臼杵市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 臼杵市 | 自治体コード | 44206 |
都道府県名 | 大分県 | 都道府県コード | 00044 |
人口(2015年国勢調査) | 36,158人 |
条例データ
制定年 | 2012年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.usuki.oita.jp/docs/2014020600582/ |
条例本文
○臼杵市まちづくり基本条例
平成24年12月25日条例第30号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本理念及び基本原則(第3条・第4条)
第3章 まちづくりを担う主体の役割等
第1節 市民(第5条・第6条)
第2節 議会(第7条・第8条)
第3節 行政(第9条~第11条)
第4章 行政運営(第12条~第22条)
第5章 市民参画等(第23条~第27条)
第6章 支え合うまちづくり(第28条~第31条)
第7章 この条例の位置付け(第32条)
附則
平成17年、臼杵市と野津町が合併し、新しい臼杵市が誕生しました。わたしたちのこのまちは、緑の山々をはじめ、肥沃な大地・豊後水道に面した臼杵湾など豊かな自然環境に恵まれています。
臼杵市では、平安時代末期から鎌倉時代にかけ、高度な仏教文化が花開きました。また、大友宗麟による西洋文化との活発な交流により、異国情緒の漂う城下町として栄え、キリシタンに関する史跡など歴史的遺産を遺しています。さらに、藩政時代(近世)の堅実な藩風は、町並みや人情に今も引き継がれています。
不断の努力を惜しまない質素倹約の気風、一方で、吉四六さんに象徴されるように、どんな困難でも知恵と笑いで乗り切るユーモア精神を持ち合わせる臼杵人気質は、多彩な文化人・経済人を生み出してきました。
わたしたちは、このような先人が守り育てた自然や歴史文化のみならず、先人の偉業や人情を誇りとし、臼杵に「生まれて」「育って」「住んで」「働いて」良かったと思える心豊かな、笑顔がゆきかう臼杵市を、市民が主体となって次世代に確実に引き継ぎ、発展させていくことをめざします。
一人ひとりが、臼杵市民としての誇りと自覚と責任をもち、互いに人権を尊重し、自ら考え、みんなで知恵を出し、汗を流し、臼杵市民が理想とする幸せなまちづくりを行うために、臼杵市の最高規範としてここに「臼杵市まちづくり基本条例」を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、臼杵市(以下「本市」という。)におけるまちづくりの基本理念及び基本原則を明らかにするとともに、市民、議会及び行政の役割、行政運営の方法、市民参画その他まちづくりの基本となる事項を定めることにより、「市民が主役のまちづくり」を積極的に推進することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「市民」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(1) 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)
(2) 市内に通勤し、又は通学する者
(3) 市内において事業又は活動を行う個人及び法人その他の団体(以下「事業者、地域活動団体等」という。)
2 この条例において「行政」とは、市長、教育委員会、農業委員会、選挙管理委員会その他本市の執行機関をいう。
3 この条例において「まちづくり」とは、快適な生活環境の確保、地域社会における安全及び安心の推進など、暮らしやすいまちを実現するための公共的な活動の総体をいう。
4 この条例において「協働」とは、市民、議会及び行政が適切な役割分担のもと、それぞれが自らの役割を自覚し、お互いを尊重するなかで、共に考え、共に汗を流し、共通の目的の実現のために協力することをいう。
5 この条例において「地域コミュニティ」とは、市民一人ひとりがつながりを育み、お互いに助け合い、豊かな暮らしを築くことを目的として、自主的に構成する多様な団体及び組織をいう。
第2章 基本理念及び基本原則
(基本理念)
第3条 本市は、市民が幸せを実感できるまちの実現をめざすために、「市民が主役のまちづくり」をまちづくりの基本理念とする。
(基本原則)
第4条 本市は、次に掲げる事項をまちづくりの基本原則として定めるものとする。
(1) 人権尊重の原則 すべての市民が、お互いの人権を尊重すること。
(2) 市民総参加の原則 すべての市民が、性別や年齢等を問わず、自らの意思に基づき、まちづくりに参画できること。
(3) 情報共有の原則 まちづくりに関する情報を市民、議会及び行政が共有すること。
(4) 協働の原則 まちづくりを進めるにあたり、市民、議会及び行政が協働すること。
第3章 まちづくりを担う主体の役割等
第1節 市民
(市民の権利)
第5条 市民は、安全で安心かつ快適な生活を求めていく権利を有する。
2 市民は、行政サービスを公平に受ける権利を有する。
3 市民は、まちづくりに参画する権利を有する。
4 市民は、市政に関する情報について、公開又は提供を求める権利を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、お互いを尊重し、協力し合わなければならない。
2 市民は、自らの判断に基づいて、まちづくりに取り組むよう努めるものとする。
3 市民は、自らの行動と発言に責任を持つ。
4 市民は、地域コミュニティを尊重するとともに、積極的な参画等により、地域課題の解決に努めるものとする。
5 市民は、行政サービスの提供に伴う応分の負担を持つものとする。
6 市民は、臼杵の将来を担う子どもを地域の宝として、子どもが夢や希望を持ち、心身ともに健やかに成長していくことができるよう努めるものとする。
7 事業者、地域活動団体等は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。
第2節 議会
(議会の基本的役割と責務)
第7条 議会は、住民の直接選挙で選ばれた議員で構成される本市の議事機関であり、住民の代表機関、本市の意思決定機関としての役割を担う。
2 議会は、行政の事務執行の監視機能及び政策形成機能の強化に努めるものとする。
3 議会は、市民の負託にこたえるため、市民の意見を把握し、市政への反映に努めるものとする。
(議員の基本的役割と責務)
第8条 議員は、市民の負託にこたえ、市民全体の奉仕者として公平、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 議員は、市民の代表者としての品格を保持し、議会の責務を遂行するため、常に自己研鑽に努めなければならない。
3 議員は、議会活動に関して市民に説明するとともに、市政の課題について調査研究を行い、広く市民の声を聴き、市民全体の利益を優先した活動を行わなければならない。
第3節 行政
(行政の基本的役割と責務)
第9条 行政は、効率的で透明性の高い行政運営を行わなければならない。
2 行政は、総合的かつ計画的な行政運営を行わなければならない。
3 行政は、公平で質の高い行政サービスの提供を図ることにより、市民福祉の増進及び地域の活性化に努めなければならない。
4 行政は、自らの判断と責任において、その所管する事務を誠実に執行するとともに、相互に連携して行政機能を発揮するよう努めなければならない。
5 行政は、職員の能力向上を図り、その能力が発揮されるよう努めなければならない。
6 行政は、地域コミュニティの自主性を尊重し、円滑な活動ができるよう連携に努めなければならない。
7 行政は、まちづくり及び地域コミュニティ活動を支える市民の育成に努めなければならない。
(市長の基本的役割と責務)
第10条 市長は、市政全体の総合調整のほか、その他の権限を適正に行使することにより、本市をリードしていかなければならない。
2 市長は、地域の資源を最大限に活用し、財源確保に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるため、効率的な行財政運営に努めなければならない。
3 市長は、市民の意向、地域の実情等を把握し、行政サービスの質の向上に努めなければならない。
4 市長は、政策の立案、実施及び評価について、市民への説明責任を果たすため、必要な措置を講じるよう努めなければならない。
(職員の責務)
第11条 職員は、常に法令及び条例等を遵守し、全体の奉仕者として、公正かつ誠実に職務に従事し、全力を挙げてその職務に専念しなければならない。
2 職員は、職務に必要な専門的知識の習得及び能力の向上に努めなければならない。
3 職員は、自らが地域の一員であることを自覚し、市民としての責務を果たすとともに、積極的に地域コミュニティ活動に参画するよう努めなければならない。
第4章 行政運営
(総合計画の策定及び進行管理)
第12条 本市は、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、最上位の計画として、総合計画を策定するものとする。
2 市長は、総合計画の策定にあたっては、市民の参画の機会を確保するものとする。
3 市長は、総合計画の進行を管理し、必要に応じ見直し、その状況を公表するものとする。
(財政運営)
第13条 行政は、中長期的な財政見通しのもとに予算を編成するなど、計画的で健全かつ弾力的な財政運営に努めなければならない。
(政策と法務の連携)
第14条 行政は、市政の課題を解決し、自主自立のまちづくりを進める政策の実現のため、地方自治の本旨に基づき、法令を解釈し、条例その他の規程を適切かつ効果的に活用するものとする。
(条例制定等の手続)
第15条 市長は、まちづくりに関する重要な条例を立案しようとするときは、市民の参画を図り、市民の意見を反映させるように努めなければならない。
(行政評価)
第16条 行政は、効果的かつ効率的な行政運営並びに総合計画の着実な実行及び進行管理のため、市民の視点に立った行政評価の制度を整備し、実施するものとする。
2 行政は、評価の結果を市民に公表するとともに、必要に応じてその結果を適切に市政に反映させなければならない。
(行政手続)
第17条 行政は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益の保護に資するため、処分、行政指導及び届出に関する手続を明らかにするものとする。
(情報の公開及び提供)
第18条 行政は、市政について市民に説明する責任を果たすとともに、市民の市政への参画をより促進するため、市が保有する市民生活に必要な情報について公開及び提供するものとする。
2 行政は、情報の提供にあたっては、市民に分かりやすい方法を工夫しなければならない。
(個人情報の取扱い)
第19条 行政は、個人の権利利益を保護するため、本市の保有する個人情報を適正に取り扱わなければならない。
(意見、要望等への対応)
第20条 行政は、行政運営に対する意見、要望等があったときは、速やかに事実関係等を調査し、誠実に対応しなければならない。
2 行政は、意見、要望等に対して、必要があると認めるときは、その改善のための適切な措置を講じなければならない。
(危機管理)
第21条 行政は、災害等の緊急の事態に備え、市民の生命、身体及び財産の安全を確保するため、危機管理体制を確立しなければならない。
2 行政は、緊急の事態にあたっては、市民及び関係機関等と自助・共助・公助の精神に基づいた連携及び協力を図るものとする。
(行政組織の編成)
第22条 行政は、機能的かつ効率的な組織を編成するとともに、行政事務を円滑に遂行するため、組織間の連携及び横断的調整を図るものとする。
第5章 市民参画等
(市民参画の機会の保障)
第23条 行政は、市民がまちづくりに参画する機会を確保しなければならない。
2 行政は、市民がまちづくりに参画するための制度を整備するとともに、その周知に努めなければならない。
(市民提案の推進)
第24条 市民は、公益的な観点から市政に対して提案することができる。
2 行政は、市民の提案を市政に反映させるための制度の拡充に努めなければならない。
(市民意見の募集)
第25条 行政は、重要な政策等の立案にあたっては、事前に市民意見を募集する手続(以下「パブリックコメント」という。)を実施しなければならない。
2 行政は、パブリックコメントにより提出された市民の意見を十分考慮して意思決定を行うとともに、その意見に対する考え方を取りまとめて公表しなければならない。
(審議会、委員会等への市民参画)
第26条 行政は、法令に基づき設置する審議会等のほか、市政に関する提言、意見を求めるため、委員会等を設置するものとする。
2 行政は、法令等に特段の定めがある場合を除き、審議会、委員会等の委員については、公募等により市民の幅広い層から必要な人材を選任するよう努めるものとする。
3 行政は、審議会、委員会等の公開に努めるものとする。
(住民投票の実施及び尊重)
第27条 市長は、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができるものとする。
2 市民、議会及び行政は、住民投票を実施したときは、その結果を尊重しなければならない。
第6章 支え合うまちづくり
(協働のまちづくり)
第28条 市民、議会及び行政は、目的と情報を共有し、相互の理解と信頼のもと、人権を尊重しながら協働のまちづくりを進めるものとする。
2 行政は、協働の推進にあたっては、市民の自立性を促し、自主性を尊重しなければならない。
3 行政は、市民の「協働のまちづくり」に資する活動を支えるため、市民が自ら学び、考えることができる環境づくりに努めなければならない。
(まちづくりの推進)
第29条 行政は、地域コミュニティがまちづくりの担い手であることを認識し、その活動を支えるための必要な方策を講じるものとする。
2 行政は、課題解決等のために地域コミュニティから協力の求めがあったときは、助言その他適切な支援を行うものとする。
3 行政は、地域コミュニティとの協働により、地域の特性を活かしたまちづくりを推進するものとする。
(対等な立場での参画)
第30条 市民、議会及び行政は、多様な文化及び価値観を理解し、尊重することにより、あらゆる人が地域社会の一員として対等の立場でまちづくりに参画できるよう努めなければならない。
(他都市等との連携及び協力)
第31条 行政は、共通する課題の解決のため、対等な立場で、国、県及び他の地方公共団体等との連携に努めるものとする。
2 行政は、国際社会に果たす本市の役割を認識し、海外の行政機関等との連携及び協力に努めるものとする。
第7章 この条例の位置付け
(この条例の位置付け)
第32条 この条例は、本市が進めるまちづくりの基本を定める最高規範であり、市民、議会及び行政は、この条例の趣旨を尊重しなければならない。
附 則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。