しなければなりません。
(6) 市民等、市及び議会は、協働によるまちづくりを推進していくものとします。
(目指すまちの姿)
第5条 市民等、市及び議会は協働し、流山市民憲章の精神を尊重し、次に掲げるまちの実現に努めるものとします。
(1) 地域の生態系の保全と景観に配慮したまち
(2) 緑を大切にし、地球温暖化対策に取り組むまち
(3) 恒久平和を希求し、安心と安全を実感できるまち
(4) 市民等が理解と尊敬をもって、互いに助け合えるまち
(5) 学校、家庭、地域が連携し、教育環境が充実したまち
(6) 生涯にわたって学ぶことができるまち
(7) 歴史や伝統を尊重し、市民文化が創造されるまち
(8) 子どもたちの人権が守られ、心豊かで健やかに成長できるまち
(9) 健康で楽しく、いきいきと暮らすことができるまち
(10) 高齢者や障害者が暮らしやすいまち
(11) 地域の産業を興し、地域に活力を与え、働く喜びを持てるまち
(12) 男女共同参画社会が形成されたまち
(13) 多様な文化を持つ人々が、快適に安心して住めるまち
(地域コミュニティ)
第6条 市民並びに市内で働く者及び就学する者は、自治会、NPO、ボランティア団体等の多様な集団(以下「地域コミュニティ」という。)が市民自治によるまちづくりの担い手であることを認識し、積極的にこれに加入し、その活動に関わるように努めるものとします。
2 地域コミュニティは、それぞれの特性を生かしつつ連携し、協力し、市民自治によるまちづくりの推進に努めるものとします。
3 市は、市民自治によるまちづくりを推進するため、地域コミュニティの主体性を尊重しつつ、その自主性及び自立性を損なわない範囲で、積極的に地域コミュニティの活動を支援するよう努めなければなりません。
第3章 情報共有と個人情報の保護
(知る権利)
第7条 市民等は、市及び議会が保有する情報を知る権利を有しています。
(情報共有)
第8条 市及び議会が保有する情報は、市民等との共有物であって、市及び議会は、これを適正に管理し、公正かつ公平に提供するものとします。
(説明責任)
第9条 市及び議会は、市政に関し、市民等に積極的に説明する責任を負うとともに、市民等の説明の求めに対して速やかに、かつ、誠実に説明する責任を負います。
(個人情報の保護)
第10条 市及び議会は、個人に関する情報を適正に管理し、保護しなければなりません。
2 何人も市及び議会に対して、開示、訂正、削除その他の自己に関する個人情報の適正な管理のための行為を請求することができます。
第4章 参加と協働
(参加の権利)
第11条 市民等は、市政に参加する権利を有しています。
(子どもの意見表明の機会の保障)
第12条 市は、子どもが自己に関係のある事柄について、意見を表明できる機会を積極的に設けるよう努めなければなりません。
(参加の機会の保障)
第13条 市及び議会は、市民等の市政への参加の権利を保障するため、多様な参加の機会を設けるよう努めなければなりません。
2 市は、多様な方法を用いて市民等の意見や提案を求め、これを行政の運営に反映するよう努めなければなりません。
(提案制度)
第14条 市民等は、公益的な観点から行政の運営に関する提案を市に提出することができます。
2 市は、前項の規定による提案の提出があったときは、公開による審査を実施し、有用と認められた提案については、その実現に向けて必要な措置を講じなければなりません。
(協働によるまちづくり)
第15条 市民等、市及び議会は、地域課題を解決し、豊かな地域社会を実現するため、協働によるまちづくりを行うものとします。
2 市は、協働によるまちづくりの推進に当たっては、必要に応じて地域コミュニティ又は事業者との間に、互いの役割等を定めた協定を締結することができます。
3 市は、協働によるまちづくりを効果的に推進するための制度の整備に努めなければなりません。
(市民参加条例)
第16条 市民等の市政への参加に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定めます。
(市民投票)
第17条 市長は、流山市が直面する将来に係る重要課題について、市民から市民投票の実施の請求があったときは、これを実施しなければなりません。
2 市長及び議会は、市民投票の結果を尊重して、当該課題に対処するものとします。
3 市民投票の請求及び実施については、別に条例で定めます。
第5章 国、千葉県及び他の自治体等との協力等
(国及び千葉県との協力等)
第18条 流山市は、国及び千葉県と対等な立場であり、流山市の自主性を踏まえた上、地方自治の発展のために、国及び千葉県と協力するとともに、政策及び制度の改善等に関する提案を積極的に行います。
(近隣等の自治体との協力)
第19条 流山市は、行政運営上の課題の解決と市民サービスの向上を図るため、広域的な観点から、近隣自治体と相互に連携し、協力するよう努めます。
2 流山市は、姉妹都市及び友好都市をはじめとする前項以外の自治体と共通するまちづくりの課題について連携し、協力し、その解決に努めます。
(市外の人々との連携)
第20条 市民等、市及び議会は、市外の人々との連携を図り、その知恵や意見を市民自治によるまちづくりに活用するように努めます。
(国際交流)
第21条 市民等、市及び議会は、国際交流を推進し、諸外国の自治体等と協力して、平和、人権、環境等の地球規模の諸問題に取り組むとともに、相互の理解を深めるように努めます。
第6章 行政運営の原則
(総合計画)
第22条 市長は、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、流山市の最上位計画として基本構想、基本計画及び実施計画を内容とする総合計画(以下「総合計画」という。)を策定します。
2 市長は総合計画における基本構想のほか、その直近の下位計画である基本計画についても、議会の議決を経なければなりません。
3 市長は、社会経済情勢等が大きく変化し、総合計画の内容との間にかい離が生じたときは、これを見直すものとします。
4 市が行う政策は、総合計画に根拠を置かなければなりません。
(財政運営)
第23条 市長は、財政の状況を総合的に把握し、分析を行い、もって明確な方針のもとに市民サービスの質を維持し、向上させるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げる健全な財政運営を行います。
2 市長は、財政状況及び財産の保有状況につき出資団体を含む連結決算を行い、財政情報を作成しなければなりません。
3 市長は、財政運営における目標値を定め、自立的な財政基盤の強化に努めるとともに、中長期の財政計画を策定しなければなりません。
4 市長は、財政運営の透明性を確保するとともに、第2項の財政情報及び前項の中長期の財政計画を市民に分かりやすく公表しなければなりません。
5 市長は、歳入における市税の2割を超える地方債を発行する事業を実施する場合は、市民投票などの多様な方法によって必ず市民に意見を求め、その結果を尊重しなければなりません。
6 市長は、財政運営の健全化、公開性及び効率性を推進する制度を構築します。
(行政評価)
第24条 市は、効果的かつ効率的に行政を運営するため、政策、施策及び事業のすべてについて行政評価を実施しなければなりません。
2 市は、前項の行政評価の結果に基づき政策、施策及び事業を見直すとともに、これを総合計画の進行管理及び見直し並びに予算の編成に反映させなければなりません。
3 市は、第1項の行政評価を行うときは、市民等の参加による方法を用いるよう努めるとともに、その行政評価の結果を市民等に分かりやすく公表しなければなりません。
(法令の活用による政策実現)
第25条 市は、行政運営上の課題や市民等の要望に対応するため、法令等を主体性をもって解釈するとともに、自治立法権を積極的に行使することその他多様な方法によって、政策の実現に努めなければなりません。
(行政組織及び職員の能力開発等)
第26条 市は、行政運営上の課題や市民等の要望の変化に迅速に対応できるよう行政組織を整備しなければなりません。
2 市は、総合的な視点から定員適正化計画を策定しなければなりません。
3 市は、職員の能力と意欲を高め、政策形成能力を向上させるため、人事評価、人事交流及び職員研修の制度の充実に努めなければなりません。
(危機管理体制の確立)
第27条 市は、市民の身体、生命、財産及び暮らしの安全を確保するとともに、緊急時に、総合的かつ機能的な活動が図られるよう危機管理体制の確立に努めなければなりません。
2 市は、前項の目的を達成するため、広域的な視点から近隣市や姉妹都市等との連携を図らなければなりません。
(審議会等)
第28条 市は、審議会等(附属機関その他の市の設置する合議体の機関をいう。次項において同じ。)の委員を選任する場合は、委員構成における多様性の保持に留意するとともに、可能な限り市民から公募するものとします。
2 市は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければなりません。
第7章 議会の役割
(議会の役割)
第29条 議会は、市民等の意思を市政に的確に反映させるため、市長との適切な緊張関係及び健全な協力関係をもって、議会の役割を果たすものとします。
2 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に定める議会の権限を最大限に行使し、市民福祉の向上に努めるものとします。
(市民等に開かれた議会)
第30条 議会は、市民等に開かれた運営を行うよう努めるものとします。
2 議会は、多様な方法で市民等の問題意識を把握するよう努め、政策の立案に反映させるものとします。
(議会の政策立案機能の充実)
第31条 議会は、政策立案機能の充実を図り、立法活動、調査活動等を積極的に行います。
第8章 公正と信頼の確保
(行政手続)
第32条 市は、市民等の権利利益を保護するため、処分、行政指導及び届出に関する手続を定め、透明で公正かつ公平な行政手続を確保しなければなりません。
(苦情等への対応)
第33条 市は、行政の運営に関する苦情等を公正に、かつ、その苦情等について関係のある者との間においては中立な立場で、迅速に処理しなければなりません。
2 市は、行政の運営に関する苦情等に対しては、市民等の権利利益を擁護し、公正かつ迅速な処理を図るため、適正な体制整備に努めます。
(倫理)
第34条 市長及び議会は、政治倫理に関する原則及び制度を定め、政治倫理の確立と公務に対する市民等の信頼の確保を図らなければなりません。
2 市長は、公務員倫理に関する原則及び制度を定め、公務に対する市民等の信頼の確保を図らなければなりません。
(内部通報)
第35条 職員は、適法かつ公正な市の行政執行を妨げ、市政に対する市民等の信頼を損なうような行為のあることを知ったときは、速やかにその事実を内部通報に関する機関に通報しなければなりません。
2 市及び議会は、前項の規定による通報を行った者に対し、それを理由として不利益な取扱いをしてはなりません。
第9章 責務
(市民等の責務)
第36条 市民等は、市民自治によるまちづくりの主体であることを自覚し、市政への参加に当たっては、その発言及び行動に責任を持つとともに、互いに権利を認め合い、協力し合うことによって、市民自治によるまちづくりを推進しなければなりません。
(市長の責務)
第37条 市長は、市民等とともに市民自治によるまちづくりを推進するという認識に立ち、毎年、行政の運営に関する基本方針を明らかにし、職務を遂行しなければなりません。
2 市長は、職員を適切に指揮監督して行政運営を行うとともに、職員の能力向上に努めなければなりません。
3 市長は、選挙においての自らの公約を総合計画に反映させるよう努めなければなりません。
4 市長は、長期にわたって在任することによって、自治の活力の低下を招かないように努めなければなりません。
(議員の責務)
第38条 議員は、市民等とともに市民自治によるまちづくりを推進するという認識に立ち、常に市民全体の利益を代表して議会活動に努めなければなりません。
2 議員は、自らの考えを市民等に明らかにするとともに、広く市民等の声を聴き、政策の立案及び議会の運営に反映させるよう努めなければなりません。
(職員の責務)
第39条 職員は、全体の奉仕者として、誠実、公正かつ効率的に職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、職務の遂行に当たっては、法令等を遵守しなければなりません。
3 職員は、市民等の意向や行政運営上の課題に的確に対応するため、知識、技能等の修得に努めなければなりません。
第10章 条例の実効性の確保
(条例の実効性の確保)
第40条 市民等、市長、議員及び職員は、この条例を遵守することにより、市民自治によるまちづくりを推進しなければなりません。
2 市長は、この条例の実効性を確保するため、必要な制度等の整備に関する年次計画を定め、この条例の運用状況等を調査し、検討し、その結果を公表しなければなりません。
3 市長は、この条例の実効性を確保するため、市民等及び市民自治によるまちづくりを推進するための地域コミュニティと協議し、連携するものとします。
4 市長は、第2項の規定による調査及び検討の結果並びに前項の規定による協議の結果、条例等の改正及び制定等が必要であると判断したときは、適切な措置を講じなければなりません。
(条例の見直し)
第41条 市長は、社会情勢の変化等により、この条例の見直しをするときは、多様な方法を用いて、市民等の意見や提案を求めるよう努めなければなりません。
附 則
この条例は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成24年3月30日条例第1号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成24年7月9日から施行する。