条例

名寄市自治基本条例

自治体データ

自治体名 名寄市 自治体コード 01221
都道府県名 北海道 都道府県コード 01
人口(2015年国勢調査) 27,282人

条例データ

条例本文

○名寄市自治基本条例
平成22年3月3日
条例第1号

目次

前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 まちづくりの基本原則(第5条―第10条)
第3章 市民の権利、役割及び責務(第11条・第12条)
第4章 議会の役割及び責務(第13条・第14条)
第5章 市長等の役割及び責務(第15条―第17条)
第6章 行政運営の基本(第18条―第24条)
第7章 基本原則によるまちづくりの推進(第25条―第34条)
第8章 条例の見直し(第35条)
附則
私たちが住む名寄市は 北きた 北海道の中央に位置し、天塩川と名寄川に育まれた肥沃な大地と寒暖差の大きい気候は豊かな自然と農産物を産み、また、澄みきった大気は美しい満天の星空を私たちに贈ってくれました。そしてなによりも北国の厳しい自然は、人の優しさと智恵、共生のこころを育みました。私たち名寄市民は、先人から受けついだ宝であるこの優しさと智恵を生かして、未来を担う子や孫の世代のためにこの豊かな自然環境を守り、自然と共生するまちをつくります。また、すべての市民がいつまでも安心して心豊かに暮らせるまち、福祉と教育のまちをつくります。そして名寄市が、地球上のすべての人類の幸福と平和に寄与するまちになり、新しい時代にふさわしい地域社会の模範になることをめざします。
そのためには、私たち市民一人ひとりが地方自治の本質を理解し、まちづくりの主体は市民であることを自覚して、主体的、能動的にまちづくりに参加することが大切です。同時に、主権者である市民から信託を受けた市長及び議会は、市民の基本的人権を守るとともに、市民が持つ創造性や知識、感性を尊重し、市民と連携・協力してまちづくりを進めなければなりません。また、名寄市は、独立した自治体として、主体的にまちづくりに取り組む自主、自立の理念を持つことが必要です。
このような基本理念に基づいて私たちがまちづくりを進めるためには、市民と議会、市長等がまちづくりに必要な情報を共有すること、そして市民がまちづくりに主体的に参加できる権利と機会が制度的に保障されなければなりません。そのために、私たちはここに名寄市の最高規範としてこの条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、名寄市におけるまちづくりの基本理念及び原則を明らかにするとともに、まちづくりの基本事項を定め、また市民の権利と責務、議会及び議員並びに市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の役割と責務を明らかにすることによって、本来の地方自治の理念に 適かな った市民主体のまちづくりを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「市民」とは、市内に居住する者、市内で働き、若しくは市内の学校で学ぶ者又は市内においてその他の様々な活動を行う者若しくは団体をいう。
2 この条例において「市」とは、議会及び市長等をいう。
3 この条例において「まちづくり」とは、市政を含め、住み良いまちを実現するために行われる市民活動の全体をいう。
4 この条例において「コミュニティ」とは、町内会など市内の特定の地域に根ざし、その特性を生かしたより良い地域づくりにかかわる集団又は組織をいう。
(まちづくりの基本理念)
第3条 市民は、まちづくりについて考え、決定し、行動する権利を有する。
2 市民が主体のまちづくりをするためには、市民及び市がまちづくりに関する情報を共有し、かつ、互いに連携・協力することが不可欠である。
3 名寄市は、独立した自治体として国、北海道及び他の自治体に対して自主、自立の立場を堅持すると同時に、互いに連携・協力してまちづくりを進めるものとする。
(条例の位置づけ)
第4条 この条例は名寄市の最高規範であり、市は総合計画その他のまちづくりに関する計画の策定及び条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。
第2章 まちづくりの基本原則
(市民参加)
第5条 まちづくりは、市民の参加によって行われるものとする。
2 市は、市政に関する企画立案、実施及び評価の各段階において、市民参加を保障しなければならない。
3 市民参加においては、すべての市民は、性別、国籍、年齢、心身の状況、社会的経済的環境等の違いにかかわらず、平等な権利を有するものとする。
(子ども及び青少年のまちづくりへの参加)
第6条 子ども及び青少年は、それぞれの年齢にふさわしい形でまちづくりに参加する権利を有する。
2 市民及び市は、子ども及び青少年がまちづくりに参加できるように配慮するものとする。
(情報共有)
第7条 市民は、まちづくりに必要な情報を市から提供を受け、及び自ら取得する権利(以下「知る権利」という。)を有する。
2 市民は、まちづくりに必要な知識を得るための学習の機会及び場を確保する権利(以下「学ぶ権利」という。)を有する。
3 市は、前2項に規定する市民の権利を尊重しなければならない。
4 市は、市政に関する意思決定の過程を市民に明らかにしなければならない。
5 市は、まちづくりに関する情報を積極的かつ速やかに市民に提供し、及びわかりやすく説明する責務を負う。
6 市は、市民がまちづくりに必要な知識を得るための学習環境を整備するよう努めなければならない。
(連携・協力)
第8条 市民及び市は、それぞれの役割及び責任を分担し、相互理解のもと、連携・協力してまちづくりを進めるものとする。
(コミュニティ自治)
第9条 市民及び市は、地域の特性をふまえ、コミュニティの自主性及び自立性を尊重しなければならない。
(自主自立の市政運営)
第10条 名寄市は、国から独立した自治体として、このまちの地域的特性及び市民の利益を最重視する立場から、国に対して、まちづくりに関する正当な自らの権利を主張し、意見を表明するものとする。
第3章 市民の権利、役割及び責務
(市民の権利及び役割)
第11条 市民は、まちづくりに参加する権利、知る権利及び学ぶ権利に基づいて、自らの意思により主体的にまちづくりに参加するものとする。
2 市民は、自治の主体であることを自覚し、互いに尊重し、協力して自治を推進するものとする。
(市民の責務)
第12条 市民は、まちづくりについて考え、決定し、行動するに当たって、市民全体の福祉や次の世代への責務を考慮するとともに、自らの発言と行動に責任をもつものとする。
2 市民は、まちづくりの適切な運営のための相応の負担を引き受けるものとする。
第4章 議会の役割及び責務
(議会の役割及び責務)
第13条 議会は、直接選挙によって選ばれた議員により構成される、名寄市の意思を決定する機関として、総合的視点と展望を持って、自らの責任を果たさなければならない。
2 議会は、市長等の行政活動を監視する機関として、その役割を果たすとともに機能の充実強化に努めなければならない。
3 議会は、立法機能の強化に努め、自ら積極的に政策立案を行うよう努めるものとする。
4 議会は、住民自治によるまちづくりを推進するため、市民の意思を的確に把握し、政策の形成に反映させなければならない。
5 議会は、議会の審議や活動に関する情報を積極的に市民に公開するとともに、広く市民の声を聴く機会を設けなければならない。
(議員の役割及び責務)
第14条 議員は、市民の信託に応え、公正かつ誠実に職務を遂行するものとする。
2 議員は、まちづくりに市民の意思を反映させるとともに自らの政策形成能力を高めるため、常にまちづくりに関する情報収集及び調査研究に努めなければならない。
第5章 市長等の役割及び責務
(市長の役割及び責務)
第15条 市長は、名寄市の代表として市民の信託に応え、地方自治の理念を実現するため、公正かつ誠実に市政の運営に当たらなければならない。
(市長等の役割及び責務)
第16条 市長等は、市民への説明責任を果たすため、常にまちづくりに関する考えを市民に明らかにしなければならない。
2 市長等は、常に市民の声に耳を傾け、誠実に対応するとともに、市民の意思を的確に把握し、市政に反映させるよう努めなければならない。
3 市長その他の任命権者は、職員の適切な登用及び配置に努めるとともに、職員の能力の開発及び育成に努めなければならない。
(市職員の役割及び責務)
第17条 市職員は、市民全体の奉仕者としての自覚をもち、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市職員は、まちづくりの専門スタッフとしての自覚をもち、自らの職務上の能力の向上に努めなければならない。
3 市職員は、まちづくりにおける市民相互の連携が常に図られるよう努めなければならない。
第6章 行政運営の基本
(行政運営の原則)
第18条 市長等は、市民参加及び情報共有の理念に基づき、公正で透明性の高い、開かれた行政運営を行わなければならない。
2 市長等は、計画、財政、評価等の制度を相互に関連させ、その整合性に配慮しながら総合的かつ計画的な行政運営を行わなければならない。
3 市長等は、行政運営において、法令の解釈及び運用を適正に行わなければならない。この場合において、地方自治の基本理念に基づき、自主的に法令を解釈し、運用することを原則とする。
(総合計画等)
第19条 市は、まちの将来像を明らかにし、総合的かつ計画的な市政運営を進めるため、総合計画を策定しなければならない。
2 各分野の政策及び事業は、総合計画に根拠を置き、常に総合計画との調整を図りながら進行管理が行われなければならない。
3 市長等は、総合計画の策定に際しては、その計画に関する情報をあらかじめ市民に提供し、市民の意見を反映させるため、広く市民の参加を求めなければならない。
4 市長等は、総合計画の進行状況について、適切な形で市民に公表しなければならない。
5 総合計画は、経済的、社会的変化及び新たな行政需要に柔軟に対応できるよう、常に検討及び見直しが行われなければならない。
(財政運営)
第20条 市長等は、自立した運営を行うため、自らの判断と責任で財源を確保し、使途を決定する財政自治の原則を守るものとする。
2 市長等は、総合計画の進行状況及び行政評価の結果を踏まえて予算を編成するとともに、計画的で健全な財政運営に努めなければならない。
3 市長等は、予算の編成及び執行に当たって、その内容に関する十分な情報を市民に提供するよう努めなければならない。
(行政組織)
第21条 市の組織は、市民にわかりやすく機能的かつ効率的なものであると同時に、各部署相互の連携が保たれた柔軟なものとして編成されなければならない。
(行政評価)
第22条 市長等は、効果的かつ効率的な行政運営を進めるため、行政評価に関する制度を整備し、実施するとともに、その結果を市民に公表しなければならない。この場合において、市長等は、透明性を確保するために外部評価を取り入れるなど、市民の視点を重視しなければならない。
(行政手続)
第23条 市長等は、市民の権利及び利益を保護し、公正かつ透明な行政を行うため、行政処分及び行政指導並びに市長等に対する届出に関する手続に関して必要な事項は、別に条例で定めるものとする。
(危機管理体制)
第24条 市長等は、市民の生命と生活の安全を確保し、災害等の緊急時には、総合的かつ機能的な活動を実施できるよう危機管理体制の確立に努めなければならない。
2 市長等は、市民、事業者及び関係機関との連携・協力を図り、災害等に備えなければならない。
第7章 基本原則によるまちづくりの推進
(市民参加制度)
第25条 市は、政策の立案、実施及び評価の各段階において、適切な時期に市民参加の機会を設け、市民の意見が適切に反映されるよう努めなければならない。
2 市長等は、各種委員会、審議会その他の附属機関及びこれに類するものの委員には、公募の委員を加えるよう努めなければならない。この場合において、委員等の性別、年齢、住んでいる地域その他の点でバランスのとれた構成になるように努め、市民がその立場や境遇によって不利益を被ることのないようにしなければならない。
3 市長等は、重要な政策決定の過程において市民の意見を反映させるため、公聴会制度及びパブリック・コメント等意見公募制度を設けなければならない。
(住民投票)
第26条 市は、市政に関する重要事項について、住民投票を実施することができるものとし、その結果について尊重しなければならない。
2 住民投票に参加できる者の資格その他住民投票の実施に必要な事項は、それぞれの議案に応じ、別に条例で定める。
3 市長及び市議会議員の選挙権を有する市民は、法令の定めるところにより、住民投票を実施する条例の制定を市長に請求することができる。
(情報公開)
第27条 市は、市民の知る権利を尊重し、及び説明責任を果たすため、別に条例で定めるところにより、市が保有する公文書を適正に公開しなければならない。
(情報提供)
第28条 市は、情報公開請求の有無にかかわらず、市政に関する重要な情報を、適切な時期に、適切な方法により、市民に積極的に提供するよう努めなければならない。この場合において、市民がその立場や境遇によって不利益を被ることのないようにしなければならない。
(個人情報の保護)
第29条 市は、市民個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、別に条例で定めるところにより、市が保有する個人情報を適正に取り扱わなければならない。
(情報収集及び管理)
第30条 市は、市政に関する情報の収集、整理、保存及び管理について、正確かつ適正にこれを行わなければならない。
(市民の学習環境の整備)
第31条 市長等は、市民がまちづくりに関する情報を共有し、主体的な活動に生かすことができるよう、各地域にまちづくりに関する学習の場を整備しなければならない。
(まちづくり活動支援)
第32条 市長等は、まちづくりにかかわるNPOなどの市民団体と積極的に連携・協力し、支援するよう努めなければならない。
(コミュニティ支援)
第33条 市民及び市は、地域単位の住民活動が自治の重要な担い手であることを認識し、これを守り育てるよう努めなければならない。
2 市民及び市は、コミュニティによるまちづくりを尊重するとともに、その意見をできる限り市政に反映させるよう努めなければならない。
(国、他の自治体等との連携・協力)
第34条 名寄市は、国、北海道及び近隣の自治体との情報共有と相互理解に立ち、連携・協力して広域的及び共通するまちづくりの課題の解決に努めるものとする。
2 市民及び市は、積極的に海外の自治体及び組織と友好及び連携を深め、そこから得られた有益な情報及び知識をまちづくりに生かすように努めるものとする。
第8章 条例の見直し
(条例の検討及び見直し)
第35条 市は、この条例の施行から5年以内ごとに、市民の意識や社会状況の変化などを考慮して検討及び見直しを行い、この条例の改正を含めて必要な措置を講ずるものとする。

附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。