北京から台湾に移動して,第10回アジア太平洋NGO環境会議(APNEC)に出席しました(2011年11月19-23日)(APNECホームページ)。アジアばかりでなく,26カ国から約600人が参加ました。扱われたテーマも,ディープ・エコロジーから,グリーン・アクセス,湿地保全,温暖化,アスベストまで,実に多種多様。実行委員長のチャウ(Chiau)先生は,環境副大臣。
NGO側では,1万人以上の会員を擁する荒野保全協会が中心となって,多くのボランティアが会議を支えてくださいました。荒野と聞くと何だろうと思いますが,英語名は「Society of Wilderness」です。わざわざ第10回APNEC(APNEC20周年)記念のケーキもご用意くださいました。
台湾は,アジアの中で,「市民訴訟」の導入という形でグリーン・アクセスを強化した数少ない国の1つです。台湾大学のイェ(Yeh)先生らが座長を務めた環境訴訟分科会では,台湾のサイエンス・パーク建設をめぐる環境公益訴訟等,興味深い報告が続きました。
この事件では,参加手続の瑕疵等によるアセス法違反を理由に,最高裁において原告勝訴が確定したにもかかわらず,アセスをやり直して建設が進められており,新たな訴訟が係属中とのこと。問題の所在は違いますが,泡瀬干潟問題を想起させるような話です。
また,ネパールでは,国民が参加する初めての成文憲法を策定中とのことで,起草委員会委員の一人でもある弁護士のTripathi氏が,現在の骨子案について報告されました。それによると,環境権,情報アクセス権,環境政策への参加権,司法アクセス権はもちろん,気候変動の影響等について知らせてもらう権利,国家の環境保護義務,独立の環境委員会の設置等が盛り込まれており,「グリーン憲法」をめざず意気込みが感じられます。
事務局スタッフは,ホスピタリティにあふれていて,夜も「しろくまさん」の環境劇やゆるキャラ?(下の写真=右)も登場するイベントが続き,多くの若者や子ども達の参加が印象的でした。しかも,みな英語がぺらぺら。陽気で多彩な台湾のNGOのみなさんから,学ぶところは多いようです。
さらに,現地視察も充実していました。私が参加したのは,台湾で初めてトラスト方式で保全・管理を始めた華龍村の環境教育サイト(自然谷,工業団地の建設問題に揺れている竹東軟橋区(Ruan Bridge Community)等を巡るコースです。
現地では,村長さん(下の写真=左)や現地の子どもたちが,手作りの郷土料理で大歓迎してくださいました(下の写真=右)。軟橋区は,台湾で最良の米がとれる地帯とのこと。
みんなで稲刈りや芋掘りも体験し,工業団地問題について意見交換し,最後は歌や踊りで盛り上がりました。
22日に採択された台北宣言の第1項目には,嬉しいことに「グリーン・アクセス」の推進という文言が盛り込まれました!リオ+20に向け,この考え方が,アジア各国に浸透することを願うばかりです。