条例

掛川市自治基本条例

自治体データ

自治体名 掛川市 自治体コード 22213
都道府県名 静岡県 都道府県コード 00022
人口(2015年国勢調査) 114,954人

条例データ

条例本文

掛川市自治基本条例

平成24年12月21日掛川市条例第29号

目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 自治の基本理念及び基本原則(第4条・第5条)
第3章 自治の主体
第1節 市民等(第6条・第7条)
第2節 市議会(第8条・第9条)
第3節 市長等及び職員(第10条・第11条)
第4章 市政運営の原則(第12条―第23条)
第5章 協働によるまちづくり(第24条―第26条)
第6章 住民投票(第27条)
第7章 広域連携及び交流(第28条)
第8章 条例の検証及び見直し(第29条)
附則

掛川市は、海と山と街道がつながる豊かな自然に恵まれた日本有数の茶産地であり、市内には旧東海道宿場町や城下町としての多くの歴史資産が残る文化の香り豊かなまちです。そして、先人の先見性や叡智を礎に、全国に先駆けた生涯学習による市民力、地域力及び文化力により発展してきました。
私たちは、この風格あるまちをさらに発展させ、次世代に引き継いでいかなければなりません。
今、市民生活を取り巻く環境が大きく変化する中で、地方都市には、市民主体の新しいまちづくりへの変革が求められています。
これからの時代、私たち市民に求められることは、自ら行動することや互いに信頼し、役立ち合うことです。これらがうまくかみ合い機能してはじめて、市民主体による協働のまちづくりが進展します。これは、市民自らの意思でまちづくりに参加し、市とともにみんなで支え合う「新しい公共社会」への発展にほかなりません。
このような流れが円滑に進み、成熟した社会になるためには、市民と市がこれまで培ってきた「報徳の精神」や「生涯学習の理念」、「自助・共助・公助の精神」を根幹に、人づくりやまちづくりのあるべき姿についての考え方を共有する必要があります。
そこで、私たち市民は、まちづくりの主体であることを認識し、市民と市が協働して、このまちを成長させながら、「希望が見えるまち・誰もが住みたくなるまち」掛川を創造することを決意し、ここに本市における市民自治によるまちづくりの最高規範として、この条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、掛川市における自治の基本理念及び基本原則を明らかにするとともに、まちづくりに関する市民等、市議会及び市長等の役割及び責務並びに市政運営及び協働によるまちづくりの基本原則を定めることにより、市民自治によるまちづくりを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民等 市内に住所を有する個人及び法人その他の団体並びに市内に通勤し、又は通学する個人及び市内においてまちづくりに関する活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(2) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(3) 参画 市の施策の立案、実施及び評価の各過程に市民等が主体的にかかわることをいう。
(4) 協働 市民等、市議会及び市長等が、それぞれの役割及び責任を自覚し、互いの自主性及び自立性を相互に尊重しながら、対等な立場で連携を図り、又は協力することをいう。
(5) まちづくり 市民等が幸せに暮らせるまちを実現するための公共的な活動の総体をいう。
(最高規範性)
第3条 市民等並びに市議会及び市長等は、まちづくりに関するすべての活動において、この条例に定める事項を最大限に尊重するものとする。
2 市議会及び市長等は、条例、規則その他の規程の制定改廃及び運用に当たっては、この条例に定める事項との整合を図るものとする。

第2章 自治の基本理念及び基本原則
(基本理念)
第4条 本市における自治は、市民等が等しく参加でき、市政運営が自主的かつ自立的になされるものでなければならない。
2 まちづくりは、掛川市生涯学習都市宣言の理念に基づき、地域の歴史及び文化的な特性を尊重して行われなければならない。
(基本原則)
第5条 本市における自治は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
(1) 情報共有の原則 市民等並びに市議会及び市長等がまちづくりに関する情報を相互に共有すること。
(2) 参画の原則 市民等の参画の下で市政が行われること。
(3) 協働の原則 協働によるまちづくりを推進すること。

第3章 自治の主体
第1節 市民等
(市民等の権利)
第6条 市民等は、まちづくりの主体であり、年齢、性別等にかかわりなく、まちづくりに参加する権利を有する。
2 市民等は、知る権利の理念に基づき、市政に関する情報の公開を請求する権利を有する。
(市民等の責務)
第7条 市民等は、まちづくりに参加するに当たっては、総合的な視点に立ち、自らの発言及び行動に責任を持つとともに、相互に意見及び行動を尊重し合うものとする。

第2節 市議会
(市議会の役割及び責務)
第8条 市議会は、市の議決機関であり、市長等に対する監視機関として、その役割を果たすとともに、機能の充実及び強化に努めるものとする。
2 市議会は、政策形成機能の充実を図るため、積極的に調査研究を行うとともに、市政に市民等の意思を適切に反映させるものとする。
3 市議会は、議会活動について積極的に市民等に情報発信するとともに、開かれた議会運営に努めるものとする。
(市議会議員の役割及び責務)
第9条 市議会議員は、市議会の役割及び責務を果たすため、総合的な視点に立ち、公正かつ誠実に職務を遂行するものとする。
2 市議会議員は、まちづくりについての自らの考えを市民等に明らかにするとともに、広く市民等の意見を聴き、政策形成及び市議会の運営に適切に反映させるよう努めるものとする。

第3節 市長等及び職員
(市長等の役割及び責務)
第10条 市長は、市の代表者として、公正かつ誠実に職務を遂行するものとする。
2 市長は、市政運営の方針を明らかにするとともに、広く市民等の意見を聴き、市政の運営に適切に反映させるものとする。
3 市長は、市政の課題に的確に対応できる専門知識及び能力を有する市の職員(以下「職員」という。)の育成を図るものとする。
4 市長等は、相互に連携を図り、一体として、市政運営に当たるものとする。
(職員の責務)
第11条 職員は、全体の奉仕者として、公正、誠実かつ能率的に職務を遂行するものとする。
2 職員は、職務の遂行に必要な知識の習得及びまちづくりを推進するために必要な能力の向上に取り組むものとする。

第4章 市政運営の原則
(市政運営の基本原則)
第12条 市長等は、総合的かつ計画的な視点に立ち、効率的で、公正かつ透明性の高い市政運営を行うものとする。
(総合計画)
第13条 市長は、総合的かつ計画的な市政運営を図るため、市議会の議決を経て基本構想を定め、総合計画を策定するものとする。
2 総合計画は、社会経済状況の変化及び新たな行政需要に対応できるよう、定期的に検討を加えるものとする。
(財政運営)
第14条 市長等は、予算の編成及び執行に当たっては、中長期的な視点に立ち、健全な財政運営に努めるものとする。
2 市長等は、その事務を処理するに当たっては、最少の経費で最大の効果を挙げるよう努めるものとする。
3 市長は、予算、決算その他財政に関する事項について、市民等に分かりやすく公表するものとする。
(行政評価)
第15条 市長等は、政策、施策及び事務事業の成果及び達成度を明らかにするとともに、行政評価を実施し、その結果を公表するものとする。
2 市長等は、行政評価の結果を政策、施策及び事務事業に適切に反映させるものとする。
3 市長等は、市民等が参画する評価の方法など、市民等の視点に立った行政評価の方法を取り入れるよう努めるものとする。
(審議会等の運営)
第16条 市長等は、審議会等の委員を選任するに当たっては、法令等に定めがある場合その他正当な理由がある場合を除き、委員の全部又は一部を公募するよう努めるものとする。
2 審議会等は、正当な理由がある場合を除き、会議を公開するものとする。
(市民等からの意見聴取)
第17条 市長等は、市の基本的な計画を決定し、又は重要な条例等を制定改廃しようとするときは、市民等から意見を聴くものとする。
(説明責任)
第18条 市長等は、市政に関する事項について、市民等に分かりやすく説明するとともに、市民等からの市政に対する質問、意見、要望等に対し、迅速かつ誠実に対応するよう努めるものとする。
(行政手続)
第19条 市長等は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導その他の行政手続に関して共通する事項を定めるものとする。
(危機管理)
第20条 市長等は、災害等から市民等の生命、身体及び財産の安全を確保するため、迅速かつ的確な対応が可能な危機管理体制を整備するとともに、市民等及び国、他の地方公共団体その他関係機関との協力、連携及び相互支援を図るものとする。
2 市民等は、日常生活においては災害等に備えるとともに、災害等の発生時においては自らの安全確保を図るとともに、相互に協力し、助け合うよう努めるものとする。
(職員通報制度)
第21条 職員は、市政の運営に関し違法又は不当な行為の事実があることを知ったときは、その事実を市長又は市長があらかじめ定めた者に通報するものとする。
2 市長等は、職員通報制度に関する体制を整備するとともに、職員が前項の規定に基づき正当な通報を行うことにより、不利益を受けることのないよう適切な措置を講ずるものとする。
(情報の公開)
第22条 市議会及び市長等は、市民等の市政についての知る権利を尊重し、別に条例で定めるところにより、市が保有する情報の公開を推進するものとする。
(個人情報の保護)
第23条 市議会及び市長等は、別に条例で定めるところにより、市が保有する個人情報を適正に取り扱うものとする。

第5章 協働によるまちづくり
(地域自治活動)
第24条 自治区(市内の一定の区域に住所を有する者(以下この項において「住民」という。)の地縁に基づいて形成された団体で公共的活動を行うものをいう。以下同じ。)は、住民による地域自治活動の根幹を担う基礎的組織として、その区域における公共的課題の解決に努めるとともに、相互に連携を図りながらまちづくりを推進するものとする。
2 地区(複数の自治区により組織される団体をいう。以下同じ。)は、まちづくりに関する計画を策定し、その区域内における公共的課題について調整を行い、解決を図るとともに、市と連携を図りながらまちづくりを総合的に推進するものとする。
(市民活動)
第25条 市民活動団体等(市内でまちづくりに関する活動を行う団体又は個人で、営利を目的とせずに活動するもの(自治区及び地区を除く。)をいう。以下同じ。)は、自主性及び自立性に基づき活動を行うとともに、広く市民等に開かれた組織体制を整備するよう努めるものとする。
(協働によるまちづくりの推進)
第26条 市長は、地域力を高めるとともに、市民等との協働によるまちづくりを推進するため、地域自治組織(自治区及び地区をいう。以下同じ。)及び市民活動団体等に対し、その自主性及び自立性を尊重しつつ、適切な支援を行うものとする。
2 市長は、まちづくりにおける課題に総合的に取り組むため、地域自治組織、市民活動団体等及び市で構成する会議を開催することができる。
3 市長等は、まちづくりに関する活動の促進を図るため、その活動を担う人材の育成に必要な環境の整備に努めるものとする。
4 前3項に定めるもののほか、協働によるまちづくりの推進に関し必要な事項は、別に条例で定める。

第6章 住民投票
(住民投票)
第27条 市長は、市政に関する特に重要な事項について、市内に住所を有する個人(以下この条において「住民」という。)の意思を確認するため、住民、市議会又は市長による発議に基づき、別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができる。
2 市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重するよう努めるものとする。

第7章 広域連携及び交流
(広域連携及び交流)
第28条 市は、まちづくりの課題の解決を図るため、必要に応じて、国及び他の地方公共団体との連携に努めるものとする。
2 市民等及び市は、国際的な視野に立ったまちづくりを推進するため、国外の都市との交流に努めるものとする。

第8章 条例の検証及び見直し
(条例の検証及び見直し)
第29条 市長は、この条例の施行の日から4年を超えない期間ごとに、この条例の運用状況について検証を行うものとする。
2 市長は、この条例の見直しの必要があると認めるときは、速やかに必要な措置を講ずるものとする。
3 市長は、前項に規定する措置を講ずるに当たっては、市民等の意見を適切に反映するための必要な措置を講ずるものとする。

附 則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。