甲賀市まちづくり基本条例
自治体データ
自治体名 | 甲賀市 | 自治体コード | 25209 |
都道府県名 | 滋賀県 | 都道府県コード | 00025 |
人口(2015年国勢調査) | 88,358人 |
条例データ
制定年 | 2016年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.koka.lg.jp/10031.htm |
条例本文
○甲賀市まちづくり基本条例
平成28年3月29日
条例第11号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 まちづくりの基本原則(第6条―第12条)
第3章 各主体の役割及び責務(第13条―第16条)
第4章 まちづくりを推進する仕組み(第17条―第21条)
第5章 行政運営(第22条―第30条)
第6章 条例の実効性の確保(第31条)
付則
私たちのまち甲賀市は、鈴鹿山脈などの山々や数々の清流等、緑と水が織りなす豊かな自然と美しい景観に恵まれています。太古、古琵琶湖であった肥沃な大地は、美味しい米や茶を育て、窯業や薬業などの地場産業を生み、発展させてきました。
歴史をひもとくと、古代には紫香楽宮に遷都され、短期間とはいえ日本の中心となりました。中世には「甲賀衆」と呼ばれた武士が広く結集し、「 郡中惣ぐんちゅうそう 」という強い結びつきが生まれ、この地に合議に基づく自治の伝統を築きました。世界に知られる「忍者」、「忍術」も、戦国の世を生き抜いてきた彼らの知恵がその源流となっています。
また、近世には、人・物・情報が行き交う宿場町や城下町が形成されて交通の要衝にもなり、豊かな地域文化が開花しました。東海道をはじめとして、過去から現在まで、この地域は常に「道」とともに発展し続けています。
私たちは、先人が長年にわたり培ってきたこうした歴史や文化に誇りを持ち、地域を愛する心を育み、自らとそして未来ある子どもたちのために、魅力あふれる本市のまちづくりに取り組まなければなりません。
そこで私たちは、自治の担い手として協働により豊かな地域社会の実現を目指すために、まちづくりの基本理念や基本原則を掲げ、ここに崇高なまちづくりの規範となるこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、まちづくりの基本原則並びに市民、議会及び市長等のそれぞれの役割及び責務、その他本市のまちづくりに関する基本的な事項を定めることにより、自治の進展を図り、もって安心して暮らせる住みよいまちを実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 市民 市内に居住する人、市内に通勤若しくは通学する人又は市内で事業若しくは活動を行う個人、企業、事業所若しくはその他の団体をいいます。
(2) 市長等 市長、法律の定めるところにより設けている委員会又は委員及び職員等の補助機関をいいます。
(3) まちづくり 第4条に掲げるまちの姿を実現するために行われる全ての活動をいいます。
(4) 協働 各主体が、それぞれ対等な関係のもと、互いを尊重し合いながら役割及び責任を持って、連携・協力することをいいます。
(まちづくりの基本理念)
第3条 本市のまちづくりは、甲賀市市民憲章の理念に基づき推進します。
(目指すまちの姿)
第4条 市民、議会及び市長等は、まちづくりの担い手として、自ら輝く未来のために次に掲げる本市のあるべき姿を考え、その実現に向けて行動します。
(1) 誰もが等しく個人として尊厳及び権利が守られるまち
(2) それぞれの地域の特性を生かしながら、時代の変化に対応できる活力のあるまち
(3) 誰もが地域で社会生活を営み、互いに支え合って安心して暮らすことができる福祉のいきとどいた住みよいまち
(条例の位置づけ)
第5条 この条例は、本市のまちづくりにおける仕組み及び活動の基本となるものです。
第2章 まちづくりの基本原則
(市民の権利)
第6条 市民は、市政に関する情報を知る権利を有するとともに、協働してまちづくりに関わる権利を有します。
2 市民は、性、年齢、障がいの有無等に関わらず、誰もが等しく個人として尊重される権利を有します。
(市民参加)
第7条 市民は、それぞれの立場を尊重し合いながら、まちづくりに関心を持って積極的に参加するよう努めます。
2 市長等は、市民の参加及び協働を推進するため、政策等の立案、実施、評価及び改善過程において、市民が主体的に関われるよう、多様な参加の機会を設けるよう努めます。
3 市長等は、市民より得られた提案又は意見を市政及びまちづくりに反映させるよう努めます。
(子どもの権利)
第8条 子どもは、生きる、守られる及び育つ権利を有するとともに、まちづくりに参加することができます。
(学び及び教育)
第9条 市民は、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、生涯にわたり積極的に学ぶことに努めます。
2 市民及び市長等は、誰もが生涯にわたり積極的に学べる環境づくりに努めます。
3 市民及び市長等は、互いに連携・協力しながら地域全体で子どもを育んでいけるよう、地域の教育環境を整えることに努めます。
(多文化共生)
第10条 市民及び市長等は、国籍等の異なる人々が互いの文化を認め合い、共存できるまちづくりを推進します。
2 市長等は、市民が多様な文化とふれあい、交流できる環境を整えます。
(安全安心なまちづくり)
第11条 市民及び市長等は、関係機関等と連携・協力し、身体や生命を脅かす事故等を予防するための仕組みを構築し、全ての市民が積極的に参加するよう啓発に努め、安全安心なまちづくりを推進します。
2 市民は、個人として、また、地域ぐるみで自然災害等に備えた取組みを行い、災害時には、互いに協力しながら対処するよう努めます。
3 市長等は、市民及び関係機関等と連携・協力し、防災、減災につながる取組みを進めるとともに、緊急時には緊密な連携のもと、危機管理に努めます。
(情報の提供及び共有)
第12条 市民、議会及び市長等は、市民参加によるまちづくりを推進するため、まちづくりに関する情報を互いに提供し、共有します。
2 議会及び市長等は、前項に規定する情報が、市民共有の財産であることを認識し、適正に管理します。
第3章 各主体の役割及び責務
(市民の役割及び責務)
第13条 市民は、まちづくりのために、できることを自ら考え、積極的に行動するとともに、互いに支え合います。
2 市民は、地域社会の一員として社会的規範を守り、互いを尊重し、自らの言動に責任を持ちます。
(企業及び事業所の役割及び責務)
第14条 企業及び事業所は、地域社会の一員として、市民及び市長等と連携・協力し、まちづくりに貢献します。
(議会及び議員の役割及び責務)
第15条 議会は、市民の声が公正に市政に反映されるよう努めるとともに、その過程を市民に明らかにします。
2 議員は、市民全体の代表者として、広く市民の利益を重んじながら職務を遂行し、市民の負託に応えます。
3 議会及び議員の責務、活動等に関しては、別に定める条例によるものとします。
(市長等の役割及び責務)
第16条 市長は、市政の基本方針を明らかにするとともに、広く市民の意見を聴き適切に反映させます。
2 市長等は、市民全体の奉仕者として、公平、誠実、迅速かつ効率的にその所管する職務を遂行します。
3 市長等は、本市の魅力や情報を積極的に発信します。
4 市長等は、職務の遂行に必要な知識の習得及びまちづくりを推進するために必要な能力の向上に取り組みます。
第4章 まちづくりを推進する仕組み
(区及び自治会)
第17条 区及び自治会は、地域に住む人のつながりを基にした基礎的な自治組織で、地域の様々な課題解決を図り、人と人との交流並びに地域における伝統文化の継承及び発展等に取り組みます。
2 当該地域に居住する市民は、積極的に区及び自治会の諸活動に参加することにより、身近な暮らしの中で互いに協力し、助け合い、住みよい地域をつくるよう努めます。
3 市長等は、区及び自治会と互いに協力し合える関係をつくります。
(自治振興会)
第18条 自治振興会は、区及び自治会をはじめ、地域の関係団体等が連携・協力し、広域的な地域課題の解決や魅力の向上に向けて、自主的かつ主体的にまちづくりを推進する組織です。
2 自治振興会は、その地域に住む又はその地域で活動する全ての市民を対象とし、広域的な視点を持って、将来を見据えた地域づくり計画を策定し、より多くの人の参加及び自由な発想により特色ある地域をつくります。
3 市長等は、自治振興会の地域づくり計画に基づく取組みに対して必要な支援を行います。
(協働によるまちづくり)
第19条 市民、議会及び市長等は、相互に信頼関係を築き、協働によるまちづくりを推進します。
(市民活動)
第20条 市民は、よりよいまちづくりのための役割を意識し、自主的かつ自立的な活動に努めます。
2 市長等は、市民自らが行う公益活動の積極的な支援に努めます。
3 市民及び市長等は、地域の将来を担う人材の発掘、育成及びその組織づくりを推進します。
(住民投票)
第21条 市長は、市政に係る重要事項について、必要があると認める場合には、広く住民(市内に住所を有する人をいいます。以下「住民」といいます。)の意思を確認するため、その都度、議会の議決を経て制定される条例(以下「住民投票条例」といいます。)の定めるところにより、住民投票を実施することができます。
2 市長及び市議会議員の選挙権を有する住民は、住民投票条例の制定を法令の定めるところにより、市長に請求することができます。
3 住民投票の実施に関し必要な事項は、住民投票条例で定めます。
第5章 行政運営
(国及び他の地方公共団体との関係)
第22条 市長等は、まちづくりを推進するに当たっては、国及び他の地方公共団体と積極的に連携・協力を図るとともに、地方分権の考え方に基づいた適正な関係を築きます。
(情報の公開)
第23条 議会及び市長等は、別に条例で定めるところにより、その保有する情報を市民に公正かつ適正に公開します。
(個人情報保護)
第24条 議会及び市長等は、別に条例で定めるところにより、保有する個人情報を適正に管理するとともに、その取扱いに関しても個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、適切な措置を講じます。
2 市民は、個人情報の取扱いに関し、個人の権利及び利益を侵害しないよう努めます。
(行政運営の基本原則)
第25条 市長等は、総合的かつ計画的な視点に立ち、公正かつ透明性の高い行政運営を行うとともに、その職務を遂行するに当たっては、最少の経費で最大の効果を上げるように取り組みます。
(総合計画)
第26条 市長等は、議会の議決を経て定められた基本構想及び基本計画に基づき、総合的かつ計画的な行政運営を行い、その策定に当たっては、市民の意見を適切に反映させます。
(財政運営)
第27条 市長等は、予算の編成及び執行に当たっては、中長期的な視点に立ち、健全な財政運営を図ります。
(財産管理)
第28条 市長等は、保有する公有財産を適正に管理し、市民の提案等を適切に反映させながら効果的に活用します。
(行政評価)
第29条 市長等は、市民の意見を取り入れた行政評価を行うとともに、その結果を行政運営に反映させるよう努めます。
(説明責任)
第30条 市長等は、行政運営の情報を計画段階から実施及び評価に至るまで、市民に適時かつ適切に公表して透明性を高め、説明責任を果たすよう努めます。
第6章 条例の実効性の確保
(条例の見直し)
第31条 市長等は、この条例の内容が本市にふさわしく、社会情勢に適合しているかどうかを適切な時期に検証します。
2 市長等は、前項に規定する検証に当たっては、市民が関われるよう努めます。
3 市長等は、前2項に規定する検証の結果を踏まえ、この条例の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講じます。
付 則
この条例は、平成28年4月1日から施行します。