笠岡市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 笠岡市 | 自治体コード | 33205 |
都道府県名 | 岡山県 | 都道府県コード | 00033 |
人口(2015年国勢調査) | 46,088人 |
条例データ
制定年 | 2008年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.kasaoka.okayama.jp/soshiki/6/1247.html |
条例本文
○笠岡市自治基本条例
平成20年3月25日
条例第11号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 基本原則(第4条)
第3章 市民の役割(第5条~第7条)
第4章 市議会及び執行機関の役割(第8条~第12条)
第5章 市政の運営(第13条~第19条)
第6章 参加及び協働(第20条~第22条)
第7章 財政(第23条~第26条)
第8章 住民投票(第27条)
第9章 国,県,他の地方公共団体等との関係(第28条・第29条)
第10章 その他(第30条・第31条)
附則
(前文)
笠岡市は,瀬戸内海に臨み,大小30有余の多島美を誇る笠岡諸島,特別天然記念物カブトガニ繁殖地,夢と希望の大干拓地を有します。
また,交通の要衝として,活力に満ちたまち笠岡市の特性を活かし,魅力的なまちづくりに取り組んできました。
先人の築き上げた歴史,培ってきた文化,守り育ててきた自然などの貴重な財産を次世代に引き継ぎ,誰もが心豊かな生活を送れる地域社会を実現していく必要があります。
そのためには,自治の担い手である私たち市民,市議会及び執行機関は,英知を結集し,役割を分担し,それぞれの責任を果たし,協力していかなければなりません。
そして,私たち市民が自ら考え,自らの責任のもとに自ら行動することを自治の基本理念とし,まちづくりの主体であることを強く自覚し,自立した市民として,安全で安心して暮らせるまちづくりに向けて努力していくことが必要です。
ここに市民主体の自治の基本理念を共有し,笠岡市における最高規範としての笠岡市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,笠岡市における自治の基本理念を明らかにし,自治の基本となる事項を定め,自治の担い手である私たち市民が,市議会及び市の執行機関と一体となって,自治の実現を図ることを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は,市が定める最高規範であり,笠岡市における条例等の制定,改廃及び運用に当たっては,この条例の内容を尊重し,この条例に適合させなければならない。
(定義)
第3条 この条例において,次の各号に掲げる用語の定義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住し,又は市内で働き,学び,若しくは活動する個人,法人,その他の団体をいう。
(2) 市 住民,市議会,執行機関によって構成され,市民に対して地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う自治体をいう。
(3) 執行機関 市長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員,公平委員会,農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(4) 協働 市民,市議会及び執行機関が,自主性を尊重し,対等な立場で相互に補完し,協力することをいう。
(5) 地域コミュニティ 互いに助け合い,地域の課題に自ら取り組むことを目的として,自主的に形成された集団をいう。
第2章 基本原則
(自治の基本原則)
第4条 市民,市議会及び執行機関は,自治の基本理念に基づき,自治の基本原則を次のとおり定める。
(1) 自主及び自立の原則 市民,市議会及び執行機関は,国及び岡山県との適切な役割分担のもと,自らの判断と責任において,自立した自治体として自治を推進することを原則とする。
(2) 人権尊重の原則 市民,市議会及び執行機関は,人権が尊重され,公正,公平かつ平等な自治の推進を原則とする。
(3) 参加及び協働の原則 市民,市議会及び執行機関は,自治を推進するため,それぞれの責務に基づいて参加し,協働することを原則とする。
(4) 情報共有の原則 市議会及び執行機関は,保有する情報を積極的に公開し,市民とともに共有することを原則とする。
第3章 市民の役割
(市民の権利)
第5条 市民は,快適な環境において安全で安心な生活を営む権利を有する。
2 市民は,市政の主権者であり,市政に参加する権利を有する。この場合において,市政に参加しないことにより不利益な扱いは受けない。
3 市民は,市政の情報に関し知る権利を有する。
4 市民は,法令又は条例の定めるところにより納税の義務を負うとともに,適正な行政サービスを受ける権利を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は,自治の主体であることを自覚し,互いに尊重し,協力して,自治の推進に当たる責務がある。
2 市民は,市政へ参加するに当たっては,自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
3 市民は,地域社会を構成するものとしての社会的責任を自覚し,安全で潤いのあるまちづくりの推進に努めなければならない。
4 市民は,納税の義務を負い,行政サービスその他市政の運営に要する費用について応分の負担をする。
(地域コミュニティ)
第7条 市民は,地域コミュニティを守り育てるよう努めるものとする。
2 執行機関は,地域コミュニティの自主性及び自立性を尊重し,笠岡らしさを念頭に置いた政策形成等を行うものとする。
3 執行機関は,地域コミュニティの活動を支援することができるものとする。
4 市議会は,地域コミュニティの自主性及び自立性を尊重するものとする。
第4章 市議会及び執行機関の役割
(市議会の責務)
第8条 市議会は,自治の基本原則にのっとり,その権限を行使し,自治を推進しなければならない。
2 市議会は,市民に対して,開かれた議会運営に努めるとともに,保有する情報を公開しなければならない。
(市議会議員の責務)
第9条 市議会議員は,自治の基本原則にのっとり,市議会が前条に規定する事項を実現するよう,誠実に職務を執行しなければならない。
(執行機関の責務)
第10条 執行機関は,まちづくりに関する重要な政策の形成,執行,評価等の過程において,市民からの提案,意見,要望等を反映させるよう努めなければならない。
2 執行機関は,市政に関する市民からの質問,意見,要望等に対し,速やかに,かつ,誠実にこたえるよう努めなければならない。
(市長の責務)
第11条 市長は,この条例を遵守し,市民の信託にこたえ,公正,公平かつ誠実に市政を運営し,市民主体の自治を推進しなければならない。
2 市長は,市政の総合的かつ計画的な展望及び方針を示し,その実現に取り組まなければならない。
3 市長は,市職員の能力向上に努めなければならない。
4 市長は,市民にわかりやすく,効率的かつ機能的な組織体制をつくらなければならない。
(市職員の責務)
第12条 市職員は,市民との信頼関係づくりに努め,市民全体のために,公正,公平かつ誠実に職務を遂行し,市民主体の自治を推進しなければならない。
2 市職員は,職務の遂行に必要な知識の習得及び能力の向上に取り組まなければならない。
第5章 市政の運営
(計画的な市政運営)
第13条 執行機関は,自治の基本理念にのっとり,総合的かつ計画的な市政運営を行うため,基本構想を定めるとともに,基本構想の実現を図るため,基本計画を策定しなければならない。
(開かれた市政運営)
第14条 執行機関は,市民にわかりやすい形で,保有する情報を積極的に公開し,公正かつ透明性の高い開かれた市政の運営を行わなければならない。
(個人情報の保護)
第15条 市議会及び執行機関は,個人の権利利益を守るため,保有する個人に関する情報を保護しなければならない。
(適切な行政手続)
第16条 執行機関は,市政の運営における公正の確保及び透明性の向上を図り,市民の権利利益を保護するために,適切な処分,行政指導及び届出に関する手続きを行わなければならない。
(行政評価)
第17条 執行機関は,市政をより効率的かつ効果的に運営するため,市民参加のもと行政評価を実施し,その結果を市政の運営に反映させなければならない。
2 執行機関は,行政評価の結果を市民にわかりやすく公表しなければならない。
(説明責任)
第18条 執行機関は,重要な条例の制定及び計画の策定等に当たり,情報の提供に努め,市民にわかりやすく説明しなければならない。
2 執行機関は,市民の意見,要望,提案等に対して,速やかに応答しなければならない。
(危機管理)
第19条 市は,緊急時に備え,市民の身体,生命及び財産の安全性の確保及び向上に努めるとともに,総合的かつ機動的な危機管理の体制を強化するため,市民及び関係機関との協力,連携並びに相互支援を図らなければならない。
第6章 参加及び協働
(市民参加)
第20条 市民は,市政に関わる政策等の立案,実施及び評価のそれぞれの過程において,自主的に参加するものとする。
2 執行機関は,市民が市政に参加しやすい環境づくりを進め,市政に参加する機会を提供しなければならない。
3 市民,市議会及び執行機関は,男女共同参画のもとに市民主体の自治を推進するものとする。
(協働のまちづくり)
第21条 市民及び市は,互いに対等な立場で,相互理解を深めるとともに信頼関係のもとに,協働してまちづくりを進めるよう努めなければならない。
2 市議会及び執行機関は,前項に規定する協働を推進するに当たり,市民の自発的な活動を支援するよう努めなければならない。
(教育委員会と地域との連携協力)
第22条 教育委員会は,地域と連携協力し,保護者,地域住民等の学校運営への参加を積極的に進めることにより,地域の力を生かし,創意工夫と特色ある学校づくりを行うものとする。
2 教育委員会は,地域及び市長と連携協力し,地域コミュニティを核とした地域づくりを進めるよう努めなければならない。
第7章 財政
(健全な財政運営)
第23条 市長は,基本計画に基づき中長期的な財政計画を定めるとともに,財源の確保並びにその効率的な活用及び効果的な配分を行い,健全な財政運営を行わなければならない。
(財政状況等の公表)
第24条 市長は,市民に対し,財政に関する計画及び状況を公表しなければならない。
(財産の管理)
第25条 市長は,市の保有する財産の適正な管理及び効率的な運用を行わなければならない。
(監査)
第26条 監査委員は,市の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理の監査並びに市の事務の執行の監査をするに当たっては,事務事業の適法性,妥当性,経済性,効率性及び有効性の評価等を踏まえて行うものとする。
第8章 住民投票
(住民投票)
第27条 市長は,市政に係る重要事項について,住民の意思を市政に反映するため,住民投票を実施することができる。
2 市民,市議会及び市長は,住民投票の結果を尊重しなければならない。
3 市長は,住民投票を行う場合は,その事案ごとに投票権者,投票結果の取扱い等を規定した条例を別に定めるものとする。
4 市長は,住民投票を規定した条例を議会に提出することにより,住民投票を実施することができる。
5 議員は,法令の定めるところにより,議員の定数の12分の1以上の議員の賛成を得て,住民投票を規定した条例案を発議することができる。
6 議会の議員及び長の選挙権を有する者は,法令の定めるところにより,その総数の50分の1以上の者の連署をもって,その代表者から住民投票を規定した条例の制定を市長に請求することができる。
第9章 国,県,他の地方公共団体等との関係
(国及び県との関係)
第28条 市は,国及び県と対等の関係にあることを踏まえ,適切な役割分担を行い,自立した地方自治を確立するよう努めなければならない。
(他の地方公共団体等との関係)
第29条 市は,他の地方公共団体及び関係機関との共通課題又は広域的課題に対して,自主性を保持しつつ相互に連携し,協力して解決に当たるよう努めなければならない。
2 市は,前項の課題を解決するため,他の地方公共団体及び関係機関と共同で組織を設けることができるものとする。
第10章 その他
(条例の見直し)
第30条 市長は,この条例が笠岡市にふさわしく,社会情勢に適合したものかどうか必要に応じて検証し,見直しが適当であると判断したときは,必要な措置を講じるものとする。
(委任)
第31条 この条例の施行に関し必要な事項は,市議会及び執行機関が別に定めるものとする。
附 則
この条例は,平成20年10月1日から施行する。