斜里町自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 斜里町 | 自治体コード | 01545 |
都道府県名 | 北海道 | 都道府県コード | 00001 |
人口(2015年国勢調査) | 11,418人 |
条例データ
制定年 | 2012年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 パブリックコメント |
参加権規定の有無 | 無 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.town.shari.hokkaido.jp/soshikikarasagasu/kikakusomuka/kikakukakari/machizukuri/1157.html |
条例本文
斜里町自治基本条例
平成24年12月17日
条例第28号
前文
わたくしたちのまち斜里町は、知床の厳しくも豊かな自然のもとで、幾多の困難を乗り越えてきた先人たちが、たゆまぬ努力と英知によって築いてきました。
また、昭和43年に町民の総意として制定された斜里町民憲章は、わたくしたちが日常生活で守るべき規範として息づき、加えて、「みどりと人間の調和を求めて」をまちづくりの理念として掲げ、世界自然遺産のまちとしてその歩みを進めています。
わたくしたちを取り巻く自治の環境が、地方分権から地域の自主性及び自立性を高めるための改革に向かうなど、大きく変わりゆく中においても、先人の築いた斜里町を、さらに発展させ、次の世代に継承していかなければなりません。
そのためには、人と人とのつながりと地域の絆を大切にし、様々な価値観を認め合って、信頼関係を高めながら、まちづくりをすすめていくことが必要です。
町民一人ひとりが自分たちの地域は自分たちで治める自治の精神にのっとり、積極的にまちづくりに参画し、みんなで手をたずさえて住みよい斜里町を築くため、自治の最高規範として、わたくしたちは、ここに斜里町自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、斜里町における自治の基本理念を明らかにし、町民が主体的にまちづくりに取り組む住民自治の進展と協働によるまちづくりの推進を図るために、自治の担い手である町民、議会及び行政の果たすべき責務、自治の推進などに関する基本的な事項を定めることを目的とします。
(条例の位置づけ)
第2条 この条例は、斜里町の自治の基本を定めた最高規範であり、議会及び行政は、他の条例、規則その他規程の制定、改廃及びその運用に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重します。
(用語の定義)
第3条 この条例における用語の定義は、次のとおりとします。
(1) 自治 自分たちの地域は自分たちで責任を持ち自ら治めることをいいます。
(2) まちづくり 住みよい斜里町を実現するための活動の総体をいいます。
(3) 町民 町内に住所を有する人をいいます。
(4) 町民等 前号に掲げる人のほか、町内で働く人、町内で学ぶ人、町内で事業を営む人、その他町内で活動する人及び団体をいいます。
(5) 行政 町長、教育委員会、農業委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(6) 町政 行政の運営及び議会の活動をいいます。
(7) 町職員 町長の補助機関、行政委員会の職員及び議会事務局の職員をいいます。
(8) 協働 町民、議会及び行政又は町民同士がそれぞれの役割と責任のもと、お互いに相手を理解し、尊重しながら、共通の目的を持って、対等な立場で連携し、協力して活動することをいいます。
(9) コミュニティ 町民が互いに助け合い、豊かな地域社会の形成のため、自主的に結ばれた組織及び集団をいいます。
(基本理念)
第4条 町民は、自治の主権者であり、まちづくりの主体です。
2 議会及び行政は、町民の信託に基づいて町政を進めます。
3 町民、議会及び行政は、それぞれの役割と責任を相互に認識しながら、ともに協力し、ともに考え、ともに行動してまちづくりに取り組みます。
(基本原則)
第5条 町民、議会及び行政は、次に掲げる原則に沿って、まちづくりを進めます。
(1) 情報共有の原則
(2) 町民参加の原則
(3) 協働の原則
第2章 町民
(町民の権利)
第6条 町民は、自治の主権者として町政に参加する権利があります。
2 町民は、議会及び行政が保有する町政情報を知る権利があります。
3 町民は、自主的な活動を通してまちづくりに取り組む権利があります。
(町民の責務)
第7条 町民は、まちづくりの主体であることを自覚し、町政への積極的な参加に努めます。
2 町民は、まちづくりに必要な情報の共有に努めます。
3 町民は、自治会をはじめ、コミュニティが行う地域社会の諸活動に関心を持ち、積極的な参加に努めます。
4 町民は、町政及び地域社会への参加にあたって、自らの発言と行動に責任を持ちます。
(事業者の責務)
第8条 町民等のうち、町内で事業活動を行う事業者は、その社会的責任を認識し、地域社会との協働、調和を図り、住みよいまちの実現に寄与するよう努めます。
第3章 議会
(議会の責務)
第9条 議会は、町の意思を決定し、行政を監視する機関として、法令の定めるところの責務を誠実に果たします。
2 議会は、積極的に町民との意思疎通を図るとともに、町民に対して議会における意思決定の内容及びその経過を説明するよう努めます。
3 議会は、議員の自由な討議及び活動を尊重し、積極的に政策立案できるよう努めます。
(議員の責務)
第10条 議員は、町民の信託に応えて、誠実に議会活動に参加するとともに、この条例を遵守します。
2 議員は、町民全体の奉仕者として、特定の個人又は特定の事業者の利益に偏らない活動をします。
3 議員は、自らの政策立案能力を高めるとともに、常に町民の意見を聴き、その意思を政策化して、議会活動に反映するよう努めます。
(議長の責務)
第11条 議長は、就任にあたって、この条例を遵守して、公正かつ、誠実に職務を遂行することを宣誓します。
2 議長は、町民に対し議会運営の基本方針を表明します。
(議決事項)
第12条 議会は、計画的かつ、透明性の高い町政運営を行うため、法の定めによるほか、次の事項を議決します。
(1) 憲章の制定、変更又は廃止に関すること
(2) 町の宣言に関すること
(3) 姉妹町又は友好都市の提携に関すること
(4) 総合計画の基本構想及び基本計画
(5) その他追加指定については、別に条例で定める。
(議会改革)
第13条 議会は、町民の信託に応えるため、この条例制定の趣旨のもとに改革を推進します。
第4章 行政
(町長の責務)
第14条 町長は、町民の信託に応えて、公正かつ、誠実に職務を遂行します。
2 町長は、就任にあたって、この条例を遵守して、公正かつ、誠実に職務を遂行することを宣誓します。
3 町長は、町職員を適切に指揮監督するとともに、町政の課題に的確に対応できる人材の育成に努め、効果的で効率的な組織運営を行います。
(行政の責務)
第15条 行政は、執行機関としての権限に基づき、自らの責任において誠実に職務を遂行します。
2 行政は、行政運営における公正の確保と透明性の向上に努めます。
(町職員の責務)
第16条 町職員は、町民全体の奉仕者として、この条例を遵守し、町民の視点に立って、公正かつ、誠実に職務を遂行します。
2 町職員は、職務の遂行に必要な知識の習得と、能力等の向上に努めます。
3 町職員は、自らも地域社会の一員であることを認識し、積極的に町民と連携してまちづくりに取り組みます。
第5章 情報共有
(情報共有の基本)
第17条 議会及び行政は、町政情報を適切に公開し、又は提供することにより、町民との情報共有に努めます。
(情報提供制度の充実)
第18条 議会及び行政は、町民に町政情報を積極的に、かつ、わかりやすく提供するための制度等の充実に努めます。
(説明責任及び応答責任)
第19条 議会及び行政は、町の政策等について、適切な方法により、町民にわかりやすく説明するよう努めます。
2 議会及び行政は、町民からの提案、意見及び要望について迅速かつ、的確に対応するよう努めます。
(情報公開)
第20条 議会及び行政は、町民の知る権利を保障し、町政について説明する責任を十分に果たすため、情報の公開を公正かつ、適正に推進します。
(文書管理)
第21条 議会及び行政は、町政情報を速やかに公開し、又は提供できるよう文書等を適正に整理し、保存します。
(個人情報保護)
第22条 議会及び行政は、町民の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、それぞれが保有する個人情報を適正に取り扱います。
第6章 町民参加
(町民参加の基本)
第23条 議会及び行政は、町民等が町政に幅広く参加できるよう性別、年齢、地域等にも配慮し、多様な参加機会の確保に努めます。
2 議会及び行政は、町民等のまちづくりへの関心を高め、町政への参加が促進されるよう学習機会の提供に努めます。
3 議会及び行政は、町民等が町政への参加又は不参加を理由として不利益を受けないよう配慮します。
(子どものまちづくりへの参加)
第24条 次世代の担い手である子どもは、社会の一員として尊重され、それぞれの年齢に応じてまちづくりに関わることができます。
2 町民、議会及び行政は、子どもがまちづくりに参加しやすい環境づくりに努めます。
(意見公募手続)
第25条 行政は、町の重要な政策等の決定にあたっては、町民等に情報を提供し、意見又は提案を求めるための必要な措置を講じます。
(審議会等)
第26条 行政は、審議会等の委員構成にあたっては、その設置の目的等に応じ公募するなど、幅広い町民が参加できるよう努めるとともに、男女の比率、年齢構成及び地域性が著しく不均衡にならないよう配慮します。
(住民投票)
第27条 町長は、町政に係る重要事案について、町民の意思を確認するため、当該事案ごとに別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができます。
2 行政は、住民投票の実施にあたっては、町民が適切な判断を行えるよう、十分な情報提供を行うよう努めます。
3 議会及び行政は、住民投票の結果を尊重します。
第7章 協働
(協働の推進)
第28条 町民、議会及び行政は、協働にあたって、相互理解のもと、共通の目的を持って、それぞれの役割を担いながら対等な関係で進めます。
2 議会及び行政は、協働の実効性を確保するための環境づくりを進めます。
第8章 コミュニティ
(コミュニティ活動)
第29条 町民、議会及び行政は、豊かな地域社会の形成のため、コミュニティの自主的かつ、自律的な活動を尊重し、守り育てるよう努めます。
第9章 行政運営及び議会運営
(計画)
第30条 町長は、総合的かつ、計画的な町政運営を図るため、総合計画を策定します。
2 町長は、総合計画の策定にあたっては、町民への情報提供と町民の参加機会の充実に努めます。
3 議会及び行政は、総合計画をまちづくりにおける最上位の計画として位置づけ、重要な個別行政の基本となる計画等の策定及び事業の実施にあたっては、総合計画と整合を図ります。
4 町長は、総合計画を効果的かつ、着実に推進するため、適切に進行管理を行います。
(財政運営)
第31条 町長は、総合計画の実現を目指した予算を編成し、中長期的な財政見通しに留意しながら計画的かつ、健全な財政運営に努めます。
2 町長は、町の財政状況並びに毎年度の予算及び決算に関する情報をわかりやすく公表し、財政運営の透明性の確保に努めます。
3 町長は、その保有する財産を安全かつ、適正に管理するとともに、効率的な運用に努めます。
(行政評価)
第32条 町長は、効果的かつ、効率的な行政運営を行うため、適切な評価基準に基づく行政評価を実施するとともに、その結果をわかりやすく公表します。
(行政手続等)
第33条 町長は、町民の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導及び届出に関する手続を明らかにし、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ります。
2 町長は、行政手続に関する異議申立てに対して、公正かつ、迅速な処理を図るため、必要な体制整備に努めます。
(公益通報)
第34条 町職員は、適法かつ、公正な町政運営を妨げ、町政に対する信頼を損なうような行政行為があることを知ったときは、速やかに是正するとともに、その事実を町長に通報します。
2 町長は、前項の規定による通報を行った町職員に対し、それを理由として不利益を受けることのないよう保障します。
(議会運営)
第35条 議会における一般質問は、町長との政策論議を尽くすため、1問1答方式とします。
2 町長等は、議会における一般質問において議員との政策論議をより明確にするため、質問者である議員に対し、反問することができるものとします。
3 議会は、議長の招集により、議員全員の参加のもとに行う自由な討議による政策会議を開催します。
(政策法務)
第36条 議会及び行政は、法令等を適正に解釈するとともに、地域の特性を活かした、質の高い政策活動を行っていくために必要な条例、規則等の立案及び制定又は改廃を積極的に行うことにより、まちづくりの課題解決に必要な政策の実現に努めます。
(組織及び体制)
第37条 議会及び行政の組織は、行政需要や社会情勢に柔軟に対応した、機能的かつ、効率的なものとします。
2 行政は、町民の生命、身体及び財産を災害等から保護するため、町民や防災関係機関と連携し、総合的かつ、機動的な危機管理体制の確立に努めます。
第10章 連携及び交流
(他の自治体との連携及び交流)
第38条 行政は、広域的な取組が求められる共通の課題を解決するため、他の自治体と連携及び交流します。
(国及び道との連携)
第39条 行政は、町政における課題を解決するため、それぞれの役割に応じて、国及び道と連携します。
(国内外の人々との交流)
第40条 町民等、議会及び行政は、国内外の多様な人々との交流を深め、その活動によってもたらされる情報や知恵を生かしたまちづくりを進めます。
第11章 条例の見直し
(条例の見直し)
第41条 議会及び町長は、この条例が町にふさわしく、社会情勢に適合しているかどうかを適切な時期に検証し、その結果に基づき必要な見直しを行います。
2 町長は、この条例の趣旨に沿った制度の整備、運用状況等を検証する機関を設置することができます。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
(議会の議決すべき事件に関する条例の廃止)
2 議会の議決すべき事件に関する条例(平成17年条例第33号)は、廃止する。