条例

愛西市自治基本条例

自治体データ

自治体名 愛西市 自治体コード 23232
都道府県名 愛知県 都道府県コード 00023
人口(2015年国勢調査) 60,829人

条例データ

条例本文

○愛西市自治基本条例
平成26年12月26日
条例第22号

目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 各主体の権利、権限及び責務(第5条―第15条)
第3章 コミュニティの形成(第16条―第22条)
第4章 市政運営と市民参画(第23条―第36条)
第5章 他の自治体等との連携(第37条)
第6章 最高規範性(第38条)
第7章 条例の運用と点検、検証(第39条・第40条)
第8章 条例の改正(第41条)
附則

愛西市は、平成17年4月1日、4つの町村がひとつの市となり新しくスタートしました。木曽三川等の豊かな水と、濃尾平野の肥沃な大地に恵まれています。私たちの祖先は水と戦い、その都度知恵を活かし治水に努めてきました。こうした環境の中で、自然と文化の豊かさを実感し、人と人、地域と地域とが支え合って、歴史と伝統がいきづくまちをつくってきました。
それぞれの伝統と特性を互いに尊重しながら、私たちが主体となり、これからも住み続けたくなるまち、人々が和む心豊かなまち、私たちも次の世代も幸せに暮らすことのできる愛西市を目指します。
私たちは地域の中で関わり合い、情報を共有し、お互いによく話し合い、一人ひとりが自ら考え、行動し、「自治の力量」を高めていく必要があります。まちの課題は、地域社会や経済環境の変化に伴い変わっていきますが、自治の担い手である私たちは、互いに権利を尊重しながらそれぞれの責任と義務を果たしていきます。
私たち愛西市民は、今ここに、自治の主体としての権利と責務を改めて認識し、市民が主体の自主自立のまちづくりに取り組むことを決意して、自治の最高規範となるこの条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、愛西市における自治の基本的な考え方及びしくみを定めることにより、市民が主体のまちを実現することを目的とします。
(用語の定義)
第2条 この条例における用語の定義は次のとおりとします。
(1) 市民 市内に居住し又は、通勤・通学する個人及び市内で事業を営む法人その他市内で活動する団体をいいます。
(2) 市 市議会及び市長等をいいます。
(3) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(4) 市民参画 政策の立案、実施、評価等の各段階に市民が主体的に参加し、市政の運営に自らの意見や要望を反映させるように努めることをいいます。
(5) 協働 市民及び市が、お互いの主体性や特性を尊重し合い、それぞれの役割及び責任を果たしながら協力して公共的な課題の解決に当たることをいいます。
(6) コミュニティ 多様な個人が地域で共に暮らし、連携して地域課題に自主的に取り組む中で生まれる人と人のつながりをいいます。
(自治の基本的な考え方)
第3条 自治の基本的な考え方は、次のとおりとします。
(1) 市民主権 市民はまちづくりの主体であり、地域でできることは地域で行い、自発的、自主的、主体的にまちづくりを推進します。
(2) 人権の尊重 年齢、性別、国籍その他にかかわらず、市民一人ひとりの人権を尊重します。
(3) 地域特性の尊重 地域の歴史と文化の特性を理解し、尊重したまちづくりを行います。
(4) 地方分権及び地域内分権の推進 自主自立の市政運営を図るため、地方分権については、基礎自治体としての権限の拡充に取り組むとともに、地域内分権の推進についても、地域の自主自立を目指した活動の促進に取り組みます。
(5) 非核平和の実現 世界の人々と友好の絆を深めながら人類共通の願いである非核平和の実現に向けたまちづくりを行います。
(6) 地球環境の保全 健全で恵み豊かな環境を将来の世代に継承するために地球全体の環境に配慮したまちづくりを行います。
(自治の基本原則)
第4条 前条の考え方をもとに、次に掲げる基本原則に基づき自治を推進します。
(1) 情報の共有の原則 市民と市が、相互に市政運営に関する情報を共有します。
(2) 市民参画の原則 市民参画を基本として、市政運営を行います。
(3) 協働の原則 協働を基本として、市政運営を行います。
(4) 多様性の尊重の原則 年齢、性別、国籍その他それぞれの置かれた状況を尊重し、市民一人ひとりが個性及び能力を十分に発揮することができるようにするとともに、地域の歴史、文化及び価値観を尊重します。

第2章 各主体の権利、権限及び責務
(市民の権利及び責務)
第5条 公職選挙法(昭和25年法律第100号)第9条第2項に規定する選挙権を有する者(以下「有権者」という。)は、自治の主体として、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に定めるところにより、代表を選ぶ権利、条例の制定、改正又は廃止等の直接請求を行う権利その他の権利があり、これを行使することができます。
2 市民は、愛西市情報公開条例(平成17年愛西市条例第8号)及び愛西市行政手続条例(平成17年愛西市条例第10号)に基づく権利があり、これを行使することができます。
3 市民は、前2項に規定するもののほか、自治の主体として、次に掲げる権利を行使することができます。
(1) 市政運営に関する情報を知る権利
(2) 市民が市政運営に参画する権利
(3) 協働をする権利
4 市民は、市が提供するサービスを享受することができます。
第6条 市民は、自治の主体として、市政運営に関心を持ち、市政運営に対する意識を高めるように努めなければなりません。
2 市民は、前条第1項から第3項までに掲げる権利及びその他の権利の行使に当たっては、自らの発言、決定及び行動に責任を持たなければなりません。
3 市民は、市が提供するサービスの享受にあたっては、応分の負担を負わなければなりません。
4 市民は、お互いによく話し合い議論を深めるように努めなければなりません。
(市議会、市議会議員の権限及び責務)
第7条 市議会は、市民の信託を受けた議事機関として、市民の意思を市政運営に適正に反映させるため、法に定めるところにより、市政運営を監視します。
2 市議会は、条例の制定、改正及び廃止、予算の決定、決算の認定その他市政運営の基本的なことを議決し、市の意思を決定します。
第8条 市議会は、市民の代表として、全市的な視点及び市を健全な状態で次世代に引き継ぐための視点に立って、次に掲げる機能を果たさなければなりません。
(1) 市の意思決定機能
(2) 市政運営の監視機能
(3) 政策立案機能
(4) 立法機能
2 市議会は、次に掲げることを基本として運営されなければなりません。
(1) 市議会の審議その他の活動について、常に市民との情報の共有を図り、開かれた議会運営に努めます。
(2) 市民への説明責任を果たし、市民との信頼関係を高めていくことに努めます。
(3) 広く市民の意見を聴き、その意見を市議会の運営及び前項の機能を発揮していくことに努めます。
3 市議会は、その権限を行使するに当たっては、自治の基本的な考え方及び基本原則に基づき、常に市民の権利を保障することを基本としなければなりません。
第9条 市議会議員は、市民の代表として、自己の研さんに努めるとともに、自らの発言、決定及び行動に責任を持って普遍的な利益のために活動しなければなりません。
(市長の権限及び責務)
第10条 市長は、市民の信託を受けた執行機関として、法に定めるところにより、愛西市を統轄し、愛西市を代表します。
2 市長は、法に定めるところにより、市議会への議案の提出、予算の調製、市税の賦課徴収等の市の事務を管理し、これを執行します。
第11条 市長は、市民の代表として、広く市民の意見を聴くとともに、自らの発言、決定及び行動に責任を持って市政運営に当たり、前条に規定する権限を公正かつ誠実に執行しなければなりません。
2 市長は、その権限の行使に当たっては、自治の基本的な考え方及び基本原則に基づき、常に市民の権利を保障することを基本としなければなりません。
3 市長は、毎年度、市政運営の方針を定め、これを市民及び市議会への説明責任を果たすとともに、その達成状況を報告しなければなりません。
第12条 市長は、最少の経費で最大の効果を上げることを柱として、持続可能な財政運営に努めなければなりません。
2 市長は、財政状況を市民に分かりやすく公表しなければなりません。
(市長以外の執行機関の権限及び責務)
第13条 市長以外の執行機関は、法その他の法令に定める権限に属する事務を管理し、これを執行しなければなりません。
第14条 市長以外の執行機関は、広く市民の意見を聴くとともに、前条に規定する権限に属する事務を公正かつ誠実に管理し、執行しなければなりません。
2 市長以外の執行機関は、その権限に基づく事務に係る基本的な事項について、市民及び市議会への説明責任を果たさなければなりません。
(市の職員の責務)
第15条 市の職員は、全体の奉仕者として、法令を遵守し、公正かつ誠実に全力を挙げて職務を遂行しなければなりません。
2 市の職員は、自治の基本的な考え方及び基本原則に対する理解を深め、職務の遂行に必要な能力の開発及び自己啓発に努めなければなりません。

第3章 コミュニティの形成
第16条 市民は、安心して心豊かに暮らすことができるコミュニティを形成するために、自発的な意思によってお互いに助け合い、地域の課題を共有し、解決に向けて自ら活動するように努めます。
第17条 市民は、お互いに育みあえるコミュニティを形成するために、多世代、多文化及び多分野の交流を大切にします。
第18条 市民は、自らコミュニティを形成するために、市民が主体となり地域の個性を活かした運営が大切であるため、お互いの意見を尊重した上、熟議し、市民自らの手で決定し、実行します。
第19条 満20歳未満の青少年及び子ども(以下「青少年等」という。)は、年齢に合わせてまちづくりに参加することができます。
2 コミュニティは、青少年等が自立した市民へ成長するように見守ります。
3 市は、青少年等がまちづくりへ参加する権利を保障します。
第20条 市長等は、第18条に定めるコミュニティの形成について、その仕組みを整え、活動の後押しをします。
第21条 市長は、コミュニティの形成に向けて、一定のまとまりのある地域の市民が、互いに協力し、自ら地域づくりに取り組むための最も身近で公的な自治の単位の設置について、地域と協議し、実行していきます。
第22条 市長等は、市民と協働し、コミュニティの形成の発展を支える人材を育成するための機会を提供するとともに、体系的な育成に努めなければなりません。

第4章 市政運営と市民参画
(将来ビジョン等の策定)
第23条 市長等は、地域のまちづくりに取り組む市民の意見を聴きながら、愛西市の総合的かつ計画的な市政運営を図るための将来ビジョン等(以下「総合計画等」という。)を策定し、まちづくりをすすめます。
(情報公開)
第24条 市は、市政運営に関する市民の知る権利を保障し、市が行う諸活動を市民に説明するため、市が持っている情報を積極的に公開し、市民と情報を共有します。
2 前項の市が持っている情報の公開の手続等については、別に条例で定めます。
(行政手続)
第25条 市長等は、市民の権利及び利益の保護に資するため、市長等が行う許認可の申請等の手続について、行政手続法(平成5年法律第88号)等に定めるもののほか、その基本的な事項を定め、公正の確保及び透明性の向上を図らなければなりません。
2 前項の手続きの基本的な事項については、別に条例で定めます。
(選挙)
第26条 有権者は、主権者としての権利を行使するため、選挙により、市民の代表者である市長と市議会議員を選出し、市政運営を信託します。
第27条 市長及び市議会議員の候補者は、選挙にあたり、市政に関する方針や政策をわかりやすく市民に示します。
(企画立案等)
第28条 市民は、総合計画等の企画立案の過程において、積極的に参画します。
第29条 市長等は、総合計画等の企画立案の過程において、市民に対して正確でわかりやすい情報を積極的に提供し、青少年等や各世代の意見を聴く機会を設けます。
第30条 市議会議員は、議会の場において議員間における討議を通じて合意形成を図り、政策立案、政策提言等を積極的に行います。
第31条 市長等は、多様な政策課題に適切に対応していくため、政策形成能力の向上に努めます。
(審議会等)
第32条 市長等は、審議会等の委員等(以下「委員等」という)の選任に当たっては、公平性に配慮し、選任の手続について透明性を確保するよう努めます。
2 市長等は、男女共同参画の本旨に則り、委員等の男女の構成比に配慮します。
3 市長等は、委員等をできるだけ市民から公募します。
(住民投票)
第33条 市長は、市の重要な方針について、直接、市民の意思を確認する必要があるとき、また、法の定めるところにより有権者から請求があったときは、その都度、市議会の議決を経て、当該議決による条例の定めるところにより住民投票を実施することができます。
2 市民及び市は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
(政策の実行)
第34条 市民は、自らの発言と行動に責任を持ち、市の政策の実行に積極的に参画するよう努めます。
(行政評価)
第35条 市長等は、効率的かつ効果的な市政運営を行うため、行政評価を行います。
2 市長等は、行政評価について、内部評価に加え、市民参画による外部評価を行うよう努めることとし、その結果を市民にわかりやすく公表します。
(危機管理)
第36条 市長等は、災害等不測の事態に備えて、市民、関係機関との連携により、総合的かつ機動的な危機管理体制を整備します。
2 市民は、災害等の発生時に自らを守る努力をするとともに、自らが果たすべき役割を認識し、相互に協力して災害等に対応するよう努めます。

第5章 他の自治体等との連携
第37条 市は、広域的な課題の解決を図るため、他の自治体等との連携及び協力するよう努めなければなりません。

第6章 最高規範性
第38条 この条例は、愛西市における自治についての最高規範であり、市民及び市は、この条例を守らなければなりません。
2 市は、他の条例、規則等の制定、改正及び廃止並びに法令の解釈及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合を図らなければなりません。

第7章 条例の運用と点検、検証
(運用と点検)
第39条 市民と市は、この条例の運用と点検においては、自治の基本的な考え方及び基本原則に基づき行います。
(検証)
第40条 市長等は、この条例の内容を社会や経済情勢の変化に照らして、検証を行います。
2 市長等は、前項の検証に当たっては、最も効果的な方法により市民の意見を聴かなくてはなりません。
3 市長等は、第1項の検証を行ったときは、その結果を公表しなければなりません。

第8章 条例の改正
第41条 市長は、この条例の改正を提案しようとする場合(法第74条の規定に基づく付議である場合を除く。)は、この条例の趣旨を踏まえ、あらかじめ広く市民の意見を聴かなくてはなりません。

附 則
この条例は、平成27年4月1日から施行します。