養父市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 養父市 | 自治体コード | 28222 |
都道府県名 | 兵庫県 | 都道府県コード | 00028 |
人口(2015年国勢調査) | 22,129人 |
条例データ
制定年 | 2009年 |
条例類型 | |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | 本条例の派生条例として、2012年に養父市地域自治組織の財政支援に関する条例が制定された。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.yabu.hyogo.jp/section/reiki_int/reiki_honbun/r026RG00001005.html |
条例本文
○養父市まちづくり基本条例
平成21年3月23日条例第2号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 まちづくりの理念(第3条)
第3章 まちづくりの基本原則(第4条―第6条)
第4章 市民の権利と責務(第7条・第8条)
第5章 議会及び議員の責務(第9条・第10条)
第6章 市長及び市職員の責務(第11条・第12条)
第7章 市民参加と協働(第13条―第15条)
第8章 地域コミュニティ(第16条―第18条)
第9章 市政運営(第19条―第24条)
第10章 まちづくりの基本施策
第1節 人権を尊重するまちづくり(第25条)
第2節 安全で安心して暮らせるまちづくり(第26条―第28条)
第3節 あらゆる人にやさしいまちづくり(第29条―第31条)
第4節 自然と歴史・文化を大切にするまちづくり(第32条・第33条)
第5節 活力を生みだすまちづくり(第34条・第35条)
第11章 条例の位置付け及び見直し(第36条・第37条)
附則
私たちのふるさと養父市は、氷ノ山をはじめ雄大で美しい山々に抱かれ、これらに源を発した清流八木川、大屋川や名瀑天滝など豊かな自然に恵まれたまちです。かつての明延鉱山の隆盛をはじめ、近代に入っては、西日本随一の養蚕業などの発展により、但馬地方の商都としても繁栄してきました。
また、古くから山陰街道など交通の要衝として、人、もの、情報、文化が行き交い、これらをその時代時代に生きた先人たちが、巧みに地域風土に融合させながら独自の文化をはぐくみ、現在まで大切に受け継がれてきています。
今日、急激な人口減少や少子高齢化が進むなど、私たちの地域社会を取りまく環境は、大きく変化してきています。
時代の転換期を迎えた今、私たちは、先人が培った豊かな心と自助自立の精神を引き継ぎながら、みんなが「いつまでも住み続けたい」と思えるまち養父市をめざします。
まちづくりの主役は市民です。
私たちは、一人ひとりが自立し、行動する市民として、自らの地域を見つめ、お互いに心を響きあわせながら、ともに働く元気な養父市を築くため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、養父市のまちづくりに関する基本的な事項を定めるとともに、市民の権利と責務、議会及び市の責務を明らかにし、市民が主体的にまちづくりに参加し、市民相互及び市民と市が協働することによって、活力のある自立したまちの実現を図ることを目的とします。
(用語の意味)
第2条 この条例において「市民」とは、次に掲げるものをいいます。
(1) 市内に居住する人
(2) 市内で働く人、学ぶ人又は活動する人及び団体
(3) 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体
第2章 まちづくりの理念
(基本理念)
第3条 まちづくりは、市民と市の相互の理解、信頼そして協働のもとに、次に掲げる事項を基本理念として進めます。
(1) 一人ひとりの人権が尊重され、すべての市民が持てる能力を最大限に発揮できるまちづくり
(2) 安全・安心に暮らせる、助けあい、支えあいのやさしいまちづくり
(3) 子どもからお年寄りまですべての市民が、元気に健康で、夢と希望の持てる明るいまちづくり
(4) 豊かな自然と歴史や伝統文化を大切にし、生かすことのできるまちづくり
(5) 自然と共生しながら、元気な地場産業を育て、地域経済が循環し、発展していく活力のあるまちづくり
第3章 まちづくりの基本原則
(市民主体の原則)
第4条 まちづくりの主体である市民一人ひとりは、しあわせに暮らすために自ら考え行動してまちづくりを進めます。
(相互協働の原則)
第5条 市民と市は、市民相互及び市民と市の相互理解と信頼関係を築くように努め、それぞれの持つ情報の共有を図り、知恵と力を持ち寄り協働してまちづくりを進めます。
(地域尊重の原則)
第6条 市民と市は、暮らしの基盤である地域コミュニティの個性と自主的な活動を尊重してまちづくりを進めます。
第4章 市民の権利と責務
(市民の権利)
第7条 市民は、だれもが自由かつ平等にまちづくりに参加する権利を有します。
2 市民は、主体的に考え行動するために、まちづくりに関する情報を知る権利を有します。
3 市民によるまちづくりの活動は、自主性と自立性が尊重されます。
4 まちづくりの活動によりもたらされる福祉は、市民が等しくこれを享受する権利を有します。
(市民の責務)
第8条 市民は、まちづくりの主体であることを認識するとともに、積極的にまちづくりに参加するように努めます。
2 市民は、市民相互の信頼と連帯を深めるように努めます。
3 市民は、まちづくりの活動において、自主的な活動をお互いに尊重するとともに、自らの発言と行動に責任を持ちます。
4 事業者は、地域社会の一員として、まちづくりにおける社会参加活動に理解を深め、従業員などの行う地域活動に配慮するなど、まちづくりに寄与するように努めなければなりません。
第5章 議会及び議員の責務
(議会の責務)
第9条 議会は、市の最高意思決定機関として、市民の多様な意思が市政に反映されるように活動しなければなりません。
2 議会は、市政運営が適正に行われるように調査、監督するとともに、議会活動についてわかりやすく市民に説明しなければなりません。
(議員の責務)
第10条 議員は、調査研究活動などを通じ、審議、政策の提案と立法に関する活動の充実に努めなければなりません。
2 議員は、自らが行う調査、研究などの活動や市政運営に関する自らの考えについて広く市民に伝えるように努めなければなりません。
3 議員は、市民の信頼にこたえ、すべての市民のために誠実に職務を遂行するとともに、議会の責務を果たすため、自己の研さんに努めなければなりません。
第6章 市長及び市職員の責務
(市長の責務)
第11条 市長は、市の代表者として、市民の信託にこたえ、公正かつ誠実に市政を運営しなければなりません。
(市職員の責務)
第12条 市職員は、全体の奉仕者であることを認識し、市民との信頼関係を築き、公正かつ誠実に全力でまちづくりの推進に努めなければなりません。
2 市職員は、自らも地域の一員として、地域のまちづくり活動に積極的に参加するように努めなければなりません。
3 市職員は、地域の課題に適切に対応するとともに、効率的な職務の遂行のため、まちづくりに必要な能力の開発と自己啓発に努めなければなりません。
第7章 市民参加と協働
(市民参加への保障)
第13条 市は、すべての市民が平等にまちづくりに参加する機会を保障し、市民参加に必要な措置を講じなければなりません。
(市民参加と協働の推進)
第14条 市は、まちづくりに関する重要な政策の企画立案、計画の策定、実施及び評価のそれぞれの段階において、市民参加を進め、市民の多様な意見が適切に反映するように努めるとともに、まちづくりは市民の力を生かして協働で実施することを基本としなければなりません。
(住民投票)
第15条 市は、市民の暮らしにかかわる重要な事項について、直接市民の意思を確認するため住民投票の制度を設けることができます。
第8章 地域コミュニティ
(コミュニティの尊重)
第16条 市民と市は、生活に身近で相互に支えあうことができる地域共同体としてのコミュニティの役割を認識し、これを守り育てるように努めなければなりません。
2 市民は、しあわせに暮らせる地域づくりのために、地域コミュニティの活動に積極的に参加するように努めます。
3 市は、地域コミュニティの自主自立的な活動を尊重するとともに、必要な支援をするように努めなければなりません。
(相互連携と協働)
第17条 市民は、お互いの地域コミュニティの活動を尊重するとともに、必要に応じて連携、協力しあいまちづくりを進めるように努めます。
2 市民は、持続可能な活力ある地域づくりを進めるため、多様な地域コミュニティを包括する地域自治組織を設置することができます。
(生涯学習の推進によるまちづくり)
第18条 市民は、生涯学習に努めるとともに、自らの知識や能力をまちづくりに還元するよう努めます。
2 市は、市民の社会参加を促進するため生涯学習の機会を提供し、自主自立的なまちづくりの活動を支援しなければなりません。
第9章 市政運営
(情報共有、公開と提供)
第19条 市は、まちづくりに関する市民の知る権利を保障し、まちづくりに関して保有する情報を積極的に公開及び提供し、市民との情報共有に努めなければなりません。
2 市は、情報を公開及び提供するにあたっては、市民にわかりやすい方法で行うよう努めなければなりません。
(説明責任)
第20条 市は、政策の企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その内容と必要性を市民にわかりやすく説明しなければなりません。
(個人情報の保護)
第21条 市は、市民の権利と利益が侵害されることのないよう個人情報を保護しなければなりません。
(健全な財政運営)
第22条 市は、予算の編成と執行にあたっては、最小の経費で最大の効果をあげるように努めなければなりません。
2 市は、中長期的な展望に立った自主的かつ健全な財政運営を行わなければなりません。
3 市は、市民にわかりやすい財務に関する資料を作成し、公表しなければなりません。
(評価)
第23条 市は、効率的かつ効果的な市政運営を進めるため、常に検証と評価を行い、その結果を的確に施策に反映させるように努めなければなりません。
(連携と交流)
第24条 市は、広域的な課題の解決などのため、近隣自治体や関係機関などと相互協力と連携を進め、地域全体の発展に努めなければなりません。
2 市民と市は、まちづくりに関する情報を発信するとともに、積極的に交流を進め、市外の人々などの知恵や力をまちづくりに生かすように努めなければなりません。
第10章 まちづくりの基本施策
第1節 人権を尊重するまちづくり
(人権の尊重)
第25条 市民と市は、国籍、年齢、性別、心身の状況、社会的又は経済的状況などの違いにかかわらず、それぞれの個性を尊重し、異なる価値観を認めあえるまちづくりに努めなければなりません。
2 市は、すべての市民がそれぞれの個性と能力を最大限に発揮し、誇りを持って暮らせるまちの実現のため、必要な施策を講じなければなりません。
第2節 安全で安心して暮らせるまちづくり
(安全安心の環境整備)
第26条 市民と市は、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるため、関係機関との協力及び連携を図り、防災及び防犯のための環境整備に努めなければなりません。
(危機管理)
第27条 市は、災害などに際して市民の身体、生命及び財産を守るため危機管理体制の確立に努めなければなりません。
2 市民は、災害などに備えるとともに、お互いに助けあいます。
(健康に暮らせるまち)
第28条 市は、保健、医療及び福祉の連携を進め、市民の健康を支えるための必要な環境整備に努めなければなりません。
2 市民は、自分の健康は自分で守れるよう、主体的な健康づくりに努めます。
第3節 あらゆる人にやさしいまちづくり
(子どもにやさしいまち)
第29条 市民と市は、未来を担う子どもたちが、健やかに学び、心豊かに成長できるまちづくりを進めなければなりません。
2 市は、安心して出産や子育てができる環境整備に努めなければなりません。
3 市民は、地域で一体となり、子どもたちを育てます。
(高齢者や障害者にやさしいまち)
第30条 市は、高齢者や障害者が自立して社会に参加し、生きがいをもって、安心して暮らせるまちの実現に努めなければなりません。
2 市民は、地域で一体となり、高齢者や障害者を支えあいます。
(あらゆる人にやさしいまち)
第31条 市民と市は、あらゆる人々が、利用しやすい施設の整備など容易かつ安全に移動や活動ができる環境整備に努めなければなりません。
2 市は、市民の暮らしを支える身近な商業や公共交通などの維持確保及び利便性の向上のため市民と協力して必要な施策を講じなければなりません。
第4節 自然と歴史・文化を大切にするまちづくり
(自然と共生するまち)
第32条 市民と市は、大切な共有財産である緑豊かな自然を守り、将来に引き継ぐことを責務とし、環境の保全に努めなければなりません。
2 市は、市民、交流人及び観光客などと連携を深め、美しい山々や清流、そして生き物たちとの共生を進めるための必要な取組を進めなければなりません。
3 市民は、日常の暮らしやさまざまな社会活動において、自然環境にやさしい生活に努めます。
(歴史、文化を守り創造するまち)
第33条 市民と市は、豊かな心をはぐくむ歴史、文化及び伝統を守り育てるように努めなければなりません。
2 市は、市民による歴史、伝統文化の保護及び継承活動並びに新たな文化創造活動に対して必要な支援をしなければなりません。
第5節 活力を生みだすまちづくり
(活力のあるまち)
第34条 市民と市は、恵まれた地域資源とはぐくんできた経験を意欲的に生かした地域の振興に努めなければなりません。
2 市は、市民と協力して、市民の暮らしの基盤である地域産業の振興及び後継者の育成並びに新たな産業の創造のために必要な施策を講じなければなりません。
(次世代を育てるまち)
第35条 市民と市は、まちづくりは人づくりであるとの認識のもと、青少年の郷土愛をはぐくみ、のびのびと育つ教育環境の整備に努めなければなりません。
2 市は、ふるさとを愛する次世代の育成に努めるとともに、若者が生き生きと働き暮らせる環境整備に努めなければなりません。
第11章 条例の位置付け及び見直し
(条例の位置付け)
第36条 この条例は、養父市のまちづくりの基本となるものであり、他の条例、規則の制定や改廃及び制度の整備を行う場合には、この条例に定める事項を最大限に尊重しなければなりません。
(条例の見直し)
第37条 市は、5年を越えない期間ごとに、この条例について市民とともに検討を加え、その結果を踏まえ、見直すなど必要な措置を講じなければなりません。
附 則
この条例は、平成21年7月1日から施行する。