鳥取県民参画基本条例
自治体データ
自治体名 | 鳥取県 | 自治体コード | 31000 |
都道府県名 | 鳥取県 | 都道府県コード | 00031 |
人口(2015年国勢調査) | 553,407人 |
条例データ
制定年 | 2013年 |
条例類型 | 総合的な市民参加条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 パブリックコメント |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 有 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.pref.tottori.lg.jp/kenminsankaku/ |
条例本文
鳥取県民参画基本条例
平成25年3月26日
鳥取県条例第3号
鳥取県民参画基本条例をここに公布する。
鳥取県民参画基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 情報公開(第3条―第5条)
第3章 県民参画の推進(第6条―第11条)
第4章 県民投票(第12条―第27条)
附則
地方分権の進展により地方自治体の権限や責任が大きくなるにつれ、地方自治体の行政運営が地域住民の判断と責任において行われるようにすることがより一層重要になっている。
本県では、これまでも情報公開を徹底し、透明性の高い県政を実現するとともに、パブリックコメント、県民の声、アンケート調査等を積極的に実施してきた。
これらの県民参画のための制度を、県民の多様な意見を取り入れられるよう引き続き発展させることで、意思形成の段階から施策の実施及び評価の段階に至るまで、県民と県が連携し、協力する関係を築くことができると考えられる。また、重要施策の決定に県民の意思を直接反映させる県民投票の制度を設けることで、県民参画の新しい扉を開くことができると考えられる。
このような認識の下、県民が主役の県政を推進するために必要な県民参画に関する基本的事項を定めるとともに、二元代表である知事と県議会による県政運営を基本としつつも、県政の特定の事項について県民に直接意思を問う必要が生じた場合に備えて県民投票制度を導入し、もって、鳥取県ならではの県民の参加と協働による民主的で公正な県政を実現するため、本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、県政運営における県民参画の基本理念を定めるとともに、県民参画のための情報公開、広聴及び県民投票の基本的事項について定めることにより、県民に開かれた公正な県政を確立し、もって県民が幸福に暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 県民参画は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
(1) 県民が県政運営について判断するために必要な情報を入手し、意見を表明する機会が広く与えられること。
(2) 県民の意見の多様性を尊重し、できる限り多くの意見を受け入れること。
(3) 異なる意見を統合し、合意の形成を図る過程を大切にすること。
(4) 県民と県との協働による地域づくりを推進すること。
第2章 情報公開
(県民の権利及び責務)
第3条 県が保有する県政に関する情報は、県民共有の財産であり、県民は、当該情報に対して知る権利を有する。
2 県民は、その役割を自覚し、県政に関する情報を県と共有するよう努めるものとする。
(情報の提供)
第4条 県民は、県による情報提供に関し、詳しく、かつ、分かりやすい説明を行うよう求めることができる。
2 県は、県政に関する情報を多様な媒体を活用して積極的に提供し、県民が正確かつ容易に当該情報を得られるよう努めなければならない。
(情報公開)
第5条 県は、鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)に基づき、県政に対する県民の知る権利を尊重し、県の諸活動を県民に説明する責務を全うするため、情報公開の請求には適正に対応しなければならない。
第3章 県民参画の推進
(県民参画の手法)
第6条 県は、施策の立案、決定、実施、評価、見直し等の過程の多くの段階において県民に情報を提供し、県民の意見を聴くための多様な手法を用いるよう努めなければならない。
2 県は、県政に関して県民の意見、提言等を求める場合には、多様な意見、提言等を把握するため、県民の利便性に配慮して複数の手法を組み合わせるよう努めなければならない。
3 県は、県政に関して県民の意見、提言等を求めていることを県民が的確に把握できるよう、多様な媒体を活用して積極的に周知しなければならない。
4 県は、県民参画を推進するため、鳥取県非営利公益活動促進条例(平成13年鳥取県条例第50号)に基づき、県民との協働により業務を実施するよう努めなければならない。
(意見等の募集)
第7条 県は、県政運営及び政策の基本的な方針その他の重要な事項を定める計画、県民生活に与える影響が大きい条例その他の施策等の立案又は廃止を行うに当たっては、原則として、その案の内容その他必要な情報を公表し、意見等の提出先及び提出期間を定めて県民の意見等を求めなければならない。
2 県は、前項の規定により県民の意見等を求める場合には、意見等を求める事項を明確に提示するとともに、必要に応じて県民に説明する機会を設け、県民との意見の交換を行わなければならない。県民が、県からの説明を受けることを求めたときも、同様とする。
3 県は、第1項の規定により県民の意見等を求めたときは、その意見等に対する考え方を公表しなければならない。
4 県は、毎年度、当該年度において第1項の規定により県民の意見等を求める予定の事項について、その概要及び時期をあらかじめ公表するものとする。
(意見等の提出)
第8条 県民は、前条の規定による場合のほか、県の施策等に対する意見、提言等を県に提出することができる。
2 県は、前項の規定による意見、提言等の提出があったときは、遅滞なく、当該意見、提言等の内容及びこれらに対する県の対応方針等を取りまとめ、公表しなければならない。
(意見等への誠実な対応)
第9条 県は、県政に対する県民の意見等の提出があったときは、その内容を検討し、県政の運営に資すると認められるものについてはできるだけ速やかに県政に反映するよう努めなければならない。
2 県は、その意見等に対する県の考え方を当該提出者に回答するよう努めなければならない。
(委員の公募等)
第10条 県の執行機関は、県政運営について調査、意見の聴取等を行う機関(著しく専門性の高い機関を除く。)の委員を任命する場合には、その設置目的等に応じ当該委員の一部の者を公募し、これに応じた者から任命するよう努めなければならない。
2 県政運営について調査、意見の聴取等を行う機関の会議は、原則として公開しなければならない。
(県民参画手法の改善等)
第11条 県は、県民参画の手法について随時必要な見直しを図り、県民が県政に参画することができる新たな手法を取り入れるよう努めなければならない。
第4章 県民投票
(対象事項)
第12条 県民投票は、法令に基づき県民の投票に付することができる事項及び県の権限に属さない事項を除き、次の各号のいずれかに該当する事項であって、県民に直接その意思を問う必要があると認められるものについて行うことができる。
(1) 県の存立の基礎的条件に関する事項
(2) 県の実施する特定の重要施策に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、現在又は将来の県及び県民全体に重大な影響を与える政策上の具体的事項
2 県民投票は、複数の選択肢から1つを選択する形式によることができる事項に限り、行うことができる。
(投票資格者)
第13条 県民投票の投票権を有する者(以下「投票資格者」という。)は、県内の市町村の選挙人名簿に登録されている者(以下「選挙人名簿登録者」という。)で、知事及び県議会の議員(以下「議員」という。)の選挙権を有するものとする。
(県民投票の発議)
第14条 選挙人名簿登録者は、その総数の10分の1以上の者の連署をもって、その代表者(投票資格者に限る。)から知事に対し、県民投票の実施を請求することができる。
2 知事は、前項の規定による請求(以下「投票請求」という。)を受けたときは、第16条第1項第1号の規定により県民投票を実施する場合を除き、投票請求を受けた日の翌日から起算して20日以内に、県民投票の実施を発議しなければならない。
3 議員は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第112条の規定により県民投票の実施を発議することができる。
4 知事は、第2項に規定する場合のほか、自ら県民投票の実施を発議することができる。
(発議等の制限)
第15条 前条の規定にかかわらず、県民投票の実施が発議された後は、当該県民投票を実施するかどうかが決定されるまでの間、当該県民投票に付そうとする事項と実質的に同一と認められる事項について、投票請求及び県民投票の実施の発議をすることができない。県民投票を実施することが決定された後、当該県民投票の期日(以下「投票日」という。)の翌日から起算して1年を経過するまでの間についても、同様とする。
2 投票請求を行うための手続を代表者が開始した後は、投票請求が知事に対して行われるまでの間、当該投票請求に係る県民投票に付そうとする事項と実質的に同一と認められる事項について、投票請求を行うための手続を開始することができない。
(県民投票の実施)
第16条 県民投票は、次のいずれかに該当する場合に実施する。
(1) 投票請求において、選挙人名簿登録者の署名の数がその総数の3分の1の数(その総数が40万人を超える場合にあっては、その超える数に6分の1を乗じて得た数と40万人に3分の1を乗じて得た数とを合算した数)以上のとき。
(2) 第14条第2項の規定により知事が発議し、県議会で出席議員の過半数が賛成したとき。
(3) 第14条第3項の規定により議員が発議し、県議会で出席議員の過半数が賛成したとき。
(4) 第14条第4項の規定により知事が発議したとき。ただし、県議会で出席議員の過半数が反対したときを除く。
2 知事は、第14条第2項の規定による発議をするときは、その意見を付さなければならない。
3 県議会は、県民投票の実施について審議するときは、第14条第2項の規定による発議に係るものにあっては投票請求の代表者の、同条第3項の規定による発議に係るものにあっては知事の意見を聴く機会を設けなければならない。
4 知事は、投票請求を受けた県民投票を実施するかどうかが決定されたときは、速やかにその結果を投票請求の代表者に通知しなければならない。
(実施の告示)
第17条 知事は、前条第1項の規定により県民投票を実施するときは、直ちにその旨及び県民投票に付される事項(以下「投票事項」という。)を告示しなければならない。
2 投票日は、前項の告示の日の翌日から起算して60日以内の日としなければならない。ただし、鳥取県県民投票選択肢等検討委員会の検討が行われるときは、その検討が終了した日の翌日から起算して30日以内の日を投票日としなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、県民投票の実施を猶予しても支障がないと認められるときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)に基づき県内で実施される選挙(議員の補欠選挙その他規則で定める選挙を除く。)の期日を投票日とすることができる。
4 知事は、投票日を定めたときは、投票日の17日前までに投票日を告示しなければならない。
(選択肢等の検討)
第18条 知事は、県民投票で選択する選択肢(以下「選択肢」という。)及び投票の判断に資する情報(以下「関連情報」という。)について検討させるため、鳥取県県民投票選択肢等検討委員会(以下「委員会」という。)を設置することができる。
2 知事は、次のいずれかに該当する場合には、委員会を設置するものとする。
(1) 第16条第1項第1号に該当する場合
(2) 第14条第2項から第4項までの規定による発議があった場合で、県議会の求めがあったとき。
3 委員会の委員は、県民投票を実施する都度、投票事項について学識経験を有する者その他適切と認められる者のうちから、知事が任命する。
4 委員会が選択肢及び関連情報を検討するために必要な情報及び経費については、県が提供する。
5 委員会は、選択肢及び関連情報の検討に当たっては、投票請求の代表者、知事及び県議会の意見を聴く機会を設けなければならない。
6 知事は、委員会の検討の結果を尊重して選択肢を決定するものとする。
7 第3項から前項までに定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、規則で定める。
(情報の提供)
第19条 知事は、投票日の2日前までに、県民投票の趣旨及び第17条第1項の告示の内容、関連情報についての委員会の検討の結果その他県民投票に関し必要な情報を、多様な媒体を活用して投票資格者に対して提供するものとする。
2 知事は、第17条第1項の告示の日から投票日の前日までの間、県民投票の発議の内容を記載した文書、選択肢について説明した文書その他行政上の資料で公開することができるものについて、インターネットの利用その他の方法により一般の縦覧に供するものとする。
3 知事は、前2項に規定する情報の提供に当たっては、公平性の保持に努めなければならない。
第20条 前条に定めるもののほか、知事は、必要に応じて討論会、シンポジウムその他県民投票に係る情報の提供に関する施策を実施することができる。
2 知事は、前項に規定する情報の提供に関する施策の実施に当たっては、公平性の保持に努めなければならない。
(投票の促進)
第21条 知事は、広報その他の手段により、投票資格者に対し、投票を促すよう努めなければならない。
(投票運動)
第22条 県民投票に関する投票運動は、買収、脅迫その他投票資格者の自由な意思が拘束され、若しくは不当に干渉され、又は住民の平穏な生活環境が侵害されるものであってはならない。
2 前項の投票運動の期間は、第17条第4項の告示の日(以下「告示日」という。)から投票日の前日までとする。
(投票)
第23条 投票資格者は、投票日に投票事項ごとに1人1票に限り投票することができる。ただし、投票日に投票することができないと見込まれる投票資格者は、規則で定めるところにより、告示日の翌日から投票日の前日までの間に投票することができる。
2 何人も、投票の内容を陳述する義務はない。
(県民投票の成立要件)
第24条 県民投票は、投票した者の総数(以下「投票総数」という。)が当該県民投票の投票資格者の数の2分の1に満たないときは、成立しないものとする。この場合においては、開票は行わない。
(投票の結果の通知及び告示)
第25条 知事は、投票の結果が判明したときは、直ちに選択肢ごとの得票数及び投票総数を告示するとともに、投票請求をした代表者及び県議会の議長に通知しなければならない。
(結果の尊重)
第26条 知事、教育委員会、公安委員会、警察本部長、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、病院事業の管理者及び県議会は、県民投票の結果を尊重しなければならない。
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、県民投票に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第4章の規定は、平成25年10月1日から施行する。