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条例

川崎市人権オンブズパーソン条例

自治体データ

自治体名 川崎市 自治体コード 14130
都道府県名 神奈川県 都道府県コード 00014
人口(2015年国勢調査) 1,538,262人

条例データ

条例本文

平成13年6月29日条例第19号

目次
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 責務(第4条~第7条)
第3章 人権オンブズパーソンの組織等(第8条~第11条)
第4章 相談及び救済
第1節 相談(第12条)
第2節 救済の申立て(第13条・第14条)
第3節 調査の実施等(第15条~第17条)
第4節 市の機関に対する調査等(第18条~第20条)
第5節 市の機関以外のものに対する調査等(第21条・第22条)
第6節 個人情報等の保護(第23条)
第7節 人権に関する課題についての意見公表(第24条)
第5章 補則(第25条~第27条)
附 則

第1章 総則

(目的及び設置)
第1条 市民が人権の侵害に関する相談及び救済の申立てを簡易に、かつ、安心して行うことができるよう必要な体制を整備し、市民の理解と相互の協調の下に迅速かつ柔軟に人権の侵害からの救済を図り、もって人権が尊重される地域社会づくりに資することを目的として、本市に川崎市人権オンブズパーソン(以下「人権オンブズパーソン」という。)を置く。

(管轄)
第2条 人権オンブズパーソンの管轄は、次に掲げる人権の侵害(以下「人権侵害」という。)に関する事項とする。
(1)子ども(川崎市子どもの権利に関する条例(平成12年川崎市条例第72号)第2条第1号に規定する子どもをいう。)の権利の侵害
(2)男女平等にかかわる人権の侵害(男女平等かわさき条例(平成13年川崎市条例第14号)第6条に規定する男女平等にかかわる人権の侵害をいう。)
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる事項については、人権オンブズパーソンの管轄としない。
(1)判決、裁決等により確定した権利関係に関する事項
(2)議会に請願又は陳情を行っている事項
(3)川崎市市民オンブズマン(以下「市民オンブズマン」という。)に苦情を申し立てた事項
(4)人権オンブズパーソン又は市民オンブズマンの行為に関する事項

(人権オンブズパーソンの職務)
第3条 人権オンブズパーソンは、次の職務を行う。
(1)人権侵害に関する相談に応じ、必要な助言及び支援を行うこと。
(2)人権侵害に関する救済の申立て又は自己の発意に基づき、調査、調整、勧告、是正要請等を行うこと。
(3)制度の改善を求めるための意見を表明すること。
(4)勧告、意見表明等の内容を公表すること。
(5)人権に関する課題について意見を公表すること。

第2章 責務

(人権オンブズパーソンの責務)
第4条 人権オンブズパーソンは、市民の人権の擁護者として、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
2 人権オンブズパーソンは、その職務の遂行に当たっては、市民オンブズマンその他市の機関、関係機関、関係団体等と有機的な連携を図り、相互の職務の円滑な遂行に努めなければならない。
3 人権オンブズパーソンは、相談又は救済の申立てを行った者に不利益が生じないように、当該相談又は救済の申立てに係る事案の特性を踏まえ、その職務を遂行しなければならない。
4 人権オンブズパーソンは、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。

(市の機関の責務)
第5条 市の機関は、人権オンブズパーソンの職務の遂行に関し、その独立性を尊重しなければならない。
2 市の機関は、人権オンブズパーソンの職務の遂行に関し、積極的な協力援助に努めなければならない。

(市民の責務)
第6条 市民は、この条例の目的を達成するため、人権オンブズパーソンの職務の遂行に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)
第7条 事業者は、その事業活動において、この条例の目的を達成するため、人権オンブズパーソンの職務の遂行に協力するよう努めなければならない。

第3章 人権オンブズパーソンの組織等

(人権オンブズパーソンの組織等)
第8条 人権オンブズパーソンの定数は2人とし、そのうち1人を代表人権オンブズパーソンとする。
2 人権オンブズパーソンは、人格が高潔で社会的信望が厚く、人権問題に関し優れた識見を有する者のうちから、第2条第1項に規定する人権オンブズパーソンの管轄を踏まえて、市長が議会の同意を得て委嘱する。
3 人権オンブズパーソンは、任期を3年とし、1期に限り再任されることができる。
4 人権オンブズパーソンは、別に定めるところにより、相当額の報酬を受ける。

(秘密を守る義務)
第9条 人権オンブズパーソンは、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(解嘱)
第10条 市長は、人権オンブズパーソンが心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は職務上の義務違反その他人権オンブズパーソンたるにふさわしくない非行があると認める場合は、議会の同意を得て解嘱することができる。

(兼職等の禁止)
第11条 人権オンブズパーソンは、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。
2 人権オンブズパーソンは、本市と特別な利害関係にある企業その他の団体の役員と兼ねることができない。
3 人権オンブズパーソンは、前2項に定めるもののほか、公平な職務の遂行に支障が生ずるおそれがある職と兼ねることができない。

第4章  相談及び救済

第1節 相談

(相談)
第12条 何人も、市民等(市の区域内に住所を有する者、在勤する者又は在学する者その他市に関係ある者として規則で定める者をいう。以下同じ。)の人権侵害に関する事項について、人権オンブズパーソンに相談することができる。
2 人権オンブズパーソンは、前項の規定により相談を受けた場合は、必要な助言及び支援を行う。

第2節 救済の申立て

(救済の申立て)
第13条 市民等は、自らが人権侵害を受けたと思うときは、人権オンブズパーソンに対し、救済の申立て(以下「申立て」という。)を行うことができる。
2 申立ては、次に掲げる事項を記載した書面により行わなければならない。ただし、書面によることができない場合は、口頭により申立てを行うことができる。

(1)申立てを行おうとする者の氏名及び住所
(2)申立ての原因となった事実及びその事実のあった年月日
(3)その他規則で定める事項

(本人以外の者の申立て)
第14条 何人も、市民等が人権侵害を受けたと思うときは、当該市民等に代わって人権オンブズパーソンに対し、申立てを行うことができる。
2 申立ては、次に掲げる事項を記載した書面により行わなければならない。ただし、書面によることができない場合は、口頭により申立てを行うことができる。
(1)申立てを行おうとする者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、名称、事務所又は事業所の所在地及び代表者の氏名)
(2)人権侵害を受けたと思われる市民等の氏名及び住所
(3)申立ての原因となった事実及びその事実のあった年月日
(4)その他規則で定める事項

第3節 調査の実施等

(申立てに係る調査等)
第15条 人権オンブズパーソンは、申立てがあった場合は、当該申立てに係る事実について、調査を行う。
2 前項の場合において、申立てが前条第1項の規定によるものであるときは、同条第2項第2号の市民等の同意を得なければならない。
3 第1項の規定にかかわらず、申立てが次の各号のいずれかに該当すると認められる場合は、調査を行わない。
(1)第2条第2項の規定に該当するとき。
(2)申立ての原因となった事実のあった日から3年を経過しているとき。ただし、正当な理由があるときを除く。
(3)虚偽その他正当な理由がないと認められるとき。
(4)申立ての原因となった事実が市の区域外で生じたものであるとき。ただし、人権オンブズパーソンが特に調査の必要があると認めるときを除く。
(5)前項の同意が得られないとき。ただし、人権オンブズパーソンが特に調査の必要があると認めるときを除く。
4人権オンブズパーソンは、前項の規定により調査を行わない場合は、その旨を理由を付して申立てを行った者(以下「申立人」という。)に速やかに通知しなければならない。

(発意の調査)
第16条 人権オンブズパーソンは、市民等が人権侵害を受けていると認めるときは、自己の発意に基づき、調査を行うことができる。
2 前項の規定による調査を行う場合においては、人権侵害を受けていると認められる市民等の同意を得なければならない。ただし、人権オンブズパーソンが特に調査の必要があると認めるときは、この限りでない。

(調査の中止等)
第17条 人権オンブズパーソンは、調査を開始した後においても、その必要がないと認めるときは、調査を中止し、又は打ち切ることができる。
2 人権オンブズパーソンは、調査を中止し、又は打ち切ったときは、その旨を理由を付して、申立人又は第15条第2項若しくは前条第2項の同意を得た者(以下「申立人等」という。)に速やかに通知しなければならない。

第4節 市の機関に対する調査等

(市の機関に対する調査)
第18条 人権オンブズパーソンは、市の機関に対し調査を行う場合は、関係する市の機関に対し、その旨を通知するものとする。
2 人権オンブズパーソンは、調査のため必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し説明を求め、その保有する帳簿、書類その他の記録を閲覧し、若しくはその提出を要求し、又は実地調査をすることができる。
3 人権オンブズパーソンは、必要があると認めるときは、専門的機関に対し、専門的調査を依頼することができる。
4 人権オンブズパーソンは、調査の結果について、申立人等に速やかに通知するものとする。ただし、次条第6項の規定により通知する場合は、この限りでない。

(市の機関に対する勧告等)
第19条 人権オンブズパーソンは、調査の結果、必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し、是正等の措置を講ずるよう勧告することができる。
2 人権オンブズパーソンは、調査の結果、必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し、制度の改善を求めるための意見を表明することができる。
3 第1項の規定による勧告又は前項の規定による意見表明を受けた市の機関は、当該勧告又は意見表明を尊重しなければならない。
4 人権オンブズパーソンは、第1項の規定により勧告したときは、市の機関に対し、是正等の措置について報告を求めるものとする。
5 前項の規定により報告を求められた市の機関は、当該報告を求められた日から60日以内に、人権オンブズパーソンに対し、是正等の措置について報告するものとする。
6 人権オンブズパーソンは、第1項の規定により勧告したとき、第2項の規定により意見表明をしたとき、又は前項の規定による報告があったときは、その旨を申立人等に速やかに通知しなければならない。
7 人権オンブズパーソンは、第2項の規定による意見表明の内容を公表する。第1項の規定による勧告又は第5項の規定による報告の内容で必要があると認めるものについても同様とする。

(市民オンブズマンとの共同の勧告等)
第20条 人権オンブズパーソンは、前条第1項の規定による勧告又は同条第2項の規定による意見表明を行う場合において、必要があると認めるときは市民オンブズマンに対し、共同で行うよう求めることができる。

第5節 市の機関以外のものに対する調査等

(市の機関以外のものに対する調査等)
第21条 人権オンブズパーソンは、調査のため必要があると認めるときは、関係者(市の機関以外のものに限る。以下同じ。)に対し質問し、事情を聴取し、又は実地調査をすることについて協力を求めることができる。
2 第18条第3項の規定は、関係者に対する調査の場合に準用する。
3 人権オンブズパーソンは、調査の結果、必要があると認めるときは、人権侵害の是正のためのあっせんその他の調整(以下「調整」という。)を行うものとする。
4 人権オンブズパーソンは、調査又は調整の結果について、申立人等に速やかに通知するものとする。

(事業者に対する要請等)
第22条 人権オンブズパーソンは、調査又は調整の結果、事業活動において頻繁な又は重大な人権侵害が行われたにもかかわらず事業者が改善の取組を行っていないと認めるときは、当該事業者に対し、是正その他必要な措置を講ずるよう要請することができる。
2 人権オンブズパーソンは、前項の規定による要請を行ったにもかかわらず当該事業者が正当な理由がなく要請に応じない場合は、市長に対し、その旨を公表することを求めることができる。
3 市長は、前項の規定により公表を求められた場合は、その内容を公表することができる。この場合において、市長は、人権オンブズパーソンの意思を尊重しなければならない。
4 市長は、前項の規定により公表しようとする場合には、あらかじめ当該公表に係る事業者に意見を述べる機会を与えるものとする。

第6節 個人情報等の保護

(個人情報等の保護)
第23条 第19条第7項及び前条第3項の規定による公表を行う場合は、個人情報等の保護について最大限の配慮をしなければならない。

第7節 人権に関する課題についての意見公表

(人権に関する課題についての意見公表)
第24条 人権オンブズパーソンは、その職務の遂行を通じて明らかになった人権に関する社会構造上の課題について、地域における解決に向けた取組に資するため、意見を公表することができる。

第5章 補則

(事務局)
第25条 人権オンブズパーソンに関する事務については、川崎市市民オンブズマン条例(平成2年川崎市条例第22号)第21条に規定する事務局において処理する。
2 人権オンブズパーソンの職務に関する事項を調査する専門調査員を置くものとする。

(運営状況の報告等)
第26条 人権オンブズパーソンは、毎年、この条例の運営状況について市長及び議会に報告するとともに、これを公表する。

(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施のため必要な事項は、市長が定める。

附則 (抄)
(施行期日)
1 この条例の施行期日は、市長が定める。ただし、第8条第2項中議会の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行する。
(平成14年3月29日規則第44号で平成14年4月1日から施行。ただし、第4章の規定は、平成14年5月1日から施行)

(経過措置)
2 この条例は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の3年前の日から施行日までの間にあった事実に係る申立てについても適用し、当該3年前の日前にあった事実に係る申立てについては、適用しない。

(検討)
3 市は、この条例の施行後適当な時期において、この条例の施行状況、人権に関する国の施策の動向及び社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、人権が尊重される地域社会づくりの観点から、この条例に規定する人権オンブズパーソンの管轄等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。