いちき串木野市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | いちき串木野市 | 自治体コード | 46219 |
都道府県名 | 鹿児島県 | 都道府県コード | 00046 |
人口(2015年国勢調査) | 27,490人 |
条例データ
制定年 | 2013年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/reiki/H425901010032/H425901010032.html |
条例本文
○いちき串木野市自治基本条例
平成25年6月27日条例第32号
改正
平成26年3月31日条例第11号
いちき串木野市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 まちづくりの主体の権利と責務(第6条―第13条)
第3章 情報の共有(第14条・第15条)
第4章 市民参画(第16条―第18条)
第5章 市民自治活動(第19条―第23条)
第6章 住民投票(第24条)
第7章 危機管理(第25条)
第8章 市政運営(第26条―第31条)
第9章 条例の運用、推進、見直し(第32条・第33条)
附則
私たちのまち、いちき串木野市は日本三大砂丘の一つ吹上浜の北端に位置し、商業地としての歴史をもつ旧市来町と東シナ海に面し良港をもつ旧串木野市が平成17年(2005年)10月11日に合併して誕生しました。近代日本の礎を築いた薩摩藩英国留学生渡欧の地として知られ、美しい自然環境と人情味あふれる土地柄です。私たちは、先人たちが築いてきた豊かな郷土を互いに支えあう安全で住みよいまちとして、次の世代に引き継いで発展させたいと願っています。
いちき串木野市においても、少子高齢化・人口減少、地方分権の進展等社会状況が大きく変化する中、地域の課題解決に向けた市民自治によるまちづくりが求められています。そのために、市民一人ひとりが互いに尊重しながら、自らの役割や責務を自覚し主体的にまちづくりに参画するとともに、市民、市議会及び市が互いに協働して新しいまちづくりを進めていくことが必要です。
ここに私たちは、市民が主役のまちづくりを実現するために、いちき串木野市の自治のあり方を明らかにする最高規範性を持つこの条例を定めます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、いちき串木野市の自治に関する基本的な事項を定めるとともに、まちづくりの主役である市民の権利と責務、市議会及び市の役割と責務を明らかにすることにより、市民自治によるまちづくりを推進し、将来にわたって豊かな地域社会を実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるとおりとします。
(1) 市民 次のいずれかに該当するものをいいます。
ア いちき串木野市に住所を有する者
イ いちき串木野市に通勤し、又は通学する者
ウ いちき串木野市で活動を行う個人、法人又は団体
(2) 市議会 いちき串木野市の予算、条例等重要事項を審議・議決するいちき串木野市の意思決定機関をいいます。
(3) 市 市長(地方公営企業の管理者の権限を行使する場合を含む。)、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(4) 協働 市民、市議会及び市が、それぞれ対等な立場で役割と責任を担い、互いに尊重しながら、連携・協力していくことをいいます。
(5) まちづくり 将来にわたって、住みよいまちにしていくため、私たちが暮らすまちが抱えている課題の解決や将来像の実現に向けた活動をいいます。
(6) 参画 市民が自らの意思と責任を持って、まちづくりについての企画立案から実施、評価、見直しまでの過程について関与することをいいます。
(基本理念)
第3条 第1条の目的を達成するため、次のとおり基本理念を定めます。
(1) いちき串木野市のまちづくりは、市民が主役であることを基本とします。
(2) 市民は、一人ひとりの人権を尊重し、自らの意思と責任に基づく市民自治によるまちづくりに努めます。
(3) 市議会及び市は、市民と一体となって参画と協働によるまちづくりに努めます。
(基本原則)
第4条 前条の基本理念を実現するため、次のとおり基本原則を定めます。
(1) 情報共有の原則 市民、市議会及び市は、市民自治によるまちづくりのため、情報共有に努めます。
(2) 参画の原則 市民が主役となったまちづくりを進めるため、市民は積極的に参画し、市議会及び市は、市民が参画しやすい仕組みづくりに努めます。
(3) 協働の原則 市民、市議会及び市が互いの役割や責任を認識し、協働してまちづくりを行うよう努めます。
(最高規範性)
第5条 この条例は、いちき串木野市の自治の基本事項を定めた最高規範性を持つ条例であり、市民、市議会及び市は、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければなりません。
2 市議会及び市は、他の条例、規則等の制定改廃及び解釈又は各種計画の策定等に当たっては、この条例との整合を図るよう努めなければなりません。
第2章 まちづくりの主体の権利と責務
(市民の権利)
第6条 市民は、平等な立場でまちづくりに参画する権利を有します。
2 市民は、市政に関する情報を知る権利を有します。
3 市民は、市の提供する行政サービスを受ける権利を有します。
(子どもの権利)
第7条 子どもは、年齢に応じてまちづくりに参加し、意見を表明する権利を有します。
(市民の責務)
第8条 市民は、まちづくりの主体者であることを自覚し、自ら情報を得ながら、積極的にまちづくりに参画するよう努めるものとします。
2 市民は、権利の行使に当たっては、自らの発言及び行動に責任を持ちます。
3 市民は、行政サービスを受けるに当たっては、応分の負担をします。
(市議会の役割と責務)
第9条 市議会は、いちき串木野市の意思決定を行う議決機関として、市政運営を監視するとともに、政策の立案及び提言を積極的に行います。
2 市議会は、その活動をわかりやすく市民に説明するとともに、積極的な情報公開により開かれた市議会の運営に努めます。
3 市議会は、広く市民の意見を聞き、市議会の運営や権限の行使に当たっては適正に反映するように努めます。
4 前3項に定めるもののほか、市議会の役割と責務については、別にいちき串木野市議会基本条例(平成25年いちき串木野市条例第33号)で定めます。
(市議会議員の責務)
第10条 市議会議員は、市民の代表者としての自覚と責任を持ち、その責務を果たします。
2 市議会議員は、常に市民全体の福祉向上のために活動するとともに、政策立案能力の向上等自己研さんに努めます。
3 市議会議員は、自らの議員活動やまちづくりに関する考えを明らかにし、わかりやすく市民に説明します。
4 前3項に定めるもののほか、市議会議員の責務については、別にいちき串木野市議会基本条例で定めます。
(市の役割と責務)
第11条 市は、執行機関相互に連携・協力し、行政サービスに関する情報をわかりやすく市民に提供するとともに、公平、公正かつ効率的な市政運営に努めます。
(市長の責務)
第12条 市長は、いちき串木野市の代表者としてこの条例を遵守し、公平、公正かつ誠実に市政運営を行います。
2 市長は、市職員を指揮監督するとともに、市職員の職務遂行及び政策立案に係る能力向上に努めます。
(市職員の役割と責務)
第13条 市職員は、市民全体の奉仕者であることを常に自覚し、この条例及び法令等を遵守するとともに、市民の視点に立って職務を遂行します。
2 市職員は、職務に必要な知識や技術等を習得し、職務遂行及び政策立案に係る能力向上に自ら努めます。
3 市職員は、自らも地域社会の一員であることを自覚し、積極的にまちづくりに参画します。
第3章 情報の共有
(情報の共有と提供)
第14条 市民、市議会及び市は、第3条の基本理念を実現するため、それぞれが保有する情報を共有することに努めます。
2 市議会及び市は、その保有する情報を市民にわかりやすく提供します。
3 市民は、市議会及び市との情報共有を図るため、市民の持つ地域の情報を提供していくよう努めます。
4 市民、市議会及び市は、情報共有のための仕組みや体制の整備に努めます。
(情報公開と個人情報の保護)
第15条 市議会及び市は、市政に関する情報を公開し、わかりやすく説明します。
2 市議会及び市は、情報公開に当たっては個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、個人情報の保護に必要な措置を講じなければなりません。
3 前2項に規定する情報公開及び個人情報保護に関し、必要な事項は別に定めます。
第4章 市民参画
(総合計画への市民参画)
第16条 市は、総合的かつ計画的に市政を運営するための基本構想とこれを具体化するための方策としてまとめた計画(以下「総合計画」という。)を市民の参画を得ながら策定します。
(計画策定等への市民参画)
第17条 市は、総合計画をはじめとする重要な計画の策定に当たっては、その手続を公表し、市民の意見を求めるよう努めます。
2 市は、前項の計画を決定しようとするときは、あらかじめ計画案を公表し、市民の意見を求めます。
3 市は、前2項の規定により提出された意見について、その意見に対する市の考え方を明らかにします。
(審議会等への市民参画)
第18条 市は、審議会その他附属機関(以下「審議会等」という。)の委員に、審議会等の目的や性質を考慮し、公募の委員を加えるよう努めます。
2 市は、審議会等の意見を市政運営に反映するよう努めます。
3 審議会等は、原則として公開するものとします。ただし、法令等に定めがあるものや個人情報等に関する事項で審議会等が非公開とする場合は除きます。
第5章 市民自治活動
(市民自治活動への参画等)
第19条 市民は、共同体意識を持って生活を営む一定の地域において、市民が主役となって、地域を取り巻くさまざまな課題に取り組む活動(以下「市民自治活動」という。)の重要性を認識し、自ら市民自治活動に参画するよう努めます。
2 市民は、自治公民館、各種団体及び次条第1項に規定するまちづくり協議会等による活動への参画と支援に努めます。
3 市は、市民が行う自主的・主体的な市民自治活動を尊重し、必要に応じてこれを支援するものとします。
(まちづくり協議会の要件及び設置)
第20条 この条例において「まちづくり協議会」とは、市民が共同体意識を持って生活を営む一定の地域において、自治公民館や各種団体等が連携し、それぞれの地域課題を話し合い、解決に向けて対応するため設置された組織で、次に掲げる要件を満たし、市長が適当と認めたものをいいます。
(1) 設置目的が、地域内の交流・親睦や地域環境の整備等良好な地域社会の形成に関するものであること。
(2) 当該地域内の自治公民館、各種団体、事業者等で構成され、かつ、市民に開かれた組織であること。
(3) 目的、名称及び所在地等を明記した規約及び代表者を定め、規約に基づく民主的な運営が行われること。
2 まちづくり協議会を設置した場合、その代表者は、市長に設置の届出をするものとします。
(まちづくり協議会の権能)
第21条 まちづくり協議会は、市長から、市の総合計画の策定その他必要と認める事項について求めがあった場合、自らの地域に係る事項について調査審議し、意見を述べるものとします。
2 まちづくり協議会は、自らの地域において行われる身近な市の施策等について組織の決定を経て、市長へ提案することができます。この場合において、市長は、長期的・広域的な観点等から調整が必要な場合を除いて、まちづくり協議会の提案を尊重するものとします。
3 市長は、地域に重大な影響を及ぼすおそれがあると認める市の施策について、該当するまちづくり協議会と事前に協議するものとします。
4 市長は、地域のまちづくり協議会に委託することが有効と認める市の事業について、該当するまちづくり協議会が受託する意思を決定した場合はその決定を尊重します。
(地区まちづくり計画)
第22条 まちづくり協議会は、自らが取り組む活動方針や内容等を定めた計画(以下「地区まちづくり計画」という。)の策定に努めるものとします。
2 まちづくり協議会は、地区まちづくり計画を策定した場合、市長へ届出をするとともに、これに基づき計画的なまちづくりに努めるものとします。
3 市は、総合計画をはじめとする重要な計画を策定する際には、長期的・広域的な観点等から調整が必要な場合を除いて、地区まちづくり計画を尊重するものとします。
(自治公民館活動)
第23条 市民は、互いに助け合い、親睦を深めることにより住みよい地域づくりを目指す自治公民館の活動に対する理解を深め、積極的に自治公民館に加入して活動に参加するよう努めるものとします。
2 自治公民館は、自らの役割や活動に関する市民の理解が深まるよう努めるとともに、自治公民館への加入と活動への参加がしやすい環境づくりに努めるものとします。
第6章 住民投票
(住民投票)
第24条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、広く住民(いちき串木野市に住所を有する者をいう。以下同じ。)の意思を確認するため、住民投票を実施します。
(1) 住民のうち選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署をもって、その代表者から市長に対し住民投票を規定した条例制定の請求があり、当該条例が議決された場合
(2) 市議会議員から議員の定数の12分の1以上の者の賛成を得て、住民投票に関する条例の発議があり、当該条例が議決された場合
(3) 市長が自ら住民投票に関する条例を発議し、当該条例が議決された場合
2 住民投票の実施に関し、必要な事項は、それぞれの事案に応じて別に条例で定めます。
3 市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重します。
第7章 危機管理
(危機管理体制の充実)
第25条 市は、市民の生命及び財産の安全確保に努めるとともに、国、県、他の地方公共団体及び関係機関並びに市民と連携し、災害等不測の事態に備えた危機管理体制の充実を図ります。
2 市民は、自ら災害等に備えるとともに、災害等の発生時には地域で連携・協力して対応するよう努めます。
第8章 市政運営
(法令の解釈と運用)
第26条 市は、多様化するいちき串木野市の課題に対応するため、この条例の趣旨に則して、自ら責任をもって適正に法令を解釈の上運用し、条例、規則等の整備を進めます。
(市民要望等への対応)
第27条 市は、市民から意見、要望等があったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実かつ適切に対応するよう努めます。
2 市は、前項の意見、要望等の内容及びその結果を必要に応じて公表します。
(行政手続)
第28条 市は、市が行う処分、行政指導及び届出の手続に関し必要な事項を別に定め、市政運営の公平性及び透明性の確保を図ります。
(行政評価)
第29条 市は、効率的かつ効果的な市政運営を図り、市民サービスの向上につなげるため行政評価を実施します。
2 市は、前項の行政評価に当たっては、市民参加を図ることとし、その結果をわかりやすく公表し、施策や事業に反映していくものとします。
(財政運営等)
第30条 市長は、総合計画を基本として予算の編成を行い、執行に当たっては、最小の経費で最大の効果をあげるよう努めます。
2 市長は、中長期的な視点に立ち、健全な財政運営を行うとともに、財政基盤の強化に努めます。
3 市長は、財政運営状況について市民にわかりやすく公表することに努めます。
4 前項に規定する公表に関し、必要な事項は別に定めます。
(国、県及び他の地方公共団体等との連携・協力)
第31条 市は、国、県及び他の地方公共団体等と対等な立場で連携・協力し、広域的な課題や共通する課題の解決に努めます。
第9章 条例の運用、推進、見直し
(自治基本条例推進審議会)
第32条 市長は、この条例の運用状況を把握し、その実効性を高めて、市民自治によるまちづくりを推進するため、いちき串木野市自治基本条例推進審議会(以下「推進審議会」という。)を設置します。
2 推進審議会は、この条例の運用状況を調査し、市長に意見を述べることができます。
3 前2項に規定するもののほか、推進審議会の組織、運営に関し必要な事項は、別に定めます。
(条例の見直し)
第33条 市長は、推進審議会の意見を踏まえ、この条例の見直しについて検討し、必要に応じて適切な措置を講じるものとします。
附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行します。
附 則(平成26年3月31日条例第11号)
この条例は、平成26年4月1日から施行する。