リオ+20を直前に控え,2012年5月9日からブラジル・サルバドールで開かれた環境会議に参加しました(写真1)。
8. 海岸は憩いの場所 |
今回の会議は,女性弁護士が中心となって運営しているサステナ(http://www.sustentaonline.com.br/)という環境ネットワークが主催したもので,女性ばかりの環境弁護士事務所を形成していることに,まず驚きました。参加者は,法律家のみならず,森林の専門家から原住民のローカル・コミュニティの代表まで多種多様。サステナビリティの考え方をいかに実現するかという大きなテーマでしたが,どの報告も具体例にあふれ,興味深いものばかりでした(プログラム)。
環境教育のセッションでは,ブラジルでも国家環境教育政策法が成立していて,情報公開と参加の推進が法目的に謳われているとのこと。ブラジル人は,音楽やダンスが得意だが,必ずしも,組織的な行動や政治参加には積極的ではなく,環境保護の考え方も,広く国民一般に浸透しているとは言いがたいのが課題とか・・・。しかし,新鮮だったのは,若者の参加が多かったこと。大学生が,コンサート会場の入り口で,「リオ+20知っていますか?」「グリーンエコノミーって何ですか?」とインタビューし,「うん。知ってるよ。え,具体的に何かって?う~ん,大きな会議でしょ」などと答える様子も,ドキュメンタリーにまとめて放映されました。また,会場では,リサイクル・ファッションやワールドカップ会場の建設作業員の作業着をリサイクルした小物を売って,売り上げを福祉に使う取組みがなされるなど,小イベントも含め,大いに盛り上がりました(写真9・10)。
9. 空き缶のプルトップなどを利用したファッション |
10. 生まれ変わった作業着 |
現在,ブラジルで大問題になっているのが森林法の改正。従来の法律では,森林の所有者は,土地の20%を保護しなければならないとされてきましたが,先日,この規制を緩和する改正法が成立したことを受けて,「大統領は,拒否権を行使せよ」というキャンペーンが各地で行われています。もっとも,従来の法律は,ほとんど守られていなかったため,単に厳しい規制だけでもだめで,どうしたら実効的な制度になるのか,貧困と環境の関わりを中心に,原住民の方を交えて,身近な生活に即した議論が交わされました。
司法アクセスとの関係でいえば,ブラジルには,NGOはもちろん,公益省に所属する公益検察官が,行政や企業の違法行為に対し,刑事,民事を問わず,幅広く訴訟を提起できるユニークな制度があり,環境事件専門の検察官もいます。役割が違うとはいえ,日本では,検察官が公開のシンポジウムに参加して行政を批判するというのは考えられませんが,ブラジルの公益検察官は,迫力をもって市民に語りかけ,社会と強いつながりをもっているようです。今回だけでなく,今まで会った公益検察官のほとんどが女性で(写真11),ブラジルでは,女性パワーを強く感じます。
会議の合間には,独特のバイーア州料理も満喫。3泊という短い期間でしたが,充実した訪問となりました(写真12)。
11. 活躍する公益検察官 |
12. 伝統的なバイーア料理 |