柴田町住民自治によるまちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 柴田町 | 自治体コード | 04323 |
都道府県名 | 宮城県 | 都道府県コード | 00004 |
人口(2015年国勢調査) | 38,271人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 審議会委員の市民公募 |
参加権規定の有無 | 無 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.town.shibata.miyagi.jp/m-cen/05_ki_000.html |
条例本文
柴田町住民自治によるまちづくり基本条例
平成21年12月22日
条例第40号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 まちづくりの基本理念(第4条)
第3章 まちづくりの考え方
第1節 参加及び協働によるまちづくり(第5条―第10条)
第2節 担い手の役割(第11条―第16条)
第4章 まちづくりを進める方法
第1節 まちの将来像(第17条―第19条)
第2節 地域コミュニティ(第20条―第23条)
第3節 行政運営(第24条―第26条)
第4節 協働の推進(第27条―第29条)
第5章 まちづくりに参加する制度等(第30条―第32条)
第6章 条例の推進(第33条・第34条)
第7章 雑則(第35条)
附則
私たちのまち柴田町は、蔵王連峰を遥はるかに仰ぎ、豊かな水をたたえた阿武隈川と白石川が流れる美しい自然が息づいた地です。船岡城址公園の桜と白石川堤の一目千本桜が春を迎える私たちに至福の時を、槻木耕土を始めとする肥沃よくな耕地が秋の豊かな実りを与えてくれます。郷土を愛しはぐくむ活動は、古いにしえから絶え間なく続き、人の縁、地域の絆きずなとなって受け継がれ、人々の暮らしを支えてきました。
恵まれた自然環境、築かれてきた文化や伝統、培われてきた絆きずなを次代に継承し、みんなが誇りの持てる住みよいまちにしていくためには、様々な課題に対して人と人が結びつき、助け合いによって、防犯・防災を始め、保健、環境、福祉、教育、産業、文化やスポーツなどの活動の輪を幾重にも広げていくことが必要です。
私たちは、誰もがお互いを尊重し、多様な価値観を認め合うこと、まちづくりの主役である住民が、自らの役割を自覚し、住民の力、地域の力、自治の力こそがまちの宝であると理解し合うこと、住民1人1人の思いと行動をまちづくりに生かすことができれば、日本一住みよいまちになると信じます。
住民が主体となった参加と協働によるまちづくりの実現を目指し、未来に向かって持続、発展するようにとの願いを込めて、ここに柴田町住民自治によるまちづくり基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、住民自治によるまちづくりの基本を明らかにするとともに、担い手の役割及びまちづくりを進める基本的事項を定めることにより、生き生きとした住みよいまちの実現を図ることを目的とします。
(位置付け)
第2条 この条例は、まちづくりの基本となる事項を定めるものであり、町は、他の条例等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例を最大限尊重するものとします。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 住民 町内に住む個人、町内で働き、又は学ぶ個人及び第4号に規定する住民活動団体で活動する個人をいいます。
(2) 事業者 町内で事業を営むものをいいます。
(3) 地域コミュニティ 区会、町内会、自治会等、一定の地域を基盤とする暮らしにかかわる集団をいいます。
(4) 住民活動団体 保健、環境、福祉、教育、産業、文化及びスポーツの活動団体、ボランティア活動団体等、同じ目的を持って町内で活動する団体をいいます。
(5) 行政機関 町長、教育委員会、農業委員会、選挙管理委員会、監査委員及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(6) 協働 住民、事業者、地域コミュニティ、住民活動団体、議会及び行政機関が、効果的に課題を解決したり、より良い地域又はまちを創造するため、お互いに足りないところを補い、それぞれの特徴を生かし、協力することをいいます。
第2章 まちづくりの基本理念
(基本理念)
第4条 まちづくりの基本理念は、次のとおりとします。
(1) 住民が安全に、安心して暮らせるまちづくり
(2) 住民の1人1人が個人として尊重され、住民の思い及び活動が生かされるまちづくり
(3) 先人が築いてきた文化、伝統等を大切にし、地域の個性を生かしたまちづくり
(4) 多様な団体及び個人が交流し、又は連携し、住民がお互いに助け合う思いやりのあるまちづくり
(5) 住民であることの誇り及びまちの良さを子どもたちに引き継ぐまちづくり
第3章 まちづくりの考え方
第1節 参加及び協働によるまちづくり
(まちづくりの基本)
第5条 まちづくりは、情報共有に支えられ、参加及び協働により進めることを基本とします。
2 前項の参加及び協働は、情報共有、話合いの積重ね等により合意を得られるよう進めます。
(まちづくりの主役及び担い手)
第6条 まちづくりの主役は、住民です。
2 まちづくりは、住民、地域コミュニティ、住民活動団体、事業者、議会及び行政機関(以下「担い手」といいます。)が担います。
(参加によるまちづくり)
第7条 担い手は、まちづくりの参加の輪を広げるため、誰もが自由に参加できる環境づくりに努めるものとします。
2 担い手は、参加の意欲を高めるため、楽しさ、達成感等が感じられるまちづくりを進めるよう努めるものとします。
(協働によるまちづくり)
第8条 担い手は、それぞれ単独では解決が難しい課題の解決又は関心のあるテーマの実現のため、協働によるまちづくりを進めるよう努めるものとします。
(町外との交流及び連携によるまちづくり)
第9条 担い手は、町外の団体、機関等との交流及び連携を促進し、まちづくりを進めるよう努めるものとします。
(まちづくりを支える情報共有)
第10条 担い手は、まちづくりの情報を提供し合い、情報共有に努めるものとします。
2 議会及び行政機関は、保有する情報を公開するとともに、積極的にまちづくりの活動内容を住民、地域コミュニティ、住民活動団体及び事業者(以下「住民等」といいます。)に分かりやすく伝えるものとします。
3 地域コミュニティ、議会及び行政機関は、それぞれ内部で情報共有に努めるものとします。
第2節 担い手の役割
(住民の役割)
第11条 住民は、1人1人の知恵、意欲、行動等がまちづくりにおいて重要であることを自覚するよう努めるものとします。
2 住民は、1人1人の思い及び考えをお互いに認め合うよう努めるものとします。
3 住民は、人と人とのつながり及びお互いの助け合いが重要であることを理解し、行動するよう努めるものとします。
(地域コミュニティの役割)
第12条 地域コミュニティは、最も重要な自治活動の基盤であり、生き生きとした個性ある地域をつくるために活動するよう努めるものとします。
2 地域コミュニティは、多様な活動を通じて人と人とのつながりをはぐくみ、地域を守り支えるよう努めるものとします。
3 地域コミュニティは、地域の暮らしの中で先人が築いてきた文化、伝統等を生かしはぐくみながら、次代に引き継ぐよう努めるものとします。
(住民活動団体の役割)
第13条 住民活動団体は、まちづくりを進める上で大きな力となることを理解し、独自の視点、専門性等をもって、まちづくりを推進するよう努めるものとします。
(事業者の役割)
第14条 事業者は、まちづくりを進める上で大きな力となることを理解し、事業者が持つ専門性等を生かしてまちづくりに参加するよう努めるものとします。
(議会及び議員の役割)
第15条 議会は、町の議事機関であり、住民等の意思が町政に反映されるようにするとともに、町の行政運営が適正に行われるよう監視するものとします。
2 議会は、政策を立案し、提言内容を充実するため、調査研究等の活動に努めるものとします。
3 議会は、議会活動について、住民等及び行政機関が分かりやすいように、効果的に情報を発信するものとします。
4 議会は、議会が住民等に身近な存在になるように、開かれた環境づくりを進めるものとします。
5 議員は、住民等とともにまちづくりを行うよう心掛け、住民等との信頼関係を深めるとともに、自ら実践して得たものを議会活動に生かすよう努めるものとします。
6 議員は、情報の収集及び分析を行い、制度、政策等を提案するよう努めるものとします。
(行政機関、町長及び職員の役割)
第16条 行政機関は、住民等及び議会との信頼関係を深め、共にまちづくりを行うものとします。
2 町長は、住民等によるまちづくりを支援するものとします。
3 町長は、行政運営について、住民等及び議会が分かりやすいように、効果的に情報を発信するものとします。
4 町長は、この条例の目的に沿った行政運営を行うため、その体制を整えるものとします。
5 町長は、職員が力を発揮しやすく、意欲を持って職務に取り組むことのできる環境づくりを進めるものとします。
6 職員は、職務を効果的に行うため、能力の向上及び自己啓発に努めるものとします。
7 職員は、住民等とともにまちづくりを行うよう心掛け、住民等との信頼関係を深めるとともに、自ら実践して得たものをまちづくりに生かすよう努めるものとします。
第4章 まちづくりを進める方法
第1節 まちの将来像
(まちの将来像とまちづくり)
第17条 町は、住民等の参加により、まち全体として調和のとれた住みよいまちづくりを進めるため、まちの将来像(以下「基本構想」といいます。)をつくり、その実現を目指すものとします。
(基本構想の策定方法)
第18条 町長は、基本構想の策定に当たり、住民等の思い、自由な発想等を生かすため、多様な参加の方法を用いるものとします。
2 町長は、基本構想の策定に当たり、次のことに留意するものとします。
(1) 第20条第3項第2号に規定する地域の将来像との調和を図ること。
(2) 策定の過程においては、内容を随時公表し、住民等に意見を求めること。
3 町長は、基本構想を変更する場合、その理由及び内容を速やかに公表し、住民等に意見を求めるものとします。
(基本構想を実現するための基本計画等)
第19条 町長は、基本構想を実現するため、具体的な施策を体系化した基本計画、実施計画及び財政計画を策定するものとします。
2 町長は、前項に規定する計画の策定に当たり、第22条第1項に規定する地域計画との調和を図るものとします。
3 町長は、基本構想の実現に向けて新たな課題が発生したときは、住民等と協力し、解決のための計画を策定するものとします。
第2節 地域コミュニティ
(地域コミュニティの運営)
第20条 地域コミュニティを運営する組織(以下「運営組織」といいます。)は、当該地域コミュニティの住民、住民活動団体及び事業者(以下「地域の住民等」といいます。)と協力し、地域づくりを進めるよう努めるものとします。
2 運営組織は、地域の住民等が運営組織へ自由に参加できるようにするとともに、次代を担う人材の参加を促進するよう努めるものとします。
3 運営組織は、次のことに留意し、地域づくりを進めるよう努めるものとします。
(1) 地域の住民等の合意を得るようにすること。
(2) 地域の将来像をつくり、その実現を目指すこと。
(3) 地域の住民等が自由に参加できるようにすること。
(4) 地域の住民等がお互いに信頼関係をはぐくみ、助け合い、力を合わせることができるようにすること。
(5) 学習、実践活動等を通じて人材を育成すること。
(地域の将来像づくり)
第21条 運営組織は、次のことに留意し、地域の住民等と協力して地域の住民等の思い及び地域資源を生かした地域の将来像をつくるよう努めるものとします。
(1) 地域の住民等が参加しやすい話合いの機会を設けること。
(2) 地域の住民等が地域の将来像づくりの意義、目的等を共有し、地域の将来像づくりへの参加意欲が高まるようにすること。
(3) 地域の住民等が地域の資源、現状、課題等を共有できるようにすること。
(4) 地域の住民等の意見の収集方法を工夫すること。
(地域計画づくり及び実行)
第22条 運営組織は、地域の住民等と協力して地域の将来像を実現するための具体的な計画(以下「地域計画」といいます。)をつくるよう努めるものとします。
2 運営組織は、次のことに留意し、地域計画を実行するよう努めるものとします。
(1) 地域の住民等がお互いの役割分担を踏まえて連携できるようにすること。
(2) 協働する等、効果的に進めること。
(3) 地域の住民等が活動に参加しやすいようにすること。
(4) 地域の住民等の持ち味を引き出し、生かすことができるようにすること。
(地域コミュニティへの行政支援)
第23条 町長は、地域づくりを進めるため、次のことを行い、地域コミュニティを支援するものとします。
(1) 活動推進のために必要な情報の提供
(2) 円滑な運営、人材育成等のための学習機会の提供
(3) 地域の将来像及び地域計画をつくる場合の助言、情報の提供等
(4) 他の担い手と交流できる機会づくり
2 町長は、地域コミュニティを支援する仕組みの充実に努めるものとします。
第3節 行政運営
(行政運営における情報共有の促進)
第24条 行政機関は、次のことに留意し、情報共有を継続的に行うための仕組みをつくるものとします。
(1) まちづくりについての情報を広く集め、その蓄積及び管理をすること。
(2) まちづくりについての情報を目的に応じて編集し、広報すること。
(3) 住民等に説明し、又は住民等から意見を聴く機会を設けること。
2 行政機関は、担い手の活動意欲を高めるため、その活動内容を広報するよう努めるものとします。
(行政運営の透明化)
第25条 行政機関は、住民等及び議会との信頼関係を深めるため、次のことに留意し、行政運営の透明化を進めるものとします。
(1) まちづくりにおける政策決定の過程を明らかにすること。
(2) 行政評価の内容を分かりやすく公表すること。
(3) 健全な財政運営に努め、財政計画、財政運営状況等について、分かりやすく公表すること。
(4) 審議会その他の行政機関の附属機関及びこれに準ずるもの(以下「審議会等」といいます。)の会議は、公開を原則とし、その議事の概要を公開すること。ただし、会議を公開することが適当でないと認められるときは、この限りではありません。
(行政運営への参加の促進)
第26条 行政機関は、住民等とともにまちづくりを進めるため、次のことに留意し、住民等の行政運営への参加を進めるものとします。
(1) 住民等との話合いの機会を設ける等、住民等の意見の収集方法を工夫すること。
(2) 行政機関の事業について、緊急性のあるもの又は法令で定められ参加が難しいものを除き、計画づくりの過程、実施及び評価の各段階に住民等が参加できるように努めること。
(3) 審議会等の組織の構成員は、原則として公募枠を設けること。ただし、公募することが適当でないと認められるときは、この限りではありません。
2 行政機関は、参加の仕組みを検証し、充実していくよう努めるものとします。
第4節 協働の推進
(協働の進め方)
第27条 担い手は、次のことに留意し、協働を進めるよう努めるものとします。
(1) お互いに認め合い、相互の信頼を築くこと。
(2) それぞれの特徴を生かし、補い合うこと。
(3) お互いに対等な立場で役割を分担すること。
(4) 協働の目的、計画、内容等を共有すること。
(協働の継続及び発展)
第28条 担い手が協働したときは、その成果をお互いに確認し、協働が継続し、発展するよう努めるものとします。
2 担い手が協働したときは、協働の取組を更に広げていくため、協働した内容についての情報を発信するよう努めるものとします。
(協働を促進する環境づくり)
第29条 町長は、協働をより効果的に進めるため、助言及び調整を行うことができる人材、組織等の育成並びに情報の収集及び発信に努めるものとします。
2 町長は、協働を促進するため、公益的活動を行うことを目的とする住民活動団体及び事業者(以下「公益的活動団体等」といいます。)の自発性及び自主性を尊重し、次のことが促進されるような環境づくりに努めるものとします。
(1) 公益的活動団体等が新たに組織されること。
(2) 公益的活動団体等が自立した運営を行うこと。
(3) 公益的活動団体等が活発に活動すること。
第5章 まちづくりに参加する制度等
(まちづくり提案制度)
第30条 町長は、住民等のまちづくりへの参加を促進するため、まちづくり提案制度を設けるものとします。
2 まちづくり提案制度による提案は、次のとおりです。
(1) まちづくりについての意見の提案
(2) まちづくり活動の実践についての提案
3 まちづくりについての意見の提案は、誰でも行うことができ、町長は、その内容に応じて、関係する機関、団体等に提案するものとします。
4 まちづくり活動の実践についての提案は、提案を行う住民等が自らかかわる活動について行うことができます。
5 町長は、前項に規定する提案のうち、必要と認めたものについて、支援するものとします。
6 町長は、まちづくり提案制度による提案の内容、取扱い、実施結果等の概要を公表するものとします。
(まちづくり推進センター)
第31条 町は、参加及び協働によるまちづくりを促進するため、まちづくり推進センターを設置するものとします。
2 まちづくり推進センターは、次のことを基本として運営するものとします。
(1) 住民等及び行政機関の協働によって進めること。
(2) 住民等の主体性が生かされること。
(3) 担い手と多様に連携し、協力して進めること。
3 まちづくり推進センターの事業は、次のとおりです。
(1) まちづくり提案制度の運用
(2) まちづくりを行う住民等の交流及び連携の促進
(3) その他参加及び協働によるまちづくりを促進するために必要な事業
(住民投票制度)
第32条 町は、住民の意思に沿ったまちづくりを進めるため、住民投票の制度を設けるものとします。
2 議会及び町長は、住民投票の結果を尊重するものとします。
第6章 条例の推進
(基本条例審議会)
第33条 町は、柴田町住民自治によるまちづくり基本条例審議会(以下「基本条例審議会」といいます。)を設置するものとします。
2 基本条例審議会は、行政機関の附属機関とし、4年を超えない期間ごとに、この条例に基づくまちづくりの実施状況を検証し、その結果を踏まえて町長に提言するものとします。
3 町長は、基本条例審議会から前項に規定する提言があったときは、その旨を公表し、その提言について適切な措置を講ずるよう努めるものとします。
4 町長は、前項の措置を講じたときは、速やかにこれを公表するものとします。
(条例の見直し)
第34条 町長は、まちづくりの実施状況、社会情勢の変化等により、この条例の見直しの必要が生じた場合は、住民等から意見を広く聴く等、適切な措置を講ずるものとします。
第7章 雑則
(委任)
第35条 この条例で定めるもののほか、この条例の施行に関し、必要な事項は別に定めます。
附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行します。ただし、第31条から第33条までの規定は、別に定める条例の施行の日から施行します。
附 則(平成23年条例第12号)
この条例は、公布の日から施行する。