条例

加賀市市民主役条例

自治体データ

自治体名 加賀市 自治体コード 17206
都道府県名 石川県 都道府県コード 00017
人口(2015年国勢調査) 63,220人

条例データ

条例本文

○加賀市市民主役条例
平成24年3月26日
条例第16号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 条例の位置付け(第5条)
第3章 市民等の権利・責務等(第6条―第10条)
第4章 市議会(第11条)
第5章 市民等による自治活動(第12条)
第6章 市政への参加(第13条―第16条)
第7章 市政運営(第17条―第30条)
第8章 条例の見直し(第31条)
附則

未来の君たちへ
海や川、山や田畑は、今も綺麗ですか。
湧き出る温泉は、今も多くの人に癒しを与えていますか。
人々は、夢と希望を持ち、笑顔で輝いていますか。
まちは、住みやすく賑わっていますか。
この問いかけに、未来の君たちが「はい」と答えられることが、今のわたしたちの願いです。
わたしたちには、愛着を持ち、誇りに思うこのまちを、未来の君たちに引き継いでいく責任があります。
そのために、わたしたち一人ひとりが、まちづくりの主役として自覚を持ち、さらに魅力溢れるまちを創造し、行動していきます。
わたしたちは、輝く未来への架け橋となるよう想いを込め、加賀市の最高規範として、この条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民が主役の市政の実現及び市民等による自治活動の推進を目的とする。
2 前項の目的を達成するため、市民等、事業者及び市の役割を明らかにするとともに、本市のまちづくりの基本的な原則を定めるものとする。
(市民主役の原則)
第2条 市民は、市政の主役として、また地域社会の一員として尊重され、その個性や能力を発揮できるよう保障されるものとする。
2 市民は、その一人ひとりが市政の主役であることを自覚し、市民相互に及び市と協働して市政を推進するものとする。
(まちづくりの基本原則)
第3条 市民等、事業者及び市は、協働により市政及び市民等による自治活動を行い、まちづくりを推進するものとする。
(定義)
第4条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住所を有する個人をいう。
(2) 市民等 市民及び市内に通勤、通学等をする個人並びに市内において活動を行う法人その他の団体をいう。
(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(4) 市 市の執行機関及び市議会で構成する地方公共団体をいう。
(5) 市議会 立法を主たる目的とする審議・議決機能を持った市の意思決定機関をいう。
(6) まちづくり 心豊かで快適に暮らせる自然環境、生活環境及び文化環境を実現し、安心・安全な地域社会をつくり、及びまちを活気に溢れ明るく住みやすくすることをいう。
(7) 市民等による自治活動 共同体意識の形成が可能な一定の地域(市全域の場合を含む。)において、市民等が様々な課題に取り組み、意思決定に参加し、自ら考え行動することをいう。
(8) 協働 まちづくりのために情報を共有し、それぞれが役割を担いながら相互理解と信頼関係のもと、対等の立場で協力し、共に考えることをいう。

第2章 条例の位置付け
(条例の位置付け)
第5条 この条例は、市政及び市民等による自治活動に関する基本的な原則を定めたものであり、市民等、事業者及び市は、この条例を誠実に遵守しなければならない。
2 市は、条例、規則等を制定、改廃する場合又は解釈する場合は、この条例に定める事項との整合性を図らなければならない。
3 市は、総合計画及び基本構想等の計画の策定並びに政策の立案及び実施に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合性を図らなければならない。

第3章 市民等の権利・責務等
(市民等の権利)
第6条 市民は、市政に自由かつ平等に参加する権利を有する。
2 市民等は、市民等による自治活動に参加する権利を有する。
(市民等の責務)
第7条 市民は、市政に関心を持ち、積極的に市政に参加するよう努めなければならない。
2 市民等は、地域社会の発展に寄与するよう、市と協働して、積極的に市民等による自治活動に参加するよう努めなければならい。
3 市民等は、互いに尊重し、認め合いながらまちづくりに努めなければならない。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、市政に関心を持ち、市政に参加するよう努めるものとする。
2 事業者は、地域社会の一員として、地域社会との調和を図り、従業員が積極的に地域活動できるように配慮し、まちづくりに寄与するよう努めなければならない。
(市長の責務)
第9条 市長は、市政の代表者として市民福祉の向上を実現し、公平、公正かつ誠実に市政の執行にあたらなければならない。
2 市長は、市民が市政に参加しやすい環境整備に努めなければならない。
3 市長は、市民等及び事業者と協働して、まちづくりに努めなければならない。
4 市長は、前3項の責務を果たすため、市職員を指揮監督し、多様化する市民の行政需要に対応できる知識や能力を持った市職員の人材育成に努めなければならない。
(市職員の責務)
第10条 市職員は、市政の主役が市民であることを認識し、公正、誠実かつ効率的に職務を遂行しなければならない。
2 市職員は、公正な市政を妨げ、市政に対する市民の信頼を損なう行為が行われていることを知ったときは、その事実を放置してはならない。
3 市職員は、市民等及び事業者と協働して、まちづくりに努めなければならない。
4 市職員は、政策課題に適切に対応していくため、常に自己研鑽に励み、政策能力の向上に努めなければならない。

第4章 市議会
(市議会の役割と責務)
第11条 市議会は、本市の意思決定機関として、市民の意思を的確に反映した市政の実現のために権限を行使するとともに、市政の運営に関し、市の執行機関を監視する役割を果たさなければならない。
2 市議会の役割、責務その他議会運営に関して必要な事項は、別に条例で定める。

第5章 市民等による自治活動
(市民等による自治活動)
第12条 市民等による自治活動の主体は、まちづくりに参加する個人、まちづくりを行う団体等及び地域の良好な環境づくりに貢献する事業者とする。
2 市民等は、市民等による自治活動の重要性を認識し、積極的に参加するよう努めるとともに、参加に当たっては、自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
3 事業者は、市民等による自治活動に理解を深め、その活動の発展と促進に協力するよう努めなければならない。
4 市は、市民等による自治活動及び事業者の自発的な活動を尊重し、非営利、非宗教、非政治的な活動に対し、情報の提供、相談、技術的助言等の支援を行い、市長が必要と認めるときは財政的支援を行うことができる。この場合において、市の支援は、市民等及び事業者の自主性を損なうものであってはならない。

第6章 市政への参加
(市政参加の権利)
第13条 市民は、市政の主役として市政に参加する権利を有する。
2 市民は、市政に関する計画及び政策の立案段階から参加する権利を有し、意見を述べることができる。
(市政参加の推進)
第14条 市は、市民の市政への参加機会を保障し、公聴会・説明会の開催、審議会等(審査、審議又は調査等を行うための機関その他これらに類するものをいう。第29条において同じ。)の委員の公募、意見の公募、アンケート調査・聞き取り調査の実施その他市民が市政に参加しやすい環境を整備し、活用するよう努めなければならない。
2 市は、市民からの意見に対して、誠実に対応しなければならない。
(市民等提案)
第15条 市民等及び事業者は、市に対して市政に関する政策的な提案をすることができる。
2 市民等及び事業者からの政策的な提案について、市民等提案審議会(以下この条において「審議会」という。)を置き、審議する。
3 審議会は、委員7人をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 審議会において実施すべきとされた政策的な提案については、市長が必要と認めるときは、予算上の措置を講じることができる。
6 市に政策的な提案を受け付ける部署を置くものとする。
7 市は、広報紙、ホームページ、団体等の会議の場、市政報告会その他あらゆる機会を通じて市民等提案制度の周知を行うとともに、市民等の積極的な活用を促すよう努めるものとする。
8 前各項に定めるもののほか、市民等提案に関しては、別に規則で定める。
(市民投票)
第16条 市は、市政に関わる重要事項について、直接市民の意思を確認するため、議会の議決を経て市民投票を実施することができる。
2 市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条に規定する選挙権を有する者の50分の1以上の連署をもって、その代表者から市民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が可決されたときは、これを実施しなければならない。
3 市は、市民投票の結果を尊重しなければならない。
4 市民投票の実施に関し、投票に付すべき事項、投票資格者、投票の期日、投票の方法、選択肢、投票結果の公表その他必要な手続きについては、その都度、条例で定める。

第7章 市政運営
(市政運営の原則)
第17条 市は、市民の信託に基づき政策を定め、市政を運営しなければならない。
2 市は、その保有する情報を市民と共有し、市民が市政に参加するための制度を整え、連携協力しなければならない。
(情報の公開)
第18条 市民等は、市政に関する情報を知る権利を有し、市に対し市が保有する情報の公開を求めることができる。
2 市は、市政に関する情報を市民等に分かりやすく、かつ積極的に公開し、又は提供するものとする。
3 情報公開については、別に条例で定める。
(個人情報の保護)
第19条 市は、その保有する個人情報を適正に取り扱い、個人の権利利益を不当に害することのないようにしなければならない。
2 個人情報保護については、別に条例で定める。
(総合計画)
第20条 市は、この条例の目的に沿って、総合計画を策定しなければならない。
2 市は、総合計画の内容実現に向けて、適切な進行管理を行わなければならない。
3 市は、総合計画が社会経済状況の変化及び新たな行政需要に対応できるよう、常に検討を加え、必要に応じて、随時見直しをしなければならない。
4 総合計画の策定については、別に条例で定める。
(行政改革)
第21条 市は、現状を見直し、簡素で効率的な市政運営を図るため、行政改革大綱を策定し、行政改革を進めなければならない。
2 市は、前条に規定する総合計画に沿って、市民が参加して行政改革大綱を策定しなければならない。
3 市は、行政改革大綱の実施にあたっては、具体的取り組み項目を作成し、その進行管理をしなければならない。
(財務原則)
第22条 市長は、総合計画に基づいて予算を編成し、計画的で健全な財政運営を図らなければならない。
2 市長は、予算の編成にあたっては、その編成過程において市民が分かりやすいように、その透明性(意思決定について、その内容及び過程が市民にとって明らかであることをいう。第24条第1項において同じ。)を図らなければならない。
3 市長は、予算に関する説明書の内容を充実し、市民が予算を具体的に把握できるように情報の提供に努めなければならない。
4 市長は、予算の執行状況及び財産、市債その他財政に関する状況について、分かりやすく公表するよう努めなければならない。
(行政評価)
第23条 市は、総合計画に基づき実施し、又は実施しようとする施策・事務事業等について、その成果及び達成度を明らかにするため、市民が参加する行政評価を原則行い、その結果を公表しなければならない。
2 市は、行政評価の結果に基づき、施策・事務事業等を見直すとともに、総合計画の進行管理及び予算の編成に反映させなければならない。
(行政手続)
第24条 市は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民の権利利益の保護に資するため、処分、行政指導及び届出に関する手続を適正に行わなければならない。
2 行政手続については、別に条例で定める。
(組織運営)
第25条 市は、行政組織について効率的かつ機能的なものとするよう努めるとともに、行政組織が市民に分かりやすいものとなるよう努めなければならない。
(説明責任)
第26条 市は、公正で開かれた市政の推進のため、市政に関する意思決定の過程、内容、効果等について、市民に分かりやすく説明する責任を負うものとする。
(外部監査)
第27条 市は、適正で効率的な行財政運営を確保するため、外部機関その他第三者による監査を実施することができる。
(危機管理)
第28条 市は、市民等の生命、身体、財産及び暮らしの安全を確保するとともに、緊急時に、総合的かつ機能的な活動が図れるよう危機管理体制の確立に努めなければならない。
2 市は、市民等及び関係機関との協力及び連携を図り、災害等に備えなければならない。
(審議会等の運営)
第29条 市は、審議会等を設置する場合は、その設置の趣旨及び審議内容に応じて、可能な限り市民からの公募による委員を含めるよう努めなければならない。
2 審議会等の会議は、原則公開するものとする。ただし、個人情報の保護、公正な審議、その他会議の円滑な運営に支障があるとして当該審議会等があらかじめ定めた場合は、この限りでない。
3 市は、審議会等の会議を開催する場合は、原則、その日時、場所、議題等を事前に公表するものとする。ただし、緊急に開催する必要がある場合は、この限りでない。
4 市は、審議会等の会議記録を作成し、原則、これを閲覧に供するものとする。ただし、個人情報の保護その他これに類する事項については、この限りでない。
(意見公募(パブリックコメント))
第30条 市は、市政における意思決定過程への市民の参加の場を確保するため、意見公募を実施することができる。
2 意見公募とは、政策の意思決定にあたり、事前にその趣旨、内容その他必要な事項を公表し、市民等及び事業者に意見を求めることをいう。
3 市は、意見公募の実施に際して、市民等及び事業者から寄せられた意見に誠実に対応し、及びそれに対する考え方を公表しなければならない。
4 意見公募の対象、実施方法その他必要な事項については、別に定める。

第8章 条例の見直し
(条例の見直し)
第31条 市は、社会、経済等の情勢の変化等により、この条例が第1条の目的を達成するために改正する必要が生じたときは、遅滞なく見直しを行わなければならない。

附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 第20条第4項に規定する条例は、この条例の施行の日から3年以内に制定するものとする。