条例

長浜市自治基本条例

自治体データ

自治体名 長浜市 自治体コード 25203
都道府県名 滋賀県 都道府県コード 00025
人口(2015年国勢調査) 113,636人

条例データ

条例本文

長浜市市民自治基本条例

平成23年3月22日条例第1号

長浜市市民自治基本条例

目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 まちづくりの原則(第3条・第4条)
第3章 まちづくりの担い手(第5条-第9条)
第4章 開かれた市政(第10条-第12条)
第5章 公平な市政(第13条-第18条)
第6章 みんなでつくる市政(第19条-第23条)
第7章 協働のまちづくり(第24条-第26条)
第8章 他の機関等との関係(第27条)
第9章 条例の位置付け及び見直し(第28条・第29条)
附則

わたしたちのまち長浜市は、琵琶湖の東北部に位置し、注ぎこむ多くの清流と、伊吹山系をはじめとする美しい山々に囲まれた、里山・田園の広がる自然環境豊かなまちです。また、いにしえの時代から湖上・陸上交通の要衝、情報の交流点として発展し、いくつもの文化圏の接点であったことから、個性的で多彩な地域文化を育んできました。
また、町衆に代表されるような進取の気性に富んだ創造の担い手や、結いに代表されるような相互扶助の精神による自治の取組が古くから行われてきました。こうした自治の心は今もそれぞれの地域の中に息づいており、長浜らしさとして今日まで受け継がれてきています。
いま、わたしたちを取り巻く情勢は地方分権の進展や社会環境の変化に伴い、近年大きく変化してきています。さらには、わたしたちのまちは様々な歴史や文化を持つ広い地域であり、今後はそれぞれの地域特有の伝統や活動を尊重しつつ一体感のある市政運営が求められています。
そうしたことから、まちづくりの推進に当たっては、市民や市議会、市などの担い手の役割を明確にし、自分たちのことは自分たちが決め自分たちで取り組んでいくという、協働による自治の基本ルールを確立する必要があります。
このような認識のもとに、わたしたちは、この地域の人々が築き上げてきた多様な地域資源を大切にし、まちづくりの基本理念と目標を共有し、協働による公平・平等で格差のない開かれたまちづくりをすすめるため、ここに長浜市市民自治基本条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市におけるまちづくりの基本理念を明らかにするとともに、市民、市議会及び市の果たすべき役割と市政運営の仕組みを定めることにより、協働による自治を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住、勤務、就学する者及び市内に事務所又は事業所を置く事業者並びに本市のまちづくりに関係のある団体
(2) 市 市の執行機関
(3) まちづくり 市民一人ひとりが生涯にわたって生き生きと活躍でき安全で安心して暮らせる社会を実現するための公共的な活動
(4) 協働 市民及び市又は市民相互がその役割分担に基づき、相互補完的に対等な立場で協力して行動すること。
(5) コミュニティ 市民一人ひとりが自ら豊かな暮らしをつくることを目的として自主的に結ばれた組織及び集団
第2章 まちづくりの原則
(まちづくりの基本理念)
第3条 まちづくりの主体は市民であり、市民及び市は協働して次に掲げるまちづくりの推進に努めるものとする。
(1) 市民及び市が、合意形成を図るために必要な情報を相互に共有できるわかりやすく開かれたまちづくり
(2) すべての市民の人権が保障され、それぞれの個性又は能力が活かされる公平・平等で格差のないまちづくり
(3) 市民の自主的・主体的な参画が保障されるとともに、市民及び市が相互の役割を尊重し、みんなで協働して取り組むまちづくり
(情報共有の原則)
第4条 市民及び市は、相互に地域活動を重ねながら、まちづくりに関する情報共有を推進するものとする。
2 市は、まちづくりに関する意思形成過程を明らかにすることにより、まちづくりの内容が市民に理解されるよう努めるものとする。
第3章 まちづくりの担い手
(市民の権利及び責務)
第5条 市民は、まちづくりに参画する権利及びまちづくりに関して必要な地域学習を選択して学ぶ権利を有する。
2 市民は、まちづくりに関して自らの責任及び役割を自覚し、その活動において自らの発言及び行動に責任を持つよう努めるものとする。
3 市民は、自己責任のもと自ら解決できる問題は自ら解決するよう努めるものとする。
4 事業者は、本市において受け継がれてきた自治の精神を尊重し、まちづくりにおける参画及び人材の育成に努めるとともに、その活動の発展及び促進に寄与するよう努めるものとする。
(市議会の役割)
第6条 市議会は、市民の意思が市政に反映されるよう市の監視機能の向上に努めるものとする。
2 市議会は、市民と意見交換を十分に行い、議会活動を活発に行えるよう努めるものとする。
3 市議会は、議会活動に関する情報を市民にわかりやすく説明するとともに、情報公開の求めに応えるものとする。
4 市議会の議員は、市民の代表者として議事に参加し、審議能力及び政策提案能力の向上に努めるものとする。
(市の役割及び責務)
第7条 市は、まちづくりを推進するため、必要な施策を講じるものとする。
2 市は、市民の自主的・主体的なまちづくりを促進し、協働してまちづくりを推進するものとする。
3 市は、地域におけるコミュニティの役割を認識し、その活動を促進し、協働してまちづくりを推進するものとする。
(市長の役割及び責務)
第8条 市長は、市民生活の安全を守り、民主的かつ能率的で公平な市政運営を図るよう努めるものとする。
2 市長は、市民がまちづくりに参画できる機会を提供するよう努めるものとする。
3 市長は、市民の意見等を積極的に聴く機会を設けるよう努めるものとする。
4 市長は、多様化する市民の行政需要に対応し、協働のまちづくりを推進するため、市民との協働に必要な能力を備えた職員の養成に努めるものとする。
(職員の役割及び責務)
第9条 市の職員は、まちづくりの専門スタッフとして誠実かつ効率的に職務を遂行するよう努めるものとする。
2 市の職員は、自らも地域の一員であることを認識し、地域の課題把握に努め、市民と連携しまちづくりに自ら積極的に取り組むものとする。
3 市の職員は、まちづくりに必要な能力開発及び自己啓発に努めるものとする。
第4章 開かれた市政
(情報公開の原則)
第10条 市は、まちづくりに関する情報を市民にわかりやすく公開するものとする。
2 市は、別に条例で定めるところにより、市民に対し市の保有する情報を積極的に公開することにより、市民の知る権利を保障し、必要な情報を速やかに提供できるよう努めるものとする。
(会議公開の原則)
第11条 市は、附属機関等の会議を公開するものとする。ただし、法令に定めのあるもの又は別に定めるところにより公開することが適当でないと認められるときは、公開を制限することができる。
(個人情報の保護)
第12条 市は、別に条例で定めるところにより、個人情報の収集、利用、提供、管理等について個人の権利及び利益が侵害されることのないよう必要な措置を講じるものとする。
第5章 公平な市政
(市政運営の原則)
第13条 市は、個性的で持続可能な地域社会を実現するため、地域資源を最大限活用し、常に最小の費用で最大の効果をあげるよう努めるものとする。
2 市は、総合的な市政運営の指針として、基本構想の理念に基づき、健全な財政の運営及び計画的な事業の実施に努めるものとする。
(市の組織及び体制)
第14条 市は、多様化する行政需要に迅速かつ的確に対応できる組織づくりを行うとともに、行政各分野における課題等に総合的に対応できる体制を整えることに努めるものとする。
(総合計画等に基づく市政運営)
第15条 総合的かつ計画的に市の業務を行うための基本構想及びこれを具体化するための計画は、この条例の目的に沿って策定及び実施されるとともに、新たな行政需要に対応するため、市民参画のもと柔軟に不断の検討を加えるものとする。
2 市は、次に掲げる計画を策定するときは、基本構想と整合した計画相互間の体系化に努めるものとする。
(1) 法令又は条例に規定する計画
(2) 国又は他の地方公共団体と関連する計画
3 市は、前項各号の計画に次に掲げる事項を明示するとともに、その計画の実施に当たっては、これらの事項に配慮した進行管理に努めるものとする。
(1) 計画目標及びこれを達成するための業務の内容
(2) 前号の業務に要すると見込まれる費用及び期間
(財政運営の基本事項)
第16条 市は、基本構想及びこれを具体化するための計画を踏まえるとともに、経済状況に柔軟に対応できる財政運営を図るものとする。
2 市は、毎年度予算成立後、施策の予定及び進行状況が明らかになるように予算の執行計画を定め、十分な情報の提供に努めるものとする。
3 市は、決算に関する書類を作成するときは、これらの書類が施策の評価に役立つものとなるよう配慮するものとする。
4 市は、一般会計その他特別会計の財政状況及び経営状況の公表に当たっては、市民にわかりやすい方法で行うよう努めるものとする。
(評価の実施)
第17条 市は、まちづくりをすすめるに当たっては、基本構想その他の計画に基づく施策を実施し、その結果について評価し改善を図るというサイクルに基づき遂行することにより、能率的かつ効率的な市政運営に努めるものとする。
(説明責任)
第18条 市は、市の業務の企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果及び手続を市民に明らかにし、説明するよう努めるものとする。
2 市は、行政手続に関し別に条例で定めるところにより、市政運営における公正の確保及び透明性の向上を図り、市民の権利利益の保護に努めるものとする。
第6章 みんなでつくる市政
(まちづくりへの参画)
第19条 市は、まちづくりの過程において、計画、実施及び評価の各段階に市民の参画が図られるよう努めるものとする。
2 市は、まちづくりにおける地域課題の解決のために、NPO、コミュニティ、大学等との協働を推進するよう努めるものとする。
(審議会等への参画)
第20条 市は、市政の重要な事項に対し、市民と協働して対処するため、審議会等の附属機関等を設けることができる。
2 市は、附属機関等の委員を任命しようとするときは、条例等で定める特別な場合を除き、定数の一部に公募による委員を含めるよう努めるとともに、性別、年齢構成、他の附属機関等の兼職状況等に配慮するものとする。
(各種計画策定への参画)
第21条 市は、まちづくりを計画的に実施し、市民の参画を推進するため、基本構想をはじめ施策に関する重要な計画等を策定するときは、次に掲げる事項を行うものとする。
(1) 計画等策定に関する情報を事前に公表すること。
(2) 市民が計画等の策定に参画できるよう、多様な方法を工夫すること。
(3) 計画等の計画案及び策定中の経過を公表し、市民の意見を聴くこと。
(4) 市民から寄せられた意見の対応について、市民に説明すること。
(市民意見等の募集及び反映)
第22条 市は、重要な計画及び政策の策定並びに条例の制定改廃に際し、パブリックコメント制度等を活用し、広く市民の意見を聴くものとする。
2 市は、前項の規定により市民の意見を聴こうとするときは、別に定めるところにより、事前に必要な事項について公表するものとする。
3 市は、第1項の規定により提出された意見等について総合的に検討し、その適切な反映に努めるとともに、検討結果を公表するものとする。
(住民投票)
第23条 市長は、市政及び市の将来にかかわる最重要項目について、広く市民の意思を確認する必要があると認めるときは、住民投票を実施することができる。
2 住民投票の投票資格要件その他住民投票の実施に必要な事項は、別に条例で定める。
3 市民、市議会及び市は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
第7章 協働のまちづくり
(コミュニティ)
第24条 市民は、この条例の目的を達成するために、その活動内容に応じた多様なまちづくりを行う組織をつくることができる。
2 市民及び市は、自治会その他のコミュニティの役割を認識し、その活動を拡充し、又は活発にしていくための学習機会の確保に努めるものとする。
3 市民は、地域のなかで安心して暮らし続けることができるよう、自主的に自治会その他のコミュニティの活動に参画し、相互に助け合い、協働して行動するものとする。
4 市は、自治会その他のコミュニティの活動を促進するために必要な支援を行うものとする。
(地域づくり協議会)
第25条 市民は、地域の様々な課題の解決に向けて、市民自らが継続的に取り組み、それぞれの特徴を活かした地域をつくるため、地域づくり協議会を設置するものとする。
2 地域づくり協議会は、地域課題の解決のほか市民にかかわる公共的な活動を担い、様々な主体が行う活動について連携しながら、より効率的、効果的に実施できるよう調整する役割を担うものとする。
3 地域づくり協議会は、当該地域の市民に開かれたものとし、市その他の組織と連携しながら地域における自治をすすめるものとする。
4 市は、地域づくり協議会の活動に対して必要な支援を行うものとする。
5 市は、地域づくり協議会との協働により、事務事業の一部を当該協議会に委ねることができる。この場合において、市は、その実施にかかる経費等について必要な措置を講じるものとする。
6 市は、地域づくり協議会の活動その他必要な事項について、別に指針で定める。
(多文化共生)
第26条 市民及び市は、世界の人々と相互に理解を深め、多様な文化が共生し、平和に共存することができるまちづくりの推進に努めるものとする。
2 市は、市民が多様な文化及び価値観を相互に理解し、尊重することにより、あらゆる人が地域の一員として共生できる環境の整備に努めるものとする。
第8章 他の機関等との関係
(国、他の地方公共団体等との関係)
第27条 市は、国、他の地方公共団体その他関係機関との間において、相互に協力して適切な関係の構築に努めるとともに、共通する地域課題の解決のため、積極的に連携するよう努めるものとする。
第9章 条例の位置付け及び見直し
(条例の位置付け)
第28条 この条例は、本市の自治における基本となるものであり、市民、市議会及び市は、まちづくりの推進に当たっては、この条例に定める事項を最大限尊重するよう努めるものとする。
2 市は、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図るものとする。
(条例の見直し)
第29条 市は、まちづくりの推進状況及び社会状況の変化等に照らし、この条例及びまちづくりの諸制度について見直す等必要な措置を講じるものとする。
2 前項の場合において、市は市民の意見を適切に反映するよう努めるものとする。

附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。