岩倉市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 岩倉市 | 自治体コード | 23228 |
都道府県名 | 愛知県 | 都道府県コード | 00023 |
人口(2015年国勢調査) | 47,983人 |
条例データ
制定年 | 2012年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.iwakura.aichi.jp/category/5-4-12-1-0.html |
条例本文
○岩倉市自治基本条例
平成24年12月25日条例第31号
岩倉市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条~第4条)
第2章 市政の主体(第5条~第9条)
第3章 協働の仕組み(第10条~第13条)
第4章 市政の運営(第14条~第24条)
第5章 条例の実効性の確保(第25条)
附則
わたしたちのまち岩倉は、まちの中央を流れる五条川とその桜並木、また郊外に広がる農地をはじめとして、身近な自然が感じられるまちです。
由来、人々は、縄文の時代からこの地で生活を営み、活気ある歴史や文化をつくりあげてきました。
わたしたちは、それらの自然や文化を享受し、交通の利便性が高くコンパクトな生活都市の利点が生かされたこのまちを愛しています。
今日、地方分権や少子高齢化の時代を迎えて、直面する様々な地域課題を解決していくため、岩倉らしい自治のあり方の確立が求められています。
そのために、市民は役割と責任を自覚し、議会と執行機関は市民からの信託に応え、ともに協働のまちづくりを進めていかなければなりません。
未来、幸せな地域社会が築かれているためには、何を守り、何を育み、何を創造していかなければならないのでしょうか。
わたしたちは、小さなまちから大きな夢を抱きながら、自治の普遍的な基本原則を分かち合うため、ここに岩倉市自治基本条例を定めます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、岩倉市における自治の基本原則を定め、市民、議会及び執行機関の責務等を明らかにし、協働によるまちづくりを推進することによって、市民を主体とした自治の実現を図ることを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、岩倉市が定める最高規範であり、市民、議会及び執行機関は、自治を推進するに当たっては、この条例を遵守するものとします。
2 議会及び執行機関は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例に定める事項を遵守しなければなりません。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによります。
(1) 市民 市内に居住する者、市内に通勤又は通学する者、市内で事業又は活動を行う個人又は団体をいいます。
(2) 執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) 市 市民、議会及び執行機関によって構成され、それぞれの役割と責務の下、総合的に行政を行う地方自治体をいいます。
(4) 市政 市が行う政治及び行政をいいます。
(5) 協働 市民、議会及び執行機関が、主体的・自発的に共通の目的を達成するために、相互の立場、特性等を認め合い、尊重しながら、それぞれが役割と責任を持って、その特性、能力等を発揮しつつ、共に考え、行動することです。
(6) まちづくり 市民が幸せに暮らしていけるよう、魅力的なまちにしていくための活動及び事業をいいます。
(7) 地域団体 行政区、子ども会、老人クラブ、婦人会など、地域で生活することを縁とし、地域での生活場面を通してつながりを持って活動を行っている組織をいいます。
(8) 市民活動団体 特定のテーマに対する共感によってつながりを持つ非営利団体をいいます。
(9) 市民自治活動 市民が自主的に行うまちづくりのための多様な公益的活動をいいます。
(自治の基本原則)
第4条 岩倉市における自治の基本となる原則は、次のとおりとします。
(1) 市民主体の原則 市民は、自治の担い手として、それぞれの個性、能力等を発揮し、自覚と責任を持って市民主体のまちづくりを推進します。
(2) 情報共有の原則 市民、議会及び執行機関は、まちづくりに関する情報を互いに提供し、共有します。
(3) 協働の原則 市民、議会及び執行機関は、協働してまちづくりを推進します。
(4) 信頼の原則 市民、議会及び執行機関は、互いに尊重し合い、常に信頼関係を築くための努力をします。
(5) 信託による市政の原則 議会及び執行機関は、市民の意思を尊重し、市民からの信託に基づき市政を行います。
第2章 市政の主体
(市民の権利)
第5条 市民は、市政及びまちづくりに等しく参加する権利を有します。
2 市民は、議会及び執行機関が保有する情報について知る権利を有します。
3 市民は、議会及び執行機関が提供するサービス(以下「行政サービス」といいます。)を等しく受けることができます。
(市民の役割と責務)
第6条 市民は、自治の担い手であることを自覚し、互いを尊重し、協力して、まちづくりを推進するよう努めるものとします。
2 市民は、市政及びまちづくりに参加するに当たっては、自らの発言と行動に責任を持ち、公共の福祉に反しないようにするとともに、次世代及び市の将来に配慮するものとします。
3 市民は、行政サービスその他行政の執行に対して応分の負担をするものとします。
(議会及び議員の役割と責務)
第7条 議会は、市民の信託を受けた議員によって構成される唯一の議決機関として、地域の課題及び市民の多様な意見を踏まえ、より良い市民生活、市民福祉及び市政の発展をめざして、政策を立案する機能及び執行機関を監視する機能を十分に発揮するよう努めなければなりません。
2 議員は、選挙で選ばれた市民の代表としての自覚と責任の下、絶え間ない自己研鑽さんにより資質能力の向上に努め、市民からの信託に応える公平・公正・透明な開かれた議会運営に努めなければなりません。
3 その他、議会及び議員の基本理念及び基本的事項については、別に条例で定めるものとします。
(市長の役割と責務)
第8条 市長は、市の代表者として、公正かつ誠実に市政を運営しなければなりません。
2 市長は、第4条に規定する自治の基本原則に基づき、まちづくりを推進し、市民からの信託に応えなければなりません。
3 市長は、市民の夢を育て、実現する存在でなければなりません。
(職員の役割と責務)
第9条 職員は、市民のために、公正かつ誠実に職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、市民の意見の把握及び情報収集に努めるとともに、積極的に協働のまちづくりを推進しなければなりません。
3 職員は、職務の遂行に必要な知識、技能等の向上に努めなければなりません。
第3章 協働の仕組み
(市民参加と協働)
第10条 議会及び執行機関は、市民の市政及びまちづくりへの参加を推進するため、政策等の立案・実施・評価のそれぞれの過程において多様な参加の機会を設けるとともに、参加しやすい環境の整備に努めるものとします。
2 議会及び執行機関は、市民参加により得られた提案又は意見を市政及びまちづくりに反映させるよう努めるものとします。
3 市民、議会及び執行機関は、市政及びまちづくりに当たり、お互いの役割と責務の下に、対等な立場で連携し、協力するとともに、協働のための環境づくりに努めるものとします。
4 前各項に定めるもののほか、市民参加と協働に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。
(市民自治活動)
第11条 市民は、それぞれの地域における地域団体による活動を通じて、市民自治活動の推進に努めるものとします。
2 市民は、市民活動団体による活動を通じ、それぞれの役割の下で、自らできることを考え、行動し、市民自治活動の推進に努めるものとします。
3 市民は、自治の担い手であることを自覚するとともに、地域団体及び市民活動団体の役割を認識し、これらを守り育てることに努めるものとします。
4 市民と議会及び執行機関は、市民が第1項及び第2項の活動を通じて地域課題を解決しようとする場合には、互いに補完し合うものとします。
5 地域団体及び市民活動団体は、市民自治活動を推進するために、団体相互の連携及び協働に努めるものとします。
6 議会及び執行機関は、市民自治活動の自主性及び自立性を尊重し、その活動を支援するものとします。
(住民投票)
第12条 市長は、市政に関する重要な事項について、住民の意思を市政に反映するため、住民投票を実施することができます。
2 住民投票に付すべき事項、投票の手続、投票の資格要件その他の住民投票の実施に必要な事項については、別に条例で定めるものとします。
3 議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
(市外の人々、国等との連携)
第13条 市民は、まちづくりを推進するため、市外の人々及び市民活動団体等と広く交流し、連携するよう努めるものとします。
2 議会及び執行機関は、共通するまちづくりの課題を解決するため、国、関係地方公共団体その他の機関等、市外の市民活動団体等と相互に連携するよう努めるものとします。
第4章 市政の運営
(執行機関の組織)
第14条 執行機関は、社会情勢の変化などに対応するため、その組織を柔軟に改めるものとします。
2 執行機関の組織は、分かりやすく、機能的かつ効率的でなければなりません。
3 執行機関は、行政サービスが低下しないよう留意するとともに、最少の人員で最大の効果が得られるよう、計画的かつ適正な定員管理に努めなければなりません。
4 執行機関は、実効性のある職員研修、適正な人事評価により、職員の能力と意欲を高め、より質の高い職員の育成に努めなければなりません。
(市民本位の市政運営)
第15条 執行機関は、市民の意向を的確にとらえ、市民本位の市政運営に努めなければなりません。
2 執行機関は、市民からの提案、意見、要望又は苦情に対しては、誠実かつ迅速に対応するものとします。
(計画的な市政運営)
第16条 市長は、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、市の最上位計画として基本構想、基本計画及び実施計画を内容とする総合計画(以下「総合計画」といいます。)を策定するものとします。
2 市長は、総合計画における基本構想及び基本計画の策定、見直し及び評価に当たっては、市民に参加の機会を保障するものとします。
3 市長は、総合計画における基本構想並びにこれに基づく基本計画の策定及び変更その他議会が必要と認め、市長が認めた計画等については、議会の議決を経なければなりません。
(情報公開と個人情報の適切な取扱い)
第17条 議会及び執行機関が保有する情報は、市民との共有物であって、積極的かつ分かりやすいかたちで公開に努めるものとします。
2 議会及び執行機関は、その保有する個人情報を適正に管理し、個人の権利及び利益を保護しなければなりません。
3 情報公開及び個人情報保護に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。
(行政手続)
第18条 執行機関は、市政の運営における公正の確保及び透明性の向上を図り、市民の権利利益を保護するために、処分、行政指導及び届出に関する手続(以下「行政手続」といいます。)を適切に行わなければなりません。
2 行政手続に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。
(法体系の構築等)
第19条 議会及び執行機関は、この条例を最高規範とした、その他の条例、規則及び規程(以下「条例等」といいます。)による法体系を構築しなければなりません。
2 市長は、次に定める条例について、制定又は改廃しようとするときは、その趣旨を公表するよう努めなければなりません。
(1) 基本的な制度を定める条例
(2) 市民に義務を課し、又は権利を制限する条例
(3) 市民生活又は事業活動に直接かつ重要な影響を与える条例
(法令等の遵守及び公益的通報)
第20条 執行機関は、市政の適正な運営のため、法令及び条例等を遵守しなければなりません。
2 執行機関は、市の事務事業に関する法令違反等についての内部の職員からの通報(以下「公益的通報」といいます。)を適切に処理する仕組みを整備するよう努めなければなりません。
3 執行機関は、公益的通報を行った職員に対し、それを理由として不利益な取扱いをしてはなりません。
4 公益的通報に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。
(財政運営等)
第21条 市長は、総合計画に基づき財政計画を定めるとともに、財源の確保並びにその効果的な配分及び効率的な活用を行い、最少の経費で最大の効果が得られるよう行財政改革に努め、健全な財政運営を行わなければなりません。
2 市長は、市民に対し、財政に関する計画及び状況を公表し、分かりやすく説明しなければなりません。
3 市長は、市の保有する財産の適正な管理及び効率的な運用をしなければなりません。
(行政評価)
第22条 執行機関は、実施した施策及び事業について、その効果、効率、目標達成度等を評価し、行政資源の効果的かつ効率的な配分に役立てるため、行政評価を実施しなければなりません。
2 執行機関は、前項の行政評価の結果を公表しなければなりません。
(危機管理及び災害等緊急時の対応)
第23条 市民は、災害等の緊急時において、自分自身を守る努力をするとともに、互いに助け合うことができるよう、災害等に対する意識を高め、自主的な防災に努めるものとします。
2 市は、災害等の緊急時には、関係機関等と連携し、速やかに状況を把握するとともに、対策を行うものとします。
3 執行機関は、市民の生命、身体、財産及び暮らしの安全を確保するため、必要な計画を策定するとともに、継続的に団体間の連携、人材の養成等に努め、危機管理体制を確立するものとします。
(地域資源の継承)
第24条 市は、市内の自然と伝統を後世に残すよう努めなければなりません。
2 市は、国及び他の自治体と連携して五条川流域の環境及び桜並木の保全に努めなければなりません。
第5章 条例の実効性の確保
(実効性の確保)
第25条 市長は、市政がこの条例に基づいて行われているかどうかを検証し、その結果を公表するとともに、協働によりその改善に努めるものとします。
2 市長は、この条例が社会情勢又は岩倉市の状況に適しているかどうかを、5年を超えない期間ごとに協働により検証し、その結果に基づいて、必要な措置を講じるものとします。
3 市長は、市長の附属機関として、この条例を検証し、市民自治によるまちづくりに関する基本的事項について審議するため、岩倉市自治基本条例審議会(以下「審議会」といいます。)を置きます。
4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定めるものとします。
附 則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。