条例

宍粟市自治基本条例

自治体データ

自治体名 宍粟市 自治体コード 28227
都道府県名 兵庫県 都道府県コード 00028
人口(2015年国勢調査) 34,819人

条例データ

条例本文

○宍粟市自治基本条例
平成23年3月11日条例第4号
宍粟市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 まちづくりの担い手
第1節 市民の権利と責務(第6条・第7条)
第2節 市議会の権限と責任(第8条・第9条)
第3節 市の執行機関の権限と責任(第10条―第12条)
第3章 まちづくりの仕組み
第1節 情報共有の仕組み(第13条―第15条)
第2節 参画と協働の仕組み(第16条―第21条)
第3節 市民活動(第22条・第23条)
第4章 市政運営(第24条―第33条)
第5章 広域的な連携と交流(第34条・第35条)
第6章 条例の検証と見直し(第36条)
附則
宍粟市は兵庫県で2番目に広い面積を有し、県内最高峰の氷ノ山をはじめ宍粟50名山や、揖保川、千種川の清流といった豊かな自然に恵まれ、その美しい姿は私たちの心の安らぎとなっています。
古くは「播磨国風土記」に歴史はさかのぼり、以後、先人たちによって築き上げられてきた伝統と文化は守り伝えていかなければなりません。
一方、市を取りまく情勢の変化に伴い、これからのまちづくりには市民主体の考え方がより強く求められています。そこで大切なのは、私たち市民一人ひとりがまちづくりの主役であることを自覚し、市民同士が支え合い、助け合ってまちづくりを担うことです。
現在、そして未来にわたり、希望と笑顔に満ちあふれる宍粟市のまちづくりを進めていくにあたり、その最高規範としてここに「宍粟市自治基本条例」を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、まちづくりの主体である市民の権利と責務並びにその市民の信託に基づく市議会及び市の執行機関の権限と責任を明らかにすることにより、市民の参画と協働による市民自治の実現を通じて宍粟市のまちづくりを進めることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の用語はそれぞれに定めるところによる。
(1) 市 基礎自治体としての宍粟市をいう。
(2) 市民 次に掲げるものをいう。
ア 市内に居住する者
イ 市内で働く者
ウ 市内で学ぶ者
エ 市内において事業を営む者又は団体
オ 市内においてまちづくりに関する活動を行う者又は団体
(3) 市議会 市民の代表である議員により構成される市の意思決定機関をいう。
(4) 市の執行機関 市の行政事務を管理執行する機関として、市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会をいう。
(5) まちづくり 市民、市議会及び市の執行機関が、宍粟市を住みよいまちにするために活動することをいう。
(6) 参画 市民がまちづくりに関する重要な決定に主体的に関わることをいう。
(7) 協働 市民が相互に協力してまちづくりに取り組むことをいう。
(条例の位置づけ)
第3条 この条例は、市の最高規範であり、市民、市議会及び市の執行機関は、この条例を誠実に遵守しなければならない。
2 市民、市議会及び市の執行機関は、他の条例、規則等の制定又は改廃及び計画の策定又は変更にあたっては、この条例との整合を図らなければならない。
(基本理念)
第4条 市民、市議会及び市の執行機関は、次の基本理念に基づいて、まちづくりを進めるものとする。
(1) 市民主権 市民の主権に基づいてまちづくりを進めること。
(2) 人権の尊重 市民一人ひとりの人権を尊重してまちづくりを進めること。
(3) 助け合いと支え合い 助け合い支え合う人と人、人と地域とのつながりを大切にしてまちづくりを進めること。
(4) 安全と安心 災害等に強くいつまでも快適に住み続けることができるように安全と安心を重視してまちづくりを進めること。
(5) 地域特性の尊重 地域の歴史や文化を尊重してまちづくりを進めること。
(6) 自然環境の保全と活用 豊かな自然を大切にするとともに、資源として活用してまちづくりを進めること。
(基本原則)
第5条 市民、市議会及び市の執行機関は、次の基本原則に基づいて、まちづくりを進めるものとする。
(1) 市民主体の原則 市民一人ひとりが考え行動することをまちづくりの基本とすること。
(2) 情報共有の原則 市民、市議会及び市の執行機関が、まちづくりに関する情報を共有すること。
(3) 市民参画の原則 市民が重要な決定に主体的に関わることにより、まちづくりに市民の意思を反映すること。
(4) 市民協働の原則 市民が相互に協力してまちづくりに取り組み、市議会及び市の執行機関はそれぞれの権限を行使し、市民の意思を実現する責任を負うこと。
第2章 まちづくりの担い手
第1節 市民の権利と責務
(市民の権利)
第6条 市民は、まちづくりの主体として、まちづくりに関する情報を知り、参画し協働する権利を有する。
2 市民は、参画し協働しないことにより不利益を受けるものではない。
3 市民は、公共サービスを等しく受ける権利を有する。
(市民の責務)
第7条 市民は、まちづくりに関心を持ち、積極的に参画し協働するよう努めるものとする。
2 市民は、相互に尊重し合い、自らの発言と行動に責任を持つものとする。
3 市民は、公共サービスを受けるにあたり、応分の負担に応じるものとする。
第2節 市議会の権限と責任
(市議会の権限)
第8条 市議会は、市民の信託を受けた市の意思決定機関として、市政の重要事項について議決する権限及び市政運営を監視し、けん制する権限を有する。
(市議会の責任)
第9条 市議会は、市民の代表として、市民の意思の把握に努め、政策の提言に努めなければならない。
2 市議会は、議会活動に関する情報を市民にわかりやすく提供し、市民に開かれた議会運営に努めなければならない。
3 市議会の運営に関し必要な事項は、別に定める。
第3節 市の執行機関の権限と責任
(市長の権限)
第10条 市長は、市民の信託を受けた市の代表として、市政運営を統轄する。
2 市長は、市の事務を管理し、これを執行する。
3 市長は、その補助機関である職員を任免し、指揮監督する。
(市長の責任)
第11条 市長は、市民の信託に応え、市の代表としてこの条例を誠実に遵守し、公正な市政運営を行わなければならない。
2 市長は、リーダーシップを発揮した効率的で効果的な組織運営を行わなければならない。
(市の職員の責任)
第12条 市の職員は、全体の奉仕者であることを自覚し、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市の職員は、効率的な職務の遂行に必要な知識と技能の向上のため自己研さんに努めなければならない。
第3章 まちづくりの仕組み
第1節 情報共有の仕組み
(市政情報の管理)
第13条 市議会及び市の執行機関は、まちづくりに関する情報を正確かつ適正に収集し、整理保存しなければならない。
2 市議会及び市の執行機関は、市民の知る権利を保障するため、まちづくりに関する情報を適切な方法で、積極的に、わかりやすく市民に提供及び公開しなければならない。
3 市民は、市議会及び市の執行機関に対して、公文書(市議会及び市の執行機関が保有する文書をいう。)の開示を請求することができる。
4 公文書の開示に関し必要な事項は、別に定める。
(個人情報の保護)
第14条 市議会及び市の執行機関は、市民の権利及び利益が侵害されることのないよう、保有する個人情報の保護について必要な措置を講じなければならない。
2 個人情報の保護に関し必要な事項は、別に定める。
(市民間の情報の共有)
第15条 市民は、個人情報の保護に配慮し、相互の信頼関係に基づいた情報の交換を行い、まちづくりに関する情報の共有に努めるものとする。
第2節 参画と協働の仕組み
(市民参画の推進)
第16条 市議会及び市の執行機関は、市民の参画を推進するため、政策等の立案、実施、評価及び改善の過程において、多様な制度と機会を設けなければならない。
(計画策定への参画)
第17条 市の執行機関は、総合計画をはじめ重要な計画の策定にあたっては、市民の意思を反映するため、市民が参画する機会を保障しなければならない。
(パブリックコメント)
第18条 市の執行機関は、重要な政策及び計画の策定にあたっては、事前にその案を公表し、市民の意見を求めるとともに、提出された意見に対する市の執行機関の考え方を公表しなければならない。
2 パブリックコメントに関し必要な事項は、別に定める。
(附属機関等)
第19条 市の執行機関は、条例等に基づいて設けられる審議会、審査会及び委員会等(以下「附属機関等」という。)の委員を選任するときは、その全部又は一部を公募によらなければならない。ただし、何らかの理由により公募を行わないときは、公募しない理由を明らかにしなければならない。
2 市の執行機関は、附属機関等の委員を選任するにあたり、性別及び地域別の割合、他の附属機関等との重複等を考慮しなければならない。
3 附属機関等の会議は、公開を原則とする。
4 附属機関等の運営に関し必要な事項は、別に定める。
(住民投票)
第20条 市内に住所を有する市民は、まちづくりに関する重要事項について、市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
2 市長は、まちづくりに関する重要事項について、広く市民の意思を直接問う必要があると認めるときは、住民投票を実施することができる。
3 市民、市議会及び市の執行機関は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
4 住民投票に関し必要な事項は、別に定める。
(まちづくりを推進する団体)
第21条 市民、市議会及び市の執行機関は、地域の特性を活かした自律的なまちづくりを進めるため、一定の地域ごとにまちづくりを推進する団体を創出する。
2 市民、市議会及び市の執行機関は、まちづくりを推進する団体の活動の促進に努めるものとする。
3 まちづくりを推進する団体に関し必要な事項は、別に定める。
第3節 市民活動
(市民公益活動)
第22条 市民は、まちづくりに貢献するために市民が自主的に行う活動(以下「市民公益活動」という。)の意義を理解し、協力又は支援に努めるものとする。
2 市議会及び市の執行機関は、市民の自主性を尊重した上で、市民公益活動を促進するために必要な支援を行わなければならない。
(地域活動)
第23条 市民、市議会及び市の執行機関は、地域の歴史や文化、人と人とのつながり及び助け合いの精神に支えられた地域活動を尊重しなければならない。
2 市民は、地域の一員として、地域活動に参加するよう努めるものとする。
3 市議会及び市の執行機関は、地域の実情に配慮した上で、地域活動を促進するために必要な支援を行わなければならない。
第4章 市政運営
(総合計画)
第24条 市民、市議会及び市の執行機関は、総合的かつ計画的にまちづくりを進めるため、市の目指すべき将来像を定める基本構想及びこれを実現する政策を定める基本計画(以下「総合計画」という。)を策定する。
2 総合計画は、市における最上位の計画であり、市の執行機関が行う政策は、緊急を要するもののほかは、この計画に基づかなければならない。また、市の執行機関が各分野の基本となる計画を策定するときは、総合計画との関係を明らかにしなければならない。
3 総合計画は、市民参画のもと、その案が作成され、議会の議決を経て策定されなければならない。
4 市の執行機関は、総合計画に基づく事業の進行を管理するとともに、事業の進捗状況を市民及び市議会に公表しなければならない。
5 総合計画の策定、変更及び事業の進行管理に関し必要な事項は、別に定める。
(行政評価)
第25条 市の執行機関は、市民参画のもと、政策の成果について評価を行い、その結果を政策の改善に反映させるとともに、市民及び市議会に公表しなければならない。
(財政運営)
第26条 市の執行機関は、最少の経費で最大の効果を挙げるよう努め、健全で持続可能な財政運営を行わなければならない。
2 市の執行機関は、総合計画及び行政評価の結果に基づいて予算の編成及び執行を行わなければならない。
3 市の執行機関は、予算、決算、その他市の財政状況に関する情報を、市民及び市議会に公表しなければならない。
(監査)
第27条 市民は、監査委員に対し、監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求する権利を有する。
2 監査委員は、市の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理の監査又は市の事務の執行の監査をするにあたり、適法性や妥当性に加えて、効率性の観点から行わなければならない。
3 監査委員は、監査の実施後、市民、市議会及び市の執行機関に対して、その結果を速やかに報告及び公表しなければならない。
(説明責任)
第28条 市議会及び市の執行機関は、公正で開かれた市政の推進のため、政策の企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果及び手続きを市民に説明しなければならない。
(政策法務)
第29条 市議会及び市の執行機関は、法令等の自主的かつ適切な解釈及び運用のもと、関係法令等との整合を図りながら、まちづくりに関する条例、規則等の制定及び改廃に努めなければならない。
2 市議会及び市の執行機関は、まちづくりに関する条例の制定及び改廃について、市民が参画する機会を保障しなければならない。
(市民提案)
第30条 市の執行機関は、市政に関する市民の提案に対して迅速かつ誠実に対応し、提案者にその結果を速やかに回答しなければならない。
2 市の執行機関は、市民提案及びそれに対する回答を公表しなければならない。
(行政手続)
第31条 市の執行機関は、市民の権利及び利益の保護を図るため、市の執行機関への申請に対する処分、行政指導及び届出に関する基準及び手続きを明らかにし、透明で公正な行政手続の確保を図らなければならない。
2 行政手続に関し必要な事項は、別に定める。
(コンプライアンスの確保)
第32条 市議会及び市の執行機関は、コンプライアンス(法令を誠実に遵守し、かつ、倫理を保持することをいう。)を確保し、適法かつ公正な市政運営を行わなければならない。
2 市の執行機関は、公益通報(市政の適法かつ公正な運営を確保するために、市政運営上の違法行為について市の職員から行われる通報及び相談をいう。)を受け入れる体制を整備し、通報者が通報により不利益を受けないよう通報者を保護するとともに、適切な措置を講じなければならない。
3 市の執行機関は、市の事業に対するあらゆる不当要求行為等に対し、組織的な取組みを行うことにより、市民と市の職員の安全及び公務の円滑かつ適正な執行を確保しなければならない。
4 コンプライアンスの確保に関し必要な事項は、別に定める。
(危機管理)
第33条 市民、市議会及び市の執行機関は、市民の生命、財産、暮らしの安全を守るため、過去の災害等の教訓を活かし、自助、共助、公助に基づき、災害等に強いまちづくりに取り組むものとする。
2 市民は、日頃から防災及び減災の意識を持つように努めるとともに、災害等の発生時に相互に協力して対処するため自主防災組織の結成と強化に努めるものとする。
3 市議会及び市の執行機関は、市民による自主防災組織の結成と強化を支援しなければならない。
4 市議会及び市の執行機関は、災害等の発生時に迅速かつ適切な対応ができるよう、地域防災計画に基づく危機管理体制の確立を図らなければならない。
5 市の執行機関は、災害等の発生時に、市民、関係機関、国、他の自治体との連携及び協力により、速やかに状況を把握し、対策を講じなければならない。
第5章 広域的な連携と交流
(人と人との交流)
第34条 市民、市議会及び市の執行機関は、様々な活動や交流を通じて、市外の人々や他の国々の人々の経験及び知恵をまちづくりに活かすよう努めるものとする。
(他の自治体及び国との連携)
第35条 市民、市議会及び市の執行機関は、市の課題又は市を含む広域的課題を解決するため、他の自治体及び国と相互に連携又は協力するよう努めるものとする。
第6章 条例の検証と見直し
(条例の検証及び見直し)
第36条 市民、市議会及び市の執行機関は、5年を超えない期間ごとにこの条例を検証し、必要な見直しを行うものとする。検証及び見直しは、市民参画のもとで行い、市議会及び市の執行機関は、その結果を尊重し、適切な措置を講じなければならない。
2 この条例の検証及び見直しに関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。ただし、第20条の規定については、別に条例で定める日から施行する。(平成30年9月条例第32号で、同30年10月1日から施行)
附 則(平成28年3月14日条例第19号)
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
(宍粟市まちづくり協議会条例の廃止)
2 宍粟市まちづくり協議会条例(平成22年宍粟市条例第2号)は、廃止する。