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条例

明石市法令遵守の推進等に関する条例

自治体データ

自治体名 明石市 自治体コード 28203
都道府県名 兵庫県 都道府県コード 00029
人口(2015年国勢調査) 303,601人

条例データ

条例本文

○明石市法令遵守の推進等に関する条例

平成22年3月26日条例第4号
改正
平成24年12月27日条例第33号
明石市法令遵守の推進等に関する条例

目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 職員倫理原則等(第3条―第6条)
第3章 内部公益通報
第1節 公益監察員(第7条―第11条)
第2節 内部公益通報の処理(第12条―第25条)
第3節 通報職員等の保護(第26条―第30条)
第4章 要望、提案等及び不当要求行為への対応
第1節 要望、提案等への対応(第31条―第37条)
第2節 不当要求行為への対応(第38条―第41条)
第5章 行政オンブズマン(第42条―第64条)
第6章 外部公益通報(第65条)
第7章 雑則(第66条―第69条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、職員の倫理の保持及び法令等の遵守、市の公益を害する事実の早期是正並びに市民の権利の保護に関する体制を整備することにより、公務及び市政に対する市民の信頼を確保するとともに、公正かつ民主的な市政の運営を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市の機関 地方自治法(昭和22年法律第67号)第2編第7章の規定に基づいて設置される本市の執行機関、公営企業管理者、消防長及び市議会議長をいう。
(2) 職員 次に掲げる者をいう。
ア 市の機関の職にある者(市議会議長を除く。)及びその構成員
イ 任命権者(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条第1項に規定する任命権者及びその委任を受けた者をいう。以下同じ。)が任命する同法第3条第1項に規定する一般職及び特別職の職員(アに掲げる者を除く。)
ウ 市町村立学校職員給与負担法(昭和23年法律第135号)第1条に規定する職員であって明石市立学校に属するもの
(3) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 職員
イ 派遣労働者
ウ 委託事業者の役職員
(4) 派遣労働者 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者であって本市の事務又は事業(以下「本市事務事業」という。)に従事しているものをいう。
(5) 委託事業者の役職員 委託事業者(委託事務等を行うものをいう。以下同じ。)の役員、従業員、代理人その他の者で委託事務等に従事しているものをいう。
(6) 委託事務等 次に掲げるものをいう。
ア 本市事務事業を本市以外のものに委託し、又は請け負わせる場合(第7条第1項に規定する公益監察契約を除く。)、地方自治法第244条の2第3項の規定により公の施設の管理を同項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)に行わせる場合その他法令等の規定により本市事務事業を本市以外のものに行わせる場合における当該本市事務事業
イ 本市が出資その他財政支出等を行う法人その他の団体で規則で定めるもの(以下「出資団体等」という。)の出資目的等に係る事務又は事業
(7) 内部公益通報 職員等(市の機関の職にある者及びその構成員、副市長並びに教育長を除く。)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、内部通報対象事実が生じ、又は生じようとしている旨を、第7条第1項に規定する公益監察員又は当該内部通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくはその者に対し当該内部通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(以下「処分等の権限を有する行政機関等」という。)に通報することをいう。
(8) 通報対象事実 公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第2条第3項に規定する通報対象事実をいう。
(9) 内部通報対象事実 次に掲げるものをいう。
ア 本市事務事業又はこれに従事する場合における職員等についての通報対象事実
イ アに掲げるもののほか、本市事務事業又はこれに従事する場合における職員等についての法令等(法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例並びに市の機関の定める規則(規程を含む。)及び訓令をいう。以下同じ。)に違反する事実
ウ 職員等が他の職員等に対して行った不当要求行為その他職員等の職務に関する違法又は不当な要求の事実
エ アからウまでに掲げるもののほか、本市事務事業又はこれに従事する場合における職員等についての人の生命、身体、財産その他正当な権利利益を害するおそれがある事実
(10) 通報職員等 内部公益通報を行った職員等をいう。
(11) 要望、提案等 職員に対して行われる本市事務事業又は当該職員の職務に関する要望、提案、提言、相談、意見、苦情、依頼その他これらに類する行為をいう。
(12) 不当要求行為 職員に対し、本市事務事業又は当該職員の職務に関して違法又は不当な行為をするよう要求する行為、暴力的な行為その他職務の障害となる行為を用いて要望、提案等を行う行為その他職員の公正な職務の執行を妨げる行為をいう。
(13) 外部公益通報 労働者(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。)がその労務提供先において通報対象事実が生じ、又は生じるおそれがある場合に、当該通報対象事実を市の機関に通報すること(内部公益通報に該当するものを除く。)をいう。
第2章 職員倫理原則等
(職員が遵守すべき職務に係る倫理原則)
第3条 職員は、全体の奉仕者であり、市民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について市民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等市民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、法令等の趣旨及び目的を考慮し、並びにその趣旨及び目的に従い、職務を執行しなければならない。
3 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
4 職員は、法令等により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。

(市の機関の責務)
第4条 市の機関は、常に公正な市政運営を図り、市政に対する市民の信頼を確保するよう努めなければならない。
2 市の機関は、職員が常に公正な職務の執行を行うよう、職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関する啓発、研修その他必要な措置を講じなければならない。
(管理監督職員の責務)
第5条 管理監督職員(職員を管理し、又は監督する地位にある職員をいう。)は、その地位の重要性を自覚し、管理又は監督の対象となる職員に対し、職員の倫理の保持及び法令等の遵守のために必要な指導及び援助を行うとともに、本市が職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関して取り組む施策において中心的な役割を果たさなければならない。
(市民等の責務)
第6条 市民は、地方公共団体を構成する一員として常に本市の行政運営に関心を払い、職員等による公正かつ適正な職務の執行について理解し、協力するよう努めるものとする。
2 何人も、職員等に対して不当要求行為その他不正な手段により職員等の公正な職務の執行を妨げる行為をしてはならない。
第3章 内部公益通報
第1節 公益監察員
(公益監察員の設置)
第7条 内部公益通報を公正かつ中立な立場で適切かつ迅速に処理するとともに、通報職員等の保護を図るため、内部公益通報の受付その他の業務の委託契約(以下「公益監察契約」という。)により、公益監察員2人以内を置く。
2 公益監察契約を締結できる者は、弁護士である者であって地方自治法第252条の28第3項各号に該当しないものでなければならない。
3 市長は、公益監察契約を締結しようとするときは、公益監察契約の相手方となるべき者の選任について、あらかじめ、議会の同意を得なければならない。
4 公益監察契約の期間は、3年とする。
(公益監察員の職務等)
第8条 公益監察員は、次に掲げる職務に従事する。
(1) 内部公益通報の受付、調査、調査結果の報告、是正の勧告及び公表並びに相談に関すること。
(2) 通報職員等からの不利益取扱いの申出の受付、調査、調査結果の報告、是正の勧告及び公表並びに相談に関すること。
2 公益監察員は、それぞれ独立して職務を行う。ただし、相互に協力することを妨げない。
(公益監察員の守秘義務等)
第9条 公益監察員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。公益監察員でなくなった後も、同様とする。
2 公益監察員は、通報職員等を保護するため、通報職員等が特定されるおそれのある情報を公開してはならない。
3 第1項の規定は、前条第2項ただし書に規定する場合、次条第1項の規定により同項に規定する補助者に補助させる場合及び第11条第4項の規定により引継ぎをする場合並びに内部通報対象事実については、適用しない。
(公益監察員の事務の補助)
第10条 公益監察員は、第8条第1項各号に規定する事務(次項において「調査等の事務」という。)を他の者に補助させることができる。この場合において、公益監察員は、あらかじめ、市長に当該補助させる者(以下この章において「補助者」という。)を届け出ておかなければならない。
2 公益監察員は、調査等の事務が適正かつ円滑に行われるよう補助者を監督しなければならない。
3 補助者が負うべき守秘義務その他の義務は、公益監察員がこの条例及びこれに基づく規則の規定により負う義務の例による。
(公益監察契約の解除等)
第11条 市長は、公益監察員が第7条第2項の規定に該当しなくなったときは、当該公益監察員と締結している公益監察契約を解除しなければならない。
2 市長は、公益監察員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、公益監察員にこの条例若しくはこれに基づく規則に規定する義務に違反する行為があると認めるとき、又は公益監察契約に係る義務に違反すると認めるときその他公益監察員と公益監察契約を締結していることが著しく不適当と認めるときは、公益監察契約を解除することができる。この場合において、あらかじめ議会の同意を得なければならない。
3 公益監察契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
4 公益監察員は、調査中の事案で公益監察契約の期間の満了又は解除による契約の終了時において調査が終了していないものについては、他の公益監察員又は新たに選任された公益監察員に当該調査に関する書類等を適正に引き継がなければならない。
第2節 内部公益通報の処理
(内部公益通報手続等)
第12条 職員等は、内部通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合には、公益監察員に内部公益通報をすることができる。
2 前項の規定による内部公益通報は、実名によらなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、匿名によることができる。
(1) 確実な資料を示して行う場合
(2) 人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当な理由がある場合
(3) 内部公益通報をすれば免職その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当な理由がある場合
3 職員等は、次に掲げるときは、処分等の権限を有する行政機関等に内部公益通報をすることができる。
(1) 内部通報対象事実が第2条第9号アに該当する場合であって、公益通報者保護法第3条第2号又は第3号の規定に該当するとき。
(2) 第1項の規定による内部公益通報によっては、当該内部公益通報に係る内部通報対象事実が是正されなかったとき。
4 第1項又は前項の規定により内部公益通報をしようとする職員等は、内部通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料するに足りる相当な資料に基づき誠実に行うとともに、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(内部公益通報の方法)
第13条 前条第1項の規定による内部公益通報は、規則で定める書類を公益監察員が指定する場所へ送付することにより行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、公益監察員が同項に規定する方法以外の方法を認めたときは、その方法によることができる。
(内部公益通報に関する相談)
第14条 職員等は、通報しようとする内容が内部通報対象事実に該当するかどうかについて、あらかじめ、公益監察員に相談を行うことができる。
2 公益監察員は、前項の規定による相談を受けたときは、これに応ずるものとする。
3 前条の規定は、第1項の規定により職員等が公益監察員に相談を行う場合について準用する。
(公益通報の受理等)
第15条 公益監察員は、職員等からの通報が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、当該通報を受理するものとする。
(1) 通報が内部公益通報に該当しない場合
(2) 内部通報対象事実が生じ、若しくは生じようとしていることについて通報者が説明できない場合又は通報者に説明を求めても内部通報対象事実に係る行為を行った者若しくは当該行為の内容が把握できない場合
(3) 通報者が匿名の場合(第12条第2項ただし書の規定に該当する場合を除く。)
2 公益監察員は、内部公益通報を受理したときは受理した旨を、受理しないときは受理しない旨及びその理由を、当該通報があった日から20日以内に、当該通報職員等に対して通知しなければならない。ただし、匿名による内部公益通報である場合又は通報職員等が通知を希望しない場合は、当該通知をすることを要しない。
(内部公益通報の調査等)
第16条 公益監察員は、前条第2項の規定により内部公益通報を受理する旨の通知をしたときは、遅滞なく、当該内部通報対象事実について調査を行わなければならない。
2 公益監察員は、前項の規定による調査(以下この章において「内部公益通報に係る調査」という。)を、規則で定める標準処理期間内に終えるよう努めるものとする。
3 公益監察員は、内部公益通報に係る調査を行うに当たっては、あらかじめ、内部公益通報の内容を当該内部公益通報の内部通報対象事実に係る市の機関に報告するものとする。ただし、当該内部通報対象事実が当該市の機関の職にある者又はその構成員に係るものであるとき、当該市の機関に報告した場合において証拠が隠蔽されるおそれがあるときその他報告することが適当でないと認められる相当な理由があるときは、当該報告をしないことができる。
4 職員等及び委託事業者は、内部公益通報に係る調査に協力しなければならない。
5 前項の規定により内部公益通報に係る調査に協力した者は、内部公益通報に係る調査に係る事実及び協力に際して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、第19条第1項第3号、第21条第1項又は第22条の規定により公表された事実については、これらの規定により公表された後は、この限りでない。
6 公益監察員は、内部公益通報に係る調査(第8条第2項ただし書に規定する場合及び第10条第1項の規定により補助者に補助させる場合を除く。)及び第3項の規定による報告に当たっては、通報職員等が特定されるおそれがある事項を他の者に知られないようにしなければならない。
(特定の事件に係る公益監察員の除斥)
第17条 公益監察員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、内部公益通報に係る調査をすることはできない。
2 公益監察員は、前項の規定に該当する場合には、その旨を通報職員等に説明し、及び他の公益監察員に事案を送付しなければならない。
3 前項の規定により事案を送付するべき他の公益監察員がいないときは、公益監察員は、その旨を通報職員等に説明するとともに、他の方法について相談に応ずるものとする。
(公益監察員による調査の方法等)
第18条 公益監察員(補助者を含む。次項及び第3項において同じ。)は、内部公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し説明を求め、その保有する帳簿、関係書類その他の記録を閲覧し、若しくはその提出を要求し、又は実地調査をすることができる。
2 公益監察員は、内部公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、関係人又は関係機関に対し、質問し、事情を聴取し、又は実地調査をすることについて協力を求めることができる。
3 公益監察員は、内部公益通報に係る調査に当たっては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 公益監察員は、内部公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、専門的事項又は技術的事項について、専門的知識及び経験を有する者に対し、調査、分析、鑑定等(次項において「分析等」という。)を依頼することができる。
5 前項の規定により公益監察員から分析等を依頼された者については、補助者とみなして、第10条第2項及び第3項の規定を適用する。
(内部公益通報に係る調査の中止)
第19条 公益監察員は、次の各号のいずれかに該当するときは、内部公益通報に係る調査を中止するものとする。
(1) 内部通報対象事実について、訴訟手続その他の裁判所における手続、刑事事件その他犯則事件に関する法令の規定に基づく手続又は行政上の不服申立ての手続その他の紛争処理制度において既に審理が行われ、又は現に行われているとき。
(2) 内部通報対象事実について処分等の権限を有する行政機関等に対する通報が既に行われ、又は現に行われているとき。
(3) 市の機関が内部通報対象事実の中止その他是正のために必要な措置(以下この節において「是正措置等」という。)を講ずるとともに、当該是正措置等の内容を公表したとき。
2 前項の規定により公益監察員が内部公益通報に係る調査を中止したときは、通報職員等及び第16条第3項本文の規定により報告した市の機関にその旨を理由を付して通知するものとする。
3 第15条第2項ただし書の規定は、前項の規定により通報職員等に通知する場合について準用する。
(調査結果の報告等)
第20条 公益監察員は、内部公益通報に係る調査の結果、内部通報対象事実があると認めるときは、その内容をこれを証する資料とともに当該内部通報対象事実に係る市の機関に報告するとともに、是正措置等を講ずるよう勧告するものとする。ただし、公益監察員は、相当な理由があると認めるときは、その内容を証する資料の添付を省略することができる。
2 公益監察員は、前項の規定による勧告を行ったときは、当該勧告の内容を通報職員等に対して通知するものとする。
3 公益監察員は、内部公益通報に係る調査の結果、内部通報対象事実があると認められないとき(内部通報対象事実が判明しないときを含む。第24条第1項において同じ。)は、その旨を通報職員等に通知し、及び当該内部通報対象事実に係る市の機関に報告しなければならない。
4 第16条第6項の規定は第1項の規定による公益監察員の報告に、第15条第2項ただし書の規定は前2項の規定による通知について準用する。
(市の機関による是正措置等)
第21条 市の機関は、前条第1項の規定による勧告を受けた場合は、その内容を速やかに公表するとともに、是正措置等を講じなければならない。
2 市の機関は、前項の規定により是正措置等を講じたときは、遅滞なく、当該是正措置等の内容を公益監察員に報告するとともに、公表しなければならない。
(市の機関が公表しない場合等における公益監察員による措置)
第22条 市の機関が前条第1項の規定による公表若しくは是正措置等又は同条第2項の規定による公表を行わないときは、公益監察員は、市の機関がこれらを行わない事実を自ら公表し、又は当該内部通報対象事実について処分等の権限を有する行政機関等に通報することができる。
(市長への報告)
第23条 市長以外の市の機関は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を市長に報告しなければならない。
(1) 公益監察員から第16条第3項本文の規定による報告を受けた場合 内部公益通報の内容
(2) 公益監察員から第19条第2項の規定による通知を受けた場合 当該通知の内容
(3) 公益監察員から第20条第1項本文の規定による報告及び勧告を受けた場合 内部通報対象事実の内容及び是正措置等の勧告の内容
(4) 公益監察員から第20条第3項の規定による報告を受けた場合 当該報告の内容
(関係人の名誉の回復)
第24条 内部公益通報に係る調査の結果、内部通報対象事実があると認められない場合において関係者の名誉が害されたと認めるときは、市の機関は、事実関係の公表その他関係者の名誉を回復するため適切な措置を講ずるものとする。
2 第16条第6項の規定は、市の機関が前項の規定による公表を行う場合について準用する。
(個人情報への配慮)
第25条 第21条各項、第22条及び前条第1項の規定による公表に当たっては、公益監察員及び市の機関は、明石市個人情報保護条例(平成13年条例第1号)の趣旨にのっとり、個人情報の保護について最大限の配慮をしなければならない。
第3節 通報職員等の保護
(不利益取扱いの禁止等)
第26条 市の機関又は任命権者は、通報職員等に対して、その内部公益通報をしたことを理由に、免職、労働者派遣契約の解除その他いかなる不利益な取扱い(以下この節において「不利益取扱い」という。)もしてはならない。
2 任命権者は、通報職員等が内部通報対象事実に関与した職員であるときは、懲戒処分に際して、その情状を酌量することができる。
3 市の機関又は任命権者は、通報職員等が不利益取扱いを受けたとき、又は受けるおそれがあると認めるときは、その改善又は防止のために必要な措置を講ずるものとする。
(不利益取扱いの申出等)
第27条 通報職員等は、内部公益通報をしたことを理由に不利益取扱いを受けたと思料するときは、その旨を公益監察員に申し出ることができる。この場合において、通報職員等が内部公益通報をした後に受けた不利益取扱いは、特別の事由がない限り、当該内部公益通報を行ったことによる不利益取扱いとみなす。
2 通報職員等は、前項の規定による申出をする前に、公益監察員に不利益取扱いに関する相談を行うことができる。
3 第13条の規定は第1項の規定による申出について、第14条の規定は第2項の規定による相談について準用する。
(不利益取扱いに係る調査等)
第28条 前条第1項の規定による申出があった場合は、公益監察員は、当該申出に係る不利益取扱いの内容についての調査(以下この条において「不利益取扱いに係る調査」という。)を行わなければならない。
2 公益監察員は、不利益取扱いに係る調査を行うに当たっては、あらかじめ、不利益取扱いの内容を市長及び不利益取扱いの申出をした職員等(以下この条において「不利益申出職員等」という。)に係る市の機関又は任命権者(以下この節において「任命権者等」という。)に報告するものとする。ただし、これらの者に報告した場合において証拠が隠蔽されるおそれがあるときその他適当でないと認められる相当な理由があるときは、当該報告をしないことができる。
3 公益監察員は、不利益取扱いに係る調査の結果、不利益取扱いの事実があると認めるときは、その内容をこれを証する資料とともに市長及び任命権者等に報告するとともに、任命権者等に対し不利益取扱いを是正する措置(以下この章において「不利益是正措置」という。)を講ずるよう勧告するものとする。
4 公益監察員は、前項の規定による勧告を行ったときは、当該勧告の内容を市長に報告し、及び不利益申出職員等に通知するものとする。
5 公益監察員は、不利益取扱いに係る調査の結果、不利益取扱いの事実が認められなかったときは、その旨を市長及び任命権者等に報告し、及び不利益申出職員等に通知しなければならない。
6 任命権者等は、第3項の規定による勧告を受けた場合において、不利益是正措置を行ったときはその旨を、不利益是正措置を行わないときはその旨及びその理由を、公益監察員に報告するものとする。
7 第16条(第1項を除く。)、第17条、第18条、第24条及び第25条の規定は不利益取扱いに係る調査に、第19条及び第23条第2号の規定は不利益取扱いに係る調査の中止について準用する。
(不利益是正措置を行わない場合の公表)
第29条 公益監察員は、前条第3項の規定による勧告を行った場合において、当該勧告を受けた任命権者等が正当な理由がなくその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
2 第25条の規定は、前項の規定による公表について準用する。
(内部公益通報に係る調査協力者に関する保護)
第30条 第16条第4項の規定により内部公益通報に係る調査に協力した職員等に係る不利益取扱いについては、当該内部公益通報に係る調査に協力した職員等を通報職員等とみなして、この節の規定を適用する。

第4章 要望、提案等及び不当要求行為への対応
第1節 要望、提案等への対応
(要望、提案等に対する基本原則)
第31条 市の機関は、市民の市政への参画と協働を実現するため、市政運営に対する要望、提案等の重要性を十分に理解し、誠実にその内容を受け止め、適正に対応しなければならない。
2 市の機関は、特定のものを特別に扱うことを求める要望、提案等に対しては、他のものの権利及び利益を害さないよう十分に留意し、正当な理由なく、特定のものに対して便宜又は利益を図ることにならないよう慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 市の機関は、要望、提案等が不当要求行為に該当すると認める場合は、これを拒否しなければならない。
(要望、提案等の記録等)
第32条 市の機関は、要望、提案等があったときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。ただし、当該要望、提案等が不当要求行為に該当すると認めるときは、次節に定めるところにより処理するものとする。
(1) 口頭により要望、提案等を受けた場合 要望、提案等を行った者(以下この節において「要望者」という。)に当該要望、提案等の内容を確認し、簡潔に記録するとともに、当該要望、提案等の内容が公開又は公表の対象となることを教示する。
(2) 書面又は電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。以下同じ。)により要望、提案等を受けた場合 要望者にその内容を確認し、当該要望、提案等の内容が公開又は公表の対象となることを教示する。
2 不当要求行為とは、おおむね次に掲げる行為をいう。
(1) 市が行う許認可その他の行政処分又は請負その他の契約に関して、正当な理由なく、特定のものに対して不当に有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為及び入札その他の事務の公正を害する行為
(2) 市が行おうとしている不利益処分に関して、正当な理由なく、当該不利益処分の名宛人となるべき者のために、当該不利益処分を行わないよう、又は処分内容を緩和するよう要求する行為
(3) 職員の人事(採用、昇任、降任、転任等をいう。)について、正当な理由なく、有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為
(4) 正当な権利がないにもかかわらず権利があるとし、提供を受けた役務に瑕疵がないにもかかわらず瑕疵があるとし、若しくは交通事故その他の事故による損害がないにもかかわらず損害があるとし、又はこれらの瑕疵若しくは損害の程度を誇張して、損害賠償、解決金その他これらに類する名目で金品、便宜等を要求する行為
(5) 身体の一部若しくは器具を使って故意に相手を傷つけようとする行為、職員が恐怖を感じ反論し得ない状況に追い込む程度の脅迫又は職員が業務ができない程度のけん騒にわたる行為を用いて要望、提案等を行う行為
(6) 職員が正常な状態で面談することが困難である、又は職務の遂行に支障が生じるおそれがあるため断ったにもかかわらず、強行に脅迫的言動を用いて、又は不快感を生じせしめるほど執拗に、面談を強要し、又は営業を行う行為
(7) 粗野な又は乱暴な言動により他人に嫌悪の情を抱かせる行為を用いて要望、提案等を行う行為
(8) 庁舎等の施設の保全若しくは秩序の維持又は本市事務事業の適正な遂行に支障を生じさせる行為を用いて要望、提案等を行う行為
(9) 前各号に定めるもののほか、職員等の公正な職務の遂行を妨げる行為を用いて要望、提案等を行う行為
(記録の例外)
第33条 市の機関は、要望、提案等が次に掲げる場合は、前条第1項第1号の規定にかかわらず、当該要望、提案等を記録しないことができる。
(1) 公式又は公開の場における要望、提案等であって、議事録等に記録される場合
(2) 要望、提案等の内容が単に事実、手続等に関する問い合わせ、苦情、意見等にすぎないことが明白であると認める場合
(3) 職員の職務について一定の作為又は不作為を求めるものでない場合
(4) 営業その他社会通念上日常的な活動である場合
(5) 要望、提案等(第2号に該当するものを除く。)を受けた場において当該要望、提案等に係る用件が終了し、改めて対応する必要がない場合
2 前項の規定は、同項第1号及び第2号に掲げる場合を除き、公職者(衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又はこれらの者の秘書その他これらの者の活動を補佐する者をいう。第49条第1項において同じ。)からの要望、提案等には、適用しない。
(確認機会の付与)
第34条 要望者は、第32条第1項第1号の規定による記録の内容について、市の機関に対して確認を求めることができる。この場合において、市の機関は、速やかに要望者に対して当該記録を提示するとともに、確認の結果、必要があると認めるときは、当該記録の修正その他必要な措置を講ずるものとする。
(要望、提案等の管理及び公表)
第35条 市の機関は、要望、提案等を規則で定めるところにより管理するとともに、要望、提案等の概要及びこれに対する対応の方針等の概要を公表するものとする。ただし、公表することにより要望者その他関係人の競争上の地位その他正当な権利を害するおそれがある場合は、公表しないことができる。
2 前項の規定による公表に当たっては、氏名、住所その他の要望者が特定されるおそれのある情報は、公表しないものとする。
3 第25条の規定は、第1項本文の規定による公表について準用する。
(要望提案等審査会)
第36条 市の機関が受けた要望、提案等が不当要求行為に該当するかどうかを審査させるため、要望提案等審査会(以下この節において「審査会」という。)を置く。
2 審査会の委員は、職員及び学識経験のある者のうちから市長が任命する。
3 前2項に定めるもののほか、審査会について必要な事項は、規則で定める。
(審査結果に対する対応)
第37条 市の機関は、審査会が要望、提案等が不当要求行為であると認めたときは第32条第1項ただし書の規定に定めるところにより、不当要求行為でないと認めたときは第35条に定めるところにより、当該要望、提案等を処理するものとする。
第2節 不当要求行為への対応
(不当要求行為への措置等)
第38条 市の機関は、不当要求行為があった場合は、市民に信頼される公正な職務の遂行及び職員の安全の確保を図るため、複数の職員により、組織的に毅然とした態度で対応しなければならない。
2 市の機関は、不当要求行為があった場合は、不当要求行為の内容を記録するとともに、不当要求行為を行った者(以下この節において「不当要求行為者」という。)に対し、口頭又は書面により注意し、又は警告し、不当要求に応じることができない旨を回答しなければならない。
3 前項の規定による回答を行ったにもかかわらず、不当要求行為者が不当要求行為を中止しない場合は、退去を命じ、又は警察に通報しなければならない。
4 市の機関は、前項に規定する措置を行った場合において、不当要求行為者が不当要求行為を中止しないときは、告訴、告発、仮処分命令の申立てその他当該不当要求行為を排除するために必要な法的措置を講じなければならない。
5 市の機関は、第3項に規定する措置又は前項に規定する法的措置を行った場合は、不当要求行為者の氏名、不当要求行為の内容及び不当要求行為者に行った措置の内容を公表することができる。
6 市の機関は、前項の規定による公表を行おうとするときは、明石市個人情報保護条例第4章に定める個人情報保護審査会の意見を聴かなければならない。
7 市の機関は、不当要求行為者が本市の競争入札の参加資格業者であるときは、前2項の規定にかかわらず別に定めるところにより指名停止その他必要な措置を講ずるものとする。
(不当要求行為対策委員会)
第39条 市における不当要求行為を防止するとともに、不当要求行為に対して市の機関を通じての統一的な対応方針を定め、組織的かつ適切な対策を講ずるため、明石市不当要求行為対策委員会(以下この条において「対策委員会」という。)を置く。
2 対策委員会の委員は、職員及び学識経験のある者のうちから市長が任命する。
3 前2項に定めるもののほか、対策委員会について必要な事項は、規則で定める。
(職員への配慮)
第40条 市の機関は、職員が第38条第2項から第5項まで及び第7項に規定する措置を行ったことにより、不利益な取扱いを受けることがないよう必要な配慮を行わなければならない。
2 市の機関は、職員がその正当な職務行為に起因して、不当要求行為者その他の者から不当な権利侵害を受けることがないよう配慮し、及び職員が不当な権利侵害を受けた場合は、当該職員に対し、援助、保護その他の必要な措置を講ずるものとする。
(出資団体等の責務)
第41条 出資団体等は、第38条から前条までの規定に準じて、不当要求行為に対し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 市長は、出資団体等に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
第5章 行政オンブズマン
(行政オンブズマンの設置)
第42条 市民の市政に関する苦情を公正かつ中立的な立場で簡易迅速に処理し、並びに行政の非違の是正等の勧告及び制度の改善を求めるための意見を表明することにより、市民の権利利益の擁護を図り、もって開かれた市政のより一層の進展と市政に対する市民の信頼の向上に資することを目的として、本市に行政オンブズマンを置く。
(オンブズマンの所管事項)
第43条 行政オンブズマン(以下「オンブズマン」という。)の所管する事項は、市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為(以下この章において「市の業務」という。)であって、次に掲げる事項に該当しないものとする。
(1) 訴訟手続その他の裁判所における手続、刑事事件その他犯則事件に関する法令の規定に基づく手続又は行政上の不服申立ての手続その他の紛争処理制度において既に審理が行われ、又は現に行われている事項
(2) 監査委員が請求に基づき既に監査を実施し、又は現に監査を実施している事項
(3) 議会に関する事項
(4) 職員の自己の勤務内容及び身分等に関する事項
(5) オンブズマンの行為に関する事項
(オンブズマンの職務)
第44条 オンブズマンの職務は、次のとおりとする。
(1) 市の業務に関する苦情の申立てを受け付け、簡易迅速に処理すること。
(2) 前号の苦情の申立てを端緒として、自己の発意に基づき市の業務に関する事案を取り上げて調査すること。
(3) 第1号の規定により受け付けた苦情又は前号の規定により取り上げた事案(以下この章において「苦情等」という。)について、市の機関に対し非違の是正又は改善のため必要な措置(以下この章において「是正等の措置」という。)を講ずるよう勧告すること。
(4) 苦情等の原因が制度そのものに起因すると認める場合において、当該制度の改善を求めるための意見を表明すること。
(5) 第3号の規定による勧告又は前号の規定による意見の表明の内容を公表すること。
(オンブズマンの責務)
第45条 オンブズマンは、市民の権利利益を擁護するため、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
2 オンブズマンは、その職務の遂行に当たっては、市の機関との連携を図り、相互の職務の円滑な遂行に努めなければならない。
3 オンブズマンは、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
(市の機関の協力)
第46条 市の機関は、オンブズマンの職務の遂行に関し、その独立の立場を尊重しなければならない。
2 市の機関は、オンブズマンの職務の遂行に関し、積極的に協力し、援助するよう努めなければならない。
(市民等の協力)
第47条 市民その他オンブズマンに関する制度を利用する者は、第42条に規定するオンブズマンの設置の目的を達成するため、オンブズマンに関する制度の適正かつ円滑な運営に協力しなければならない。
(オンブズマンの組織等)
第48条 オンブズマンの定数は、2人とし、そのうち1人を代表オンブズマンとする。
2 オンブズマンは、人格が高潔で社会的信望が有り、かつ、地方行政に関し優れた識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
3 オンブズマンの任期は、2年とし、再任されることができる。
4 オンブズマンは、それぞれ独立して職務を行う。ただし、相互に協力することを妨げない。
(兼職等の禁止)
第49条 オンブズマンは、公職者又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。
2 オンブズマンは、本市と特別な利害関係にある企業その他の団体の役員と兼ねることができない。
(オンブズマンの守秘義務)
第50条 第9条第1項の規定は、オンブズマンの守秘義務について準用する。
(解嘱)
第51条 市長は、オンブズマンが心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は職務上の義務違反その他オンブズマンとしてふさわしくない行為があると認めるときは、解嘱することができる。
2 オンブズマンは、前項に規定する場合を除いては、在任中、その意に反して解嘱されることがない。
(オンブズマン会議)
第52条 次に掲げる事項を協議するため、オンブズマン会議を設ける。
(1) オンブズマンの職務執行の方針に関すること。
(2) オンブズマンの活動状況の報告に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、オンブズマンの協議により必要と認める事項
2 オンブズマン会議は、代表オンブズマンが招集する。
3 前2項に定めるもののほか、オンブズマン会議の運営に関し必要な事項は、代表オンブズマンがオンブズマン会議に諮って定める。
(苦情の申立て)
第53条 何人も、オンブズマンに対し、市の業務について苦情を申し立てることができる。
2 前項の規定による苦情の申立て(以下この章において「苦情申立て」という。)は、次に掲げる事項を記載した苦情申立書により行わなければならない。ただし、オンブズマンが苦情申立書によることができない特別の理由があると認めるときは、この限りでない。
(1) 苦情申立てをしようとするものの氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、名称、事務所又は事業所の所在地及び代表者の氏名)
(2) 苦情申立ての趣旨及び理由並びに原因となった事実のあった年月日
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が別に定める事項
3 苦情申立ては、代理人により行うことができる。
(調査対象外事項)
第54条 オンブズマンは、苦情申立てが次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該苦情申立てに係る苦情について調査しない。
(1) オンブズマンの所管する事項でないとき。
(2) 苦情申立てをした者(以下この章において「苦情申立人」という。)が、苦情申立ての原因となった事実について利害を有しないとき。
(3) 苦情の内容が、苦情申立ての原因となった事実のあった日から1年を経過しているとき。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
(4) 苦情の内容が虚偽であるものその他オンブズマンの設置の目的に照らして不適切なものであると認めるとき。
(5) 前各号に掲げるもののほか、調査することが相当でない特別な事情があると認めるとき。
2 オンブズマンは、前項の規定により調査しないときは、苦情申立人に対し、理由を付してその旨を速やかに通知しなければならない。
(調査の通知等)
第55条 オンブズマンは、苦情等について調査を行うに当たっては、あらかじめ、関係する市の機関に対し、その旨を通知しなければならない。
2 オンブズマンは、苦情等の調査を開始した後においても、その必要がないと認めるときは、調査を中止することができる。
3 オンブズマンは、前項の規定により苦情等の調査を中止したときは、当該苦情等が、申立てに係るものである場合にあっては理由を付してその旨を苦情申立人及び第1項の規定により通知した市の機関に、自己の発意に基づくものである場合にあっては同項の規定により通知した市の機関に速やかに通知しなければならない。
(オンブズマンによる調査の方法等)
第56条 第16条第2項、第17条及び第18条(第5項を除く。)の規定は、オンブズマンによる苦情等の調査について準用する。
(出資団体等の調査への協力)
第57条 出資団体等及び指定管理者は、オンブズマンが行う苦情等の調査について、協力するよう努めるものとする。
(苦情等の調査結果の通知)
第58条 オンブズマンは、苦情等の調査を終了したとき(第55条第2項の規定に該当する場合を除く。)は、その結果を、次の各号に掲げる苦情等の区分に応じ、当該各号に掲げるものに速やかに通知しなければならない。
(1) 苦情申立てに係る苦情 苦情申立人及び第55条第1項の規定により通知した市の機関
(2) 自己の発意に基づき取り上げた事案 第55条第1項の規定により通知した市の機関
(勧告及び意見表明)
第59条 オンブズマンは、苦情等の調査の結果、必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し是正等の措置を講ずるよう勧告することができる。
2 オンブズマンは、苦情等の調査の結果、その原因が制度そのものに起因すると認めるときは、関係する市の機関に対し当該制度の改善を求めるための意見の表明をすることができる。
3 オンブズマンは、苦情申立てに係る苦情について第1項の規定により勧告し、又は前項の規定により意見の表明をしたときは、苦情申立人に対し、その旨を速やかに通知しなければならない。
(勧告及び意見表明の尊重)
第60条 前条第1項の規定による勧告又は同条第2項の規定による意見の表明を受けた市の機関は、これを尊重しなければならない。
(オンブズマンへの報告等)
第61条 オンブズマンは、第59条第1項の規定による勧告又は同条第2項の規定による意見の表明をしたときは、当該勧告又は意見の表明をした市の機関に対し、その是正等の措置又は制度の改善の状況について報告を求めるものとする。
2 前項の報告を求められた市の機関は、当該報告を求められた日の翌日から起算して60日以内に、オンブズマンに対し是正等の措置又は制度の改善の状況について報告するものとする。この場合において、是正等の措置又は制度の改善を講ずることができない特別の理由があるときは、理由を付してオンブズマンに報告しなければならない。
3 オンブズマンは、苦情申立てに係る苦情について前項の規定による報告があったときは、苦情申立人に対し、その旨を速やかに通知しなければならない。
(勧告等の内容の公表)
第62条 オンブズマンは、第59条第1項の規定による勧告若しくは同条第2項の規定による意見の表明をしたとき又は前条第2項の規定による報告があったときは、その内容を公表するものとする。
2 第25条の規定は、前項の規定による公表について準用する。
(事務局)
第63条 オンブズマンに関する事務を処理させるため、規則で定めるところにより事務局を置く。
(オンブズマンの活動状況の報告)
第64条 オンブズマンは、毎年、規則で定めるところによりその活動状況について市長及び議会に報告するとともに、これを公表するものとする。

第6章 外部公益通報
(外部公益通報に係る市の機関の措置等)
第65条 市の機関は、外部公益通報があった場合は、公益通報者保護法第10条第1項の規定により必要な調査を行い、通報対象事実があると認めるときは、同項の規定による措置を講じなければならない。
2 前項に規定する場合において、当該外部公益通報に係る通報対象事実について、市の機関が公益通報者保護法第11条に規定する処分又は勧告等をする権限を有しない行政機関であるときは、同条の規定による教示をしなければならない。
3 市の機関は、第1項の規定による調査及び措置並びに前項の規定による教示をするための手続きその他必要な事項を定めるものとする。
4 第16条第2項の規定は、第1項の規定による調査について準用する。
第7章 雑則
(運用上の注意)
第66条 この条例の運用に当たっては、市の機関は、関係者の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(運用状況の報告)
第67条 第5章に規定するものを除き、市の機関は、規則で定めるところにより、毎年、市長に対し、前年度における職員等からの内部公益通報の件数その他この条例の運用状況に関する事項を報告するものとする。
(運用状況の公表)
第68条 市長は、毎年、前条の規定による報告をとりまとめて、規則で定めるところにより、その概要を議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
(規則への委任)
第69条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 第3章の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後にされた内部公益通報について適用する。
3 第5章の規定は、施行日の1年前の日以後にあった事実に係る苦情について適用し、当該1年前の日前にあった事実に係る苦情については、適用しない。
4 第6章の規定は、施行日以後にされた外部公益通報について適用する。
(最初に契約する公益監察契約の期間)
5 この条例の施行後最初に契約する公益監察契約の期間は、第7条第4項の規定にかかわらず1人は2年、1人は3年とする。
(準備行為)
6 市の機関は、施行日前においても、この条例の施行に必要な準備行為をすることができる。
附 則(平成24年12月27日条例第33号)
この条例は、公布の日から施行する。