大田原市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 大田原市 | 自治体コード | 09210 |
都道府県名 | 栃木県 | 都道府県コード | 00009 |
人口(2015年国勢調査) | 72,087人 |
条例データ
制定年 | 2013年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2013100100073/ |
条例本文
○大田原市自治基本条例
(平成25年9月30日条例第35号)
前文
私たちの住む大田原市は、栃木県の北東部にあり、那須五峰から広がる那須野が原の扇状地に位置し、水と緑に囲まれた豊かな大地に育まれ、国指定天然記念物の「ミヤコタナゴ」や市指定天然記念物の「ザゼン草群生地」が見られ、日本有数の鮎の漁獲量を誇る那珂川をはじめ箒川や蛇尾川などの清流に恵まれています。この緑が豊かに広がる田園地帯は、様々な農産物が生産され、四季折々の美しい自然にふれられる風光明媚な土地です。
また、この地域は、日本最古の碑である国宝の「那須国造碑」など多くの史跡が存在し、古代から住民が生活をしてきた長い歴史をもち、江戸時代より受け継がれた城下町を礎としています。
私たちは、このような恵まれた自然環境の中で人々が助け合い、地域コミュニティを構築し、愛着と誇りをもてる豊かな生活や伝統文化を育み、自然と歴史と伝統を大切にし、先人から受け継がれてきた社会を次の世代に引き継いできました。
一方で、私たちを取り巻く社会環境は、核家族化や少子高齢化が進展しており、その制度設計について、再構築が求められています。
また、私たちは、平成23年に発生した東日本大震災やそれに伴う原子力発電所の事故では、未曾有の大きな災害を体験しました。
私たち誰もが、人と人との絆を大切にし、安全で安心な生活を送り、生涯にわたり学ぶ喜びや生きがいのもてる、地域の特性を生かした魅力が息づくまちを強く望んでおり、これからは、震災等の経験を教訓として、生命と財産を守っていく必要があります。
大田原市に住み、働き、学び、活動する私たちは、自治によるまちづくり(以下「自治」という。)の担い手の一人としての責任を有しています。一人ひとりが地域社会の主役であることを十分に自覚し、お互いが個人として認め合い、尊重し合い、関わり合い、支え合い、助け合わなければなりません。
市民が自治や市政に積極的に参加し協働してこそ、自ら責任をもち、地域が自主的かつ自立的に決定していく地方自治を実現することができます。
ここに大田原市自治基本条例を大田原市の自治における最高規範として制定し、いつまでもこのまちに誇りと愛着をもち続けるため、市民が自ら主体的に自治に関わることができるよう、大田原市という自治体における運営の基盤となるルールを定めます。
私たちは、未来を担う子どもたちの小さなポケットの中に、夢と希望と誇りという宝が詰まっている地域の実現を約束します。
(目的)
第1条 この条例は、市民、議会、市長等の役割及び責務並びに市政の運営に関する基本的な事項を定めることにより、本市における自治を推進することを目的とする。
(用語の定義:基本となる用語について)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住している者及び市内に通勤又は通学している者並びに市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。
(2) 市長等 市の執行機関(市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。)及び公営企業管理者をいう。
(3) 子ども 18歳未満の市民をいう。
(自治の基本理念:自治の基本的な考え方について)
第3条 自治の推進は、市民の意思に基づき、市民、議会、市長等の協働によるものとする。
(自治の基本原則:自治のあるべき姿の実現に向けて)
第4条 市民、議会、市長等は、次に掲げる基本原則にのっとり、自治を推進するものとする。
(1) 参加の原則 市民が参加することを基本とし、自治を推進すること。
(2) 協働の原則 市民協働によることを基本とし、自治を推進すること。
(3) 情報共有の原則 市政に関する情報を共有することを基本とし、自治を推進すること。
(4) 評価及び改善の原則 市長等の行う事業等を評価及び改善することにより、自治を推進すること。
(市民の権利、役割及び責務:市民として自覚しておくべきこと)
第5条 市民は、市民として尊重され、快適な環境で安全で安心して生活を営む権利を有するものとする。
2 市民は、市政に参加する権利及び平等に行政サービスを受ける権利を有するものとする。
3 市民は、自らが自治の主体であることを自覚し、自治を推進するための公共的活動に取り組むよう努めるものとする。
4 市民は、地域の中で安心して暮らし続けることができるよう、自ら自治組織の活動に参加し、相互に助け合い、地域課題の解決に努めるものとする。
5 市民は、市政に参加するときは、自らの発言及び行動に責任をもつとともに、相互に尊重しなければならない。
(議会の役割及び責務:市民のための議会とは)
第6条 議会は、市政運営を監視し、又は政策を立案し、提言するとともに、公正かつ透明で、開かれた議会運営を行うよう努めるものとする。
2 議員は、市民全体の代表者として、公正かつ誠実に議員活動を行うものとする。
(市長等の役割及び責務:市民のために働く役所とは)
第7条 市長は、本市を代表し、公正かつ誠実に総合的に市政を運営するものとする。
2 市長等は、誠実にその権限に属する事務を遂行するとともに、市民福祉の増進を図るため、自治に寄与する公共的活動に協力し、必要な支援に努めるものとする。
3 市長等は、市政への市民の参加を図るための環境を整備するよう努めるものとする。
(行政手続:公平で透明な行政運営とは)
第8条 市長等は、市政運営の公平性及び透明性を確保するために、行政手続を適正に行わなければならない。
2 適正な行政手続の実施に関し必要な事項は、別に条例で定めるところによる。
(市民の意思表明:政策に市民の意思を反映させるために)
第9条 市長等は、主要な政策等を策定するに当たっては、広く市民の意見を求め、その意見を踏まえて政策等の決定を行うものとする。
(子どもの参加:すべては子どもたちの未来のために)
第10条 市民、議会、市長等は、子どもが安全で安心して健やかに育つ環境の整備に努めるとともに、地域の一員として自治への参加の機会をつくり、子どもの意見を自治に反映させるものとする。
(情報の公開、個人情報の保護等:市民の知る権利と個人情報を保護するために)
第11条 市は、市政に関する情報を公開し、市民と情報を共有するものとする。
2 市は、保有する個人情報を適正に取り扱い、個人の権利及び利益を保護しなければならない。
3 情報の公開及び個人情報の保護に関し必要な事項は、別に条例で定めるところによる。
(意見等への対応:的確な対応を図り改善等に活かすために)
第12条 市は、市民から意見、苦情、不服等があったときは、速やかに、かつ、適切に対応しなければならない。
(行財政運営:効率的な行財政運営を行うために)
第13条 市は、自治の基本理念、将来像を明らかにし、市民と協力して自治を推進するために総合計画を策定するものとする。
2 市は、効率的かつ効果的な市政運営を行うため、行政評価を実施し、その結果を市民に公表するものとする。
3 市は、中長期的な財政見通しのもとに、総合計画及び行政評価の結果を踏まえて、予算を編成するとともに、計画的で健全な財政運営に努めなければならない。
(住民投票:住民の総意を表明するために)
第14条 市は、別に条例を定めることにより、市政に係る重要な事項について、直接に住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができる。
2 市は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
(危機管理:非常事態に際し市民を守るために)
第15条 市は、災害等の緊急の事態において、その影響を最小にとどめるよう、市民、関係機関等との連携及び協力のもと、体制を整備しなければならない。
(広域連携:広域的な連携による自治を推進するために)
第16条 市は、他の地方公共団体、国その他機関と広域的な連携を図り、自治を推進するものとする。
(条例の位置付け:自治の最高規範とするために)
第17条 この条例は、本市における自治の基本を定めるものであり、市民、議会、市長等は、自治を推進するに当たっては、この条例の趣旨を尊重するものとする。
2 市は、条例の制定、改廃若しくは運用又は政策の策定、改廃若しくは実施に当たっては、この条例に定める事項を順守しなければならない。
(条例の見直し:自治基本条例が十分な役割を果たすために)
第18条 市は、社会変化の状況を踏まえ、必要に応じて、この条例の改正を行うものとする。
附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。