条例

宇佐市自治基本条例

自治体データ

自治体名 宇佐市 自治体コード 44211
都道府県名 大分県 都道府県コード 00044
人口(2015年国勢調査) 52,771人

条例データ

条例本文

○宇佐市自治基本条例
平成26年12月24日条例第36号
宇佐市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本理念及び基本原則(第3条・第4条)
第3章 市民、議会及び行政の責務等
第1節 市民(第5条・第6条)
第2節 議会(第7条・第8条)
第3節 行政(第9条―第11条)
第4章 行政運営(第12条―第22条)
第5章 市民参画等(第23条―第26条)
第6章 まちづくりの推進(第27条―第30条)
第7章 条例の位置付け(第31条)
第8章 条例の検討及び見直し(第32条)
附則
平成17年、宇佐市、安心院町、院内町が合併し、私たちの新しい宇佐市が生まれました。
北は穏やかな豊前海を背にして、広大な宇佐平野と神聖な御許山から連なる美しい山並が眼前に広がります。南の山々には荘厳な東椎屋の滝や清涼な岳切渓谷など多くのすばらしい自然が遺っています。私たちはそのような豊かな自然に囲まれ、その恵みを受けながら暮らしています。
宇佐市では、法鏡寺廃寺や虚空蔵寺の建立など、古代より盛んな仏教文化が花開いていました。8世紀には宇佐神宮とその神宮寺である弥勒寺が成立し、神仏習合文化の中心として、また、九州でも有数の荘園領主として広い影響力を発揮しました。
宇佐神宮をはじめ、石橋や鏝絵など歴史的・文化的価値の高い文化遺産が数多く遺っています。さらに先人たちが営々と作り上げてきた循環型の農林水産業の営みや多様な生物が生息できる自然環境が世界的に認められ、世界農業遺産に認定されました。
各地域で暮らす人や活動する人で作られる地域コミュニティは、これからも市の基盤となるものです。自然や歴史、文化と共に、地域コミュニティを活力あるものとし、発展させ、次の世代へつなげなければなりません。
宇佐市市民憲章にも、私たちは宇佐市民であることに誇りと責任を持ち、未来に向けて躍進するまちを目指すとうたわれています。
これからも宇佐市民が幸せに暮らせるまちをつくるために、ここに宇佐市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における自治の基本理念及び基本原則を明らかにするとともに、市民、議会及び行政の責務、行政運営の方法、市民参画、まちづくりその他の自治の基本となる事項を定めることにより、三者が協働して、市民が幸せに暮らせるまちをつくることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)
イ 市内に通勤し、又は通学する者
ウ 市内において事業を営み、又は活動を行う者
(2) 行政 市長、教育委員会、農業委員会、選挙管理委員会その他の市の執行機関をいう。
(3) 協働 市民、議会及び行政が相互の理解と信頼に基づき、地域の課題解決等に向けて、互いが連携・協力して取組を実施していくことをいう。
(4) まちづくり 地域社会における安全かつ安心で快適な生活環境の推進等、幸せに暮らせるまちを実現するための公共的な活動をいう。
(5) 地域コミュニティ 人々が協力してより良い地域にすることを目的として作られた組織及び団体をいう。
第2章 基本理念及び基本原則
(基本理念)
第3条 本市の自治は、市民が幸せに暮らせるまちをつくるために、市民が主体となり、市民の意思と責任に基づき行う。
2 本市のまちづくりは、市民、議会及び行政が協働して行う。
(基本原則)
第4条 本市は、次に掲げる事項を自治の基本原則とする。
(1) 人権尊重の原則 すべての市民が、互いの人権を尊重すること。
(2) 市民主体の原則 自治の主体は、市民であること。
(3) 市民総参加の原則 すべての市民が、性別、年齢、障害の有無等を問わず、まちづくりに参加できる機会を有すること。
(4) 情報共有の原則 市政に関する情報は、市民、議会及び行政が共有すること。
(5) 協働の原則 市民、議会及び行政は、各々の役割を理解し、協働によりまちづくりに取り組むこと。
第3章 市民、議会及び行政の責務等
第1節 市民
(市民の権利)
第5条 市民は、次に掲げる権利を有する。
(1) 安全かつ安心で幸せな暮らしを求めること。
(2) まちづくりに参画すること。
(3) 公正な行政サービスを受けること。
(4) 市政に関する情報について、公開又は提供を求めること。
(市民の責務)
第6条 市民は、次に掲げる責務を負う。
(1) 自らの判断に基づいて、まちづくりへ参画するよう努めること。
(2) 互いに権利を尊重し、理解し、及び協力するよう努めること。
(3) 自らの発言と行動に責任を持つこと。
(4) 地域コミュニティを構成する一員としての社会的責任を認識し、その調和を図り、まちづくりを進めるよう努めること。
(5) すべての子どもは何にも代え難い本市の宝であることを認識し、子どもたちが夢や希望を持って、安全で安心して健やかに成長できるよう努めること。
(6) 行政サービスやまちづくり等に伴う応分の負担を負うこと。
第2節 議会
(議会の責務)
第7条 議会は、次に掲げる責務を負う。
(1) 広く市民にわかりやすく開かれた議会とし、住民の負託に応えること。
(2) 市政の運営に関し、本市の議決機関として、市民の幸せな暮らしのために議会を運営すること。
(議員の責務)
第8条 議員は、次に掲げる責務を負う。
(1) 公平、公正かつ誠実に職務を遂行し、住民の負託に応えること。
(2) 住民の代表としての品格を保持し、常に自己研さんに努めること。
(3) 議会活動に関して市民に説明するとともに、広く市民の声を聴き、市民の幸せな暮らしのために活動を行うこと。
第3節 行政
(行政の責務)
第9条 行政は、次に掲げる責務を負う。
(1) 市民が幸せに暮らせるよう、効率的で公正かつ透明性の高い健全な行政運営を誠実に行うこと。
(2) 市民の意見、苦情及び要望をよく聴取し、総合的かつ計画的な行政運営を行うこと。
(3) 自治及び地域コミュニティの発展並びにそれらを支える人材の育成に尽力すること。
(市長の責務)
第10条 市長は、次に掲げる責務を負う。
(1) 住民の負託を受けた本市の代表である責務を常に認識し、市民の幸せな暮らしの実現のため、市政を担うこと。
(2) 政策の立案及び執行、職員の指揮監督、市政全体の総合調整その他の行政運営を効果的かつ効率的に行うこと。
(3) 行政運営に関して、市民への説明責任を果たすこと。
(4) 市民の意向、地域の実情等を把握し、これらを市政に反映させるよう努めること。
(職員の責務)
第11条 職員は、次に掲げる責務を負う。
(1) 全体の奉仕者であることを常に認識し、法令を遵守し、公平、公正かつ誠実に職務に従事すること。
(2) 職務に必要な専門的知識の習得及び能力の向上を図ること。
(3) 自らが地域の一員であることを自覚し、市民としての責務を果たすこと。
第4章 行政運営
(総合計画)
第12条 行政は、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及びその基本構想に基づき市の行政分野全般にわたる施策の基本的な方向を総合的かつ体系的に定めるための基本計画(以下「総合計画」という。)を策定するものとする。
2 総合計画の策定に当たっては、広く市民参画の機会を設けなければならない。
3 行政は、総合計画の進行管理を行わなければならない。
(財政運営)
第13条 行政は、中長期的な財政見通しのもとに予算を編成する等、計画的で健全かつ弾力的な財政運営に努めなければならない。
2 行政は、地域資源を生かし、地域に合った事業を行うことで、効果的かつ効率的な財政運営を行わなければならない。
(政策法務)
第14条 行政は、政策実現のために主体的に条例、規則等の整備を行うとともに、地方自治の本旨に基づき法令を解釈及び運用するものとする。
(条例の制定等の手続)
第15条 市長は、まちづくりに関する重要な条例を立案しようとするときは、広く市民の参画を図るよう努めなければならない。
(行政評価)
第16条 行政は、効率的かつ効果的な行政運営を図るため、行政評価に関する制度を整備し、実施するものとする。
(行政手続)
第17条 行政は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導等に関する手続を明らかにするものとする。
(情報公開)
第18条 行政は、市政に関して市民に説明する責任を果たすとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深めるため、別に条例で定めるところにより、行政が保有する情報を公開するものとする。
(個人情報の保護)
第19条 行政は、個人の権利利益の保護及び市政の適正な運営に資するため、別に条例で定めるところにより、行政が保有する個人情報を適正に取り扱うものとする。
(権利保護及び意見等への対応)
第20条 行政は、行政運営における市民の権利利益を擁護するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 行政は、行政運営に関する意見、要望、苦情等があった場合は、速やかに事実関係等を調査し、必要があると認めるときは、その改善のための適切な措置を講じなければならない。
(危機管理体制の整備等)
第21条 行政は、常に災害等の緊急の事態に備え、市民の生命、身体及び財産の安全を確保するため、危機管理体制を整備するとともに、市民、関係団体等との連携及び協力体制の構築を図るものとする。
(行政組織の編成)
第22条 行政は、機動的かつ効率的な行政運営が可能となるよう組織の編成を行うとともに、市民目線に立った組織の連携及び横断的調整を図るものとする。
第5章 市民参画等
(市民提案)
第23条 行政は、市民の意見、提言等を市政に反映させるための制度の拡充に努めなければならない。
2 行政は、政策の立案、実施、評価等の情報を、市民に積極的に提供するものとする。
(市民意見の聴取)
第24条 行政は、重要な政策等の立案に当たっては、市民から意見を公募する手続(以下「パブリックコメント手続」という。)を実施し、広く市民の意見を求めなければならない。
2 行政は、パブリックコメント手続を実施したときは、市民から提出された意見を考慮して意思決定を行うとともに、その意見に対する考え方を公表しなければならない。
(附属機関等)
第25条 行政は、法令又は条例に基づき設置する附属機関のほか、必要に応じて市政に対する提言、報告等を行う検討委員会等を設置するものとする。
2 行政は、法令に別段の定めがある場合を除き、附属機関及び検討委員会等の構成員については、識見を有する者及び関係団体からの推薦者のほか、公募等により市民の幅広い層から必要な人材を選任するよう努めなければならない。
3 行政は、附属機関及び検討委員会等の会議の公開に努めるものとする。
(住民投票)
第26条 市長は、市政に関する重要な事項について、直接、住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができる。
2 市長は、前項の規定による住民投票を実施した場合は、その結果を尊重しなければならない。
3 住民投票の実施に関し必要な事項は、事案ごとに別に条例で定める。
第6章 まちづくりの推進
(まちづくりの原則)
第27条 市民、議会及び行政は、幸せに暮らせるまちづくりを目的として、情報を共有し、互いを理解し、信頼関係を築くよう努めなければならない。
2 市民、議会及び行政は、子どもが未来を担う大切な存在であることを認識し、子どもの健全育成及び安全の確保に配慮したまちづくりを行うよう努めなければならない。
3 市民、議会及び行政は、長年まちづくりに携わってきた高齢者の知恵と経験に学びながら、あらゆる世代が手を取り合い、協働してまちづくりを行うよう努めなければならない。
4 行政は、市民及び地域コミュニティがまちづくりの主体であることを認識し、その自主性及び自立性を促すよう配慮しなければならない。
(まちづくりの推進)
第28条 行政は、地域における課題について、市民及び地域コミュニティの意向を把握するとともに、その意見を市政に反映させるよう努めるものとする。
2 行政は、複数の地域に関する課題について、関係する市民及び地域コミュニティの調整が図られるよう必要な支援をするものとする。
(他都市等との連携及び交流の推進)
第29条 行政は、国、県、他の市町村等との連携に努めるものとする。
2 行政は、海外の行政機関等との交流の推進に努めるものとする。
(自然環境、歴史及び文化の保全等)
第30条 市民、議会及び行政は、本市の財産である自然、歴史及び文化を守り、活用し、並びに次の世代に継承するよう努めなければならない。
2 行政は、市民が本市に誇りを持つよう啓発活動に努めなければならない。
第7章 条例の位置付け
第31条 市民、議会及び行政は、本市の自治の基本原則として、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。
第8章 条例の検討及び見直し
第32条 市長は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、市民の意見及び社会情勢を勘案し、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて見直し等の必要な措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、平成27年4月1日から施行する。