Home » 協働のしくみ(法律・条例等) » 条例リスト » 条例一覧 » 上牧町まちづくり基本条例

条例

上牧町まちづくり基本条例

自治体データ

自治体名 上牧町 自治体コード 29424
都道府県名 奈良県 都道府県コード 00029
人口(2015年国勢調査) 21,714人

条例データ

条例本文

○上牧町まちづくり基本条例
平成26年3月27日
条例第6号

 目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 町民の権利と義務(第5条―第7条)
第3章 議会及び議員の役割と責務等(第8条―第10条)
第4章 執行機関の役割と責務等(第11条―第15条)
第5章 町政運営(第16条―第26条)
第6章 情報の共有等(第27条―第31条)
第7章 参画と協働(第32条―第35条)
第8章 広域連携等(第36条)
第9章 条例の見直し等(第37条―第39条)

 附則
わたしたちのまち上牧町は、奈良県北西部、奈良盆地の西部に位置し、古代には、この地一帯の緩やかな丘陵地帯で馬の放牧が盛んに行われ、「上の牧場」があったことから、「上牧(かんまき)」の名がついたとされています。
また、大阪への通勤圏内という地理的好条件下にあることから、1971(昭和46)年には人口増加率が日本一を記録したこともあるベッドタウンとして発展し、町内には里山の自然やのどかな田園、古くからの農村集落の町並みや新しく開発された住宅地が分散するなど、それぞれ特徴ある地域で構成されています。
町政は、町の発展に伴って、税収が増加傾向にあったこともあり、長年にわたり財政拡大方向の運営が行われた結果として、平成21年度には、財政健全化団体に陥ることになりました。そこで、町は、法律により義務づけられた財政健全化計画を策定し、町民の理解を得ながらその計画に基づく取り組みを実施してきました。
翌平成22年度決算で、財政健全化団体から脱却できたものの、土地開発公社の多額の借入金の返済負担の重さもあって、今後も町の財政は厳しい状況が続くことが見込まれます。
一方、低成長経済や少子高齢化のなかで、これまでのように公共サービスを全て行政が担うことは難しくなるとともに、地方分権化の流れは引き続き進むことが予想されます。
こうした内外の状況に適切に対応し、同じ過ちを二度と繰り返さず、公正で開かれたまちづくりを進めていくためには、これまで町運営を担ってきた議会と行政に加え、元々地方自治の主役としての町民が担い手の一角として積極的な役割を果たすことが求められています。
わたしたちは、過去を忘れるのではなく、学ぶことにより将来の糧とし、町民、議会及び行政の三者が必要な情報を共有し、力を合わせて、住みたい、住み続けたい地域社会を実現させるため、上牧町の最高規範としてこの条例を制定します。

 第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、上牧町のまちづくりに関する基本的事項を定めることにより、町民、議会及び執行機関が、それぞれの役割を自覚し、互いに協働して、町民を主体とした自治に基づく豊かで暮らしやすい地域社会を実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例における用語の定義は、次のとおりとします。
(1) 町民 町内に居住する者、町内で働く者や学ぶ者、町内において事業活動その他の活動を行うもの及び町に利害を有する者又は関心のある者をいいます。
(2) 執行機関 町長を含む町の行政事務を管理・執行する機関をいいます。
(3) 町 町議会及び町の執行機関を含めた地方公共団体をいいます。
(4) 参画 施策や事業等の立案から実施、評価に至る過程に主体的に参加し、責任を持って意思形成に関わることをいいます。
(5) 協働 共通の目的を実現するために、果たすべき役割と責任を自覚し、互いに不足するところを補い合い、対等の立場で協力することをいいます。
(6) まちづくり 豊かで暮らしやすい上牧町及び地域社会をつくるための取り組みをいいます。
(基本原則)
第3条 まちづくりは、次に掲げる基本原則により行います。
(1) 町民、議会及び執行機関は、まちづくりに関する情報を共有します。
(2) まちづくりは、町民が参画し、議会及び執行機関と協働して行います。
(3) 議会及び執行機関は、職務を誠実に遂行するとともに、町民に対し説明責任を果たします。
(4) まちづくりは、計画に立脚して行い、その結果を検証及び評価し、まちづくりの改善に役立てます。
(最高規範性)
第4条 この条例は、上牧町におけるまちづくりの最高規範であり、町は、他の条例、規則等の制定改廃及び運用にあたっては、この条例の趣旨を最大限に尊重し、この条例との整合性を図らなければなりません。
2 町は、この条例に定める内容に即して、他の条例、規則等の体系化を図り、まちづくりの基本的な計画の体系化と制度の整備に努めなければなりません。

 第2章 町民の権利と義務
(まちづくり参画の権利)
第5条 町民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参画する権利を有します。
(未成年のまちづくり参画の権利)
第6条 未成年の町民についても、各々の年齢に応じてまちづくりに参画する権利を有します。
(まちづくり参画における町民の責務)
第7条 町民は、まちづくりに関する多様な活動が自治を育てるということを認識し、互いの活動を尊重しなければなりません。

 第3章 議会及び議員の役割と責務等
(議会の役割と責務)
第8条 議会は、直接選挙により選ばれた議員で構成される、町としての意思を審議及び決定する機関として設置され、この条例に基づき議会としての責務を果たします。
2 議会は、住民が議会活動に関心と理解を深めるよう積極的に情報を提供するとともに、議会及び委員会の全ての会議を公開し、住民と情報を共有します。ただし、必要と認められる時は、会議を非公開とすることができます。その場合は、非公開とする理由を公表しなければなりません。
3 議会は、主権者である住民に対する説明責任を果たすため、議会における意思決定の内容及びその過程を説明しなければなりません。
4 議会は、住民参画を推進するため、公聴会や参考人制度等を活用するとともに、住民との対話の場を設け、広く意見を求め、住民の声が政策に反映されるよう努めなければなりません。
5 議会は合議制であることを自覚し、長期的展望をもって政策を議論し、まちづくりに必要な政策提案と立法活動を行わなければなりません。
6 議会は、その権限を有効に用いて、執行機関の町政運営を調査並びに監視し、その結果を公表しなければなりません。
(議会の権限)
第9条 議会は、まちづくりの主体を町民としたこの条例の主旨に基づき、議会の責務を果たすため権限を行使します。
2 議会は、条例の制定改廃や決算の認定など法に定められた権限、執行機関の町政運営を監視、けん制する権限並びに次に掲げる事項を議決する権限を持っています。
(1) 基本構想及びこれを具体化するための基本計画(以下これらを「総合計画」といいます。)
(2) 住民生活又は地域に影響を及ぼす重要な施策及び制度
(3) 他市町村との協定並びに連携
(議員の役割と責務)
第10条 議員は、住民により選ばれた公職者として、責任を自覚するとともに品位を保持し、住民全体の福祉の向上と暮らしやすいまちづくりを目指して、誠実に職務を果たさなければなりません。
2 議員は、議会活動に関する情報を住民に分かりやすく説明するとともに、広く住民の声に耳を傾け、これを町政に反映させるよう積極的に政策を提案し、その実現に向けて最大限努力しなければなりません。
3 議員は、行政活動が適正かつ効率的並びに効果的に行われるよう監視と点検を行い、一般質問及び質疑を活用して、行政の改善を促進しなければなりません。
4 議員は、常に課題意識を持ち、広く町内外の情報を収集してまちづくりの調査研究を行い、政策立案能力及び審議能力の向上に努めなければなりません。

 第4章 執行機関の役割と責務等
(町長の責務)
第11条 町長は、町の代表者として町民の信託にこたえ、まちづくりの基本理念を実現するよう公正で透明で開かれた町政の運営にあたらなければなりません。
2 町長は、毎年、町政運営の目標並びに方針を明示し、結果を公表しなければなりません。
(職員採用等)
第12条 町長は、職員の採用にあたっては、公募を原則とし、応募状況、採用結果について公表しなければなりません。
2 町長は、町民との協働に必要な能力を備えた職員の養成に努めなければなりません。
(執行機関の責務)
第13条 執行機関は、その権限と責任において、公正で誠実かつ迅速に職務を執行しなければなりません。
2 執行機関は、町民と協働してまちづくりを推進するため、多様な参画制度を設け、町民の参画の機会を保障しなければなりません。
(町職員の責務)
第14条 町職員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために公正で誠実かつ効果的に職務に専念しなければなりません。
2 町職員は、常に公務員として職務に必要な知識、技能の向上に努めなければなりません。
(法令の遵守等)
第15条 町は、まちづくりに関する施策の公正性及び透明性を確保するため、常に法令を遵守し、そのための必要な措置を講じるものとします。
2 前項に規定する必要な措置については別途定めます。

 第5章 町政運営
(組織の編成)
第16条 町は、社会情勢の変化に対応し、町民に分かりやすく機能的で、最小の経費で最大の効果を挙げるよう組織づくりを行うものとします。
2 町は、職員の適切な任用及び効果的な人員配置を図るものとします。
3 町の組織は、状況の変化に柔軟に対応し、縦割り行政の弊害をなくすうえにおいても相互の連携を図らなければなりません。
(危機管理)
第17条 町は、町民、関係機関等との協力及び連携により、不測の事態に備えるため、総合的かつ機動的な危機管理体制の確立に努めなければなりません。
2 町は、危機管理体制のなかで自主防災機能の向上を図るため、町民の活動を積極的に支援します。
(総合計画等の策定)
第18条 町は、総合的かつ計画的に町政運営を図るため、総合計画及びこれに基づく都市計画マスタープラン等をこの条例の趣旨にのっとり策定し、計画的な町政運営に努めなければなりません。
2 町は、総合計画の策定、見直し並びに評価にあたっては、幅広く町民の参画を得て行わなければなりません。
(説明責任)
第19条 町は、政策の立案から実施、評価に至るまで、その経過や内容、目標の達成状況等を町民に分かりやすく説明しなければなりません。
(応答責任)
第20条 町は、公職者及び町民からの要望等については、迅速かつ丁寧に対応し、その記録を作成するとともに、定期的に公表しなければなりません。
2 前項に規定する事項については、別に条例で定めます。
(財政運営及び制度の整備)
第21条 町は、総合計画を実施するため、中期及び長期財政計画を定め、財源を効率的かつ効果的に活用し、健全な財政運営を図らなければなりません。
2 町は、財政計画を定めたときは、住民に分かりやすく公表しなければなりません。
(予算編成、執行及び決算)
第22条 町長は、予算について、編成過程を含め、住民が具体的に把握できるよう、分かりやすく公表しなければなりません。
2 町長は、町の事業の予定及び進捗状況が明らかになるよう予算の執行計画を策定し、住民に分かりやすく公表しなければなりません。
3 町長は、住民が決算内容を理解できるよう、分かりやすく公表しなければなりません。
(財産管理)
第23条 町長は、町が保有する財産を明らかにし、財産の計画的な管理及び効率的な運用に努めなければなりません。
(財政状況の公表)
第24条 町長は、財政に関する状況について、具体的な所見を付して分かりやすく公表しなければなりません。
(行政評価)
第25条 町は、効果的かつ効率的な行政サービスと行政運営の透明性の向上を図るため、客観的行政評価を実施し、その結果を公表するとともに、その評価に基づいて、町政運営の改善に努めなければなりません。
(個別外部監査)
第26条 町は、適正で効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、必要に応じて外部機関その他第三者(以下「外部機関等」といいます。)に監査を実施させることができます。
2 住民は、前項に規定する目的を達成するため、監査委員による監査に代えて、外部機関等による監査の実施を請求することができます。
3 町は、前項に規定する請求があったときは、外部機関等に監査を実施させることができ、その結果を公表するものとします。ただし、当該監査を実施させないときはその理由を公表しなければなりません。

 第6章 情報の共有等
(情報の公開及び提供)
第27条 町が保有する情報は、町民共有の財産であり、町は、別に条例で定めるところにより、情報を公開して町民の知る権利を保障しなければなりません。
2 町民が町政を理解し、まちづくりに参画し、協働できるよう、町は、町政に関する情報を速やかに分かりやすく提供しなければなりません。
(情報共有の推進)
第28条 町は、具体的な施策若しくは制度により情報共有を推進しなければなりません。
(情報の収集及び管理)
第29条 町は、町政運営に必要な情報の収集に努めなければなりません。
2 町は、その保有する情報を速やかに提供できるよう、統一された基準により整理し、適正に管理及び保存しなければなりません。
(個人情報の保護)
第30条 町は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、別に条例で定めるところにより、個人情報の保護について必要な措置を講じなければなりません。
(選挙公報等)
第31条 町長及び町議会議員の立候補者は、選挙にあたり、町政に関する自らの考えを公約として住民に示すように努めなければなりません。
2 町は、前項に示す町長及び町議会議員の選挙にあたり、候補者の氏名、経歴、公約等を掲載した選挙公報を、選挙ごとに発行するように努めなければなりません。
3 選挙公報の発行に関する詳細については別途定めます。

 第7章 参画と協働
(まちづくり参画における町の責務)
第32条 町は、町民が自主的かつ主体的に行うまちづくりに参画する諸活動を尊重しなければなりません。
(審議会等)
第33条 町は、町が設置する審議会その他の附属機関(以下「審議会等」といいます。)の委員を選任する場合は、原則として町民からの公募を含めなければなりません。
2 町は、審議会等の会議及び議事録は公開しなければなりません。
3 町は、審議会等の開催の日時及び場所、審議項目などを、事前に広報紙等により町民に知らせなければなりません。ただし、非公開の場合は、その理由及び根拠を明確にしなければなりません。
(住民投票)
第34条 住民は、町長に対して住民投票を請求することができます。
2 議会及び町長は、住民投票を発議することができます。
3 住民投票の実施に関する必要な事項は、別に条例で定めます。
4 町は、住民投票を実施した場合において、当該住民投票の結果を最大限尊重するものとします。
(まちづくり協議会)
第35条 町民は、多岐にわたる課題等に総合的に対応し、個性的で心豊かな地域をつくるため、一定のまとまりのある地域の多様な主体で構成し、協働してまちづくり活動を行う組織として、まちづくり協議会を設立することができます。
2 まちづくり協議会は、町民に開かれたものとし、町及びその他の組織と連携しながらまちづくり活動を行うものとします。
3 町は、まちづくり協議会の活動に対して必要な支援を行うことができます。
4 町は、まちづくり協議会の自主性及び自立性に配慮するとともに、住民自治の一層の進展を図るうえにおいては、その意思を尊重しなければなりません。
5 まちづくり協議会の組織及び運営等に関する事項は別に定めます。

 第8章 広域連携等
(広域連携)
第36条 町は、共通する課題を解決するため、他の地方公共団体、国及びその他の機関と互いに連携を図りながら協力しなければなりません。

 第9章 条例の見直し等
(取り組み状況の評価)
第37条 町は、毎年定期的にこの条例の取り組み状況を評価し、その結果を公表しなければなりません。
(条例の見直し)
第38条 町は、5年を超えない期間ごとに、この条例の内容に見直しが必要か検討しなければなりません。
2 第1項に規定する検討を行う場合、住民主体の検討委員会を設けて審議しなければなりません。
(条例の改正)
第39条 この条例の改正にあたっては、事前に、住民に改正の趣旨を説明し広く意見を聴く場を設けるとともに、条例改正後は、その内容を改正理由とあわせて公表しなければなりません。

 附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行します。