豊岡市いのちへの共感に満ちたまちづくり条例
自治体データ
自治体名 | 豊岡市 | 自治体コード | 28209 |
都道府県名 | 兵庫県 | 都道府県コード | 00028 |
人口(2015年国勢調査) | 77,489人 |
条例データ
制定年 | 2013年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | |
参加権規定の有無 | 無 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | 本条例は、豊岡市の自治基本条例としての役割をもって制定されている。「いのち」をテーマとした、環境保護を前面に打ち出した条例というユニークな特徴がある。また、子どもにも読みやすいよう、漢字を多用せず、ルビを振るなどの配慮がなされている。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www3.city.toyooka.lg.jp/reiki/reiki_honbun/r269RG00000788.html |
条例本文
○豊岡市いのちへの共感に満ちたまちづくり条例
平成24年6月27日
条例第40号
(ふるさとへの想い)
日本の空から一度は姿を消したコウノトリが、再び豊岡の空に羽ばたきました。
田んぼの中に、実りを手にする人々の笑顔や子どもたちの姿、そしてさまざまな生きものが戻りつつあります。
わたしたちのふるさとでは、家族や親戚、近所の人が一緒になって稲の一株一株をおろそかにすることなく収穫する風景があり、人と人とがつながり合う暮らしが大切にされていました。
(未来への責任)
今を生きるわたしたちは、改めて過去を見つめ直し、一人一人のいのち、一つ一つのいのちがかけがえのないものであること、すべてのいのちは自然界の一員としてつながっていること、そしていのちは互いに支え合っていることを深く理解し、まちづくりの基礎として未来に引き継いでいかなければなりません。
(いのちへの共感)
わたしたちは、みんな何かでつながっています。そして、一つ一つが互いに大切な一員として結び付いて自然界を成しており、不必要といえるものは何もありません。
自分のいのちには、限りがあります。だからいとおしく、大切なものです。
自分のいのちに思いを寄せ、他のいのちに思いを寄せる。その繰り返しの中から、いのちへの共感が生まれてきます。
(まちづくりへの決意)
戦争や大災害で絶たれたいのちへの痛恨の思い、人権問題への真剣な取組み、偉大なる先人たちの取組み、さまざまなことへ挑戦する人々の姿勢への共鳴、コウノトリの野生復帰から得られた人と生きものとの共生など、これまで豊岡が積み重ねてきた経験は、いのちへの共感となってつながり、大きな輝きを放っていくものと信じています。
わたしたちは、これからのまちづくりの中で、さまざまないのちがつながる取組みを自らが実践し、「いのちへの共感に満ちたまちづくり」を広げ、深めていくことを決意します。
(この条例が目指すこと)
第1条 この条例は、市が、いのちへの共感に満ちたまちをつくるための基本的な考え方、方法や役割を定めます。また、市と市民(以下「わたしたち」という。)の協力と共感のもと、まちづくりを進め、未来に引き継いでいくことを目的とします。
(基本的な考え方)
第2条 わたしたちは、次の基本的な考え方に基づき、「いのちへの共感に満ちたまちづくり」を進めていきます。
(1) 限られているいのちを大切にします。
(2) いのちのつながりを広げ、深めていきます。
(3) いのちのつながりを未来へ引き継いでいきます。
(条例の位置付け)
第3条 市は、この条例の理念を、市が定め、実施する基本的計画の根底に置きます。
(市の役割)
第4条 市は、市民が暮らしと歴史の中で経験したいのちへの共感を、さらに広げ、深めるために、市民と協働してまちづくりを進めます。
(市民の役割)
第5条 市民は、暮らしの中で互いのいのちの尊さ、家族・地域のつながりを大切にし、市や地域、学校、企業等と広く連携して、生き生きと暮らせるまちづくりを進めます。
(取組みの方法)
第6条 わたしたちは、これまで実践してきた次のまちづくりを基本に、具体的な取組みを進め、さまざまな分野の取組みと連携して広げていきます。
(1) いのちを守るまちづくり
(2) 一人一人を尊重するまちづくり
(3) ふるさとを愛するまちづくり
(4) 挑戦する心を育むまちづくり
(5) 人と生きものが共生するまちづくり
(いのちを守るまちづくり)
第7条 わたしたちは、かけがえのない日常を一瞬にして奪った戦争と大災害を教訓に、地域のつながりや支え合いと平和な日常の大切さを学んできました。わたしたちは、次のとおりいのちを守るまちづくりを進めていきます。
(1) 防災力の向上を図るために訓練や研修を進め、災害時に「公助」「共助」「自助」を連携させ、災害に強い体制づくりを進めていきます。
(2) 生涯を通じて健康で生きがいを持って、心豊かに暮らすことができる「歩いて暮らすまちづくり」を進めていきます。
(3) 安心して子どもを産み、育て、子どもたちの笑顔が輝くまちをつくるため、まちぐるみで子育て支援活動を進めていきます。
(一人一人を尊重するまちづくり)
第8条 わたしたちは、互いの違いを認め合い、たくさんの人に支えられ、生かされていることを理解し、すべての人が人として尊重されるまちを目指して努力を続けてきました。わたしたちは、次のとおり一人一人を尊重するまちづくりを進めていきます。
(1) 年齢、性別、障害、文化等の違いにかかわりなく、一人一人が持てる力を発揮して、生き生きと社会に参加し、活動ができるユニバーサル社会づくりを進めていきます。
(2) 一人一人が地域の一員として、自発的かつ自律的に男女共同参画社会づくりのための活動に参画し、人と人、家族や地域社会との絆を深め、互いに支え合うまちづくりを進めていきます。
(3) すべての人が、人権侵害を受けることなく、生涯を通じて健やかに暮らすことができるまちにするため、人権教育や啓発を進めていきます。
(ふるさとを愛するまちづくり)
第9条 わたしたちは、地域ぐるみで人とふるさとを育てるために「いのちの教育」や「村を育てる学力」づくりを学んできました。わたしたちは、次のとおりふるさとを愛するまちづくりを進めていきます。
(1) 一人一人が輝き、ふるさとを愛する子どもを育む教育に取り組んでいきます。
(2) 生きる力、助け合う心を持った子どもたちを地域全体で育てる自然体験や農業体験を進めていきます。
(3) 地域の活性化やコミュニティ活動の促進を図り、地域らしさを生かしたまちづくりを進めていきます。
(挑戦する心を育むまちづくり)
第10条 わたしたちは、大いなる好奇心を持ち続け、不撓不屈の精神で未知の世界を切り拓いていく人々に惜しみない拍手を送ってきました。わたしたちは、次のとおり挑戦する心を育むまちづくりを進めていきます。
(1) どんな困難に遭っても決してくじけない心や、生きる力を育てるために、「子どもの野生復帰大作戦」等の取組みを進めていきます。
(2) 目標に向かって進む謙虚でひたむきな姿や、人々に夢と希望、そして勇気を与える創造的な行動を顕彰する取組みを進めていきます。
(人と生きものが共生するまちづくり)
第11条 わたしたちは、コウノトリの野生復帰の取組みを通して、自然界のさまざまないのちがかかわり合って生きていることに改めて気付かされました。わたしたちは、次のとおり人と生きものが共生するまちづくりを進めていきます。
(1) 生きものと共生するまちづくりを進めるため、「生物多様性地域戦略」に取り組んでいきます。
(2) 安全・安心な農産物と多様な生きものを育み、環境負荷の軽減に配慮した「環境創造型農業」を進めていきます。
(3) 5月20日の「生きもの共生の日」を広め、いのちのつながりを大切にする啓発活動に取り組んでいきます。
(4) いのちと環境を守るため、持続可能な自然エネルギーの利活用や省エネルギーを進めていきます。
(その他)
第12条 この条例に定めるもののほかに必要な事項は、市長及び教育委員会等が定めます。
附 則
この条例は、公布の日から施行します。