条例

北九州市自治基本条例

自治体データ

自治体名 北九州市 自治体コード 40100
都道府県名 福岡県 都道府県コード 00040
人口(2015年国勢調査) 939,029人

条例データ

条例本文

○北九州市自治基本条例

平成22年9月30日条例第30号

目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 市民(第6条―第9条)
第3章 議会(第10条―第12条)
第4章 市長等(第13条・第14条)
第5章 市政運営
第1節 市政運営の基本原則(第15条―第21条)
第2節 市政への市民参画(第22条―第25条)
第6章 コミュニティ(第26条・第27条)
第7章 国、他の地方公共団体等との関係(第28条)
第8章 条例の見直し(第29条)
付則

誇りを持って、ここ北九州市で暮らし、生きていきたい。
このまちの良さを守り、慈いつくしみ、子どもたちに伝えていきたい。
私たちのこの願いを実りある姿にするためには、市民、議会、行政がそれぞれの役割を認識し、互いに生かし合い、私たち自身の手で市民による自治を実践することが重要です。
私たちのまち北九州市は、ものづくりのまちとして、多くの人々の英知に支えられ発展してきました。また、市民、議会、行政が一体となって公害克服に取り組み、世界に誇る環境都市として今日に至っています。
私たちはこれからも、心豊かな、人が大切にされる地域社会を築いていきます。そして、近隣自治体と共生しながら、未来につなぐ私たちの思いを、アジアの諸都市をはじめ広く世界に発信していきます。
ここに本市の自治の礎いしずえとなる北九州市自治基本条例を定め、自治の理念と原則を宣言します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨にのっとり市民の意思に基づく自立した市政運営を確立すること及び市民が安心して暮らすことができる地域社会を実現することの緊要性にかんがみ、北九州市における自治の基本理念及び基本原則を定め、自治を担になう市民の権利及び責務並びに議会、議員及び市長等の役割及び責務を明らかにするとともに、市政運営の基本原則、市政への市民参画その他自治に関する基本的事項を定めることにより、市民の意思を適切に反映させた公正かつ誠実な市政運営の実現、市民の主体的な関与及び市民相互の連携による良好な地域社会の維持形成等を図り、もって本市における市民を主体にした自治(以下「市民自治」という。)の確立に寄与することを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 市は、他の条例、規則その他の規程の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例で定める事項との整合性の確保を図るものとする。本市の基本構想その他計画を策定し、これらに基づく施策及び事業を実施し、又は法令等(法令、条例、規則その他の規程をいう。第8条において同じ。)を執行する場合も、同様とする。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)、市内の事業所若もしくは事務所に勤務する者、市内の学校に在学する者、市内に不動産を所有する者又は市内で事業活動その他まちづくりに関する活動を行う者若もしくは団体をいう。
(2) 市長等 執行機関及び地方公営企業の管理者をいう。
(3) コミュニティ 自治会等の地縁による団体、市民が共生する地域社会の実現に資すると認められる特定非営利活動法人その他これらに類する団体をいう。
(基本理念)
第4条 本市の自治は、地方自治の本旨に基づき、自分たちのまちのことは、自分たちで考え、決定していくということを基本理念とする。
2 前項の基本理念に基づくまちづくりの推進は、人が大切にされるまち(すべての市民が年齢、性別、障害の有無、国籍、社会的身分又は門地等にかかわりなく人として尊重されるまちをいう。以下同じ。)を実現することを旨むねとして行われなければならない。
(自治の基本原則)
第5条 本市における自治は、市民自治を基本として行われるものとする。
2 市政は、住民の信託に基づき行われるものとする。
3 市民及び市は、市政に関する情報を共有するものとする。
4 市民及び市は、自治を担になう人材の育成に努めるものとする。
5 市は、市政運営において国及び福岡県と対等な関係に立ち、地方公共団体としての自主性及び自立性を確保するものとする。
第2章 市民
(市民の権利)
第6条 市民は、人として等しく尊重され、幸福な生活を追求する権利を有する。
2 市民は、市が保有する情報を知る権利を有し、これにより得た情報を活用することができるとともに、自らの知識及び経験により得た情報を市に提供することができる。
(子どもの自治へのかかわり)
第7条 子どもは、自治の主体として、それぞれの年齢に応じて自治を担になうことができる。
2 子どもは、自治の主体であることを自覚しながら成長できる環境を与えられなければならない。
(市民の責務)
第8条 市民は、自らが自治の主体であることを自覚し、人が大切にされるまちを実現するため、互いの人権を尊重するものとする。
2 市民は、自治の主体として発言をし、又は行動するに当たっては、その発言及び行動に責任を持つものとする。
3 市民は、法令等の定めるところにより、市政運営に伴う負担を分任する責務を有する。
(事業者の責務)
第9条 事業者(市内で事業活動を行うものをいう。)は、その社会的責任を認識し、市民が共生する地域社会の維持及び発展に寄与するよう努めるものとする。
第3章 議会
(議会の基本的役割)
第10条 議会は、住民の代表機関として、市政上の重要な意思を決定する機関及び執行機関を監視する機関としての役割を果たすとともに、政策の立案に積極的に努めるものとする。
(議会運営)
第11条 議会は、市政に関する市民の意思を的確に把握し、議会運営に適切に反映するものとする。
2 議会は、議会活動に関し市民に説明する責務を果たすため、開かれた議会運営を行うよう努める。
(議員の責務)
第12条 議員は、住民の信託にこたえるために、市政に関する市民の意思を的確に把握し、市政全般に配慮しながら、公正かつ誠実に職務を遂行する責務を有する。
2 議員は、調査研究その他の活動を通じ、議会における審議及び政策の立案活動の充実に努める。
3 議員は、開かれた議会運営の実現に努める。
第4章 市長等
(市長等の役割及び責務)
第13条 市長は、住民の信託にこたえるために、市を統轄し、これを代表する者として、この条例を遵守し、公正かつ誠実に市政を運営する。
2 市長は、市民自治を実現するために、市政に関する市民の意思を的確に把握し、市政運営に適切に反映させるよう努める。
3 市長等は、その権限及び責任を自覚して、公正かつ誠実に職務を執行する。
(職員の役割及び責務)
第14条 職員は、市民の視点に立って公正かつ誠実に職務を遂行する。
2 職員は、職務の遂行に当たって、市民及びコミュニティが相互に連携する機会を積極的に提供するよう努めるものとする。
3 職員は、絶えず自らを研さんすることにより、その職務に関する能力の向上に努める。
第5章 市政運営
第1節 市政運営の基本原則
(計画的な行政運営)
第15条 市長等は、本市の基本構想その他行政分野全般に係る政策及び事業に関する計画(以下この条において「基本構想等」という。)に基づき、総合的かつ計画的な行政運営を行う。
2 市長等は、各行政分野における基本的な計画を策定し、及び実施するに当たっては、基本構想等との整合性の確保を図るとともに、計画相互間の体系的な整備に努める。
3 市長等は、基本構想等及び各行政分野における基本的な計画を策定し、及び実施するに当たっては、計画の目標及び期間を明示するとともに、計画に係る進行の状況を適切に管理する。
4 市長等は、前項の計画を社会経済情勢の変化に対応したものとするよう、常に検討を加えるものとする。
(法務)
第16条 市は、条例、規則その他の規程の制定改廃、法令の主体的な解釈及び運用並びに法令の制定改廃に関する提言を積極的に行うとともに、訴訟に的確に対応する。
2 市は、条例及び規則で規定する事項の整理に関する基本的な方針を定めるものとする。
(財政運営)
第17条 市は、中長期的な展望に立って、財政の健全性の確保に努める。
2 市長は、予算、決算その他財政に関する事項について、市民に分かりやすく公表するものとする。
(行政評価)
第18条 市長は、施策及び事業の成果及び達成度について評価を行い、その結果を市民に分かりやすく公表するものとする。
2 市長は、前項の評価の結果を施策及び事業に適切に反映させるものとする。
(付属機関の委員等の選任)
第19条 市長等は、付属機関の委員その他これに類する構成員(以下この条において「委員等」という。)を選任するに当たっては、公募により選任された委員等が含まれるよう努めるとともに、委員等の年齢及び性別の構成について適正を確保するよう配慮する。
2 市長等は、委員等の選任の手続を整備するとともに、選任における選考の経過を記録するものとする。
(苦情等へ対応するための仕組み)
第20条 市は、市民の権利利益を保護するため、市民が市から受けた不利益な取扱いについての苦情、不服等の適切かつ簡易迅速な処理又は解消を図るための仕組みの整備その他必要な施策を講ずるものとする。
(情報共有の仕組み)
第21条 市は、市が保有する文書、図画及び電磁的記録に係る情報の適正かつ効率的な管理及び運用について、総合的かつ体系的な規程の整備を図るものとする。
2 市は、市民の知る権利を尊重し、市政に関し市民に説明する責務を果たすため、別に条例で定めるところにより、市が保有する情報の公開を推進する。
3 市は、個人の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、市が保有する個人情報を適正に取り扱う。
第2節 市政への市民参画
(市民参画の制度の整備)
第22条 市は、市政に市民の意見を適切に反映させるため、市民参画の制度の体系的な整備を図るものとする。
(パブリックコメント手続)
第23条 市長等は、市政上の基本的かつ重要な事項を定める計画又は条例を策定する過程において市民の意見を反映させるため、当該計画又は条例の案について市民の意見を公募する手続を実施する。
(市民の意見及び提案)
第24条 市は、前条に規定する手続のほか、市民が市政について広く意見を提出し、及び提案するための多様な機会を確保するものとする。
2 市は、前項の機会に収集した市民の意見及び提案に係る情報を内部で適切に共有し、その活用に努めるものとする。
(住民投票)
第25条 市は、市政に関し、特に重要な事項について、住民(法人を除く。)の意思を直接確認するため、事案ごとに別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができる。
2 市長は、住民投票を実施するに当たっては、投票の結果の取扱いについて、あらかじめ見解を述べるものとする。
第6章 コミュニティ
(コミュニティの活動のあり方)
第26条 市民は、様々なコミュニティの活動に自由に参加することができる。
2 市民は、コミュニティの活動への参加を通じて、市民が共生する地域社会の維持及び形成に努めるものとする。
3 コミュニティは、その活動内容及び運営状況を明らかにすることにより、その活動について市民の理解及び共感を得られるよう努めるものとする。
4 コミュニティは、他のコミュニティの自主性を尊重しながら、コミュニティ相互間の連携の推進に努めるものとする。
(コミュニティへの支援等)
第27条 市は、コミュニティの自律性及び自立性に配慮しながら、コミュニティの活動がその活動する地域の特性に応じて効果的に行われるよう、コミュニティに対し積極的に支援するものとする。
2 前項に規定する支援は、区役所の組織及び機能を最大限に活用することにより行うものとする。
3 区長は、コミュニティが相互に連携しながらその活動が円滑に行えるよう、コミュニティに対し必要な支援に努めるものとする。
第7章 国、他の地方公共団体等との関係
第28条 市は、国及び福岡県と対等な立場で共通の目的である市民福祉の増進に向かって相互に協力するとともに、国及び福岡県に対して政策又は制度に関する意見の提出及び提案を積極的に行うものとする。
2 市は、他の地方公共団体と共通する課題について、当該地方公共団体と相互に連携及び協力をし、その解決に努めるものとする。
3 市は、本市の国際社会における役割を果たすため、アジア地域その他の地域の外国の政府、外国の地方公共団体等との交流、連携及び協力に努めるものとする。
第8章 条例の見直し
第29条 市は、市政がこの条例の趣旨に沿って運営されているかどうかを評価し、この条例について必要な見直しを検討するための機関を設置する。
2 市は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、前項の検討の結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

付 則
この条例は、平成22年10月1日から施行する。