花巻市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 花巻市 | 自治体コード | 03205 |
都道府県名 | 岩手県 | 都道府県コード | 00003 |
人口(2015年国勢調査) | 93,193人 |
条例データ
制定年 | 2008年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 意向調査 パブリックコメント ワークショップ 意見交換会 委員公募 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/shisei/chiiki/katsudou/1003516.html |
条例本文
花巻市まちづくり基本条例
平成20年3月19日条例第24号
花巻市まちづくり基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市の目指す姿(第4条)
第3章 まちづくりの基本原則(第5条)
第4章 市民の権利及び責務(第6条―第8条)
第5章 市議会等の役割と責務(第9条)
第6章 市長等の役割と責務(第10条・第11条)
第7章 参画と協働(第12条―第15条)
第8章 コミュニティ(第16条・第17条)
第9章 市政運営の原則(第18条―第23条)
第10章 住民投票(第24条・第25条)
第11章 その他(第26条―第28条)
附則
花巻は、早池峰の風かおる恵まれた緑と水に包まれた湯の温もりあふれるまちです。先人たちは、自然に畏敬の念を持ち、その恵みに感謝し、自然と共生するとともに、歴史と文化を守り、郷土を愛する心を育んできました。また、「結い」とよばれる相互扶助の精神によって人と人とのつながりを大切にしながら心豊かな生活を営み、市民の精神的な支えである風土に育まれ、文化を世界へ発信してきました。
過去と未来の架け橋としての私たちは、花巻が50年後も100年後も豊かなまちであり続けるために、子どもたちと一緒になって、こうした恵まれた自然環境や歴史、風土や文化を守り育て、次の世代に引き継がなければなりません。
私たちは、自然と共生しながら地域の産業を振興し、市民が生き生きと暮らすことのできる活力に満ちたまちづくりに努め、力を合わせて明るいイーハトーブの実現を目指します。
そのためには、市民主体のまちづくりを進め、市民、市議会及び市の執行機関の適切な役割分担のもとに互いの信頼関係を醸成し、力を合わせて新たな自治のまちを築いていくことが必要です。
私たちは、まちづくりに関する基本的事項を共有し、市民が自ら考え、決定し、行動する市民参画と協働のまちづくりを進めることによって真に豊かな地域社会を実現するため、ここにこの条例を定めます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、花巻市におけるまちづくりに関する基本的な事項を定め、参画と協働による市民主体の自治の進展を図り、活力に満ち安心して暮らせる花巻市を実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものとします。
(1) 市民 市内に居住する者、市内で働く者、学ぶ者、活動するもの及び市内で事業を営むものをいいます。
(2) 市の執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) 参画 市民が、主体的にまちづくりに参加し、その意思決定にかかわることをいいます。
(4) 協働 市民、市議会及び市の執行機関が、それぞれの役割と責務をもって、協力し行動することをいいます。
(5) コミュニティ 多様な参画を通して形成される組織や集団をいいます。
(6) まちづくり 自分たちのまちを自分たちでつくり育てることをいいます。
(条例の位置付け)
第3条 この条例は、市が定める最高規範であり、市民、市議会及び市の執行機関は、この条例の趣旨を尊重するものとします。
2 市の執行機関は、まちづくりに関する計画の策定及び変更並びに条例等の制定改廃に当たっては、この条例に適合させるものとします。
第2章 市の目指す姿
第4条 市民、市議会及び市の執行機関は、次の各号に掲げるまちの実現を目指すものとします。
(1) 互いをおもいやる心を育て、平和で安心して暮らせるまち
(2) 未来へ継ぐべきかけがえのない財産である自然を守り、里山や農村風景、歴史ある街並を大切にし、自然と共生する循環型のまち
(3) 保健、医療及び福祉の充実を推進し、一人一人が健やかに生き生きと暮らせる、すべての人に優しいまち
(4) 農林水産業を守り育て、商工業、観光業を育成し、地域の産業振興による活力に満ちたまち
(5) 市民の精神的な支えである歴史や伝統、文化を守り、新しい文化を創造するまち
(6) 郷土を愛し、豊かな心を育て、国際理解をすすめるまち
第3章 まちづくりの基本原則
第5条 市民主体の自治によるまちづくりを推進するため、次の各号に掲げる基本原則を定めます。
(1) 市民、市議会及び市の執行機関が互いの信頼関係のもとに、参画と協働によるまちづくりを行うこと。
(2) 市民、市議会及び市の執行機関が相互に情報を共有すること。
第4章 市民の権利及び責務
(市民の権利)
第6条 市民は、まちづくりに参画する権利を有します。この場合において、参画しないことによる不利益な扱いを受けないものとします。
2 市民は、市議会及び市の執行機関が保有する情報を知る権利を有します。
3 市民は、生涯にわたり学ぶ権利を有します。
4 市民は、良好な環境のもとで平和で安全に生きる権利を有します。
(市民の責務)
第7条 市民は、まちづくりの主体であることを自覚し、自らの発言と行動に責任を持ち、まちづくりに参画するよう努めるものとします。
2 市内で事業を行うものは、地域社会の一員として社会的責任を自覚し、まちづくりに寄与するよう努めるものとします。
(子どもの権利等)
第8条 子どもは、その年齢に応じてまちづくりに参画する権利を有します。
2 市民、市議会及び市の執行機関は、すべての子どもの人権を守るとともに、健やかに育つ環境をつくるよう努めるものとします。
第5章 市議会等の役割と責務
第9条 市議会は、市の意思決定機関として市民の意思が市政に反映され、市政運営が適正になされているかを監視し、けん制する機能を果すものとします。
2 市議会は、市民に開かれた議会運営を行い、説明し、応答する責務を有します。
3 市議会議員は、政策提言及び政策立案の活動に努めるものとします。
第6章 市長等の役割と責務
(市長の役割と責務)
第10条 市長は、この条例を遵守し、市政を運営するものとします。
2 市長は、効率的な行政運営に努めるものとします。
3 市長は、市職員の能力向上に努めるものとします。
(市職員の役割と責務)
第11条 市職員は、市民への奉仕者として公平・公正かつ効率的に職務を遂行する責務を有します。
2 市職員は、職務の遂行に必要な知識・技能等の能力の向上に努めるものとします。
3 市職員は、地域社会の一員として、まちづくりの推進に積極的に努めるものとします。
第7章 参画と協働
(市政への参画)
第12条 市の執行機関は、まちづくりに関する重要な計画の策定及び変更並びに条例等の制定改廃に当たっては、市民が自らの意思で参画できる方法を用いて、市民が意見表明する機会を保障するものとします。
2 市民の参画については、別に条例を定めるものとします。
(市民参画の方法)
第13条 前条の規定による市民が自らの意思で参画できる方法は、次の各号に掲げるものとし、対象となる計画又は条例等に応じて2以上の方法により行うものとします。
(1) 意向調査の実施
(2) パブリックコメント(意思決定過程で必要な情報を公表し、市民に意見を求め、これを考慮して意思決定することをいいます。)の実施
(3) 意見交換会の開催
(4) ワークショップ(市民が主体性をもって研究・議論することをいいます。)の実施
(5) 審議会その他の附属機関における委員の公募
(6) 前各号に掲げるもののほか適切と判断される方法
2 市の執行機関は、前項各号に掲げる参画の方法を決定したときは、これを事前に公表するものとします。
(協働の推進)
第14条 市の執行機関は、協働を推進するため、必要な措置を講ずるものとします。
2 市の執行機関は、前項の措置を講ずるに当たっては、市民の活動の自主性及び自立性を尊重するものとします。
(市民参画・協働推進委員会の設置)
第15条 市民参画・協働を推進するため、花巻市市民参画・協働推進委員会を設置するものとします。
第8章 コミュニティ
(地域コミュニティ活動)
第16条 市民は、地域住民の一員であるという認識のもと、自主的な意思によってまちづくりに取り組み、地域の課題解決に向けて協力して行動するよう努めるものとします。
2 市民は、前項に規定する市民の自主的な地域活動を実現するための団体を置くことができます。
3 前項に規定する地域活動を行う団体は、当該地域の市民に開かれたものとし、市の執行機関等と連携しながら行動するものとします。
(市民活動)
第17条 市民は、前条に規定する活動のほか、市民が自主的に行う営利を目的としない公益性のある活動に対する理解を深め、これを守り育てるよう努めるものとします。
第9章 市政運営の原則
(総合計画)
第18条 市の執行機関は、この条例の趣旨に基づき、総合的な市政運営の基本となる計画を策定するものとします。
(健全な財政運営)
第19条 市の執行機関は、健全な財政運営に努め、その状況を市民に分かりやすく公表するものとします。
(情報の公開)
第20条 市の執行機関は、市民の知る権利を保障し、情報の共有による市政への参画を推進するため、情報の公開を推進するものとします。
(個人情報の保護)
第21条 市の執行機関は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、市が保有する個人情報の保護について、必要な措置を講ずるものとします。
(説明責任・応答責任)
第22条 市の執行機関は、市民に対し、市政に関する事項を分かりやすく説明するものとします。
2 市の執行機関は、市民からの意見・要望等に対し、速やかに誠実に応答するものとします。
(行政評価)
第23条 市の執行機関は、主要な施策や事業について市民参画のもとで客観的な行政評価を行い、その結果を分かりやすく公表するものとします。
第10章 住民投票
(住民投票)
第24条 市長は、市政に係る重要事項について、住民(市内に住所を有する者をいいます。以下同じ。)の意思を市政に反映するため、住民投票を実施することができます。
2 市民、市議会及び市の執行機関は、住民投票の結果を尊重するものとします。
(請求等)
第25条 住民のうち年齢満18年以上の者は、その総数の6分の1以上の者の連署をもって、市長に対して住民投票の実施を請求することができます。
2 市議会は、議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て議員提案され、かつ、議会の過半数の賛成により議決したときは、市長に対して、住民投票の実施を請求することができます。
3 市長は、第1項又は前項の規定による請求があった場合、住民投票を実施します。
4 市長は、自ら住民投票を実施することができます。
5 住民投票の投票権を有する者は、住民のうち年齢満18年以上の者とします。
第11章 その他
(国及び他の自治体との連携)
第26条 市の執行機関は、共通する課題を解決するために、国及び他の自治体と相互に連携し、協力するよう努めるものとします。
(条例の見直し)
第27条 市長は、社会情勢等の変化に対応するため、必要に応じ、市民参画のもとこの条例を見直すものとします。
(委任)
第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定めるものとします。
附 則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。