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啄木鳥日誌

グリーン連合発足!

 2015年6月5日,環境の日に,環境NGO/NPOの連合体である「グリーン連合」(フェイスブックページ)が発足しました。グリーン連合には,現時点で65の団体が参加しており,グリーンアクセスプロジェクトチームのオーフスネットも参加しています。経済団体のように連合することにより,環境政策に環境NGO/NPOの意見を反映させていくことを目指しており,まずは,「市民版環境白書」の発行に取り組む予定です。衆議院議員会館で設立総会が開かれ,その後の設立記念シンポジウム(シンポジウムの案内チラシ)には,部屋からあふれるほどの方々が集まり,環境政策政党アンケート結果の報告や7人の議員のご挨拶もあって,会場は熱気に包まれました(当日の講演の資料はこちら)。

世界初「環境民主主義指標」の結果が公表されました(7月15日までパブコメ中)

 このたび,世界で初めて実施された70か国における環境民主主義指標(EDI)による評価結果が公表され,日本は32位となりました。情報公開法など情報へのアクセスについての制度は評価されましたが,政策決定への市民参加,裁判の利用しやすさの点で課題があるとされています。このデーターベースは無料で開放されていて(http://www.environmentaldemocracyindex.org/),70か国の比較をしたり,法律データを手に入れることができます。

 環境民主主義指標は,参加の国際ガイドライン(UNEPバリガイドライン,英語本文日本語訳)をもとに,アクセス・イニシアティブと世界資源研究所(WRI)が各国の協力者とともに開発したもので,日本からは,オーフスネット,グリーンアクセスプロジェクトのメンバーがコミットしました。アクセスイニシアティブ/WRIの所見要旨を翻訳しましたので,オーフスネットのプレスリリースと併せてご覧いただければ幸いです。
 現在の評価は暫定的なもので,7月15 日まで市民からのパブリックコメントを受け付けています。私は,国内二次評価を担当しましたが,今後,改善すべき点もいろいろあると感じていますので,是非ご意見をお寄せください。

 国際動向や日本の立ち位置を知るための貴重なデータだと思いますので,ご活用いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

国連オーフス条約事務局のHPに掲載!

オーフス条約のパンフレットが,国連オーフス条約事務局のホームページに掲載されました。どうぞ,下記をクリックしてみてください。

http://www.unece.org/index.php?id=32375

みんなで知恵を絞って作り上げたパンフレットを,より多くの方々に見ていただければ幸いです。また,グリーンアクセスに関する第一人者が世界各国から集まる淡路国際シンポまで1ヶ月を切り,続々と報告資料が届き始めています。海外からも,面白そうなシンポなので,是非内容を教えて欲しいという嬉しいお便りが届いています。地元の方々も,事務局も張り切っていますので,是非,菜の花が咲き乱れる春の淡路島にお越し下さい。

ステレンボッシュの会議で報告しました。

南アフリカ・ケープタウン近くのステレンボッシュで,2012年9月25日~28日に行われた環境会議で報告しました。ステレンボッシュといえば,ワインランド(写真1)。南アフリカ随一のリゾート地として知られています。会議自体もアサラ・ヴィンヤードの中にあるホテルで行われました。広大なブドウ畑の入り口は,厳重な警備が敷かれていて,ホテルのバルコニーからは,池の近くに集まるたくさんの鳥を観察することができます(写真2)。主催者の一つであるステレンボッシュ大学は,その歴史が17世紀まで遡るエリート校で,70年代まで,歴代首相は,みな同大学の出身とか・・・。

1. 会議会場にあるブドウ畑

2. つかの間の晴れ間
会議には,ケニア,タンザニア,ナイジェリア,ザンビア等,アフリカの国々とブラジルから,法務大臣や最高裁長官経験者,研究者,行政職員,数十人が集い,温暖化対策と人権問題等が話し合われました(写真3)。

3. 会議風景
私は,温暖化問題の司法コントロールの可能性というセッションで報告しましたが,今回もまた,日本の司法アクセスの保障が,アフリカ諸国と比べてもいかに貧弱なものなのかをを裏付けるさまざまな情報を得ることができました。南アフリカは,誰にでも環境公益訴訟の途が開かれていることで有名ですが,鉱山開発をめぐる環境団体訴訟では,アセスメントの瑕疵が争われることが多く,また,手続的な瑕疵はもちろん,最近では,持続可能性を十分に考慮していないことを理由に,許可が取り消される例が増えているそうです。日本では,仮に原告適格の問題をクリアしたとしても,裁量の壁にすぐに阻まれてしまいそうな話です。参加者の出身国で団体訴訟が認められていないのは,またもや日本だけ・・・。
本来は,雨期が終わり春になり,花々が咲き乱れる季節だそうですが,到着したときから何度か突然の嵐に見舞われ,これも気候変動かと参加者からため息が漏れました。そのような悪天候の下でも,夕方からは,日本に滞在経験のあるRanchod大使の計らいで正式のワインテイスティングも開かれ,南アフリカ独自に開発された品種・ピノタージュなどが,詳細な解説付きで供されました。最終日には,ケープタウン国立公園を駆け足で視察しましたが,多くの動物,花々と出会い,自然の豊かさの一端を垣間見ることができました(写真4~7)。

4. アフリカペンギン

5. 固有の花々

6. 喜望峰の荒々しい風景

7. ケープポイント

オーフス条約締約国第15回作業部会に参加・報告しました。

2012年9月3-5日に,ジュネーブの国連欧州本部(写真1)でオーフス条約締約国第15回作業部会会合が開かれました(プレスリリース)。今回の会合では,加盟国の拡大はもちろん,リオ+20を受けて,どのようにリオ宣言第10原則を促進していくかが大きなテーマとなりました。モンゴルが今年中のオーフス条約加盟を目指し手続を進めていること,チリを中心に中南米10カ国が第10原則をこの地域で促進するための法的枠組みをまとめようとしていること(会議には遠隔参加)のほか,UNEPの担当者からは,バリガイドライン(オーフスの骨子を盛り込んでUNEPが策定した立法ガイドライン)の活用を推進していることなどが報告されました(写真2)。

1. 本部からの風景 2. 会議風景

実は今回,私自身も報告の機会を与えられ,リオ会議以降の日本の先駆的取組(地球環境基金,GEOC/EPOの設置等)について紹介するとともに,オーフス条約から見た日本の課題も明示して,グリーンアクセスプロジェクトの目的(日本の取組の良さを活かしつつ,グローバススタンダードも充たすような日本型モデルの提示)を説明しました。

これに対し,議長からも好意的なコメントをいただき,成果文書にも,大阪大学のグリーンアクセスプロジェクトの取組を歓迎する旨が盛り込まれました(成果文書:4pアイテム5のⅳ参照)。

サルバドールの環境会議に参加・報告しました。

リオ+20を直前に控え,2012年5月9日からブラジル・サルバドールで開かれた環境会議に参加しました(写真1)。 


1. サステナ会議
 
サルバドールは,バイーア州の州都で
あると同時に,ブラジルの最初の首都
として栄えた歴史のあるまち
(写真2・3・4)。

2. カラフルな建物がつらなる世界遺産地区

3. カラフルな町並み

4. 金の装飾で知られるサンフランシスコ教会

5.庶民の足・エレベーター
高台の旧市街地は,世界遺産に指定されて
おり,
エレベーター(写真5)で下に降り
ると,海が
広がっています(写真6・7・
8)。

6. ビーチを望む

7. 夕暮れ時の灯台

8. 海岸は憩いの場所
 

今回の会議は,女性弁護士が中心となって運営しているサステナ(http://www.sustentaonline.com.br/)という環境ネットワークが主催したもので,女性ばかりの環境弁護士事務所を形成していることに,まず驚きました。参加者は,法律家のみならず,森林の専門家から原住民のローカル・コミュニティの代表まで多種多様。サステナビリティの考え方をいかに実現するかという大きなテーマでしたが,どの報告も具体例にあふれ,興味深いものばかりでした(プログラム)。

環境教育のセッションでは,ブラジルでも国家環境教育政策法が成立していて,情報公開と参加の推進が法目的に謳われているとのこと。ブラジル人は,音楽やダンスが得意だが,必ずしも,組織的な行動や政治参加には積極的ではなく,環境保護の考え方も,広く国民一般に浸透しているとは言いがたいのが課題とか・・・。しかし,新鮮だったのは,若者の参加が多かったこと。大学生が,コンサート会場の入り口で,「リオ+20知っていますか?」「グリーンエコノミーって何ですか?」とインタビューし,「うん。知ってるよ。え,具体的に何かって?う~ん,大きな会議でしょ」などと答える様子も,ドキュメンタリーにまとめて放映されました。また,会場では,リサイクル・ファッションやワールドカップ会場の建設作業員の作業着をリサイクルした小物を売って,売り上げを福祉に使う取組みがなされるなど,小イベントも含め,大いに盛り上がりました(写真9・10)。


9. 空き缶のプルトップなどを利用したファッション

10. 生まれ変わった作業着

現在,ブラジルで大問題になっているのが森林法の改正。従来の法律では,森林の所有者は,土地の20%を保護しなければならないとされてきましたが,先日,この規制を緩和する改正法が成立したことを受けて,「大統領は,拒否権を行使せよ」というキャンペーンが各地で行われています。もっとも,従来の法律は,ほとんど守られていなかったため,単に厳しい規制だけでもだめで,どうしたら実効的な制度になるのか,貧困と環境の関わりを中心に,原住民の方を交えて,身近な生活に即した議論が交わされました。

司法アクセスとの関係でいえば,ブラジルには,NGOはもちろん,公益省に所属する公益検察官が,行政や企業の違法行為に対し,刑事,民事を問わず,幅広く訴訟を提起できるユニークな制度があり,環境事件専門の検察官もいます。役割が違うとはいえ,日本では,検察官が公開のシンポジウムに参加して行政を批判するというのは考えられませんが,ブラジルの公益検察官は,迫力をもって市民に語りかけ,社会と強いつながりをもっているようです。今回だけでなく,今まで会った公益検察官のほとんどが女性で(写真11),ブラジルでは,女性パワーを強く感じます。

会議の合間には,独特のバイーア州料理も満喫。3泊という短い期間でしたが,充実した訪問となりました(写真12)。


11. 活躍する公益検察官

12. 伝統的なバイーア料理

農が息づく望月と川上村を訪ねました。

環境と公害編集委員会」の調査で,宮本憲一先生(元滋賀大学長)と吉川徹さん(多津衛民芸館・元望月町長)のご協力・コーディネートにより,長野県の佐久市旧望月町と川上村を訪れました。

旧望月町では,四半世紀にわたり宮本先生のもと,地域のさまざまな人々が集って宮本塾が開かれ,内発的発展をコンセプトに,地域の資源を活かし,農を中心にした地域づくりが行われてきました。

そのような活動の中で,とことん土にこだわった米づくりの職人・伊藤盛久さんと地元の米で酒造りをしたいと考えていた当時の大澤酒造社長・大澤進さんが出会って生まれたのが「信州のかたりべ」(写真1)。


1. ふくよかな香りの「信州のかたりべ」

大澤酒造(写真2)は,中山道の茂田井間の宿(もたいあいのしゅく)(写真3)で,元禄時代から続く老舗。4月7日の新酒発表会では,ときおり雪のちらつく中,お酒はもちろん,豚汁や餅も振る舞われ(写真4),地元の蜂蜜を使ったハニーどら焼き,みそや野菜のフリーマーケット,矢代一重山太鼓の演奏も行われ(写真5),多くの人で賑わいました。


2. 元禄時代から続く老舗の大澤酒造


3. 昔ながらの面影が残る茂田井間の宿

4. もちつき風景

5. 迫力ある矢代一重山太鼓

午後は,有機野菜の宅配で有名なくさぶえ農園を見学した後(写真6),有機農業者,銅器鍛造職人,議員等,御代田や軽井沢からも多彩な人々が集まり,4つの分科会に分かれて研究交流会。夜は,懇親会の後,美人の湯・春日温泉にゆったりつかりました(2つの源泉をもつ「かすが荘」)。


6. くさぶえ農園のしろちゃん

4月8日は快晴。お気に入りの浅間山(写真7)や春の野焼き(写真8)を眺めながら,一路,千曲川・信濃川の源流・川上村へ(写真9)。


7. 雄大な浅間山

8. 野焼きに煙る山間の村々

9. 思わず感嘆の声があがる八ヶ岳の風景

川上村は,信州の東端部に位置する人口5千人弱の村ですが,合併することなく,高原野菜(とくにレタス)王国として農家1戸あたり平均年収2500万円の豊かな村。そのキーパーソンは,現在7期目の藤原忠彦・川上村長(写真10)。


10. 自ら案内して下さった藤原村長

藤原村長は,赤字民営バスの代わりに,スクールバスと路線バスを組み合わせた村営バスを走らせ黒字化,全家庭にケーブルテレビを導入し,農家のための気象情報・市況情報を村営番組として提供,都会から来たお嫁さんもクールと思えるような24時間図書館や音楽ホールを設置(写真11,写真12),カリフォルニア大学デービス校と新種のレタスを開発し,なんと村が商標登録,地元のカラ松材で中学校を改修(写真13:,写真14)等々,数々のユニークなアイディアを卓越した実行力で次々に実現。絶滅しかけた日本犬の純血種・川上犬(写真15)の保護にも取り組んでこられました。


11. 24時間ICカードで村民が利用可能

12. こたつコーナーもあるのは,厳寒地ならでは

13. 八ヶ岳を借景にした給食室

14. 中学校舎とは思えない
吹き抜けのホール

15. 川上犬は,現在300頭

 

川上村の次に訪れたのが,佐久総合病院小海分院(写真16)。長野県は,男女ともに年齢調整死亡率が全国最低で(2010年度),老人医療費が飛び抜けて低いことや在宅死亡率が高いことでも知られています。この「長野モデル」に大きく貢献したと言われるのが,農村地域医療の原点・佐久病院です。南佐久南部の5か町村には,この分院と佐久病院が医師を派遣している診療所のほか,開業医は2軒しかないとのこと。現地に来てみるまで,思いも寄らなかった現実です。


16. 千曲川沿いの分院

夕食は,再び望月に戻って職人館で。職人館は,もともと職人の研究をしていた北村正和さんが,役場を辞めて1992年に開いた農家レストランの先駆け。建物はおじいさんの家を改築し(写真17,写真18),家具も器もこだわりのものばかり。地元の有機農家の畑でとれた野菜や自ら山で摘んだ山菜の味を活かして調理される料理の数々が並びます(写真19,写真20)。この北村さんも,宮本塾の中心メンバー。四半世紀かけて築かれてきた人々のつながりを感じさせる北村さんの笑顔が印象的でした。夜は,再度春日温泉の源泉掛け流しのお湯を満喫(もちづき荘)。


17. 概観

18. 宮本塾も開かれる2階のホール

19. 盛りだくさんの前菜

20. インパクトのある日本酒ラベル

 

翌日は,まず,旧臼田町にある佐久総合病院本院へ。長野で最初のドクターヘリ(写真21)を擁する総合病院ですが,なんと言っても印象的だったのは,地域包括ケアです。本人が望むなら,住み慣れた家で人生を全うできるよう,介護をする家族のケアも含めたきめ細やかな在宅医療が提供されているだけでなく,亡くなられた後も,エンゼルメイク,遺族訪問,遺族会開催まで,遺族のグリーフケアが行われているとのこと。病院内では,各種文化活動も盛んで,日本を代表するジャズクラリネット奏者・北村英治さんと病院のGDK吹奏楽団との演奏会も実施されたとか・・。医療とは,「その人らしい暮らしを最期まで支えることだ」,という使命感あふれるお話には,心を動かされました。


21. 平均毎日1度は出動

 

この調査の締めくくりは,柳田清二・佐久市長(写真22)のヒアリングです。徹底した情報公開を掲げた柳田市長が就任してまず行ったのは,その時点で基本計画までできていた「総合文化会館の慎重な検討」。本当に必要な施設なのかを住民自身が判断すべきとの立場から,21回の住民説明会を実施し,翌日には必ずその議事録をHPにアップし,161の質問に答えたとのこと。計画がかなり進んだ段階での見直しだったことから,最終的には住民投票も実施。71%(投票率54%)が反対を表明したとのこと。グリーンアクセスを考える上でも貴重な事例です。再生可能エネルギーにも積極的。今年4月に市自らが平根水力発電所を買い取ったほか,2つの財産区にメガソーラープロジェクトを検討中とか。エネルギーの地産地消も実践しています。


22. 熱く語る柳田市長

このような盛りだくさんのヒアリングを終え,今日も快晴の浅間山の風景をあとにしました。

公害弁連40周年シンポジウムが開かれました。

全国公害弁護団連絡会議(公害弁連)が結成40周年を迎え,2012年3月31日に記念シンポジウムが開かれました(プログラム)。公害弁連は,4大公害訴訟,大阪空港訴訟,各地の道路公害訴訟,基地騒音訴訟,諫早湾訴訟,アスベスト訴訟等を担当してこられた弁護団のネットワークで(加入弁護団リストはこちら),長年にわたり,公害環境訴訟の先頭を走り,公害被害者の救済や自然環境保全のため,新たな法理論を構築してこられました。これまで,10周年,25周年に記念論文集が出版されましたが,今回も,『公害環境訴訟の新たな展開-権利救済から政策形成へ-』が刊行されます(チラシ)。

環境ロイヤー相互の連携と日本環境会議(JECのようなNGOや研究者,被害者団体,支援団体との密接な協働があったからこそ,環境裁判所や特別の環境訴訟法のない日本において,因果関係,過失等に関し,判例法理が独自の発展を遂げることができたのであり,このことは,日本の大きな特徴の1つであるといえます(各地の現状については,公害弁連ニュースを参照)。

奇しくも,日本は未曾有の東日本大震災に見舞われ,地震,津波,原発事故等の複合的災害により,今まで経験したことのないような,さまざまな課題に直面しています。今回のメインテーマも原発事故であり,国を被告とした原発の民事差止訴訟等,全く新しい型の訴訟の提起について現状報告がなされたほか,3月28日の泉南アスベスト第2陣訴訟勝訴判決(判決・要旨)について,担当弁護士や原告の方々が喜びの声と国の控訴断念に向けた精力的活動を伝えるなど(弁護団・支援団体声明),白熱した議論が交わされました。

ボンの環境会議に参加・報告しました!

2012年1月11日~13日まで,ボンで開かれた環境会議に出席しました。今回の会議は,コンラード・アデナウアー財団が主催したもので,温暖化と人権,グリーンエコノミー,環境法の執行など4つのセッションが開かれました(プログラム)。
ブラジル,イスラエル,セルビア,インド,韓国,ケニア等,報告者の顔ぶれも多彩で,「日本の温暖化政策と自主的取組みの有効性」をテーマに報告したところ,原発事故後の日本のエネルギー政策,再生可能エネルギーの新たな固定価格買取制度,トップランナー方式の有効性,建築物対策等について,たくさんの質問をいただきました。

今回の会議でも,オーフス条約およびグリーンアクセスの強化は大きく取り上げられました。ドイツでは,実はかなり前に環境権の議論が頓挫し,国家の環境保護義務という形で議論が進められてきましたが,ベルリン大学のカリエス教授は,国際的な観点からグリーンアクセスの保障が実体的な人権保障のために重要であることを明快に語りました。

また,インドからは最近設置されたばかりの環境裁判所の裁判官Sharma氏が報告されました。インドは,弁護士やNGOが提起する憲法訴訟としての環境公益訴訟が広く認められ,環境保護に大きな役割を果たしてきましたが,環境裁判所は高裁と同等の地位を有し,その判決に不服があれば最高裁への上告が可能とされています。環境裁判法には原告適格の規定が置かれ,憲法を根拠とする環境訴訟の役割の多くが環境裁判法に基づく訴訟に引き継がれることになりました。すでに100数十件の事件を扱っているとのことですが,依然として環境団体等が提起する環境公益訴訟が重要な地位を占めているということです。

さらに,会議の一日目の午後には,レットゲン環境大臣の講演も行われました。会場は,歴史のある旧連邦議会本会議堂

ユーロ,ひいてはEUの危機とも言われる中,温暖化対策の重要性を正面から訴える力強い演説は印象的で,海外ゲストも含め,多くの聴衆に好感を持って受け止められたようです。

会議の終了後は,ドイツ連邦共和国の初代首相であるアデナウアーの旧宅を案内していただきました。アデナウアー財団の名前も,この初代首相に由来したものです。旧宅はボン近郊にあるRhöndorfにあり,今回は,通常一般の見学に供されていない場所も見せていただきました。アデナウアーは90歳を過ぎても,毎朝5時過ぎには起床し,書斎で新聞に目を通すのが日課であったとか・・・。91歳まで議員を務めていたというのは初めて知りました。高台にある居宅からは,どの階からもライン川を見渡すことができました。

全体として,環境保護を経済発展につなげ,従来の産業構造の転換と脱原発を図るとともに,国際的なリーダーシップをとろうとするドイツの確固たる姿勢が強く表れた会議でした。

第10回アジア太平洋NGO環境会議(APNEC)に出席しました!

北京から台湾に移動して,第10回アジア太平洋NGO環境会議(APNEC)に出席しました(2011年11月19-23日)(APNECホームページ)。アジアばかりでなく,26カ国から約600人が参加ました。扱われたテーマも,ディープ・エコロジーから,グリーン・アクセス,湿地保全,温暖化,アスベストまで,実に多種多様。実行委員長のチャウ(Chiau)先生は,環境副大臣。

NGO側では,1万人以上の会員を擁する荒野保全協会が中心となって,多くのボランティアが会議を支えてくださいました。荒野と聞くと何だろうと思いますが,英語名は「Society of Wilderness」です。わざわざ第10回APNEC(APNEC20周年)記念のケーキもご用意くださいました。

台湾は,アジアの中で,「市民訴訟」の導入という形でグリーン・アクセスを強化した数少ない国の1つです。台湾大学のイェ(Yeh)先生らが座長を務めた環境訴訟分科会では,台湾のサイエンス・パーク建設をめぐる環境公益訴訟等,興味深い報告が続きました。

この事件では,参加手続の瑕疵等によるアセス法違反を理由に,最高裁において原告勝訴が確定したにもかかわらず,アセスをやり直して建設が進められており,新たな訴訟が係属中とのこと。問題の所在は違いますが,泡瀬干潟問題を想起させるような話です。

また,ネパールでは,国民が参加する初めての成文憲法を策定中とのことで,起草委員会委員の一人でもある弁護士のTripathi氏が,現在の骨子案について報告されました。それによると,環境権,情報アクセス権,環境政策への参加権,司法アクセス権はもちろん,気候変動の影響等について知らせてもらう権利,国家の環境保護義務,独立の環境委員会の設置等が盛り込まれており,「グリーン憲法」をめざず意気込みが感じられます。

事務局スタッフは,ホスピタリティにあふれていて,夜も「しろくまさん」の環境劇やゆるキャラ?(下の写真=右)も登場するイベントが続き,多くの若者や子ども達の参加が印象的でした。しかも,みな英語がぺらぺら。陽気で多彩な台湾のNGOのみなさんから,学ぶところは多いようです。

さらに,現地視察も充実していました。私が参加したのは,台湾で初めてトラスト方式で保全・管理を始めた華龍村の環境教育サイト(自然谷,工業団地の建設問題に揺れている竹東軟橋区(Ruan Bridge Community)等を巡るコースです。

現地では,村長さん(下の写真=左)や現地の子どもたちが,手作りの郷土料理で大歓迎してくださいました(下の写真=右)。軟橋区は,台湾で最良の米がとれる地帯とのこと。

みんなで稲刈りや芋掘りも体験し,工業団地問題について意見交換し,最後は歌や踊りで盛り上がりました。

22日に採択された台北宣言の第1項目には,嬉しいことに「グリーン・アクセス」の推進という文言が盛り込まれました!リオ+20に向け,この考え方が,アジア各国に浸透することを願うばかりです。

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