加西市協創のまちづくり条例
自治体データ
自治体名 | 加西市 | 自治体コード | 28220 |
都道府県名 | 兵庫県 | 都道府県コード | 00028 |
人口(2015年国勢調査) | 42,700人 |
条例データ
制定年 | 2019年 |
条例類型 | 総合的な市民参加条例 |
明記された参加手法 | |
参加権規定の有無 | 無 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | 加西市は、2002年に全国初の「市民参画都市宣言」を行っていた。加西市ふるさと創造条例の制定で、制度面にも宣言が反映されることになった。 令和元年に「加西市ふるさと創造条例(平成25年制定)」の全部を改正し、本条例が制定された。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.kasai.hyogo.jp/site/kyoso/2612.html |
条例本文
○加西市協創のまちづくり条例
令和元年12月23日条例第12号
加西市協創のまちづくり条例
加西市ふるさと創造条例(平成25年加西市条例第19号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 方針(第5条―第8条)
第3章 役割(第9条―第12条)
第4章 市の基本的施策(第13条―第16条)
第5章 補則(第17条・第18条)
附則
私たちは、先人が営々と築き上げてきたこの地加西に暮らしている。「播磨国風土記」にも記され、豊かな風土に恵まれながらも、数多あまたのため池を擁する地勢は先人の計り知れない労苦と努力を物語っている。幾多の戦乱の歴史の中、先の大戦で鶉野飛行場から多くの若者たちが戦地に飛び立った記憶が語り継がれている。今、悠久の水辺に白鳥が佇たたずみ、平和な空に気球が舞う時代を迎え、安心して暮らせる地域があるのは、あなたたちのおかげである。また、自然界からもたらされる実りは、ここに暮らす人々の幸せを支えてきた。人間も動物も自然を父とし母として生まれ、その中で共生し暮らしてきた。
しかし、現代の豊かさは人間だけに向かっているのではないか。これまでの豊かさを作り出してきた仕組みは、時代の変化の前に軋きしんでいる。豊かさの源泉である自然界への崇敬の念は薄れ、盤石であると信じていたものは大きく揺らいでいる。
心を研ぎ澄まし、自然の示唆に気付かねばならない。そして、深く考える。
そのことを、阪神・淡路大震災や東日本大震災に遭遇した人々が助け合う姿に、明らかに見いだすことができる。それは、人が信頼し合い、慈しみ合う中にある人を思う心である。思いやりが溢れるまちづくりは、未来に誇れるまちを創り、人を育み、希望を生み出して行く。
世界に目を向けてみよう。未来への大きな目標を掲げ、国連は「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を目指している。その実現のため、今こそ自分は何ができるのか考え、行動しなければならない。私たちは「ふるさと創造」の協働の思いを胸に、このような流れに呼応し、歓びを分かち合いつつ夢を膨らませ、一人ひとりが主役として健やかに活躍でき、誰も置き去りにしないまちづくりを展開してきた。
将来への先駆けとなるまちづくりを一層加速し、次のステージへと飛躍させよう。ふるさとへの誇りと愛着を源に、協創の自然な流れの循環を生み出すことにより、さらに共感の輪を拡げ、仲間と共に新たな挑戦をしていこう。
未来に続く幸せなまちは、一人ひとりが家庭、地域社会や自然、協創する仲間とつながり、自ら考え行動する住民が主人公になる。年齢や性別、国籍などの違いや障害を越えて、地域の中で自分らしく暮らし活動する住民が集い、ふれ合い、語り合い、互いを知りあうことで絆きずなが強まり、「思いやり」はさらに深まる。ここに、私たちは、今に暮らす全ての加西市民と後世に暮らす市民のために、豊かな歴史と美しい風土のもと幸せに暮らすまち加西市を維持し、さらなる発展を目指して、本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、持続可能なまちづくりを推進するための基本理念と方針を定め、本市に関わる多くの人と共に、住民の主体的な参画と協働、魅力の発掘と創造及び情報発信と交流の推進を図り、個性豊かで活力に満ちた安全で安心な地域社会の実現を目指すことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところとする。
(1) 住民等 市内に住所を有する者、市内に拠点を有する事業者その他の団体及び市内に通勤又は通学する者をいう。
(2) 地域団体 市内において、住民等が組織する団体のうち、自治会、ふるさと創造会議、特定非営利活動法人その他の営利を目的とせずにまちづくりに関わる活動を行う団体であって、政治活動又は宗教活動を目的としないものをいう。
(3) 関係市民 市外に住所又は拠点を有し、加西市や住民等と何らかの関わりを持ち、加西市に想いを寄せる者又は団体をいう。
(4) 住民参加 市の意思形成の段階から住民等の意思が反映されること又は市が事業を実施する段階で住民等が主体的に関わることをいう。
(5) 協創 まちづくりにおいて、住民等と多様な価値観を有する関係市民の協力及び連携のもとに、各自が有する知恵、経験、資源等を結集して主体的に地域課題の解決を図るとともに、新たなまちの魅力や地域の価値を共に創りあげることをいう。
(基本理念)
第3条 将来にわたり地域が活力と希望にあふれ、住民等及び関係市民(以下「市民」という。)が幸せを実感できるまちづくりを推進するため、次に掲げる基本理念に基づき、市は、関係市民の参加を促し、市民同士、市民と市の連携のもと、協創によるまちづくりに取り組むものとする。
(1) 市民及び市は、地域の個性と自主性を尊重した地域のまちづくりを推進するものとする。
(2) 住民参加は、年齢及び性別を問わず人権が尊重されなければならない。
(3) 市民は、一人ひとりがまちづくりの主体であることを自覚し、地域に関心を持ち、積極的にまちづくりに取り組むものとする。
(基本原則)
第4条 市民及び市は、次に掲げる基本原則に基づき、まちづくりを進めるものとする。
(1) まちづくりの当事者として互いに尊重し、協力すること。
(2) 協創によって達成しようとする目的を共有すること。
(3) 互いに情報を共有し合い、対話を通じて相互に理解を深めること。
(4) 互いの長所を活かし、不足する部分を補完すること。
第2章 方針
(協創の推進)
第5条 市民及び市は、協創によるまちづくりの推進のため、様々な活動の過程を楽しみつつ、市内外の人々と広く交流することを喜びとし、連携のもとにまちづくりを行うものとする。
2 市民及び市は、市民の意見及び提案、経験及び技術、知恵及び工夫等を活用し、互いに協力のうえまちづくりの推進に努めるものとする。
(地域資源の保全と活用)
第6条 市民及び市は、持続可能なまちづくりを実現するために、良好な自然環境、景観及び歴史的又は文化的資産の将来にわたる保全、再生及び活用を図ることが重要であるという認識のもとにまちづくりを行うものとする。
(魅力の発掘と創造)
第7条 市民及び市は、まちづくりに活かすことのできる地域の自然、風土、伝統、歴史文化、産業、地場産品、人材その他の資源を発掘及び有効活用して地域の魅力の創造に努めるものとする。
(情報の発信)
第8条 市民及び市は、地域の魅力向上のため、多様な手段を効果的に活用し、市内外に向け、地域の魅力に関する情報の積極的な発信に努めるものとする。
第3章 役割
(市の役割)
第9条 市は、基本理念に基づき、市民自らがまちづくりについて考え、行動する活動を円滑に推進するための支援、情報の共有に努めなければならない。
(住民等の役割)
第10条 住民等は、基本理念に基づき、住民参加に対する理解を深め、自らがまちづくりの主体であることを認識し、地域の一員として地域社会に関心を持ち、自らの責任と役割を自覚しまちづくりに参加又は協力するよう努めるものとする。
2 住民等は、協創のまちづくりを推進するため、地域の魅力の創造及び発信並びに交流等の事業に参加又は協力するよう努めるものとする。
(地域団体の役割)
第11条 地域団体は、前条に規定する役割に加え、地域活動の持つ社会的意義を自覚して、自らの持つ知識、経験又は特性を活かし、協創のまちづくりの推進に努めるものとする。
2 地域団体は、特性、目的、活動内容等に応じ、自らの主体的な取組の基本となる計画づくりに努めるものとする。
3 地域団体は、自らの活動に関する情報をわかりやすく市内外に発信するとともに、地域の交流に関する事業の実施に積極的な役割を果たすものとする。
4 地域団体は、まちづくりに取り組む他の団体との連携及び交流を図って、まちづくりに参加するよう努めるものとする。
(関係市民の協力)
第12条 関係市民は、協創のまちづくりを推進するため、自らの持つ知識、経験等を活かし、地域の課題解決、地域の魅力の創造及び発信並びに交流に協力するものとする。
第4章 市の基本的施策
(地域の将来ビジョン)
第13条 市は、地域団体の特性、目的、活動内容等に応じ、地域団体の主体的な取組の基本となる計画づくりに必要な情報提供その他の支援を行う。
2 市は、地域住民が総意を持って自ら策定する実現したい地域の未来像である将来ビジョンについて、その意見を尊重し、可能な限り実現に向けて努めるものとする。
(ひとづくり)
第14条 市は、人材育成の機会の充実を図るため市民と連携し、共に学び合うとともにまちづくりの担い手の発掘、育成及び活用に努めるものとする。
(情報仲介と環境整備)
第15条 市は、地域の魅力の創造及び発信並びに交流ができるよう市民の地域に対する誇りと愛着の醸成を図り、市の保有する情報と市民が求める情報の仲介、共有及び環境の整備その他の必要な施策を講じるよう努めるものとする。
(助成措置)
第16条 市は、市民が行うまちづくり活動の促進を図るため、助成措置を講じるよう努めるものとする。
第5章 補則
(見直し)
第17条 市は、この条例が社会経済情勢等の変化に対応したものとなっているかを検証し、必要な見直し等の措置を講ずるものとする。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和2年1月1日から施行する。