壱岐市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 壱岐市 | 自治体コード | 42210 |
都道府県名 | 長崎県 | 都道府県コード | 00042 |
人口(2015年国勢調査) | 24,948人 |
条例データ
制定年 | 2018年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント 住民投票 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 有 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
https://www.city.iki.nagasaki.jp/soshiki/seisaku_kikakuka/machizukuri/kihon_jorei/5462.html |
条例本文
○壱岐市自治基本条例
平成30年12月18日
条例第31号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民の権利及び責務(第5条―第8条)
第3章 市議会の責務等(第9条・第10条)
第4章 市長等の責務(第11条・第12条)
第5章 市政運営(第13条―第20条)
第6章 市民参画及び協働(第21条―第27条)
第7章 連携(第28条・第29条)
第8章 条例の見直し(第30条)
附則
壱岐市は、平成16年3月1日に郷ノ浦町、勝本町、芦辺町及び石田町の4町が合併して誕生し、ともに未来を築くことを約束しました。
壱岐は、国の特別史跡となった原の辻遺跡をはじめ、数多くの古墳群や歴史ある神社、仏閣等、古代の息吹を感じる歴史とロマンにあふれた島です。また、平成27年4月に日本遺産第1号に認定されました。
この歴史遺産を守り伝えるとともに、先人たちが築いてきた文化と、海に囲まれた島ならではの風光明媚な自然を後世へ継承していくためにも、私たちはこの島に誇りを持ち、それぞれの立場で互いに協力し合い、より良いまちづくりに取り組まなければなりません。
また、学校・家庭・地域・行政がともに手を携えて子どもたちの健やかな成長に寄与するとともに、生涯を通じて学べる社会の実現を目指すことで、「教育のしま壱岐」を更に確立し、壱岐を担う人材を育てていく必要があります。
そのためには、私たち市民が主役であることを示し、自治の基本理念を確立することが大切です。
よって、私たち市民一人ひとりが責任を持ち、未来につなぐ活力あるまちづくりの実現を目指していくため、ここに壱岐市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民の権利と責務並びに市議会及び市長等の責務を明らかにし、本市における自治の基本原則及び市政運営に関する基本的事項を定めることにより、市民、市議会及び市長等が互いに理解を深め信頼し合う関係を築くことで、市民の権利を守り、市民を主体としたまちづくりの実現を図ることを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、本市における自治及び市政運営の基本的な事項に関して、最も尊重すべき条例であり、市民、市議会及び市長等は、この条例の趣旨を最大限尊重しなければならない。
2 市議会及び市長等は、他の条例、規則その他の規程の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例に定める事項との整合性を図らなければならない。市政運営上必要な計画を策定する場合も、同様とする。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住する者、市内で働く者若しくは学ぶ者、市内において営利又は非営利の事業活動を行う個人、法人又はその他の団体をいう。
(2) 市 地方公共団体としての壱岐市をいう。
(3) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会その他の執行機関及び当該執行機関に従事する職員をいう。
(4) まちづくり 住みよい地域社会をつくるためのあらゆる取組をいう。
(5) 市民参画 市の政策立案等の過程において市民が主体的に関わることをいう。
(6) 協働 まちづくりに関わる多様な主体が地域の課題と目標を共有し、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いに対等な立場で連携し、協力することをいう。
(7) 地域コミュニティ 自治公民館、子ども会、老人会、婦人会、青年会及びその他の地域住民で自主的に構成され、当該地域に関する組織等をいう。
(自治の基本原則)
第4条 市民、市議会及び市長等は、この条例の目的を達成するため、次に掲げる基本原則に基づいて、まちづくりを進めるものとする。
(1) 市民、市議会及び市長等は、まちづくりに関する情報を共有するため、公共の福祉に反しない限り、互いに情報提供に努めること。
(2) 市民参画については、年齢、性別等を問わず、その機会が保障されること。
(3) まちづくりの主体は市民であり、市議会及び市長等は市民の自主性を尊重するとともに、その取組を支援すること。
(4) 市民に対して市議会及び市長等は、市政についてわかりやすく説明をすること。
第2章 市民の権利及び責務
(市民の権利)
第5条 市民は、日本国憲法及び法令に定められた権利を有するとともに、次に掲げる権利を有する。
(1) まちづくりに参画し、意見を表明し、又は提案する権利
(2) 公共の福祉に反しない範囲での市政運営に関する情報を知る権利
(市民の責務)
第6条 市民は、まちづくりの主体であることを自覚し、次の世代のことを考え、まちづくりに取り組むよう努めるものとする。
2 市民は、まちづくりに参画するに当たっては、互いに尊重しながら自らの発言と行動に責任を持つものとする。
3 市民は、地域における課題等について、市民同士での話合いを通じ、課題解決に向かうよう努めるものとする。
(地域コミュニティの役割等)
第7条 地域コミュニティは、さまざまな活動を通じて地域社会の発展に努めるものとする。
2 市民は、地域における相互扶助の精神に基づいて、地域コミュニティに加入し、その活動に参加するよう努めるものとする。
3 地域コミュニティは、その活動内容及び運営状況を明らかにすることにより、その活動について地域住民の理解及び共感を得られるよう努めるものとする。
4 地域コミュニティは、その活動を円滑に進めるため、地域住民の参加及び協力の機会を確保し、必要な環境づくりに努めるものとする。
5 地域コミュニティは、生涯学習を通じて将来を担う人材の育成に努めるものとする。
6 市長等は、地域コミュニティを支援するとともに、その運営等について自主性を尊重しながら助言等を行うことができる。
(子どもの権利等)
第8条 子どもは、まちづくりに参加する権利を有するものとする。
2 市は、子どもが健やかに育つ環境をつくり、保護者は、愛情を持って子どもを育て、学ばせる責務を有する。
3 市長等は、教育環境の充実等を図り、市民及び市議会とともに、子どもの健全育成及び優れた人材育成を行わなければならない。
第3章 市議会の責務等
(市議会の責務等)
第9条 市議会は、住民の代表機関として、市民福祉の向上及び市政の発展に寄与するため、市政運営を監視するとともに、市政に対し、政策立案又は政策提言を行うものとする。
2 市議会の活動原則、市民及び市長等との関係等に関する基本的事項については、別に条例で定める。
(議員の責務)
第10条 議員は、住民の代表機関の一員であることを自覚し、公正かつ誠実に職務を遂行するものとする。
2 議員の活動原則等の基本的事項については、別に条例で定める。
第4章 市長等の責務
(市長の責務)
第11条 市長は、市民の負託に応え、市の代表者として、指導力を最大限に発揮し、公正かつ誠実に、また、総合的に市政を運営するものとする。
2 市長は、市の将来像及び政策等について、市民に分かりやすく説明するとともに、市民のまちづくりへの参画を図るための環境を整備しなければならない。
3 市長は、まちづくりの主体である市民の自主性を尊重するとともに、その取組に対し支援を行うものとする。
(職員の責務)
第12条 職員は、全体の奉仕者であることの認識を持ち、法令等を遵守し、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、知識の習得及び能力の向上に努め、市民の視点に立ち、意欲を持って職務に取り組まなければならない。
第5章 市政運営
(総合計画等)
第13条 市長等は、市の目指す将来の姿を明らかにし、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、市の最上位計画である総合計画及び各行政分野における基本的な計画(以下「総合計画等」という。)を策定するものとする。
2 市長等は、前項に規定する基本的な計画を策定するときは、総合計画との整合性に配慮するとともに、計画相互間の調整を図るものとする。
3 市長等は、総合計画等の策定及び改定に際しては、市民参画の機会を保障するものとする。
4 市長等は、総合計画等の内容及び進捗状況に関する情報を市民にわかりやすく公表するものとする。
5 市長等は、総合計画等について、社会情勢の変化に対応できるよう、常に検討を加えるとともに、必要に応じて見直すものとする。
(政策法務)
第14条 市長等は、行政課題に対応した自主的な政策等を実行するため、地方自治の本旨に基づいて法令を解釈し、運用するとともに、主体的かつ積極的に条例等を立案するよう努めなければならない。
2 市民は、前項の規定による政策法務の取組について、必要な意見を述べることができる。
(財政運営)
第15条 市長等は、財政の状況を的確に把握し、中長期的な財政の見通しを踏まえ、政策相互の連携を図りながら、効果的かつ効率的な財政運営をしなければならない。
2 市長等は、行政サービスの低下を招かないよう十分留意し、行財政改革に取り組むものとする。
3 市長等は、市が保有する財産を適正に管理し、効率的な運用を図るものとする。
4 市長等は、予算、決算及びその他市の財政に関する情報を市民に分かりやすく公表しなければならない。
(組織及び人事政策)
第16条 市長等は、社会情勢及び行政需要等の変化に対応できるよう組織の見直しを行うとともに、重要な政策課題については、組織横断的に柔軟な対応を図らなければならない。
2 市長等は、職員の能力及び組織力が最大限に発揮できるよう、効果的かつ計画的な職員の採用、人材育成、適切な職員の配置等、適正な人事政策を運用するものとする。
3 市長等は、人事政策に当たっては、市民との信頼関係及び行政サービスの維持向上に配慮するものとする。
(政策評価)
第17条 市長等は、地域住民の視点から施策・事務事業の成果を評価・検証し、事業等の自主的な見直しや再構築を行うことにより、効果的かつ効率的な行政運営を図るため、政策評価を実施するものとする。この場合において、政策評価は、市民等の視点を取り入れるものとする。
2 市長等は、施策・事務事業の目的、目標及び成果を明らかにし、市政の透明性を高めながら、市民への説明責任を積極的に果たすものとする。
3 市長等は、政策評価の結果を踏まえて事業等の実施に反映させるとともに、施策や事業の企画立案、又は見直しに反映させるものとする。
(附属機関等)
第18条 市長等は、附属機関等の委員を選任するときは、原則としてその全部又は一部を市民からの公募等により行い、市民の多様な意見を反映しなければならない。
2 市長等は、原則として附属機関等の会議を公開するとともに、会議録及び資料を公表するものとする。
(情報公開)
第19条 市長等は、公正で開かれた市政の推進を図るため、市が保有する情報を別に条例で定めるところにより公開するとともに、市民に対し積極的に情報提供を行うものとする。
2 市長等は、市が保有する情報が市民との共有財産であるとの認識に立ち、適切に情報公開及び情報提供ができるよう組織的に管理するものとする。
3 市長等は、個人の権利利益を保護するため、市が保有する個人情報を別に条例で定めるところにより適正に取り扱うものとする。
(パブリックコメント手続)
第20条 市長等は、市政に係る施策等を策定するに当たり、当該策定しようとする施策等の趣旨、目的、内容等必要な事項を広く公表し、公表したものに対して、市民からの意見の提出を求める手続(以下「パブリックコメント手続」という。)を別に定めるところにより実施するものとする。
2 市長等は、パブリックコメント手続により提出された意見を十分考慮し、政策等を定めるとともに、提出された意見に対する結果を公表するものとする。
第6章 市民参画及び協働
(市民参画)
第21条 市長等は、まちづくりに関する計画又は政策の立案段階から、公正かつ透明な市民参画の機会を積極的に創出し、市政運営に市民の意見を適切に反映しなければならない。
2 市民参画に関する基本的な事項については、別に条例で定める。
(協働)
第22条 市民及び地域コミュニティ並びに市議会及び市長等は、協働してまちづくりの推進に取り組むものとする。
2 市長等は、まちづくりの推進を目的として主体的に活動する市民及び地域コミュニティに対し支援を行う際には、適切かつ効果的なものにしなければならない。
(自然環境、歴史及び文化の保全等)
第23条 市民、市議会及び市長等は、本市の財産である先人が守り育ててきた素晴らしい自然環境、歴史及び文化を保全し、及び活用し、次の世代に引き継がなければならない。
(地域課題)
第24条 市長等は、各地域が抱える課題を把握し、その課題が市全体の共通の課題であることを市民が認識できるよう、情報提供を行わなければならない。
2 市長等は、市民が主体的に行う地域活動に配慮するとともに、その活動が困難な場合においては、必要に応じて、適切な措置を講じなければならない。
(コミュニティ活動に関する組織)
第25条 市長等は、コミュニティ活動を推進するため、新たな組織を設置することができるものとする。
2 前項に規定する新たな組織に関し必要な事項は、別に条例で定める。
(住民投票)
第26条 市長は、市政に係る特に重要な事項について、住民の意思を確認するため、必要に応じて住民投票を実施することができるものとする。
2 市民、市議会及び市長等は、住民投票の結果を尊重するものとする。
3 前2項に定めるもののほか、住民投票に関し必要な事項は、別に条例で定める。
(危機管理)
第27条 市長等は、自然災害その他の不測の事態(以下「災害等」という。)に迅速かつ的確に対処し、市民及び旅行者等の生命、身体及び財産を保護するため、総合的かつ機能的な危機管理体制を整備しておかなければならない。
2 市長等は、災害等の発生時において、市民、地域コミュニティ、社会福祉協議会等の関係機関並びに国及び他の自治体と相互に連携及び協力しなければならない。
3 市民は、日頃から災害等の発生に備えるとともに、災害等の発生時には、自らの安全を確保するよう努めなければならない。
4 地域コミュニティは、日頃から地域における防災体制を整え、防災訓練等を行うとともに、災害等の発生時には、地域の中で互いに協力して対処するよう努めるものとする。
第7章 連携
(市内外の人々等との交流及び連携)
第28条 市民、市議会及び市長等は、市内外の人々等との交流及び連携がまちづくりに重要であることを認識し、得られた知識及び意見等をまちづくりに活用するよう努めるものとする。
2 市民、市議会及び市長等は、地域の素晴らしい自然、歴史、文化等の情報を、市内外の人々等に対し積極的に発信するよう努めるものとする。
(他の自治体及び国等との連携)
第29条 市議会及び市長等は、広域的な課題を解決し、又はまちづくりの推進を図るため、国及び他の自治体並びにその他必要と認める団体等と積極的に連携するものとする。
第8章 条例の見直し
(条例の見直し)
第30条 市長は、この条例が市民を主体としたまちづくりの実現に寄与しているかについて、第13条に規定する総合計画の見直しと同期間において、市民参画によって検証し、検討を行うものとする。
2 市長は、前項に規定する市民参画による検討の結果、この条例の見直しが適当であると認められたときは、必要な措置を講じなければならない。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。